Miquette’s assortment

みけこの詰め合わせ

かっこつけずに「るきさん」

2006-09-12 | 


るきさん

座右の書は?と聞かれたら、わたしはいつも迷わず高野文子さんのるきさんを上げてきた。 もっと難しげな本だとかっこいいだろうとは思うけれど、ここはかっこつけずにマンガで。

このマンガは雑誌Hanakoに1988~1992年の間連載されていた。 まさにバブルと呼ばれた時期だ。
るきさんと友達のえっちゃんが住んでいるのはたぶん西武池袋線の急行が停車しない駅、るきさんの仕事は在宅で医療事務で趣味は読書と切手収集、えっちゃんはキャリアウーマンで流行にも敏感。 そんなふたりの日常が、淡々としかし楽しい短いマンガでつづられている。
るきさんの生き方はまさにかっこつけない生き方、生き方なんて言葉からも開放されたような浮世離れぶりで、しかもさらりと夢を叶えてしまう。

わたしはえっちゃん派でもなく、どちらかと言えばるきさんのほうに近いかな、在宅勤務もけっこう長かった。 でも在宅勤務は仕事とそれ以外の時間や空間の区切りがなくなりがちで、煮詰まることは少なくなかった。 オフィスでの仕事と違って常に1人きりなので、いったんそうなると薄まりにくい。 そんにときには、いつもこの本を手にとり、一息ついたものだ。

高野文子さんは多作ではないけれど、どれも内容が濃い。 そのなかでこの本はいちばん読みやすいと言われている。 ご本人はるきさんのことを好きではない、なぜなら志(ココロザシ)がないから・・・という話も聞いたことがあるけれど、実は志が見えないように描かれているだけで、本当は嫌いじゃないのではという気もする。

手軽な文庫版も出ているので、がんばるのに疲れたかな、ちょっと煮詰まったかなと思った時には、ぜひ一度手にとってみてください。


やさぐれる

2006-04-12 | 

やさぐれるという言葉からどんな様子を想像するだろうか。

最初にこの言葉を気に入ったのは、川上弘美さんが日経新聞に連載していたエッセイの『此処彼処』の「吉祥寺」の回に出てきたとき。
やさぐれるとは、家からはぐれるという意味であるらしいのだが、エッセイには彼女独特のやさぐれぶりが描かれていた。 それはパンツを・・・いや、ここで全部話してしまうとつまらなくなってしまうので、すでに単行本になっている此処 彼処 (ここ かしこ)でどうぞ。

此処 彼処  やさぐれぱんだ

そして最近買ったのは、山賊さんのそのタイトルもズバリやさぐれぱんだ
ぱんだというキャラクターとやさぐれという言葉の組み合わせの違和感、書店で平置きされていたのを思わず手にとってしまった。 結局その日には買わなかったのだが、気になってしょうがなくて後日やっぱり買ってしまった。
元々インターネットの山賊UNDERGROUNDから生まれたコミックで、余白が多くて密度は濃くないのだが、でもまさにそのなんとも言えない間が魅力的で、全体に不条理な雰囲気が漂っている。

さて、わたしなりのやさぐれるって、どんな風だろうと考えてみた。 でも気持的にも体力的にもダメなときはお茶飲んでふて寝、みたいなのが多くて、家からはぐれてということはめったとない。 とすると・・・やはり試してみるなら家にいながら川上弘美さん式に?(^^;


ぐりとぐらかるた

2006-01-31 | 

1月が終わらないうちに、もう一つ、お正月っぽい話。

最近、やっとぐりとぐらかるた を買った。
実は、長年買うのを迷っていたのを、いよいよ意を決して買ったのだ。 お値段はとてもお安くて1,050円、でもそれは問題じゃない。 問題はわが家の住人の人数は2人であること、これじゃかるたで遊べない。 それにかるたは分厚い素材で作られていて、けっこう場所をとる。(中学生の時に買ってもらった百人一首も、すでに引出しでかなりの場所を占めている。)

