楽しい酒 良い酒 おいしい酒

酒を飲むなら、いい酒を飲みたいものです。

おいしい酒を紹介できたら良いな!

お酒のお供Y・・・169

2015-06-09 15:01:59 | 日記


御神酒徳利



江戸の大きな旅籠で年に一度の大掃除が始まった。騒ぎにまぎれ、

旅籠に先祖代々伝わった将軍家より拝領の御神酒徳利が、コロコロと

転がった。この家宝の徳利を見つけたのが通い番頭の善六。バタバタしているので、

とりあえず徳利を台所の水がめの中に入れたまではよかった。

ひと通り、かたづいたと思ったら、今度は徳利が見当たらないので、

宿中、大騒ぎ。だが慣れないハードワークをしたせいか、当の善六は

記憶の糸が切れていて、自分が徳利を緊急避難させたことも忘れていた。

家に帰って晩酌をしながら、ひょいと水がめを見た瞬間、善六は「あっ」と

徳利のことを思いだした。だが、旦那に尋ねられたとき「存じません」と

言ってしまった。困った善六が、女房に相談すると「占いでわかったことにすれば」

と名案が出た。占い道具はそろばんがいいというアドバイス。

店にとって返した善六、早速、そろばんをパチパチ鳴らして、「台所の水と土に

関係ある場所」と占った。もちろん、徳利は出てきたから旦那は大喜び。

芸者を呼んでの大宴会となった。

この話を聞きつけたのが泊まり客の大坂の豪商・鴻池屋の大番頭。

じつは鴻池屋の娘が病気で長い間、苦しんでいる。

ぜひ、大坂にきて占ってほしい、と善六に頼みこんだ。

また困った善六が女房に相談すると、「いってらっしゃいな」という答え。

易者の父から本を借りてあげる、それでなんとかなるからと言う。

大坂への道中の宿で、武士の財布が盗まれる事件が起き、宿の者に疑いがかかった。

占いを頼まれた善六は、またもや大困惑。夜逃げをしようかと思いつめた。

だが、その夜、女中が善六に「親の病気を治そうと思い、つい・・・・・」と、

涙ながらに打ち明ける。そこでそろばん占いの卦が出たことにして、財布を発見。

礼金の一部を女中に渡して、無事にピンチを切り抜け大坂へ。

さて、大坂。どうにも方法がない善六は、やけになって水行を始めた。

ひたすら水をかぶりまくって二十一日目、不思議なことに稲荷明神が夢枕に立ち、

「柱の下を掘ると観音像が出る。その像をあがめればよい」というお告げ。

そろばんの卦が出たような顔で善六が教えると、お告げどおり娘は全快した。

喜んだ鴻池屋は善六に立派な旅籠をプレゼント。女房と力を合わせた旅籠は

大繁盛して、善六は大金持ちに。なにせ、そろばんで成功したから暮らしぶりは桁違い。

               

