Drマサ非公認ブログ

現実を見よ:ある医事課長の言葉

 ベルクソンの言葉から

「わたしたちは事物そのものを見ていない。ほとんどの場合、事物の上に貼り付けられたラベルを見ているだけである。そうした傾向は必要から生ずるのだが、しかし言葉の影響がそれに拍車をかける」『笑い』

 これを素直に言い換えれば、事物そのものをみるとは、現実を見ることである。さて僕たちは現実を見ているのだろうか。

 

 前も話したが、病院で働いている知り合いがいる。彼から聞いた話だ。

 そこの病院で医事課長がいる。四十代後半ぐらいらしい。彼は「コロナ大したことないよ」と言っていたそうだ。

 ところがだ。彼が働く病院では、少ないとはいえ、患者やスタッフにコロナが出ている。もうすでにスタッフの多くにPCR検査しているそう。

 そこの病院はコロナ用の病床を作れないし、陰圧の病床はそもそもない。それでも仕方なく、病棟の半分を区切ってコロナ患者の対応を行なっている時期もあったらしい。

 少し聞いて見ると、病院は入院患者への面会禁止、どうしても患者の荷物の受け取りが必要なので、患者家族が荷物を持ってきたら、病棟からスタッフが取りにくるそう。

 救急は通常通りできない。昼間はスタッフがいるので発熱がある患者を別に扱って対応できるらしい。しかし、救急ではその対応はできない。そのため内科の患者はかかりつけ以外受け付けない。もともとの救急スタッフがコロナ対応の病棟を手伝うこともあるので、救急の人員は半減。

 救急車を受け入れれば、デンジャーゾーンを設置しているので、その部分で対応。看護師は防護服で対応。その都度取り替え。

 まだ、なんか言っていたように思うのだが、失念。

 完全に病院変わっている。僕の想像だけど、かの課長、彼の業務自体はそんなに変わらない。コロナの事は病院で働いているのだから、知識はある程度あるし、実務でも生かされているとは思う。でも「大したことない」との認識。

 現実は先に指摘したことなど、色々ある。特に看護師は大変のようだ。明らかにコロナ前とコロナ中の現実は変わっている。聞いた話でしかないけれど、かの課長は頭で理解しているが、ベルクソンのいう通り「現実を見ていない」のではないか。彼は現実の上にラベルを貼っているのだろう。僕は生半可な知識だと思う。

 僕の知り合いはそこで働いている医者からこんな言葉を聞いた。「コロナ怖いよな」。

 かの課長にマスコミが「コロナ対策どうしてますか?」と聞けば、当然「コロナ大したことない」とは答えないだろう。彼は何を認識し判断しているのだろう。「看護師の負担は大きくなった」と「コロナ大したことない」って認識。どちらが現実?

 今日東京では感染者が1日600人を超えた。国内では3000人に近い。どちらも過去最多である。この数字から現実を見る力が僕たちにはあるだろうか。

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