 しかし、初版が出た頃に、友達が買って見せてくれた記憶がずっと尾をひいていて、とうとう買ってしまった。 かるたなんて、幼い子どものかるたと笑うなかれ、一枚一枚の文がとてもいい、しかも全部ちゃんと韻を踏んでいるのだ。 例をあげると

    にいさん にこにこ にんじんたべる
    みどりのライオン みみまで みどり

この2枚だけでもその魅力にとりつかれてしまいそうではないですか?
作者はぐりとぐらの絵本と同じ、文は中川李枝子さん、絵は大村百合子さん。

 まあ、2人で無理やり遊んでもいいし、子どもたちが遊びに来る機会に遊んでもいいのだが、傷めるのは忍びないので、今はもっぱら観賞用。

 ところで、うちには他にも2人では全くつまらないカードゲームがある、それはアメリカ生まれの水道管ゲーム 。 ルール的にはタチの悪い七並べのようなものだ。(笑) こちらは前々から持っていて、傷んでもOKなので、遊びたい人は誘ってくださーい。


マッド・マドリスト

2005-03-28 | 

間取り相談室 佐藤 和歌子 (著)

間取りの手帖からの続刊

今回は東京以外にも、札幌市から福岡市までの変わった間取り図が60枚、そこに住む人からの相談に作者が答えるという趣向。
でも、最後にはこの物語はフィクションです。実在の人物、団体等とは一切関係がありません。と添えてある。 それは相談者の氏名や相談内容は創作ということだと思うのだが・・・もし間取りも架空だったら面白味が半減してしまう。 間取りの変さ加減は手帳のほうが上なので、間取りは本物だろうと思う。

そう、正直言って間取りの面白さについては間取りの手帳のほうが上だと感じた。 本も映画も二度目からは新鮮味が薄れてしまうということかも知れないけれど。

巻末の佐藤 和歌子さんの肩書きはマッド・マドリストになっている。 昇進(?)してマッドがついているだけに、次回作に期待。

出版社は変わっているけれど、装丁はキッチリおそろい。 カバーの裏を見るのも忘れずに。

実用本として新築や改築引越しなどの実用的に使おうとすると、ほとんど役に立たないので、念のため。

変なお茶会

2005-03-03 | 



変なお茶会 佐々木 マキ (著)

またもや佐々木マキさんの絵本。 寝る前に読む本の一冊。
小さなサイズでページ数も少なく、1000円は高いかな? でも、やっぱり持っていたい本。
マッチラベルを思い出すような感じのイラストで色使いも独特。
子供向けというよりも大人向けかもしれない。

ストーリーというほどのことはないけれど、あっと驚く結果かも。 いろいろな国の人がお茶会に招待されるのだけど、いったいだれが主催者なのかは最後まで謎のまま。

こんな招待状が届いたらワクワするだろうなぁ。

今夜は雪になるかもしれない・・・暖かいココアを飲んで おやすみなさい

椰子・椰子

2005-02-02 | 



椰子・椰子 川上 弘美 (著), 山口 マオ (絵)

大人になると飛ぶ夢はあまり見なくなるそうだ。 でもわたしは相変わらずポカンと浮かんでいて、地上から30cm~3mくらいのところを手でヨイショっと漕ぐと進んだりしている。

さて、蛇を踏むで芥川賞を受賞した川上さんのこの本、へんてこな夢を見るのはわたしだけじゃないんだ、と安心する。
絵本風の日記形式になっていて、間に短編が5つ入っていて、シュールな絵は文庫版
でも充分楽しめる。

これもおやすみ絵本かな、大人のための。 なぜおやすみ絵本なのかは、あとがきを読むとわかる。

ところで上の写真の木の実、子供のときから持っていて、彫られた模様からずっと椰子の実のような気でいたけれど、長さは3cmほどで、椰子の実がこんな小さなわけはない。 いったい何の実だろう?

