きのう『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』を観ました。
舞台俳優のエチエンヌは、刑務所のワークショップの講師として、
囚人たちに演技を教えていました。
エチエンヌはかつて演じたことのある戯曲「ゴトーを待ちながら」が、
囚人たちのと心理に通じるのではと思い演目に選びました。
囚人たちはいつも待っています。
なかなか叶うことのできない、面会に来る家族や友人を、
欲しいものの差し入れを、そして、出所の日を・・・。
やがて、エチエンヌの情熱は刑務所長を動かします。
囚人たちは刑務所の外の一般の劇場で「ゴトーを待ちながら」を演じることになりました。
ワークショップや休憩時間で、稽古に取り組んできた囚人たち。
いよいよ本番、緊張マックスの囚人たちを舞台の袖で見守り励ますエチエンヌ。
公演が終わると大きな拍手とスタンディングオベーションが起こります。
それは話題を呼び、全国の劇場を回るツアーが始まることになりました。
どこの劇場も満員、そして、大きな感動を起こしますが、
刑務所に戻る囚人たちはいつも身体検査で、
家族や知人、観客からもらったプレゼンとのほとんどを回収されてしまうのです。
大きな満足と、大きな失望を繰り返す囚人たち。
しかし、パリの大劇場オリオン座からオファーが来ました。
エチエンヌも囚人たちもその公演に向けて熱い稽古が続きます。
そして、いよいよ、オリオン座公演の本番。
客席には、政府の要人の姿もありました。
どんなフィナーレを迎えることになるのでしょうか。
「ゴトーを待ちながら」のことはまったく知らないのですが、
ウィキペディアによると不条理演劇の代表作だそうです。
『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』は、
まさにそんな不条理をえがいていますが、エチエンヌはそれを受け止めます。
そのことはネタバレになるのであまり書けませんが、わたしはとても感動しました。
いつもエンドロールを観ないで席を立っていますが、
ずっと余韻が残ってこの日は最後まで観てしまいました。
ちなみにスウェーデンで実際にあったことを映画にしたそうです。
演者たちは重罪犯の囚人ばかりでしたから、日本ではちょっと考えられないでしょうね。
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