昨日、歌舞伎座の昼の部を観て来ました。
先日の “ 魑魅魍魎祭り ” だった夜の部とはガラリと変わって、昼の部の演目は 歌舞伎らしい義太夫物…。
『 鳥居前 』
『 吉野山 』
『 川連法眼館 』
所謂 “ 狐忠信 ” の
3場です。
内容は…?
『 鳥居前 』 ―― 都を落ちてゆく源義経に 愛妾・静御前は供を願い出ますが、義経は 「 都へ戻り、迎えを待て。」 と断り、左大臣より賜った “ 初音の鼓 ” を預けます。
静御前の窮地を救った佐藤忠信に、都への同行を命じ、義経と家来達・静と忠信は別れ別れに歩んでゆきます。
『 吉野山 』 ―― 都へ戻った静御前は ほどなくして、義経が吉野山へ向かったと知り、忠信を供に吉野山を目指します。
『 川連法眼館 』 ―― 吉野山の川連法眼の館に匿われた義経の許に、忠信が現れます。
そこへ、静御前が忠信を伴い到着したとの知らせが…。
実は 静の供をしていたのは、子狐の化身。
義経が拝領した鼓は、千年の寿命を持つ2匹の狐の皮で作られていて、その2匹の狐こそが子狐の両親なのでした。
子狐は、親への思慕から鼓に付き従って来たのです。
泣きながら素性を明かし 別れを告げて去ろうとする子狐…。
義経は、その考を愛で 静を守護してきた功を尊び、子狐に鼓を与えます。
子狐は喜び、義経を狙う吉野山の悪僧たちを霊力で退散させ、父母の鼓を抱いて故里へと帰ってゆきます。
…こんな感じのお話です。
私は “ 四の切り ” と呼ばれる 『 川連法眼館 』 の場が大好きです。
子狐の語る様が哀れで憐れで、いつも泣いてしまいます。
侍と狐、二人の忠信を早替りで観せ、あちらへ消えたかと思うと こちらに現れ、まさに神出鬼没…ケレン味もたっぷりです。
最後には 宙乗りもあります。
今回の源九郎狐を演じた 市川海老蔵丈は、相変わらず 流石のオーラでした…。
おそらく 3階の一番後ろまで届く程の眼力!
大きな劇場がビリビリ震える程の力強い声…姿は勿論美しく、またしても ほとんどのお客様が前のめりになっていました。
私がこっそり(?)注目している市川段治郎丈の義経も、とっても麗しくて素敵でした。
そして、大好きな坂東玉三郎丈の静御前。
私は、日本舞踊家である大叔母に 「 踊りはね、極めれば極めるほど 無駄な枝葉が削ぎ落とされてシンプルになってゆくのよ。そして それこそが最も美しいの。」 と教わりましたけれども、玉三郎丈を観る度に この言葉が想い出されます。
本当に無駄な動きがなくて、美しいのです。
海老蔵丈・玉三郎丈、美男美女の桁外れのオーラに圧倒されっぱなしの一時でした♪
狐忠信の宙乗りの最後、揚幕に入る直前に、桜吹雪が舞います。
嬉しそう…。
一緒に観劇していたYちゃんの息子さんのS君は、客席に残された その桜の花びらを拾い集めて、お土産にしていました。
【 義経千本桜 】で
私が拾って来た
桜の花びら。
いつの時代も、お子達のすることは 同じなのですね…。