Drマサ非公認ブログ

民主主義について整理しようと思います5

 さて、これまで民主主義が悪政になることを見てきた。なんせロベスピエールなんか、民主主義の断行のために不満分子は粛清してしまう。現在の権威主義国家ロシアのプーチンどころではなかった。

 ということは、民主主義はダメな政治体制のだろうか。かつて保守の西部邁が、民主主義が悪政であることをいつも強調していたことを思いだすのだが、しかしながら、小室直樹先生が言うように優曇華の花であるとすれば、ありうる。その心は?

 民主主義は制度として民主主義を為らしめるのに前提がある。民主主義を実践するには、民主主義的な精神風土が必要であるということだ。いわゆる民度である。国民が民主主義がなんであるのかを理解し、いま行われていることが民主主義的であるのか否かの判断ができるだけの民主主義的な成熟が必要なのである。

 制度としての民主主義と、国民意識としての民主主義、後者が成り立っていて初めて、民主主義が機能する。国民意識とすると、なんだか宙に浮いた観念めくが、具体的生活場面や、より政治場面での具体性において、民主主義か否かという判断が動き出すということである。

 だから、民主主義という政治制度では、民衆あるいは国民が特定の政治制度上の単位、つまりは国家や自治体の最終決定権を持つといういわゆる辞書的定義が実現するためには、民衆あるいは国民が国家や自治体の最終決定権を持つだけの関わりを持たなければならない。

 その関わりがなければ、民主主義自体は成立しない。

 僕はかつて国家主義的といっていい自民党議員が、「日本は民主主義国家ですから」と言い、中国や北朝鮮との違いを強調した場面を何度も見たが、いくら政治制度上の民主主義体制を取ろうが、その内実、つまり民衆あるいは国民の意識がそうなっているのかを問わなければならないだろうと考えた。つまり、この民度の問題からである。

 政治的無関心、いやはや社会的無関心がはびこっているではないかと。かつて「自力で生きていけない人は見捨てても構わない」かどうかという国際比較があった。日本ではなんと40%がそう考える。先進諸国では10%程度であったと記憶している(記憶を元に書いているので、微妙な間違いはご容赦を)。

 ここに現れるデータを見るだけで、日本では民主主義が遠いことが想定できる。なぜならここでいう「自力で生きていけない人」を民衆や国民から排除してしまい、関わりのない他人とする意識が構築されていると思われるからだ。

 民主主義には、他人を自分たちの仲間とする社会力が必要に思われる。

コメント一覧

Drマサ(meix1012
コメントありがとうございます。
宗教の差、その通りだと思います。民主主義がキリスト教世界から生まれたとすれば、無意識的な水準にまで組み込まれている宗教の違い、そんなことも言えると考えます。
ここで僕が主張しているのは、貴兄と同じく、他人を他者としてしまわない精神構造(つまり仲間意識、同胞意識、さらに社会意識)の問題ですから、”世界標準”で40%なのに、日本で10%。この違いを強調するデータとして取り上げました。人類が古代から現代まで歴史を重ねる中で、獲得した精神構造40%(あくまで、このデータだけで指摘して)に日本は追いついていない、そんなことを意識化しておきたいと思います。
いつも真っ当なご意見、ありがとうございます。
syokunin-2008
国際比較で日本では40%、対して先進諸国では10%程度の意味ですが、これは民主主義の成熟度云々ではなくて、たぶん宗教の差ですよ。イスラム法のパキスタン在住40年の「オバハンからの気まぐれブログ」管理者によると、いくら酷い経済危機が起きても宗教的にイスラムの喜捨の精神があるパキスタンでは餓死者が一人も出ないらしいのですよ。日本では平時でも生活保護を受けられずに餓死する例があるが、その逆。他人からの施しを貰うのは恥とは少しも思わない。

あのリーマンショック時の経済危機で一番悲惨だったのが我が日本国で、派遣切りの可哀想な失業者に対して一番冷たい態度だったらしい。欧米先進国は全部がイスラムと同じ一神教キリストのチャリティとかボランティアで金持ちがホームレスの炊き出しに参加する。あるいは財産を子供ではなくて慈善団体に全額寄付するなども、日本では有り得ない暴論だが、一神教世界では宗教的に理想の行動だとされています。

まあ日本で痴呆の親の面倒を長年続けて苦労した挙句、その子供ではなくて宗教組織に全額寄附するなど、ほぼ反日カルト宗教の「統一協会」の悪事と五十歩百歩。ほぼ同じ行為と見做されています。それは人道的に御法度なのです。
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