蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

習い上手

2005年08月14日 | 楽しいお稽古講座
このところ家内に病人が出まして、そうなりますと、なかなか儘ならない日常生活の合間に、読みさしのご本などを散漫にパラパラめくってみては、少しの間、心の中だけで遊んでみたり、ひとときの安らぎを頂いたりして過ごしておりました。



     心にわだかまりやこだわりがあると芸の邪魔です。
     いつも晴れやかにほがらかに、おだやかな気持ちで
     いないといい芸は出来ません。
     つまり生活をつねに美しくきれいに正しくしなくてはならない。


     無我となるためにはあらゆることと闘わねば。
     その闘いに勝っていかねばなりませんから。


     まあ、演奏の第一声を聴けば、人柄はわかります。
     純粋に芸に打ち込んでいる人か、
     芸を道具に私利私欲を目指している人かの見当はつく。
     とりわけ、増上慢の人はすぐ感じ取れるものです。

          (岡本文弥百歳『長生きも芸のうち』より)



さっぱりとしたご気性の、気風の良いお師匠様のお言葉にたっぷりと栄養を頂戴いたしました





ところで・・・
ご指導するのも人間、お習いするほうも人間。
人から人へと伝えてゆく芸でございますから、世の中には、どうやら習い上手なお方とそうでもないお方がいらっしゃるようだと、ボンヤリ感じておりましたところ・・・



     芸を覚えるには、目より口より耳が第一です。
     すぐ師匠より大きな声で唄う人がいますが、
     まずよく聞くことですね。(同上)



何と申しましても、習い上手の一番の秘訣はここでございましょう。
稀代の大名人でいらっしゃいましただけに、真髄をピシャリと、いとも簡単に言葉にして言い当てていらっしゃって、さすがでございます。






世の中は、いつの間にか、早やお盆を迎え、私共のお教室も今週は夏休み。
どんなに慌しく過ごしておりましても、こうやって、廻り行く季節を感じることが出来る日本に生まれて、本当に幸せです。
アスファルトにしみいる蝉の声を聴きながら・・・