事件

その日は、庭にリキとシンバを出していた。

春のお日様がとても暖かいキモチのいい日で
２匹もたのしそうにしていた。

おりこうさんだね
ご褒美あげよ　チユ!(* ^)□

ミルク味イヌガムを１本ずつあげた

例によってシンバは、リキのガムを横取りする

リキは、争いを好まない
争ってまで何かをしたいとは決して思わない
なにをされても、静かにシンバを眺めるのみ

ダメだよ・・シンバ、リキクンのでしょ・・・

そういって、ガムを拾おうとかがんだとき

シンバはアタシに噛み付いた
牙が深く右手に食い込んだ

ポタポタ血が滴る手を放心して眺めるアタシ

脳みそまで突き抜けるような痛みが襲う
手を呆然と眺めて座り込んでいるほかないアタシ

これをパニックというのだろうか？

とりあえず手当てしなくちゃ・・・

よろよろねえちゃんとこに駆け込んだ・・・

もう書きたくなくなっちゃった・・・・


そうだよ・・・シンバが噛み付いたんだ
病院で手当を受けなければならないほど深く強く・・

イヌが咬む　なんて思いもよらなかった
しかも怒ってもなにもしてないのに

ただ横取りしたガムをしずかに拾おうとしただけなのに
それだけなのにあんなにまで咬んだシンバにショックだった
肉の痛みの１００倍心が痛んだ

悲しい子

シンバは独占しないと気がすまない

リキと一緒は許せない

自分だけじゃないと気がすまない

全てのモノを独占しないと許せない

それが欲しいわけじゃない
オナカがすいてるわけじゃない

自分以外の誰かが気にかけてもらうのが許せない

牙をむき出し、攻撃的な低いうなり声を上げて戦闘態勢に入る

ネコは許せない。存在が許せない

アタシは、全て捨てられた子の悲しい叫びだと思っていたら
それだけではなかった・・・

シンバ母は、いともカンタンに
そうなのよ・・・ウチでもやってたんだけど、そういうときは放っておくの
無視するといつか止めるから・・・
ネコも居るんだけど、完璧に住み分けてたわ
ガルルッして、放さないから大事なものは、全部上にあげてあるの

シンバ・・・愛されてなかったんだね・・・
躾けてもらえなかったんだね・・・
甘やかされて放任されてただけだったんだね・・・

叱られたことがなく
自分が名前通りキングだと思ってるんだねシンバ・・