MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

読書の技法

2013年09月16日 19時47分44秒 | 読書
佐藤優氏の「読書の技法」を読了。

とにかく、この人の読書量、読書術は凄まじい。
世の中のインテリ文化人のどれほどの人間が佐藤氏ほどの“鬼の読書”をしているだろうか?おそらく、仮にいたとしてもほんの一部だろう。
そのぐらい本書で紹介されている読書術は凄い。

本書の内容には、たぶん一切の誇張はないだろう。
この人は本当にこんな本の読み方をしているのだ。

佐藤氏は、月に平均300冊。多い時で500冊の本を読むという。

本の読み方には3種類あって、
しっかり内容を理解しながら数週間かけて行う“熟読”と、15分ぐらい時間をかけて斜め読みする“速読”、そして5分ほどでざっとページをめくるのみの“超速読”があるという。

ただし、速読を行うには絶対的な条件があって、少なくともその本の内容を理解できるだけの十分な予備知識が備わっていないと決して速読はできないという。
ある意味当然といえば当然であるが。

大学で2-3年、哲学的な基礎訓練を受けているものにでさえ、ヘーゲルの「精神現象学」は理解しづらい。それを1カ月で読破しました、などという学生がたまにいるらしいが、有り得ないことだと佐藤氏はいう。つまり、「精神現象学」を読みこなすためには、膨大な背景知識を身につけていないと読めるはずはなく、その膨大な背景知識をたかだか20歳前後の大学生が身につけるのは常識的に有り得ないというのだ。

ということは、佐藤氏が指南する読書術は、佐藤氏のような膨大な知識をすでに兼ね備えた人間にのみ可能なものであるという見方もできる。

佐藤氏が、本書のなかで繰り返し述べているのは、とにかく高校卒業程度の世界史、日本史、政治経済、倫理社会、数学、国語の基礎学力をしっかり身につけておくことが大切だということだ。
高校レベルの学力をもう一度つけなおすための参考書が本書では多数推薦されており、それらを用いてどのように勉強したらよいかという、教科書の使い方まで丁寧に解説されている。

あと10年若ければ、実践しようという気にもなったかもしれないが、今はとても無理だ。

知の巨人はこうやって出来あがるのだという実例がここにある。
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2 コメント

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study (noga)
2013-09-16 23:06:15
英米人の考えは、人によりさまざまである。
物事に関する考えの筋が大切である。
その論旨をキリストが語ろうが、タヌキが話そうが、筋の出所は彼らにとってあまり気にならないようである。
「話が、現実離れしていて、信じられない」ということはない。
論者には、まず論旨を明らかにしてもらって、それから話全体に入ってもらう。

日本人は、話の内容が実際にあるかどうかが問題である。
実際にはない内容を考えても役に立たないと考えている。
日常活動の報告も、既成事実の追認のようなものになっている。
話の筋は、さして問題とはならない。考えの筋を展開することも難しい。疑問ばかりが湧いてきて、聞いていて空しい。

我が国では、高校生にがり勉はさせても、哲学の授業はない。
そのまま放っておけば、12歳の大人が出来上がる。
愚鈍の参謀の下では、将兵には玉砕の道しか開かれていない。
誰が言ったかの問題ではない。話の筋の有無の問題である。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ掛け声ばかりでは、12歳の大人を救うことはできない。
我々日本人は、頭を鍛えておこう。



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Unknown (kazu-n)
2013-09-17 23:02:57
nogaさま
コメントありがとうございます。

「我が国では、高校生にがり勉はさせても、哲学の授業はない」
おっしゃる通りと思います。人としての成熟を促す教育がもっと必要だと感じます。

私も12歳のおとなから脱却すべく、頭を鍛え直したいと思います。
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