新・日常も沖雅也よ永遠に

お引越ししました。

DNA

2011-08-25 11:18:00 | 沖雅也
10年以上前の話になって恐縮だが、
「沖雅也公式ファンサイト」というものが数年存在した。
今でも検索すると表紙が出るが、
何時の間にか崩壊して機能していないファンクラブだ。
最初の2年間は私も入会していて、オフ会にも一度出席した。
会場は当時日景さんが経営していた
『パラディソ』というイタリアンの店。
自己紹介の後はグッズの紹介などがあったが、
当然皆の視線は日景さんに行き、
急きょ質問コーナーとなった。
私が驚いたのは、同じような質問が二度出て、
それは「沖さんは子供が好きだったか」という内容だったこと。
出席者のほとんどが未婚女性だったが、
それは沖さんの性質を知る上で大事なことだったらしい。
答え始める日景さんに皆の目が輝く。
「子供?どうでしょう。彼は本当に普通の若者でした。
特に子供が大好きということはなかったですが…
本当に普通の感覚を持った普通の若者です」
日景さんは「普通」を強調して繰り返した。
確かに既婚者ならともかく、普通の若い未婚男性で
「子供が好きなので早く自分の子供が欲しい」
と話すことは少ない。
私のながーい人生(ゲゲッ)で、
若者がそんな話をするのを聞いたのは一度か二度だろう。

沖さんと子供といえば、私の目にまず浮かぶのが
「必殺仕置屋稼業」の市松。
盲目の少女を抱き上げたり、両親が亡くなった子を引き取ろうとしたりする
あの優しい目。
アイドル時代のドラマでも
ファンに小中学生が多かったせいか、子供との絡みは多かった。
スコッチ刑事も先輩の子供を背中に乗せて遊んだり、
失語症の女の子に洋服をプレゼントしたり。
「俺たちは天使だ!」では、
お風呂上りの小学生の女の子を抱き上げたり。
そんな優しいお兄さん像を、役を離れた沖さんにも期待したのかも知れない。

沖さん自身は自分の育った環境から家庭に対して憧憬と憎悪が交錯したらしく、
パイプカットして楠の血を絶やしたいなどと日景さんに語っていたらしいが、
同じく家庭崩壊の渦中にいたことがある私としては、
その気持ちがよくわかる。
子供を残すという種族保存の本能にヒビが入った感情の中では、
他人の子に優しいまなざしを向けられても、
それが自分の子が欲しいということにつながらなかったのだろう。
子孫を残したいとまで思える女性に出逢っていれば、
その気持ちも変わったのかも知れないが、
恋愛中に子孫を残したいと考えるのは言葉は悪いがメスの本能で、
オスにはないものかも知れない。
そういう意味で「普通の若者」だったわけだ。

私は…
たとえ沖さんに子供がいたとしても、
会いたいとか沖さんの代わりに守ろうということは考えなかっただろうが、
沖さんの血を引く人には会ってみたいと思う。
いや、それも「沖さんをどう思うか」訊ねてみたいだけなんだけどね。


(無題)

2011-08-11 15:07:00 | 沖雅也
昨日は久々に墓参をして来た。
日本へ戻ったら足繁く掃除にでも通おうと考えていたのに、日常はそれを許さない。
昨日は何故かどうしても行かなくてはいけないような気がして勢いで行ったのだが、
それはお盆が近いせいだろうか。
お盆が近いといっても、墓地を見回した限り新しい花が活けられている様子はない。
13日のお盆の入りに合わせるのが本当なのだろう。

私が現在住んでいる神奈川県某所では、お盆の入りにお墓までご先祖様を迎えに行く風習がある。
その話を聞いた時は、私が育った街と車で小一時間と離れていない土地なのに、まだこんな風習が生きているのかと驚いたが、なかなか風流でご先祖様を敬う行事だと思う。
先日、それに先立って、墓地と比較的近い場所に住む私が掃除に行ったのだが、膝を悪くしているのでバランスを崩し、墓石の角に腰骨を強打して四針縫うという怪我をしてしまった。
まだまだ供養が足りないとのご先祖様のお達しか、はたまた何かを教えようとして下さったのか。


怪談ではない。
沖さんが亡くなる数日前、我が家に飾ってあった祖父の写真の口から赤いものが流れているのを発見した。
見間違いかと思って複数の人に確認してもらったが、確かに赤いものが流れている。
天井近くに飾っているのでジュースなどをこぼしたはずもなしと話したものだ。
あれは私を可愛がってくれた祖父が何かを教えようとしてくれていたのかも知れない。
ちゃんと教えてくれないとわからないじゃないのと祖父に愚痴りながら、
沖さんの幸せを一番に考えていたのなら、
そのサインからまず沖さんの無事を何としても確認すべきだったのではないかと、
また自分を責めた。
必要以上に自分を責め、私には何も出来なくて当然なのだから責める必要はない
と言われては、また傷ついた日々だった。

あそうです

2011-08-06 11:50:00 | 沖雅也
個人的な事情で20年ほどアメリカに住んでいた。
最初は英語になじもう、ここでの生活になじもうと必死だったが、少し落ち着くとやはり沖さんのビデオに手が伸びた。
観始めるともう止まらない。
本放送ではそれほど面白いと思っていなかった「俺たちは天使だ!」にハマり、アメリカ人にも見せた。
日本語がわからなくても、いつもオープニングで曲が始まる前のキャプテンの表情はわかりやすいらしく、「ほーら、彼はまた有頂天だ」とか「悪い考えが浮かんでいるんだね」という感想が聴こえた。
一番ウケたのは死体を三人四脚で運ぶシーン。
同じように死体を運ぶシーンがハリウッド映画にもあったというので、俺天を観た脚本家が真似たのだという指摘もあった。
このハリウッド映画のタイトルを忘れてしまったのだが、「いとこのビニー」だっただろうか???

そしてキャプテンが名乗る時にいつも大爆笑が起こった。
「麻生です」
あそう… 「asshole」(ケツの穴)という相手を侮蔑する時に使う呼び方があるのだが、それを自ら名乗っているように聞こえるのだ。
ののしり言葉に聞こえるので有名なのは「帽子」→「Bull Shit」(牛のくそ)だが、まさかキャプテンがこんなことに…。
しかし覚えやすかったらしく、そのビデオを見せた人には「あそう」という名前が定着し、他の番組をみせても「あそうが出ている」と言われるようになってしまった。

やがてその人が言った。
「あそうは今も俳優をやっているの?」
今の若い世代の人がテレビでたまたま沖さんをみつけて両親に質問した時に起こるようなこと。
一から説明するのは切ないが、中途半端な知識を持っている人に説明されるよりは自分で説明した方がマシだ。
だが、日本人同士で沖さんが話題になる時は、なるべくそっと場を離れていた。
私がファンと知らないので、中途半端な知識で説明しはじめる人がいて、それはもう聞くに堪えない話と化していた。
一般的に沖雅也というと、こんな風に思われているのかと思うと哀しくなった。

今なら前に出て説明出来る。
胸を張って沖さんの話をして、話しながら沖さんの笑顔を思い浮かべて、一人うっとりとして引かれるのもまたよし。
大事な大事な沖さんのことを、大事に大事に話したい。