みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1235「しずく162~提案」

2022-04-21 17:38:04 | ブログ連載~しずく

 日野(ひの)あまりが拉致(らち)された頃(ころ)、月島(つきしま)しずくは神崎(かんざき)の研究所(けんきゅうじょ)に来ていた。神崎はしずくが来たことに驚(おどろ)いたが、彼女を丁重(ていちょう)に迎(むか)え入れた。応接室(おうせつしつ)で向かい合うと神崎は、
「君(きみ)から来てくれるとは思わなかったよ。連絡(れんらく)を取りたいと思っていたところだったんだ。単刀直入(たんとうちょくにゅう)にいくが、我々(われわれ)と手を組(く)まないかね? お互(たが)いにメリットはあると――」
「つくねのことは訊(き)かないのね」しずくは神崎の目を見つめて言った。
「ああ…。君のところへ戻(もど)ったんだろ。まさか記憶(きおく)が戻るとはなぁ。あの娘(こ)の能力(ちから)を見くびっていたよ。よろしく伝(つた)えてくれないか。まぁ、私を恨(うら)んでいるだろうが…」
「そうね。でも、結月(ゆづき)おばさんとのことは伝えた方がいいんじゃないかしら?」
「君は…どこまで知ってるんだ? 君の能力(ちから)を調(しら)べてみたいもんだ。だが、今は時間がない。どうかね、我々の提案(ていあん)を受(う)け入れてくれないか? 黒岩(くろいわ)が何か企(たくら)んでいるんだ。君もそのことは分かっているんだろ? 残念(ざんねん)ながら、我々には有能(ゆうのう)な能力者(のうりょくしゃ)がいないんだ。黒岩は何人も能力者を配下(はいか)に持っている。君の能力(ちから)が必要(ひつよう)なんだ。これは、この国のため、国民(こくみん)の安全(あんぜん)を守(まも)るためでもあるんだ」
 しずくは一呼吸(ひとこきゅう)おいて、「いいわよ。でも、その前に、スパイを捕(つか)まえましょ」
 神崎は呆気(あっけ)に取られて、「スパイだって…。我々の中にスパイがいると」
 しずくは、神崎のそばに立っている秘書(ひしょ)を指差(ゆびさ)した。
<つぶやき>神崎と手を組んでいいんでしょうか? しずくには何か考えがあるのかも…。
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