この世界(せかい)は秘密(ひみつ)に満(み)ちている。偉(えら)い人も金持(かねも)ちも、隣(となり)のおじさんもそれなりに秘密をかかえて生きている。そして、その秘密を知りたがる者たちも存在(そんざい)するようだ。
ここに秘密結社(けっしゃ)が誕生(たんじょう)した。彼らは、お互(たが)いどんな素姓(すじょう)なのか、どんな主義主張(しゅぎしゅちょう)があるのか明(あ)かさないルールだ。彼らの目的(もくてき)はただひとつ。他人(たにん)の秘密を知ること。でも、それでお金を脅(おど)し取るとか、秘密を暴露(ばくろ)するとかは絶対(ぜったい)にしない。ただ、その人に秘密を知っていることを伝(つた)えて、その人がどんな顔をするのか見届(みとど)ける。それが彼らの報酬(ほうしゅう)なのだ。
そんなことをして恨(うら)まれるんじゃないのかって? まぁ、そんなこと思う人もいるかもね。でも、彼らが誰(だれ)なのか突(つ)き止めることはできないし、コンタクトを取るのは一回だけだからね。よほどの悪人(あくにん)でもない限(かぎ)り、見つけてやろうなんて思わないでしょ。
ある日、彼らはとんでもない秘密を見つけてしまった。それは、超(ちょう)がつくほどのやばいやつだ。彼らは急遽(きゅうきょ)、集(あつ)まることに…。そして、どうすればいいのか話し合いを始めた。だが、話し合いは紛糾(ふんきゅう)した。中には過激(かげき)な発言(はつげん)をする者もいたりして…。
そんな中、彼らのスマホが一斉(いっせい)に鳴(な)り出した。そして、スマホを確認(かくにん)した彼らは愕然(がくぜん)とした。そこには、同じ文面(ぶんめん)が送(おく)られていたのだ。
<あたしは秘密を知っています。あなたが何をしているのか…>
彼らは互いに顔を見交(みか)わした。そして口々(くちぐち)に誰の仕業(しわざ)だと叫(わめ)きだした。
<つぶやき>上には上がいるんですね。秘密を暴(あば)こうなんて悪趣味(あくしゅみ)はやめといた方が…。
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