泣ける本

2004-12-28 | 


ぶたのたね 佐々木 マキ (著)


今回も絵本
佐々木マキさんのことは「ガロ」あるいは村上春樹の本のイラストでご存知の方も多いと思う。

「ぶたのたね」は泣かせるお話はあまり好きではないわたしが大好きで泣ける本。 悲しい結末に笑いながら泣けてくる。
ただし、たぶん間抜な主人公に手放しで笑える人の方が多いと思うので、泣こうと思って買うのはおすすめしない。
でも、わたしはどうしても主人公に感情移入してしまう。 理不尽で情けなくて・・・そして、懲りないところもいいのだ。

内容は、いわゆるナンセンスというところかな、なにしろぶたたねですよ!? うちにも色々なたねがあるけれどそんな変わったたねはないなぁ。(笑)

おやすみなさいおつきさま

2004-12-06 | 



おやすみなさいおつきさま マーガレット・ワイズ・ブラウン (著), クレメント・ハード (イラスト), せた ていじ (翻訳)

これは寝る前に読む絵本

わたしはとても寝つきが悪い、ほっといたらエンドレスで起きているくらいだ。(^^;
でも、寝ないと朝が来て容赦なく次の日が始まってしまうので、自分をなんとか寝かしつけようといっしょうけんめいになる。
それには寝床を好みの状態に整え、必要なら湿布を貼ってやり、サポーターも巻いてやり、香を焚き、絵本を読んでやる、わたしはとても世話が焼けるのだ。

この絵本には教訓も説教臭いところもない。 ただぼんやりと眠い感じで、催眠術にかかるようにだんだん眠くなるような気がする。
灯りを落として読んでも、目が悪くなるほど文字は多くないし、すてきな緑色のお部屋にある色々な物をながめるのも楽しい。

もちろん本当のちいさなお子さんにもおすすめの一冊。

ところで、初版はアメリカで1947年、それを考えると子供部屋に電話があることには驚く。

●後日補足 『おやすみなさいおつきさま』ができるまでだと、お話+この絵本ができるまでの解説がついています、わたしが持っているのはこちらのほうです。

マドリスト

2004-11-10 | 


間取りの手帖佐藤 和歌子 (著)

装丁の展覧会で偶然見つけた本だけど、すっかりハマってしまった。
どんな本かというと、不動産広告にあるような間取り図が99枚、でもよく見るとちょっと変、というだけのシンプルな本。
リトルモアの「ライフスタイル」というページから『間取りの手帖』を選ぶとその雰囲気がわかる。
なぜ装丁の展覧会だったのかというと、ヒミツはカバーの裏が・・・それは、手にとってのお楽しみ。

わたしは以前から用もないのに不動産広告を眺めては想像をめぐらせるのが好きだったけど、こういう本を出してしまう人もいるんだね。 佐藤さんはマドリストと名乗っている。

近頃わたしが折込広告の中に発見したちょっと気になる間取はこれ。(図をクリックすると大きくなります)
100平米以上もあるというのに広々とした感じがまるでない。 最上階の角部屋だというのに、わぁ素敵って感じもしてこない。 なぜなんだろうと考えてみた。
それは壁面は直角で構成されているのにも関わらず、室内にやたらと斜めなところが多いからではないだろうか。 特に納戸のドアはなぜ斜め?
だいたい、柱の形が奇妙。 洗面所を通らないと行けない洋室っていうのは、もっと手狭な間取りではあり得るだろうけど? トイレと同室の浴室は狭いワンルームにあるユニットバスみたいなのじゃないとは思うけど、あるいはアメリカ風なのか?
玄関わきのトイレ・物入・洋室の組み合わせが妙に独立した感じなのも気になる。 もしかして。お手伝いさん専用スペースとか?
わたしの想像はどんどん暴走してがいっぱいだ。 でも、解決する手立てはない。 買う気もないのに現地へ見学に行くわけにもいかないし。(^^;

おっと暴走し過ぎました・・・本の話に戻ります。
この本は新書版で、文字を読むところは少ないし、余白が多い。 それなのに998円でちょっと高いけれど、想像力を持て余してる人にはオススメ。
ちなみにこの本の中でわたしが一番気になるのはNo.016。

実は、すでに続刊の間取り歳時記を注文中、届くのを楽しみにしている。(^^) 今度はぴあ出版から。

●後日補足 続刊のタイトルは間取り相談室になりました。