蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

お三味線の小物 ~されど ゆびすり~

2009年09月30日 | 楽しいお稽古講座
たかが指すり されど指すり・・・
今日は、こだわりの指すりのおはなしにお付き合いくださいませ。

左のお写真が、私の好きな形のゆびすり(指掛とも申します)でございます。
お三味線を弾くときに、左手に嵌めます。

絹糸を使って、手で編みますので、しっくりと心地よく掌に馴染みます。

欠点は、お使いになる方の手の大きさに合っていなければならない点で、既製品になりにくいというところでしょう。
手作りに勝るものはないというもののひとつでございますね。




さて、先日のこと、夏の名残りでちょっと蒸し暑い土曜日の朝でございました。
いつもどおりに元気よくお越しくださったお弟子さんと『蘆刈』をさらっておりましたら、いつもになく弾きにくそうにしていらっしゃいます。


とどまれ とまれと まねくてかぜに ゆきすぎて ・・・


少し汗ばんだ手のひらが棹に擦れて、思うように動きません。

既製品の指掛でしたら、親指から人差し指の付け根まで、すっぽりと覆われておりますので、どう握っていらしても左手はスルスルと動きますが、コチラの指掛には余分な部分がありません。正しく握ったときにだけ、ちょうど棹にあたるところだけが、うまい具合に覆われております。長所と短所が裏表なのは世の常でもございましょうが、スウィートスポットが小さいこちらのゆびすりは、実は初心者さまにはチョットばかしやっかいなシロモノだったのです・・・



お三味線のお習い始めはどなたでも、棹を左手で支えていらっしゃいます。はじめのうちはこうしなければ、棹がグラグラどこかにいってしまうのですから当然ですし、ゆっくりお弾きになるには、さほどご不自由でもございませんね。ご上達に従ってビシッと構えも決まってきて、自然と左手が自由になられるころ・・・スッスと思うように動かない左手を、ある日突然、もどかしく感じられる余裕を持たれたそのときこそ、さあ、このゆびすりの出番です 



親指の付け根が、棹のちょうど真後ろ(一番ふくらんでいる部分)にあたるように握ってみてくださいませ。棹にあたっている部分だけは、キッチリとゆびすりの絹糸で覆われていることに気がつかれるでしょう。どうぞそのまま、人差し指でツボを押さえてくださいませ。指先にキュッと力を込めるだけで、あまり頑張らなくても、これまでよりずっと良い音が出ることに驚かれるのではないでしょうか。

お三味線の棹は、左手に載せるのではなくて、棹の真後ろから捉まえるように握るのですね



時を得たその方も、あぁ~ なるほどぉ~  っと頷き喜んでいただけたのが、私も嬉しい土曜日の朝でございました。

正しく握っていないと、棹がすべらなくて弾きにくいという困りもののゆびすりではございますが、それがかえって幸いして、いつのまにか左手の構えを矯正してくれます。正しくお弾きになっていらっしゃる方々には、もとより、大変快適で使い勝手の良い逸品です。お持ちでないかたは、お稽古のときに、どうぞご相談ください。





君待つと あがこひおれば 我が宿の すだれうごかし 秋の風ふく
今年はいつもより少しばかり遅いぶんだけ丸いお月様が待たれますね。三日のちには晴れるでしょうか・・・
















コメント (6)
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