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And This Is Not Elf Land

「ジャージー・ボーイズ」東京公演(2)



みんな、そんなにキャストが気になるのかな~

さて、じわりじわりと近づいてきております「ジャージー・ボーイズ」初来日公演!メンバーの息もピッタリの北米ツアー・キャストによる公演になると知ったときから、私は個人的には大満足なのですが…それでもやはり「誰が来るの?」というのが多くの人が気にしているところのようです。

私、思うんですけど…日本の方でも、ニューヨークやロンドンへ観光旅行に行かれて、そこでミュージカルなどをご覧になる方も少なくないと思うのですが、そういうときも「誰が出るのか?」気にされますか?まぁ、よほどのミュージカル・ファンならキャストの情報をチェックして行かれるでしょうが…多くの方は、何よりも「本場で、評価の高い有名作品を生で見たい!」という思いから観劇されるはずですよね。それで大満足して、素敵な旅の思い出になるわけですよ。

それなのに、来日公演だと途端にキャストが気になるのか…まぁ、日本で大好評だった映画の印象を壊したくないとか、そういう思いも理解できないことはありませんが。

今年の11月にブロードウェイでオープンして10周年になる「ジャージー・ボーイズ」ですが、もう初めから、いわゆる「スター・システム」は取っていません。つまり、名の知れた俳優を起用して、その知名度で客を呼ぶようなやり方はしていないのです。それでも、あれだけの大ヒット。この10年間で何度もキャスト・チェンジはありますが、それでもとくに有名な俳優を起用するでもなく、新しい主役なんてほんの数日前に正式発表されるだけですよ。あれだけ根強いファンも多いミュージカルではあっても、それで文句が出たとか、トラブルになったとか、そういう話も聞いたことがありません。(それなのに…何なんだ、日本の人たちは?!)

とにかく、向こうでは皆、作品のクオリティーと俳優層の厚さに絶大な信頼を寄せているということです。まぁ、こういう演劇界の仕組みは日本とアメリカでは異なる部分も多いんでしょうが…っていうか、私も「田舎」の住民ですので、日本の演劇に触れる機会もほとんどないのですがね(笑)


このあたりを、私がわかる範囲でお話しましょう。

ブロードウェイのファンの間では「(ギャラにおける)俳優のランク」について語られることがあります。確かに、素人の私から見ても、ブロードウェイの舞台に立つ俳優もいろいろ。で、ちょっと自分なりに区分けしてみたいと思います。(あくまでも自己流でやっていますので)


(1)ハリウッドの大スターもブロードウェイに出ることがあります
トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、スカーレット・ヨハンソンなど
こういう人たちが出る作品はやはり「俳優目当て」のものになります。ギャラが高いので数か月の限定公演となるものがほとんどです。

(2)次に、有名テレビ俳優、ハリウッド中堅、有名ミュージシャンなど
ラリー・デビッド、ニール・パトリック・ハリス、トニ・ブラクストンなど
こういう人たちも知名度はあるので、俳優名を前面に出して宣伝します。
オリジナルの主役が降板しても、このクラスの俳優に次々とリレーすることがありますね。
 
(3)ブロードウェイを中心に活躍し、トニー賞の候補になるか受賞したことがある俳優。

(4)トニー賞に名前が挙がったことはないものの、ブロードウェイの数々の作品に出演している俳優

(5)初めてブロードウェイに出演する俳優


繰り返し言いますが、これはあくまでも自己流の区分でありまして、実際はこんなに単純なものではないと思います…

しかし、私がここで言いたいのは

ブロードウェイの「ジャージー・ボーイズ」に出演する俳優は、ほぼ全員(4)か(5)だということです。

ジョン・ロイド・ヤングは(5)でした。ブロードウェイ・デビューだったのです!しかし、ご存知のように、オリジナルのフランキー役としてトニー賞も受賞したので、今は(3)であると言えます。

また(4)として「ジャージー・ボーイズ」に出演し、その後、ほかの作品に抜擢されてトニー賞に名前が上がるまでになった俳優たち{つまり(3)になった}も何人もいますが。

実際、フランキー役というのは、小柄で高い声で歌えるというユニークな条件が必要とされるので、高い声はともかく、小柄な俳優と言うのはブロードウェイの他作品ではあまり必要とされないという事情もあり、主役であるフランキー役の俳優は「ブロードウェイ・デビュー」となる人を起用する…という運びになることが多い。もちろん、厳しいオーディションを経て、ですよ。一方、ボブやニック、トミー役は他作品に出演経験がある俳優を起用することはあります。また(4)の俳優が「ジャージー・ボーイズ」のツアーに加わることもあります。

あれだけの大ヒット・ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」ですが、ブロードウェイでも有名俳優は特に起用していないのですよ。このあたりの「凄さ」を分かっていただきたい!(日本では想像しにくいかもしれませんが)

ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」の真の主役というのは「フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの音楽」そのものなのです。あの音楽があってこそ、全てが成功につながりました。そして、彼らの音楽の素晴らしさを最大限に引き出す脚本と演出があり、それらをきっちり伝えることができる俳優を厳しいオーディションで選んでいるわけです。

また、俳優たちが、いい意味で「色がついていない」というのが、こういうドキュメンタリー・タッチの作品に絶妙にマッチしているのではないでしょうか?だからこそ、私たちは、一人一人の登場人物に普遍の人間の姿を見ることができるのですよね。多くの人にとって、映画でもそうだったと思います。

とにかく、私はこういうやり方を貫いてきている「ジャージー・ボーイズ」に最大限の敬意を払っていますし、それが長年のファンとしての誇りでもあります。

将来的に「ジャージー・ボーイズ」の人気に陰りが見え始めてきたとき(したくない想像ですが)もしかしたら、少しでもチケットの売れ行きをよくするために、名の知れた俳優、またはミュージシャンを起用することになるのかも知れません…でも、そうなったら、それはそれで「これも時の流れだ」と受け入れるしかないでしょう。


東京公演では、今のところ、メインのフランキー役は、現在の北米ツアーと同じく、ハイデン・ミラネス(日本語として語呂のいい表記にしてますが、実際は違う発音かな?)が務めるようです。ボブ役には、ハイスクール・ミュージカルに出演経験があり、北米ツアーのメンバーでもあるドリュー・シーリーが確定とのこと。ドリュー君については何故か(?)ニュースでも流れてますが…別に彼は東京公演だけに特別出演するわけでもないのにね(苦笑)しかし、彼は自身の音楽活動も並行してやっているので、時々ツアーは代役が立つこともあるようですが、東京では16公演とも出演すると「確約」してくれているようですね。それはそれで楽しみです。

他のキャストの発表を待っている人もいるでしょうが…まぁ、心配しなくても、誰も知らない人ばかりでしょうよ(笑)

でも、誰が演じても「ジャージー・ボーイズ」は素晴らしいミュージカルなのですよ!!私も待ちきれません。東京、盛り上げましょう~♪
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