満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

みちのくひとり旅、温泉を考える…その➂ 東の横綱鳴子温泉!

2017-05-15 01:22:05 | 旅行
西多賀の湯は緑色。すぐ隣の東多賀は白濁、本当に鳴子温泉は奥が深い。


4つの自家源泉を持つ温泉宿…鳴子には他にもそんな宿があるが(複数の泉質を持つ宿が多い)、今回訪れたのは「旅館姥乃湯」である。➀単純泉➁硫黄泉➂硫酸塩泉④重曹泉と、宿の敷地付近に4種類の温泉が湧いているのだ。鳴子の地層は一体どうなっているのか?鳴子火山帯、鳴子溶岩ドームなどの記事は目にしたことがあるが、いずれも千年単位前の話で、今は静かな温泉地である。すぐ傍を流れる江合川(北上川と合流)の流水が染み込み、地下のマグマが反応しているのだと思うが、当然詳しいことは分かるはずもない。

さて、宿の帳場にいた若い女性に500円の入浴料を払って中に入ったが、4か所の風呂場の内、2か所はただいま清掃中だった。これを見て内心ほっとした(笑)。すでに2軒の強烈な温泉に入浴し、心身ともに相当なダメージを食らっている。温泉に入るのも思った以上に体力が必要なのだ。

その中の1か所は白濁の硫黄泉(1番人気らしい)で、宿泊している東多賀の湯と同じなので躊躇したが、せっかく来たのでさっと浸かってみた。すると、やはり強烈な硫化水素臭で、頭がくらくら。これはやばいと思いすぐに上がり、しばし休憩…。

もうひとつの湯は単純泉だったが、これがただの単純泉ではなかった。鉄分を含んだ香り高いお湯で、浴場は茶色に変色していた。でも、東多賀、すがわらの温泉に比べるとずいぶん当たりが柔らかい。それで少し長湯ができた。リハビリのようなものである。と言うのも、もう一軒、絶対に行きたい温泉宿があったからだ。

宿泊している東多賀の湯の横7,8メートルぐらいのところに、「西多賀の湯」という旅館がある。ここも有名な温泉で、東多賀とはまた別の温泉が湧いていると言う。東多賀が白濁なのに対し、こちらは綺麗な緑色と言うのだ。それを比較しなければ鳴子温泉に来た甲斐がない…頭がボーっとし、体もよれよれだったが、最後の力を振り絞ってなんとか入浴した。

その結果、おお、なんと美しい温泉なんだろう!と、感激。そして、岩手県の国見温泉を思い出した。あそこも緑色で、マニアには欠かせない温泉地だが、その時は数年前に別れた彼女と一緒だった。「緑のインクで手紙を書けば、それがさよならの合図になると誰かが言ってた」という歌のフレーズがあるけれど、自分にとって緑色は悲しい色なのか?否、緑色は、日本人にとって、一番平和でやさしい色である。

少し落ち込んで東多賀に帰ったら女将さんが、「今日は何か所で入浴したの?」と聞くので、「3軒、朝にこの宿の温泉に入ったから4軒やね」と言うと、「うわっ、そんなに…じゃあ、今夜はうちの温泉はやめといた方がいいよ。湯あたりして、寝込んでしまうから」そして、「夕食はごちそうを作ったから、お酒でも飲んで早めにお休みになってください」と、笑顔で言う。

「そうやね。じゃあ、地酒でも飲んでころっと寝るか」、ノスタルジアに浸る暇はない。明日からは山形県に移動だ。

みちのくひとり旅、温泉を考える…その➁ 東の横綱鳴子温泉

2017-05-14 12:55:21 | 旅行
見よ、この鮮やかなブルーを!その上に油膜が無数浮かんでいる…


初日は宿に19時に入り、急いで風呂に向かった。源泉かけ流し、24時間いつでも入れるのだが、仙台駅で買った牛タン弁当とビールで、長旅で疲れた体に元気を与えたい…そんな気持ちだった(初日は朝食のみのプラン)。2日目は7時半に起きて入浴し、8時過ぎに朝食。それからまた布団に入り、昼前まで眠った。これが連泊のいいところで、午前中はゆっくりできるのがありがたい。

12時過ぎに宿を出て、さあ鳴子温泉を満喫だ!あいにくの小雨模様だったが、最初に向かったのは徒歩5分余りの「旅館すがわら」である。数ある鳴子温泉郷(鳴子温泉、川渡温泉、東鳴子温泉、中山平温泉)の中で、おそらく一番人気の宿(ホテル形式を除く)ではないかと思う。温泉旅館として洗練されており、庄屋風の重厚な造り。館内いたるところで黒光りの柱を目にした。ただ、階段が少し多かったかも知れない。

若いご主人の対応は完璧だった。「日帰りですか?さあ、ご案内します」と、自ら先導し、しばらく館内を歩いた後、「この階段を上がって左が風呂場になっております」と、頭を下げて立ち去った。わずか500円の入浴料でこの対応だから、宿泊しても満足するに違いない。

温泉も素晴らしかった。どうやら一番乗りだったようで、カランの前に乱れはなかった。広々とした浴槽にざあざあと掛け流される不思議な温泉…。入ってすぐは、「ワオッ、緑の温泉だ」と思ったが、浴槽内に入って見ると鮮やかなブルーになっていた。どうやら差し込む光によって色が変わるようで、まるで沖縄の美しいビーチだ。

