蔵開きの翌日、
私達はこんな風景の中に身を置いている。
いつもの南阿蘇ビジターセンターである。
活発な活動を見せている中岳の噴煙が、高岳東峰までたなびいている。
「こりゃしばらく、あそこに登るのは無理や。」
そんなことを呟きながら、野草園の森へと向かう。
ヒヨドリ
リュウキュウサンショウクイ
ツグミ
まんまるに膨らませている。
アトリ
ゴジュウカラ
この森をよく知る大ベテランから声をかけられた。
「今日はどんな鳥をお探しで?」
「特段ありませんが、キクイタダキとか見られれば。」
「あ、キクイタダキね。今年は多かですよ。」
「特に見かけやすいのって、どの辺りですかね?」
「どこちゃあなかバッテン・・・ただ、カラ類とかエナガとかの混群におる事が多かね。」
ヤマガラいた。
エナガも。
そして、
木の葉隠れの術を使っているが、これはメジロである。
「この混群に、キクイタダキがおるかも知れんよ。」
「ははあ。」
「あの~、こんなの↑撮れたバッテン。」
「あ、こいはキクイタダキですよ。」
「やっぱり。どうせなら、おつむの模様ば撮りたかねえ。」
「この角度と遠さじゃ、難しかかもしれんね。」
ベテランの言うとおり、菊の頂は遂に見る事は叶わなかった。
次回に期待しよう。
移動
コゲラ
これはもう、反則級の可愛さである。
観衆の存在など知らぬげに、無心に梢をつつく。
そしてアオゲラも。
こちらも可愛さ大爆発だ。
長い時間じっとしてくれて、大サービスである。
こちらが気になるのか、時折視線を向けるのが、何ともいじらしい。
森を移動中、近くでドラミングの音が。
すぐに立ち止まり、その方向をそっと振り返ると、
「いた!オオアカゲラ。」(家内)
「え、どこどこ?」(私)
あたふた視線を彷徨わせている内に、森の奥へと逃げられてしまった。
コゲラ、アオゲラ、オオアカゲラの3ゲラ撮影は未完となった。
残念!!
あまりに残念なので、ひと休みだ。
昼飯にしよう。
パクパクとお握りを頬張り、
デザートに、高森名物くぅまんを喰らう。
いと美味し。
食後はビジターセンターへ。
「セリバオウレンは咲いとりますか?」
「あ、ごめんなさい。すぐ、どけますから。」
セリバオウレン
鹿に1部が食べられたんだそう。
職員の「どけますから」の意味は、
職員がいない時間帯は鹿害を防ぐため、コンテナ等を株の上に被せているからである。
「元々薬草やもん。鹿もちゃんと分かっとるね。」
「健康志向の鹿も困ったもんやな。」
今残っているのは2株のみ。
一方こちらは福寿草である。
毒性があるためか、鹿は全く手を付けていない。
・・・鹿の慧眼恐るべし。
「福寿草ちゅうたら、、、久住経由で帰るかにゃ。」
続く