さて、先日、Washington Times紙にフォー・シーズンズ&JERSEY BOYS関連の面白い記事が載りました。ジョン・バーロウ氏の記事
「ジャージー・ボーイズが無視され続けたフォー・シーズンズを讃える
以下、10月9日付Washington Times紙の記事から
2005年、2つの「ジュークボックス・ミュージカル」がブロードウェイにオープンした。どちらも60年代の歌をフィーチャーしたものであった。ひとつは、批評家受けも良く、時代を象徴し、そのピークから数十年過ぎてもメディアから関心を寄せられてきたバンドの曲で構成されたものだった。
もう一方のミュージカルは、前者と同様に商業的成功を収めながらも、多くの音楽メディアを支配する人たちからは忘れ去られ…というよりも、「バブルガム・ヒット」として退けられてきたグループのものであり、実際、彼らは観客の多くにも忘れられつつあった存在であった。
どちらのミュージカルが大失敗となり、どちらがオープンして4年たってもチケットが完売する大ヒット作となるか、誰が見ても勝負はついてしまっているようなものだったに違いない。
しかし、ビーチ・ボーイズの曲で構成されたGOOD VIBRATIONSは2か月で終演を迎えてしまった。一方、忘れ去られていたフォー・シーズンズの音楽をふんだんに使ったJERSEY BOYSは空前の大ヒットとなり、サントラCDはプラチナディスクに認定された。先日、全米ツアー・キャストによるプレミア公演が、ワシントン・ナショナル・シアター満席の中で行われたのである。
前者の失敗と後者の成功の原因の大部分は、それぞれのショーのクオリティーの差によるものである。某批評家など、GOOD VIBRATIONSは「野暮ったい振付」と「貧弱な台詞」は「気恥しくなるほどにひどい」と評したほどであった。対照的に、トニー賞作品賞にも輝いたJERSEY BOYSでは才能あふれるツアー・キャストは、素晴らしい振付とイタリア系のブルー・カラーの住む町からスターダムにのし上がったバンドの、ときには悲しい物語を見事に作り上げている。
このミュージカルは、フォー・シーズンズが世に出るまでの話をつづりながら、予測しなかった偉業も成し遂げてしまった。この4人グループをポピュラー音楽の神殿に祭り上げてしまったのである。40年たって、このグループが音楽界へどれだけ貢献したかということに、遂にスポットライトが当たったのだ。多くのヒット曲がありながらも、常に、ビーチ・ボーイズや、その他批評家好みのバンドの陰に隠れていた彼らにスポットライトが当たったのである。
ウイリアム・ラールマンは、信頼できる彼のサイトであるAllmusic Webで、こう指摘する。「ビーチ・ボーイズとフォー・シーズンズはともに1962年8月に最初のメジャーヒット曲をチャートインさせた。どちらも1964年に始まったビートルズによるブリティッシュ・インヴェイジョンの中で、何とか持ちこたえた数少ないアメリカのバンドなのである」ビーチ・ボーイズと同様、フォー・シーズンズもリードボーカルのファルセットを中心にハーモニーで包み込む音楽を作ってきた。
どちらのグループの自ら演奏し、中心的なメンバーが曲を作った。ビーチ・ボーイズはブライアン・ウィルソンであり、フォー・シーズンズはボブ・ゴーディオであった。ゴーディオの方は、多くのヒット曲はバンドのプロデューサー、ボブ・クリューの共作であった。しかし、Allmusic comの紹介では、フォー・シーズンズというのは、その活動を通して、批評家から賛辞を贈られることもなければ、同時代のグループのようにメディアで大きく取り上げられることもなかった、としている。
ボブ・ゴーディオは、ブライアン・ウィルソンが"Wouldn't It Be Nice" や "God Only Knows"のような交響曲を作曲したように、音楽的な高みに登るようなことはしなかったかも知れないが、彼はボブ・クリューとともに、洗練された曲を書き、それらは時代を超えてもその価値は失われていない。彼の歌詞は、フォー・シーズンズの詩の世界を、アメリカ東部のエスニックな街角を象徴するものにした。それは、ビーチ・ボーイズが南カリフォルニアの太陽とサーフィンの文化大使を務めたのと全く同じである。
JERSEY BOYSの筋の中で、フォー・シーズンズの古い曲の数々は命を与えられている。"Walk Like a Man"(恋のハリキリ・ボーイ)で歌われるのは、失恋した息子に送る父親としての忠告である。"Rag Doll"(悲しきラグ・ドール)は、ボブ・ゴーディオが、車の窓ガラスを拭いてお金を稼ぐ貧しい身なりの少女を見かけたことから作られた曲であり、都市の貧困をありのままに描写している。
そして、世界中で、ジャンルを超えて歌われているのが"Can't Take My Eyes Off You"(君の瞳に恋してる)であろう。リードシンガーのフランキー・ヴァリが優しく歌うこの曲は、60年代の終わりに彼らのカムバック・ヒットとなった。この曲は、ポップシンガーのローリン・ヒルをはじめ、今なお多くのアーティストたちがカバーしている。
それでは、なぜ彼らは長い間評価されなかったのであろうか?まず言えるのは、彼らはシングル曲中心のバンドであったことで、ビーチ・ボーイズほどには本気で受け止められることがなかったことであろうか。彼らがシングル曲をリリースすることに集中したことで、(ビートルズの)"Sgt. Pepper"がきっかけとなったコンセプト・アルバム志向や、FMラジオがアルバム中心の構成になっていったという流れから落ちこぼれてしまったのである。
もっと言えば、彼らは、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンや同時代のアーティストがそうであったように、60年代のドラッグ・カルチャー関連でヘッドラインに登場することもなかったというだけのことで、メディアはこのグループに興味がなかっただけなのである。このショーで示されているように、メンバーの多くは聖人というには程遠かったが(若いときに、ちょっとした窃盗事件や犯罪組織と関わるなど)、大部分は彼らの個人的な問題であったのであるとAllmusic comは書いている。
JERSEY BOYSの語り手が言うように、フォー・シーズンズのファンたちは、ペンタゴンを空中浮遊させようとするようなカウンター・カルチャーの若者たちではなかった。彼らはブルー・カラーのミドル・クラスの若者たちであり、ガソリンスタンドで働き、トラックを運転し、やがてはベトナムへと送られていった。
このヒット・ミュージカルのおかげで、このようなファンたちは「声」を与えられたのである。
By John Berlau
コメント一覧
master of my domain aka Elaine's
luce di primavera
luce di primavera
最新の画像もっと見る
最近の「JERSEY BOYS(音楽関連)」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- JERSEY BOYS (舞台ミュージカル)(127)
- JERSEY BOYS(映画)(43)
- JERSEY BOYS(来日公演)(9)
- JERSEY BOYS(日本版)(18)
- JERSEY BOYS(音楽関連)(30)
- Jerry Seinfeld(36)
- SEINFELD Cast(22)
- BEE MOVIE(40)
- CUTMAN(27)
- Theatre(118)
- Books(33)
- Music(84)
- Movies(111)
- THE PRODUCERS(20)
- CURB YOUR ENTHUSIASM(6)
- New York(49)
- HAIRSPRAY(33)
- SEINFELD(139)
- English(1)
- Unclassified(84)
バックナンバー
人気記事