J.D. Salinger (J.D. サリンジャー)、THE NINE STORIESよりA Perfect Day for BANANAFISH(バナナフィッシュにうってつけの日)
いろいろな小説、映画、演劇などに触れていく中で、自分の中には「ある傾向」があるのに気付いたりする。
私は何故か「女性キャラクターには殆ど同情しない」
ただ、当然例外もあるわけで…シーモアの妻のミュリエルもその中の一人。
「バナナフィッシュ…」の序盤に描かれているミュリエルと彼女の母との電話での会話の部分ですが、ここで表されているのはミュリエルの「知性の低さ」だとか「俗物性」だとか「だらしなさ」云々…特に、男性の側からこういう解釈が出てきたりすると「違うでしょ!」と、たちまちミュリエル弁護に回ってしまう私がいる(笑)
だって、彼女はそんなに非難されなければならないことをしているでしょうか?別に不貞をはたらいているわけでもなければ、意図的に夫の命を脅かそうとしているわけでもない。
少なくとも、非常に神経質で奇妙な言動がある夫の「回復」を願って、一緒にリゾート地へやってきているわけだし。彼女の、ちょっと「ぶっ飛んだ」言動というのは、私には「深い絶望の裏返し」だと思えるのですけどね。そういう風にしか「絶望」を表現できないのは夫のシーモアだって同様じゃないですか…
で、最終的には、自分のベッドの上で無残な最期を遂げた夫の第一発見者となってしまう…
グラース家の物語の中では、ミュリエルのその後はどこにも描かれてはいないのですが、私はミュリエルの傷をフラニーが受け継いでいる気がするんですが、この話をすると長くなるので、またいつか…
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