毎夏恒例のサマーミューザの出張公演が酷暑の中、新百合ヶ丘にあるテアトロ・リージオ・ショウワで開催された。登場したのは広上淳一指揮の東京交響楽団だ。選曲はオケの演奏会では誠に珍しいドリーブのバレエ組曲「コッペリア」、そしラフマニノフの交響曲第2番ホ短調。これらはタイトルである”愉悦とロマン”を見事に実感させるような暑さを吹き飛ばす楽しい演奏だった。まずコッペリア組曲は「マカリスター版」ということで、バレエ全曲の中から「導入とワルツ」、「前奏曲とマズルカ」、「バラードとスラヴの主題による変奏曲」、「人形のワルツとチャルダッシュ」の4曲が演奏されたが、それぞれの曲の持つリズムや雰囲気を独特の動きでピタリと振り分けるのはまさに広上の天性だ。時節がら首席欠員のパートも多いと見受けられる東響だったが、小林壱成の統率の下で実に躍動感に満ちたダイナミックな音楽を奏で、見事な仕上がりを示した。続くラフマニノフの交響曲第二番ホ短調は広上の得意曲で、これまでも日フィルや京都市響との録音がある。どちらかというと暗いスラブ的なイメージのあるこの曲だが、広上はむしろ純音楽的なアプローチでそれぞれの楽章を描き分け、歌に満ちたロマンを強く感じさせるこの曲の魅力を目一杯引き出した。ここでは東響の柔軟性が強く示され、広上のアプローチの特色が色濃く表現されたと言って良いだろう。
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