でもそれだけではないのである。上の写真を見ても分かるように、湯の表面に油膜ができているのだ。これが鳴子の凄さである。宿泊した「東多賀の湯」も強烈だったが、ここもさすがの温泉力だった。朝に宿の風呂に入っており、体から硫黄臭が漂っていたが、この温泉から上がった後は二つの臭いが交わって、表現できない臭いを発し、思わず「おえっ」となった(苦笑)。

しかし、一軒目でダウンはできない。ここで昼食だ。鳴子駅前の蕎麦屋で天ざるとビールを補給し、次の温泉宿へ向かう。距離は知れている。駅から数分歩いたところにその宿はあった。なんと一軒で、4種類の温泉が出るという、温泉マニア垂涎の宿である。-➂に続く。

みちのくひとり旅、温泉を考える…その➀ 東の横綱鳴子温泉

2017-05-14 00:46:12 | 旅行
濃厚な硫黄泉。匂い鋭く、成分も複雑だが、すべすべ感もあった。

ノスタルジアの旅に行ってきた。宮城、山形の4泊5日、みちのくひとり旅である。

初日…関西空港の異端児、ピーチ航空。激安航空の見本と言うべき航空会社で、大阪からソウル、上海、香港、台北など、往復で1万円以内の時もある。国内では北は札幌、仙台、南は沖縄、石垣島など、結構ポイントを押さえている、今、韓国からの旅行ナンバーワンは東京ではなく大阪である。これは、ピーチ航空の貢献だと思う。

しかし、後発の航空会社だから肩身は狭い。関西空港でも第二ステーション発であり、便数も少ない。利用した仙台行きは、午後14時50分発、到着16時10分だった。これに合わせて予定を組む。仙台空港から仙台駅に行き、そこから新幹線で一駅の古川まで行く、そして陸羽東線に乗り換え、終点の鳴子温泉駅に着いたのは18時50分だった。

初日、2日目と連泊は「東多賀の湯」と言う宿で、駅から徒歩10分以内ではあるが、坂とか回り道とかややこしく、ご主人が迎えに来てくれた。そのご主人とはわずか5分の車の中での会話だったが、現在の鳴子温泉がよく表現されていた。

「お疲れさまでした。ようこそ鳴子温泉に」、「いえ、すみません、遅くなりました。最近の鳴子はどうですか?」、「最近変わりましたよ、温泉宿の方向性が…」、「方向性?」、「三陸沖地震です」、「はあ?」、「鳴子温泉の基本は湯治で、夏、秋に豊漁で湧く漁師さんたちが冬は温泉宿で休養するーというのが毎年のスタイルだったのですが、あの地震から当然それはなくなって、毎年計算されていた収入が見込めなくなったんです」、「なるほど…。じゃあ、経営は苦しいですね」、「……」、

ご主人はそれから無言だった。2泊したけど、彼の顔を見たのはこの時だけで、食事の時もチェックアウトの時も会うことはなかった。おそらく、すべてが女将さん任せで、ご主人は外でアルバイトか何か、働いているのではないかと思った。

しかし、東北の横綱、鳴子温泉である。この宿は真っ白な硫黄泉が売りだったが、強烈な温泉で、真冬でも窓全開、風呂場のあちこちに通気孔があった。おそらく、温泉の成分である硫化水素がこもると危険なので、空気の循環を余儀なくしているのだと思う。それほど強烈な温泉だった。2日目は事前にチェックしていた宿の日帰り温泉巡りをしたが、「う~ん、さすが鳴子!」と、唸るしかなかった。

次は鳴子の有名日帰り温泉に!

長生きをしたい人々…

2017-05-02 23:14:38 | 人間
いい温泉は、体より心理面での解放感に優れている


友人の奥さんに、マスコミの健康情報に翻弄されている人がいた。はた目から見ると翻弄だが、本人は「正常」である。芸能人の誰それが何々を食べ続けたら見違えるような肌になったー。長生きするにはこんな健康食品を摂取して、毎日こんな運動をすればいいー。

その女性が嘆く。「テレビでやらないで、私だけに教えてくれればいいのに」、「なんで?」、「青りんごのときなんか、スーパーに一個もなかったから」、「あなたみたいな人が多すぎるんだろう」と言うと、「私は判断力がいいのよ。真贋の眼を持っているから」、「ああ、そうですか…」

「毎日5キロぐらい走って、ウェイトトレーニングもして。見て、この筋肉、この凹んだお腹!」と、彼女はご満悦である。「うん、それで満足しているならそれで効果てきめんだと思う」、「なによ、それって、全然誉め言葉になっていないじゃないの」、「そうかな~」

そこで一説。「スポーツ選手って、意外と短命じゃないか。長生きしているのは、画家とか、陶芸家とか、小説家とか、みんな家の中で作業している人が多いと思う。考えるに、人間の体も消耗品で、使えば使うほど酸化して、くたびれてくるのではないだろうか?」、「そういえばそうかも」、「だから無理しないで、普通に歩いて、普通に食事したらええなあと思う。最近、特にそう思うんや」

「じゃあ、Мさんはまったくそんなことを考えていないわけ?」「おう、自然に食べたいものを食べるし、飲みたいものを飲んでるよ」、「うーん、やっぱり私は考えすぎなんかなあ…」

彼女との会話を終え、ご満悦で家に帰り、晩酌の用意をした。最近はやりのアルコール9%の缶酎ハイに、ジョニーウォーカーの黒(ジョニクロ・スコッチウィスキー)、そして酒の肴は、納豆に、トマトのスライス、玉ねぎのスライス…。あれ?昔は肉関係や、脂もの、ポテチのようなものがほとんどだったのに、いつの間にかこんなメニューになったのだろう。

俺は、ひょっとして、友人の奥さんより食べ物に気を遣っている?