みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0393「ゆとりちゃん」

2018-11-28 18:04:39 | ブログ短編

「お前は、俺(おれ)の言う通(とお)りにすればいいんだ。よけいなことすんな」
 係長(かかりちょう)の小言(こごと)がまた始まった。でも、係長の前にいたのはゆとりちゃん。こんなことではへこたれない。と言うか、むしろ面白(おもしろ)がっているのかも。彼女は平然(へいぜん)と言ってのける。
「でも、それだったら係長がやればいいじゃないですかぁ?」
 完全(かんぜん)に火に油(あぶら)を注(そそ)いだ感じだ。係長はますますヒートアップしていく。
「何だと。電話もろくにできないくせに、生意気(なまいき)なことを言うな。俺たちはな、不況(ふきょう)のなか耐(た)えに耐えてこの会社を守(まも)ってきたんだ。何の苦労(くろう)もせずに生きてきたお前らとは…」
「あの。もういいですか? ランチの時間なんで」
 彼女が行こうとするのを係長は呼(よ)び止めて、「ちょっと待て。まだ話は終わっとらん」
「え~っ。早く行かないと、ランチなくなっちゃうんですけど」
「お前は、仕事(しごと)を何だと思ってるんだ。俺たちは、昼飯(ひるめし)も食わずに仕事に邁進(まいしん)して――」
「そんなにがんばったのに、まだ係長なんですね。あたしは、そんなの…」
 係長は目を丸くして噴火寸前(ふんかすんぜん)。周(まわ)りの社員(しゃいん)たちはそそくさと部屋を出ていく。こうなったら誰(だれ)にも止められないことを知っているのだ。彼女は、この状況(じょうきょう)が把握(はあく)できていないのか、さらにとんでもないことを言い出した。「もし、あたしが本気(ほんき)出したら、すぐに社長(しゃちょう)なんだけどなぁ。そしたら、係長を課長(かちょう)にしてあげますねぇ」
<つぶやき>こんな娘(こ)いるんでしょうか? ぜひ、本気を出してるとこ、見てみたいです。
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