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おいしい酒を紹介できたら良いな!

お酒のお供Y・・・167

2015-06-06 11:41:53 | 日記


三年目



何人もの医者に見放され、回復の見込みのない妻を亭主が必死で看病していた。

死期をさとった妻が、たった一つだけ気になっていることがあると亭主を

見あげ、もしも自分が死ねば、あなたはいつかきっとかわいい後妻を

かわいがるかと思うと死ぬに死ねない、と言う。

そんなことはしないと言っても聞かない妻に、「では後妻をもらった婚礼の

晩に幽霊になって出てくればいい」と亭主が言った。

幽霊が出たら普通の女ならきっと腰を抜かして逃げだす。何度かそれが続けば、

もう嫁のきてもいなくなるから、私は一生、独り者だ。

納得した妻は、八つの鐘を合図に幽霊になって出ると言い残して死んでしまった。

葬式をすませ、初七日、四十九日。男のほうにやってくる再婚の話は早いから、

百ヶ日もたたないうちに親戚から後妻の話をすすめられた。初めは断っていた

亭主もいつまでも断り続けるわけにもいかず、やがて婚礼。三、三、九度も

すんで、初夜の床についた。

「あの、あなた、お休みには・・・・・」

そう言われても亭主はなかなか床につけない。

不審顔の新妻に時間ばかり聞いているうちに、いよいよ八つの鐘がボーン。

亭主はいよいよ出るぞと身構えた。だが何も出ない。

キョロキョロしているうちに夜が明けた。

二日目も同じ。三日、四日とたち二十日たってもいっこうに出てこない。

こうなると亭主もばかばかしくなり、新妻と仲よく暮らしはじめ、

やがて子も生まれた。そして三年目、先妻の法事をすませた晩、

真夜中にふと目が覚めた。先妻のことを思いだし、少ししんみり

していると、八つの鐘がボーン。生臭いような風が縁側からスーッと

吹きこんで、障子に髪の毛がサラサラと当たるような音もする。

今夜はなんだが様子がおかしいぞと思ってひょいと見ると、先妻の

幽霊が黒髪を乱して枕元に座っていた。

初夜の夜ならともかく、三年もたってからでは、ただ迷惑なだけ。

「約束が違う」とうらめしそうにせまる先妻の幽霊に、亭主も子どもまで

できてから出てくるのはどういうわけだ、と開き直った。

「ご無理じゃありませんか。私が死んだとき、ご親戚でわたしを

坊さんにしたでしょう」 先妻の幽霊が言うのは、葬儀のときに死人の

頭を剃る儀式のことだ。

「そりゃ、ひと剃刀ずつ当ててお前を坊さんにした」

「坊主頭で出て嫌われるといけませんので、三年の間、髪が伸びるのを

待ってました」

                       立川志の輔  古典落語100席引用

どうして髪が伸びるのを待っていたんんでしょうな。

幽霊が約束を守るとは・・・ふぁんたじーっすね。

天使てぇーのは神主さん?りんだ・りんだー。




そら・あかねも。りんだ・りんだー。