
「くろ」が子ネコだったころ
ねこじゃらしが大好きだった。
ねこじゃらしを、「くろ」のまわりでぐるぐる回すと、
「くろ」もそれを追いかけて、すごい速さでぐるぐる回った。
追いつかれないように、こちらも真剣だったっけ。
大丈夫? そんなに回って目が回らない?
小柄で体がやわらかくて身軽だった。
興奮して、瞳が大きく真っ黒になった。 その一生懸命な表情としぐさが新鮮だった。
どんな場面でも、ねこじゃらしを見ると、じっとしていられない。
ただ、一心にそれだけを追いかける。 まわりが何も見えなくなるほど夢中になる。
置いてあると、ひとりでも飛びついてあそんでいた。 何がそんなに魅力なの?
子ネコの時代は短かすぎるね。
大人になること、賢くなることは、きらきらした純粋な心を引き換えに失っていくことかもしれないね。
あの頃の無邪気な姿が 今はなつかしいな~。