みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1233「ホットライン」

2022-04-17 17:50:14 | ブログ短編

 彼女は、彼の部屋(へや)へ始めて入った。彼女はざっと中を見回(みまわ)して、「弟(おとうと)の部屋よりは片(かた)づいてるじゃない」と思った。彼女は、ちょっとほっとしたようだ。
「適当(てきとう)に座(すわ)っててよ」と彼に言われて、彼女はカーペットに腰(こし)を下ろした。ふと、何か柔(やわ)らかいものが手に触(ふ)れた。何気(なにげ)なしにそれを見ると、雑誌(ざっし)の重(かさ)なっている間(あいだ)から女性の下着(したぎ)が!? 彼女は目が点(てん)になった。彼の方を見ると、彼はコーヒーを淹(い)れている。彼女は気づかれないように、雑誌でそれを隠(かく)した。
 彼が戻(もど)って来ると、彼女は何事(なにごと)もなかったようにコーヒーを飲(の)み始めた。しばらくして、玄関(げんかん)のチャイムが鳴(な)った。彼は、「誰(だれ)だこんな時間に…」と呟(つぶや)きながら立ち上がった。すると外(そと)から女性の声がした。しかも、彼の名前(なまえ)を連呼(れんこ)している。彼は、なぜかあせっているようだ。あたふたと部屋の中をうろうろしはじめた。
 玄関の鍵(かぎ)が開(あ)く音が聞こえて、すぐに綺麗(きれい)な女性が顔を出した。彼を見つけると、
「もう、何ですぐに開けないのよ。ちょっと忘(わす)れ物しちゃって、取りにきた……」
 そこで、彼女がいるのに気づいたようだ。女性は語気(ごき)を和(やわ)らげて、「ああ、ごめんなさい。お邪魔(じゃま)するつもりはなかったのよ。そう…。そうなんだぁ…」
 女性は彼女のそばに座ると頭を下げて、「いつも弟がお世話(せわ)になっております。もう、こいつ、いい加減(かげん)でがさつなヤツですけど、見捨(みす)てないでくださいね。もし、こいつが迷惑(めいわく)をかけるようなことがあったら、いつでも連絡(れんらく)して。すぐに対処(たいしょ)するから」
<つぶやき>これはとんでもない展開(てんかい)に…。でも、こんなお姉(ねえ)さんがいれば安心(あんしん)かもね。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする