袴田さんの補償金が話題になっていたので自分のことと照らし合わせてみた。
私はアルコール依存症で入院したが、途中から統合失調症と誤診され合計6年4ヶ月もの長期入院を強いられることになった。
アルコール治療のための入院期間を最大でも1年4ヶ月と見積もったとしても、 偽診による不当な拘束は5年間に及ぶ。
そして退院後もその病名を背負わされたまま不本意な人生を10年間送ることになった。これらを合わせてトータル15年間と考えると5千万円という金額は決して高額ではなくむしろ妥当だと思う。
もっとも私の場合、その性質上裁判で争って勝ち取れるものではないし、法的にも院長に支払い義務はない。ブログの読者の中には私が何とか因縁をつけて金を巻き上げようとしているように見えるかもしれない。
退院時私はすでに61歳だった。わずかに残っていた希望も60代の9年間を統合失調症という烙印を押されたまま無意味に過ごすうちに消え、ついに古希を迎えてしまった。
退院後は仕事に就くことや子供を望める女性を探すことから始まり、次第に望みは小さくなっていった。そして10年後の今では老老介護の相手を探すのが精一杯だ。
仮に5千万円を手にしたとしても状況が大きく変わることはない。生活保護をやめても贅沢はできず、ただ一年一年を暮らしていくだけだ。特別に生活が向上するわけでもなく、考えられるのは病院での支払い時に自分の面子が保てて惨めな思いをしなくて済むことくらいだろう。
もし金を受け取ったという情報が漏れればそれ目当ての女性が寄ってくるかもしれないがもはや夢も希望もない。
生活保護受給者がどのような最期を迎えるのか、探しても情報は見つからない。きっと人に言えないほど悲惨なのだろう。そのことを想像するだけでおぞましい気持ちになる。だからこそ少しでもお金が残っているうちに「普通の死に方」ができればという願望はある。
私の人生は5千万円程度では――というより、お金ではどうにもならないほど底辺に固定されてしまったのだ。
まあ、性能の良いPCを買うくらいの夢はある。たとえもうろくして使えなくなってもそれを抱いて眠れればいい。