先週の日曜日に「トーチソング・トリロジー」を観た。
書きたいことはいっぱいあるのに、感想をまとめる時間が今月はなさそう。
そのことがとても残念!
それでも忘れてしまいたくない作品なので、感じたままをただ羅列して書き留
めておこうと思う。
<キャスト>
アーノルド:篠井英介 エド:橋本さとし アラン:長谷川博己 ローレル:奥貫薫
ディビッド:黒田勇樹 ベッコフ夫人(アーノルドの母親):木内みどり
エミ・エレオノーラ(VOCAL&PIANO)
<作品についてのメモ>
公式サイトはこちら。
トーチソングとは「感傷的な失恋の歌」のこと。(パンフレットより)
ハーヴェイ・ファイアステイン作、1980年代半ばの作品。
映画化に当たっても自ら脚本を書いた。パルコ劇場では16年ぶりに再演。
●観終わった直後
私自身、最後に感情がフワーッと噴き出てきて泣いてしまったので、熱いもの
を抱えたまま劇場を出た。
篠井さんの寂しくてあったかい笑顔、エミさんのピアノと独特のヴォーカルが
いつまでも余韻として残っていた。絶望ではなく、希望の余韻。
●ゲイ
予想していた話と全然違っていた。
いや、ストーリーのせいではなく、たぶん、私自身の感じ方が違ったのだと思う。
この作品が発表された当時に観ていたら、痛みの感じ方が変わっていたかも。
ホモセクシュアルであることの生きづらさ、まっすぐさが、もっと突き刺さった
かもしれない。
たしかに主人公のアーノルドはゲイであるけれど、ゲイとか、女性とか、マイノ
リティとかそういう限定的なお芝居ではなく、もっと普遍的なテーマ性が感じら
れる作品だと思う。
●ベッド
第2部。舞台の真ん中に大きなベッド。
エドとローレルのカップルと、週末をいっしょに過ごす事になったアーノルドと
アランのカップル。元恋人とその相手、現恋人とその相手。しかも、お互いにま
だ思いは残っているアーノルドとエド。
4人の関係を大きな1つのベッドだけで同時に見せていく演出がとても新鮮で面
白かった。4人はたしかにベッドつながりの関係ではあるから・・・。
(あのナナメのベッド、けっこう腹筋が必要なのではないだろうか?)
●親子の構図
アメリカ映画には父と息子のストーリーを描いたものが多いと聞いたことがある。
この作品にも同じく親子の構図が根底に流れていた。
でも、ちょっと違うのは、まるで母と娘のような<母と息子>の関係だったこと。
第3部を見て、アーノルドが見て育ったのは父の背中ではなく、母親の人生だっ
たんだと気づいた。
「ママの35年の人生に私のほしいものがすべてある」
という、アーノルドのこの言葉で私は泣けてしまったんだった。
そして、息子の生き方を昔から認めている、わかっている、と言いながらも、ま
だ距離感があった母親。認めるのでも理解するのでもなく、最後に母親がアーノ
ルドのことをただ受け入れた時、二人の間にあった緊張感がとけ出したように見
えた。
母として我が子のすべてを受け入れるということは、自分を受け入れるというこ
と。頭ではわかっているつもりでいても、こういう息子を育てた自分のことを本
当は長い間、ゆるせなかったのだと思う。
息子を受け入れることで自分を解放してあげた。
ラストはそんなふうに見えて、ここでも涙が止まらなかった。
●篠井英介さん、橋本さとしさん
篠井さんのアーノルド、なんて温かくて大きな人なんだろう。
あの笑顔、素敵だったな。エドが最後に落ち着く所はここ、というのが納得のい
く存在感だった。
そして、今までどこを見ていたんだろう、私。今回の舞台で初めて橋本さとしさ
んの持っている色気に気づいた。コミカルなところに切なさが見えて、放ってお
けないエド、という感じがよく出ていた。これからチェックする役者さんが一人
ふえたかな。
●ヘドウィグ
たぶん、パンフレットにもどこにもヘドウィグのことなんて出ていないと思う。
それでも、今回のこの舞台は日本版初演のヘドウィグのことをダブらせて考えな
いわけにはいかなかった。
第1部冒頭で観客に向かって話しかけるアーノルド。バックでは、日本版初演の
イツァークを演じたエミさんがピアノを弾いてるし。オマージュのような感じ。
スズカツさん演出の再演ヘドウィグ、もうメチャ期待するからね!
書きたいことはいっぱいあるのに、感想をまとめる時間が今月はなさそう。
そのことがとても残念!
