島の半分の高さまで押し寄せる…能登半島地震の津波 輪島市舳倉島で「最大6m超」と判明 県内で最も高く (2024年5月14日)
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能登半島地震で津波による大きな被害を受けた、輪島市の舳倉島。 金沢大学などが4月末に行った現地調査の結果、島を襲った津波は、県内でこれまでに最も高い地点にまで達していたことが分かりました。 金沢大・由比教授: 「珠洲市や能登町の津波痕跡高の最大が、5mを少し超える程度。舳倉島の痕跡高は、5mを超えるものから最大で6mを超える辺りまで達していますので、県内では最も高いところまで津波が到達した」 こう話すのは、海岸工学の専門家、金沢大学の由比政年(ゆひまさとし)教授です。 稲垣アナウンサー: 「黄砂にけむる日本海、前方に見えてきました舳倉島です。この港の周り、いくつもの船が湾の中で身動きが取れない状況になっています。これも津波によって運ばれたものと思われます相当のがれき、そして木材などがこの家の周りに散乱しています」 気象庁はこの津波について1月に現地調査を行い、建物などに残された痕跡から津波の高さを「2.9m」と推定していました。 こうした中、由比(ゆひ)教授のグループは4月28日に現地調査を行い、今回の津波で運ばれたと見られる漂着物の高さを調べました。 その結果… 金沢大・由比教授: 「島の斜面を駆け上っているようなところ、北側・西側では6mを超えるようなところまで津波の痕跡がありました」 島の北側と西側の2地点で、6mを超えた場所にブイなどの漁具を発見しました。 これは津波の遡上高(そじょうこう)としては県内で最も高い地点となります。 舳倉島の標高は、最も高いところで12.5m。 つまり、島の半分の高さにまで津波が押し寄せたことになります。 その島を襲った津波。なぜ舳倉島でこれほどまでに高くなったのでしょうか。 金沢大学と徳島大学が現在、制作中の津波シミュレーションによると 由比教授: 「東側の断層からくる津波と、南側の断層から来る津波成分の両方が、舳倉島をくるむような、取り囲むような形で襲っていくと」 さらに能登半島の外浦では最大で4メートルほどの地盤の隆起によって、内陸部への津波の被害が少なくなりました。 しかし舳倉島では 由比教授: 「国土地理院の数値ですと、(舳倉島の地殻変動は)地震の前後で『数cmの変化』ということで、(地盤の)隆起は、舳倉島ではあまりなかったのではないかなと。もし大きな隆起があれば(津波の)遡上の様子は変わったと思います」 舳倉島では地盤の隆起がなかったのです。そのため、津波が四方八方から島全体を襲ったと考えられるそうです。 地震発生当時舳倉島にいた3人の住民はすぐに高台にある診療所に避難し、無事でした。 由比(ゆひ)教授は、改めて日頃からの防災意識が重要だと話します。 由比教授: 「津波は日本に住んでいる以上、いつやってくるか分からないということで、日頃から備えを怠らずに、海の近くにいて大きな揺れを感じたらすぐ高いところに逃げる。それを徹底して『人の命は何としても守る』という事が最も大切かなと思います」