                       立川志の輔   古典落語100席引用


一息つける笑いは健康への近道。笑顔と真心で全快な暮らしを。perform umeken‘s duty

お酒のお供Y・・・168

2015-06-08 14:47:31 | 日記


火焔太鼓




市で古い太鼓を仕入れてきた道具屋の甚兵衛。これで大儲けをすると

息まいている。脇の女房はあきれ顔。なにせ怪しげな物ばかり仕入れて

きては損してばかりいる亭主。見るからにほこりだらけの汚い太鼓なんかで

儲かるわけがないと思っているのだ。

甚兵衛は小僧に表で太鼓のほこりを払うよう言いつけた。小僧は力まかせに

叩くものだから、ドンドンドンドンとうるさいのなんの。女房がよけいにいきりたつ。

そんなところへ一人の侍が入ってきた。殿様が通りがかりに太鼓の音を

聞いたと言う。てっきりうるさいと叱られると思った甚兵衛が、小僧のせいにして

あやまるが、どうもそうではないらしい。殿様が太鼓の音を気にいって買うつもり

だから、屋敷へ持ってこいという口上だ。

疑り深い女房は、音が気にいったとしても太鼓を見たら、あまりの汚さに殿様は

怒りだすに違いない。へたをすると帰してもらえないかもしれないと甚兵衛をおどした。

おっかなびっくり屋敷へ出向いた甚兵衛に先刻の侍が応対に出た。太鼓を持って奥に入り、

戻ってくると太鼓は火焔太鼓という名品、殿がいたく気にいられたので買うと言う。

安心した甚兵衛と侍の間で値段の交渉が始まった。侍が好きな値をつけろというので、

とりあえず甚兵衛の差し値は十万両。驚く侍に、そのかわりいくらでもまけますからと

言いわけをするおかしな商売。もともと無事に帰れればいいと思っているから、

値段のことなんか深く考えていない。

結局、侍が三百金の値をつけた。その意味が甚兵衛にはピンとこない。小判で

三百両のことだと説明され、「ひえーっ」と腰を抜かした。

感激のあまり、泣きべそをかきながら五十両ずつの包みで三百両を受けとって、

屋敷をあとにする。・・・・・夢心地で家に帰ってきた甚兵衛を見て、女房は

屋敷から逃げてきたのだと思い、

「追っかけられてきたんだろう。天井裏へ隠れておしまい」

しかし、甚兵衛は大いばりでことの次第を説明する。三百両で売れたと言ったとたん、

女房も腰を抜かして座りこんでしまった。・・懐から五十両ずつ出した小判を

積みあげるたびに、後ろへひっくり返ったり、気を失いそうになったり。

「ああ、ああ、お前さん商売が上手だよ」

「てやんでえ、ほら三百両」

「これからはもう音のする物にかぎるねえ」

「今度は半鐘を買ってきて・・・・・」

「半鐘はいけないよ。おじゃんになる」

                      立川志の輔   古典落語100席引用

難しいオチですね。じゃんと言ったらわたしは調味料を思い浮かべっちゃいました。

しかし、名品の価値って文化遺産級じゃないと意味なさそうだな。見るだけですもんだもんな。



How about the sky?

