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ワイングラスの向こうに人生が見える

「反貧困「すべり台社会」からの脱出」

2010年02月01日 00時36分45秒 | 読書
反貧困「すべり台社会」からの脱出 湯浅 誠 著

立花隆と佐藤優の両氏が、21世紀型の知性を磨くために現代人が読んでおくべき400冊の本を紹介した「僕らの頭脳の鍛え方」というブックガイドの中で推薦されていた本である。

実は数日前にこの本についての感想文を書いてアップしようと思ったのだが、操作を誤ってアップの直前にすべて消失させてしまった。
あらためて同様なものを書く元気がないので、ポイントのみを列挙することにする。

1.貧困は自己責任ではない。貧困の多くは脆弱な社会構造によってもたらされている。

2.95年に日本経団連が「新時代の日本的経営」を発表し、一部の主力正社員以外は派遣や請負による非正規でまかない、それによって人件費を軽減して企業業績を好転させるべきであるとした。この方針以降、日本は依然として景気拡大期が続いていたにも関わらず、それまで一貫して減少していた生活保護の被保護世帯数が突如として増加に転じ、以後現在までうなぎのぼりに増え続けている。


3.いわゆるセーフティネットは3層構造をなしており、それぞれ「雇用のネット」「社会保険のネット」「公的扶助のネット」と呼ばれる。現在の日本の脆弱なセーフティネットの構造のもとでは、雇用のネットから滑り落ちた人は、すべてのネットの網を一気にすり抜けて真っ逆さまに底辺に落ちてしまう。これを評して著者は「すべり台社会」と呼んでいる。

4.一旦底辺に滑り落ちたら最後、どんなにあがいてもそこから這い上がることはきわめて困難である。セーフティネットが穴だらけなので、リストラされたと思ったらあれよあれよという間に路上生活者にまで身を持ち崩してしまう。

5.家族4人で総収入が17万。家賃、光熱費等で11万円を会社から天引きされ、残り月6万円で生活しなければならないなどというのは日常茶飯事。

6.公的扶助の底辺が生活保護であるが、役所での違法な追い返し等が頻発しているため、弁護士の付き添いなどがない限り、一般人が独りで役所を訪れても申請を受け付けてもらえない可能性が高い。

7.マスコミなどで、生活保護の不正受給のケースが多く取り上げられるため、一般国民のあいだに「生活保護を受けている奴らは自堕落で努力が足りない。生保の支給額は削減すべき」という誤った認識が生まれる。しかし調査によると、不正受給(濫給)のケースは全体の1パーセント以下であるのに対し、実際には生活保護基準以下の生活を強いられている世帯のうち、無事生活保護にまで辿り着けている世帯の割合(捕捉率)はわずか15パーセント程度に過ぎない。残りの85パーセントは、敢えて生活保護を受けずに極貧生活を送り続けているか、もしくは生活保護を受けられることを知らないでいる世帯である。

 まだまだあるが、このへんで。
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