みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1122「リカバリー」

2021-09-05 17:32:59 | ブログ短編

 彼女は無器用(ぶきよう)でいつも失敗(しっぱい)ばかりしていた。会社(かいしゃ)でも上司(じょうし)から怒(おこ)られてばかり。しょげ返(かえ)って家に帰って来ることが多かった。そんな彼女を見て、両親(りょうしん)の心配(しんぱい)は募(つの)るばかり。
 そこで、両親はリカバリー専門(せんもん)の業者(ぎょうしゃ)に依頼(いらい)をすることにした。彼らの行動(こうどう)は迅速(じんそく)で、どんなことにも対処(たいしょ)してプロフェッショナルだった。会社では、彼女の仕事(しごと)のサポートから、経理(けいり)へ出す書類(しょるい)の不備(ふび)も指摘(してき)する。はたまた、お茶(ちゃ)くみのときも…。彼女はいつもお客様(きゃくさま)にお茶をこぼしていたが、的確(てきかく)なアドバイスで事故(じこ)を未然(みぜん)に防(ふせ)いでくれた。
 会社での彼らは黒衣(くろこ)に徹(てっ)していた。目立(めだ)つことなく、他(ほか)の社員(しゃいん)の邪魔(じゃま)になることもなかった。会社では部外者(ぶがいしゃ)を入れるのを許可(きょか)しないと思うだろうが、そこはそれ…。今まで彼女の失敗のたびに無駄(むだ)な時間や人手(ひとで)をさいていたので、大歓迎(だいかんげい)のようだ。
 そして、彼女のプライベートでも――。実(じつ)は、彼女には付き合っている人がいた。デートのときは、さすがについては行かないようだ。でも、男性との付き合い方についてアドバイスして、いろんなノウハウを伝授(でんじゅ)してもらったようだ。
 ある人から、これは甘(あま)やかしすぎだとか、過保護(かほご)じゃないのかと批判(ひはん)をされることもあった。でも、そんなことは両親は気にしなかった。彼女のことを大切(たいせつ)に思っているのだ。
 もし彼女が、彼と別れることになったとき…。彼らはどんなリカバリーをしてくれるのだろうか? これは、ちょっと、気になるところである。
<つぶやき>こんなことをしてくれる業者がいたら、ちょっと使(つか)ってみたくないですか?
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