それでも忘れてしまいたくない作品なので、感じたままをただ羅列して書き留
めておこうと思う。
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<キャスト>
アーノルド:篠井英介 エド:橋本さとし アラン:長谷川博己 ローレル:奥貫薫
ディビッド:黒田勇樹 ベッコフ夫人(アーノルドの母親):木内みどり
エミ・エレオノーラ(VOCAL&PIANO)
<作品についてのメモ>
公式サイトはこちら。
トーチソングとは「感傷的な失恋の歌」のこと。(パンフレットより)
ハーヴェイ・ファイアステイン作、1980年代半ばの作品。
映画化に当たっても自ら脚本を書いた。パルコ劇場では16年ぶりに再演。
●観終わった直後
私自身、最後に感情がフワーッと噴き出てきて泣いてしまったので、熱いもの
を抱えたまま劇場を出た。
篠井さんの寂しくてあったかい笑顔、エミさんのピアノと独特のヴォーカルが
いつまでも余韻として残っていた。絶望ではなく、希望の余韻。
●ゲイ
予想していた話と全然違っていた。
いや、ストーリーのせいではなく、たぶん、私自身の感じ方が違ったのだと思う。
この作品が発表された当時に観ていたら、痛みの感じ方が変わっていたかも。
ホモセクシュアルであることの生きづらさ、まっすぐさが、もっと突き刺さった
かもしれない。
たしかに主人公のアーノルドはゲイであるけれど、ゲイとか、女性とか、マイノ
リティとかそういう限定的なお芝居ではなく、もっと普遍的なテーマ性が感じら
れる作品だと思う。
●ベッド
第2部。舞台の真ん中に大きなベッド。
エドとローレルのカップルと、週末をいっしょに過ごす事になったアーノルドと
アランのカップル。元恋人とその相手、現恋人とその相手。しかも、お互いにま
だ思いは残っているアーノルドとエド。
4人の関係を大きな1つのベッドだけで同時に見せていく演出がとても新鮮で面
白かった。4人はたしかにベッドつながりの関係ではあるから・・・。
(あのナナメのベッド、けっこう腹筋が必要なのではないだろうか?)
●親子の構図
アメリカ映画には父と息子のストーリーを描いたものが多いと聞いたことがある。
この作品にも同じく親子の構図が根底に流れていた。
でも、ちょっと違うのは、まるで母と娘のような<母と息子>の関係だったこと。
第3部を見て、アーノルドが見て育ったのは父の背中ではなく、母親の人生だっ
たんだと気づいた。
「ママの35年の人生に私のほしいものがすべてある」
という、アーノルドのこの言葉で私は泣けてしまったんだった。
そして、息子の生き方を昔から認めている、わかっている、と言いながらも、ま
だ距離感があった母親。認めるのでも理解するのでもなく、最後に母親がアーノ
ルドのことをただ受け入れた時、二人の間にあった緊張感がとけ出したように見
えた。
母として我が子のすべてを受け入れるということは、自分を受け入れるというこ
と。頭ではわかっているつもりでいても、こういう息子を育てた自分のことを本
当は長い間、ゆるせなかったのだと思う。
息子を受け入れることで自分を解放してあげた。
ラストはそんなふうに見えて、ここでも涙が止まらなかった。
●篠井英介さん、橋本さとしさん
篠井さんのアーノルド、なんて温かくて大きな人なんだろう。
あの笑顔、素敵だったな。エドが最後に落ち着く所はここ、というのが納得のい
く存在感だった。
そして、今までどこを見ていたんだろう、私。今回の舞台で初めて橋本さとしさ
んの持っている色気に気づいた。コミカルなところに切なさが見えて、放ってお
けないエド、という感じがよく出ていた。これからチェックする役者さんが一人
ふえたかな。
●ヘドウィグ
たぶん、パンフレットにもどこにもヘドウィグのことなんて出ていないと思う。
それでも、今回のこの舞台は日本版初演のヘドウィグのことをダブらせて考えな
いわけにはいかなかった。
第1部冒頭で観客に向かって話しかけるアーノルド。バックでは、日本版初演の
イツァークを演じたエミさんがピアノを弾いてるし。オマージュのような感じ。
スズカツさん演出の再演ヘドウィグ、もうメチャ期待するからね!
この芝居は観終わった後に、なんだか温かい気持ちになれる素敵な舞台でした。
ゲイという「マイノリティ」ゆえの差別や偏見は、
一昔前ならばもっと激しかったんでしょうね。
アランが暴力を受けて死んでしまったという事を見ても、
その当時のいかに偏見が大きかったかが分かりますね。
>スズカツさん演出の再演ヘドウィグ、もうメチャ期待するからね!
同感!!(笑)
こんなにも素敵なアーノルドを演出をしたスズカツさんに、
ヘドウィグの世界をどう演出してくれるのか、私も楽しみです。
今回は感想のまとめ方が中途半端なのに、コメント頂けてすごく嬉しいです。
そう。観る前まではもっと過酷な状況を像像してたんだけど、終わってみたら後味のいい素敵な作品でした。1週間たっても思えるからきっと本物なんでしょうね。
篠井さんの素敵なところは、毒舌を全く嫌みに感じさせないところ。翻訳ものなのに、篠井さん、カンペキに自分の中に取り込んでるなと感じました。
ヘドウィグ、楽しみだよね!!
でも、関西は公演期間が短すぎてカナシイ。実は、麗さんのパワーがこの公演にも効いたみたいで、先行の電話があっさりつながってビックリした~(笑)。それも直前に届いたハガキだったのに。ラッキー麗さん、またもやありがとうございまーす♪♪♪
ムンパリさんの感想を、ドキドキしながら拝見しました。
大阪と東京と…。
離れていても同じ作品を体感できるって、やっぱり素敵だし刺激的ですね!
私も感想をアップしたので、トラバさせていただきます。
書き足りないことだらけのこんな感想なのにコメント頂けて嬉しいです。
midoriさんは20年前の初演もご覧になってるんですね♪ 鹿賀丈史さんのアーノルドを想像してみたら私のなかでピンポン!と鳴りました(笑)。見てみたかったです。
あとから思い返すほど、いい舞台だったなあという思いがこみあげてきます。大仰な感動ではなく、自然な感じなのに素敵な舞台、好きです。