みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1232「プレゼント」

2022-04-15 17:41:49 | ブログ短編

 私の誕生日(たんじょうび)でもないのに、夫(おっと)がプレゼントを買ってきた。何かもらうのは、結婚(けっこん)して以来(いらい)始めてかもしれない。これは、どういうことなのか? 今日は、何かの記念日(きねんび)だったのか…。いや、私の記憶(きおく)にはそんなものはない。
 夫に訊(き)いてみても、「いや、別に…」と誤魔化(ごまか)すような感じではぐらかされた。これは、何かあるわね。私に隠(かく)しごとでも? それで、私の機嫌(きげん)をとるために…。でも、夫からは何の発言(はつげん)もなかった。プレゼントを渡(わた)しただけで――。
 プレゼントを開けてみると、中にあったのはペンダントだ。しかも、そこにはキラキラ光ったものが…。こ、これは、まさか…ダイヤ? ダイヤモンドなの! 私は心臓(しんぞう)がバクバクして、目が眩(くら)みそうになった。
 私は冷静(れいせい)さを取り戻(もど)すと考えた。ちょっと待ってよ。どうして、こんなものが…。お金はどうしたのよ。こんなものが買えるほど、持ってないはずなのに――。
 私は、夫を問(と)い詰(つ)めた。これを買ったお金は、どこから出てきたものなのか?
 夫は、私が期待(きたい)したほど喜(よろこ)んでないのを見て不機嫌(ふきげん)になっていた。それで私に、
「何だよ。お前に似合(にあ)うと思って買ってきたのに…。そんなに気に入らないんなら――」
 私は、夫に笑顔(えがお)を見せて、「そんなこと言ってないわよ。すごく気に入ってるわよ。でもね、これを買う前に相談(そうだん)してほしかったわ」
<つぶやき>結局(けっきょく)、何でプレゼントをしたんでしょう? 日頃(ひごろ)の感謝(かんしゃ)なのかもしれません。
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