お酒のお供Y・・・167

2015-06-06 11:41:53 | 日記


三年目



何人もの医者に見放され、回復の見込みのない妻を亭主が必死で看病していた。

死期をさとった妻が、たった一つだけ気になっていることがあると亭主を

見あげ、もしも自分が死ねば、あなたはいつかきっとかわいい後妻を

かわいがるかと思うと死ぬに死ねない、と言う。

そんなことはしないと言っても聞かない妻に、「では後妻をもらった婚礼の

晩に幽霊になって出てくればいい」と亭主が言った。

幽霊が出たら普通の女ならきっと腰を抜かして逃げだす。何度かそれが続けば、

もう嫁のきてもいなくなるから、私は一生、独り者だ。

納得した妻は、八つの鐘を合図に幽霊になって出ると言い残して死んでしまった。

葬式をすませ、初七日、四十九日。男のほうにやってくる再婚の話は早いから、

百ヶ日もたたないうちに親戚から後妻の話をすすめられた。初めは断っていた

亭主もいつまでも断り続けるわけにもいかず、やがて婚礼。三、三、九度も

すんで、初夜の床についた。

「あの、あなた、お休みには・・・・・」

そう言われても亭主はなかなか床につけない。

不審顔の新妻に時間ばかり聞いているうちに、いよいよ八つの鐘がボーン。

亭主はいよいよ出るぞと身構えた。だが何も出ない。

キョロキョロしているうちに夜が明けた。

二日目も同じ。三日、四日とたち二十日たってもいっこうに出てこない。

こうなると亭主もばかばかしくなり、新妻と仲よく暮らしはじめ、

やがて子も生まれた。そして三年目、先妻の法事をすませた晩、

真夜中にふと目が覚めた。先妻のことを思いだし、少ししんみり

していると、八つの鐘がボーン。生臭いような風が縁側からスーッと

吹きこんで、障子に髪の毛がサラサラと当たるような音もする。

今夜はなんだが様子がおかしいぞと思ってひょいと見ると、先妻の

幽霊が黒髪を乱して枕元に座っていた。

初夜の夜ならともかく、三年もたってからでは、ただ迷惑なだけ。

「約束が違う」とうらめしそうにせまる先妻の幽霊に、亭主も子どもまで

できてから出てくるのはどういうわけだ、と開き直った。

「ご無理じゃありませんか。私が死んだとき、ご親戚でわたしを

坊さんにしたでしょう」 先妻の幽霊が言うのは、葬儀のときに死人の

頭を剃る儀式のことだ。

「そりゃ、ひと剃刀ずつ当ててお前を坊さんにした」

「坊主頭で出て嫌われるといけませんので、三年の間、髪が伸びるのを

待ってました」

                       立川志の輔  古典落語100席引用

どうして髪が伸びるのを待っていたんんでしょうな。

幽霊が約束を守るとは・・・ふぁんたじーっすね。

天使てぇーのは神主さん?りんだ・りんだー。




そら・あかねも。りんだ・りんだー。

お酒のお供Y・・・166

2015-06-04 11:55:18 | 日記


芝浜



魚屋・勝五郎の家。酒ばかり飲んでもう二十日も仕事をしていない

亭主を女房が起こしている。商売の道具からワラジまできちんと

用意し、今日こそは芝の魚河岸へいかせようというのだ。

ブツブツ言いながらも家を出た勝五郎。魚河岸へ着くと、まだ一軒の

問屋も開いていない。キョロキョロしていると、遠くから時を知らせる

寺の鐘。それで納得がいった。女房が時刻を間違えて早く起こしすぎたのだ。

帰るのも面倒なので、浜に出てひさしぶりに汐の香をかぎながら一服つける

ことにした。ふと下を見ると水でふくらんだ革の財布が落ちている。中には大金。

大あわてで家に帰った。夫婦二人でおそるおそる金を勘定してみると、

なんと四十二両も入っている。これで勝五郎、すっかり気が大きくなってしまった。

もう商売なんかいかなくってもと、仲間を集めて飲みまくり、酔って寝てしまった。

そして、翌朝。前日と同じように女房が勝五郎を起こしている。早くしないと

魚河岸に遅れるという台詞も同じだ。起こされた勝五郎、拾った金のことを

思いだすが、女房は夢を見たのだと言ってゆずらない。

昨日は芝浜へもいっていないし、財布など見たこともない。逆に貧乏ばかり

しているから情けない夢を見てしまうのだと、さとされてしまう。

勝五郎も証拠の財布がないのだから、女房の話を信じるしかない。そんな夢を

見るようではおしまいだと反省し、それからは酒をぷっつりとやめ商売一本。

こうなると、もともと腕のいい魚屋のこと、三年後には長屋から表通りに小さな

店を出し、若い衆を二、三人置くまでになった。

大晦日。正月の用意も整った家で、除夜の鐘を聞きながら昔の苦労話をしていると、

女房が四十二両入った革の財布を出し、「夢じゃなかったんだよ、お前さん」

「しかし、あのときおめえは夢だと・・・」

女房の話によると、あのままだと酒びたりが続き、拾った金を使ったことがわかると

罪にも問われかねない。そこで大家に相談し、金は奉行所へ届けでて夢という話に

したという。金は落とし主が出ず、戻ってきたが、それでも今日まで心を鬼にして

黙っていた。

「もう酒を飲んでもだいじょうぶと思って・・・・・」

これを聞いた勝五郎、涙を流して女房に礼を言う。

ほっとした女房が酒を出すと、うれしそうに口まで運んでやめてしまった。

「ありがてえんだがなあ、やっぱりよそう。また夢になるといけねえ」

                      立川志の輔  古典落語100席引用

1 株の知識をしっかりと持つ。
2 無駄な投資をしない。
3 過度な希望や夢、妄想を抱かない。上昇リロン!


そら・あかねを飲んで運気上々。


お酒のお供Y・・・165

2015-06-03 11:47:55 | 日記


うまや火事



勝気でおしゃべりだが、純情なところもある髪結いのお崎が、

亭主のことで仲人に相談にきている。仕事で遅くなったのが原因で

夫婦ゲンカになり、もう別れたいと言うのだ。毎度のことなので

仲人も慣れたもの。今回は二人にお灸をすえるつもりで、女房を

働かせて昼間から酒を飲むような男は、ろくなものじゃないと

亭主をけなし、「お前さんの思うとおり別れておしまい」とたきつけた。

止めるはずの仲人にそう言われると、お崎はおだやかじゃない。

本当はとてもやさしい男なのと年下の亭主をほめ、でも人情があるのか

どうか本心がつかめなくて不安なのだと打ち明ける。

そこで仲人は、人の心についての譬え話を始めた。

初めは唐土、つまり中国の孔子の話。おしゃべりのお崎が唐土を団子と

間違えたり、孔子を役者の幸四郎だと思ったりするが、めげずに仲人は

話し続ける。

孔子が一頭の白馬をとても大切にしていた。あるとき、孔子の留守中に

白馬のいる厩が火事になった。家来は白馬を救おうと努力したが、失敗。

しかし帰ってきた孔子は家来の無事を喜び、馬のことは何も言わなかった。

仲人は本当の人の偉さというのは、こういうときにわかるのだとさとした。

仲人はもう一つ、話を続ける。

とても瀬戸物にこっているある屋敷の主人が、客に高価な瀬戸物を

見せたあとで妻にかたづけるよう言いつけた。妻はだいじにそれを

運ぼうとしたが、うっかり階段で足を滑らせ瀬戸物もろとも転げ落ちてしまった。

そのあとが問題。主人は瀬戸物が割れなかったかどうかだけを気にかけ、

妻の体を心配しなかった。それが原因で妻は実家へ戻ってしまった。

人づてに話が広まったので、その主人はいまだに独り者だ。

不人情とはこういうことだ、と仲人が言うと、

お崎は「うちのも瀬戸物にこってるんですよ」と言いだした。

そこで仲人は、そいつを壊して瀬戸物と女房の体のどちらを気づかうか

試してみろともちかけた。

お崎が家に帰ると、亭主が食事の支度をして待っていた。チャンスとばかりに

亭主が大切にしている茶碗を手に持ち、仲人に言われたとおりに足を滑らせた

ふりをして大げさにひっくり返ってみせた。

驚いた亭主はあわててかけより、割れた茶碗には見向きもせずにお崎を抱え起こした。

「あぶねえ。どっか体にケガはねえか」

「そんなにあたしの体がだいじかい」

「当たりめえじゃねえか。お前がケガしてみねえ、明日から遊んでて酒が飲めねえ」

                     立川志の輔   古典落語100席引用

誰もが自分勝手に生きていたいものだが、他人がいるから体裁を気にして生活しないと

いけない。文化人だからしょうがないですね。わたしは食べ物を造る人が一番偉いと

思うけどな。住宅も着るものも大事だな。社会貢献とは人に良い暮らしを与えるものだな。

人に頼るとはそういうものかなぁ。




      いい気分になる焼酎 そら・あかね