さてここまでで信用創造を説明してきました。お金という存在自体が摩訶不思議な存在なわけですが、先のA社を政府に置き換えてみてください。先ほどは銀行がA社に信用創造しました。今度は政府に信用創造してしまいましょう。
そのシステムが国債です。正しくは信用創造という命名が正しいのかは良くわかりませんが、無から金が生まれます。
ここは少し複雑です。どうしてかというと、普通の融資であれば2者間の出来事ですが、国債に関しては三者が登場します。ここら辺になると、僕自身も面倒になってきます。ポイントは政府と日銀、そして銀行、それらを連結する通貨として日銀当座預金が出てきます。
銀行は政府が発行した国債を引き受けます。そこで銀行が政府に対して信用創造することになります。僕が銀行から融資される場合、僕の返済能力を診断します。銀行が政府に返済能力を問うことになるでしょうか。もちろんそんなことはありません。
通常民間の金融資産で国債を買い取るような印象を持っているわけですが、帳簿上お金が動き、信用創造でお金が創造されるわけです。ですから、国債の買取に民間の金融資産は無関係なのです。ですから国債発行しても、民間の金融資産は減りません。関係ないわけです。凄いからくりだと僕も思うわけです。ただ、これが事実です。
さて、そこで日銀当座預金について、押さえて行きましょう。僕はお金には2種類あると言いました。現金貨幣と銀行預金です。ここで、これを変えます。実はもっとあります。小切手、約束手形も貨幣の一種ですが、これらは現金貨幣と交換するので、とりあえず除外します。
もう1つ重要なお金が日銀当座預金で、僕たち民間人が触れることもないお金です。簡単にいえば、日銀が発行する銀行専門のお金です。この財を使えるのは政府だけ。このお金は僕たちが触れることもないので、通常のお金、つまり現金貨幣と銀行預金とは無関係に流通します。
日銀当座預金は僕たちが触れることもできないので、一般的なモノやサービスの価格とは無関係になります。そして、この日銀当座預金が何に使われているのかというと、日銀が日銀当座預金を発行し、銀行から国債を買い取るためです。
繰り返します。日銀が日銀当座預金というお金を銀行に振り込むと、国債が日銀の手に入るのです。この国債の流れは、そもそも政府が国債を発行し、銀行から日銀に流れて行くわけです。日銀は政府の子会社のようなものです。