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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.2.14 Newsモーニングサテライト

2017年02月14日 18時26分22秒 | MS
■マーケット

NY株 3指数揃って最高値
週明けのニューヨーク株はしっかりした動き。きょうは指標がほとんどなく材料難ですが、逆にトランプラリーを邪魔するものもないようです。トランプ政権の保護主義的な通商政策が市場の重石として意識されてきたものの、先週末の日米首脳会談の中で重要な貿易相手である日本や中国に対する姿勢が思ったほど強硬ではなかったことから安心感が漂いました。もちろんここまでの決算で大きな失望が無いことや財政拡大が動きだす気配を見せ始めていることも好感されています。金利の上昇を受けて金融株や根強いインフラ投資への期待から資本財などが相場をけん引しています。3指数揃って3日連続の高値更新です。ダウは142ドル高、2万412ドル。ナスダックは29ポイントの上昇、5,763。S&P500が12ポイントプラスの2,328でした。

【NY証券取引所中継】米 今後の値動きを分析
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏

--週明けしっかりですね。

そうですね。本日の米国株式市場は続伸しています。これまでのところ、企業業績の多くが堅調な伸びを見せていることや、欧州市場が上昇していたことなどが投資家の安心感につながり、特に金融や資本財セクターが上昇しています。

--株価はここまでのボックス圏からようやく抜け出している感がありますよね。

そうですね。これまでは確かにやや動きにくい展開が見られていました。その証拠に、先週金曜日までで38日連続で、S&P500の日中の株価の動きが±1%内に収まっていて、これは1995年以来のこととなります。トランプ政権に対する様子見感が強まっていることも大きな理由の一つです。

--しかも上抜けてきているんですよね。

(フリップ1:小動きのトレンドの後は株価↑)
そうなんですね。過去のデータを見ても90年代前半に変動が少ない日数が増えたことがありましたが、その後は株価が上昇する傾向にあったことが分かります。例えば直近では1995年9月20日に小動きのトレンドが終わった後は、その後およそ3年にわたり株価が上昇しました。

(フリップ2:投資家の不安心理も低下)
現在は投資家の不安心理を示すとされるVIX指数も低下しており、今後の投資家の動向を占う上では、良い環境が見られています。


【NY証券取引所中継】鉄鉱石価格↑影響は?
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏

--週明けも上昇トレンドが続いてますね。

そうですね。NY株式市場は続伸しました。これまでのところ、企業業績の多くが堅調な伸びを見せていることや、欧州市場が上昇していたことなどが投資家の安心感につながり、特に金融や資本財セクターが買われた1日となりました。

--さて兼松さんはある商品価格に注目しているそうですね。

(フリップ1:インフラ投資期待などで上昇)
そうなんですね。鉄鉱石価格が急上昇しています。コチラ2014年7月以来の高水準となっています。トランプ大統領によるインフラ投資への期待や、中国の製鉄各社が中国国内での販売を強化していることが理由です。鉄鉱石と連動して、鉄鋼価格も上昇していて、中国にとってみれば、国内で高く売れる鉄をわざわざ輸出する必要もなく、実際、中国の1月の鉄鋼輸出は2014年6月以来の低水準となりました。

(フリップ2:鉄鉱石鉱山大手の株価)
鉄鉱石の価格上昇を受けて、ブラジルのヴァーレをはじめとする鉄鉱石鉱山大手の株価も堅調な動きを見せています。

--この価格上昇というのはトランプ政権の政策も材料なんですか。

市場の期待は大きいようですが、トランプ政策への期待は実はあまり大きくないというふうに考えています。世界的に見ますと2015年の米国の鉄鉱石市場シェアはおよそ4%で、これに対し中国の市場シェアはおよそ70%。トランプ政策に向けて新たに必要とされる鉄鉱石の量は年間およそ900万トンと予想されていますが、一方で、中国は2015年に9.5億トンの鉄鉱石を輸入していたことも考えると、鉄鉱石市場全体に与える影響とは限定的となります。

--この価格上昇はトランプ政権にも痛手になるかもしれませんが、今後を見るうえではやはり中国がポイントのようですね。

そうなんですね、世界的に見ますと、トランプ政策よりも中国経済の動向のほうが鉄鉱石価格に与える影響は大きいと考えています。中長期的には今の価格上昇をきっかけに、供給の増加も見込まれていることから、鉄鉱石価格は今後調整するとの見方も多いようです。

 
【為替見通し】注目ポイントは「イエレン議長議会証言」
解説はソニーフィナンシャルホールディングスの尾河眞樹氏

--まずNY市場を振り返っていかがだったでしょうか。

日米首脳会談を受けて週明けのドル円はいったん110円台まで上昇しましたけれども、その後はイエレンFRB議長の議会証言待ちで小幅な値動きとなっています。

--今日の予想レンジは、113.00~114.20円です。今回の日米首脳会談、安心感が広がっていますが、このままドル高が続くのでしょうか。

今回の日米首脳会談は日本にとって大成功の結果と言えるんじゃないでしょうか。ただ市場が期待しているアメリカの財政政策がまだ具体的になっていないことや、フランス大統領選の不透明感などもドル円の重しになって、このまま一気に115円の大台を超えていくのは難しいと思っています。

--注目ポイントは「イエレン議長議会証言」です。

質疑応答で、トランプ政権の政策によるインフレの上振れリスクなどに言及するようだと、為替は多少ドル高方向に振れる可能性がありますけれども、昨年12月のFOMC議事要旨では、新政権の財政政策について、規模・厚生・政策の影響について、相当な不確実性があるとしているんですね。従って政策内容が具体的になるまで、FRBは様子見姿勢を続けるはずですから、イエレン議長がトランプ政権の政策について、今回、具体的に言及する可能性は低いと思っています。ドル円相場の影響も限定的で、ドル円は当面110円~115円のレンジ内での推移となりそうです。

【日本株見通し】注目ポイントは「日本企業の稼ぐ力」
解説はマネックス証券の広木隆氏

--今日の予想レンジは、19400~19600円です。

欧米株高ですけど、過去2営業日で500円以上上げてますから、利益確定売りも出やすいとこですね。イエレン議長の議会証言を控えて、ドル円が全く動いていないというのも相場の材料に欠けて、19500円の節目を挟んでの揉み合いじゃないでしょうか。

--昨日は日経平均は上昇しましたけれども、為替の円高方向が重しになりましたね。

(フリップ1:日本株は「為替離れ」)
ええ、確かにそうなんですけれども、株と為替のかい離がこのところ目立ってますよね。局所的な動きは別として、あんまり為替が円高に振れても株価は左右されなくなってきた。為替離れしてきたとも言えるのではないでしょうか。

--その理由は何なんでしょうか。

やはり日本企業の業績改善が顕著だということが背景にあると思います。
(フリップ2:日本企業の稼ぐ力、高まる)
特に円高という逆風を跳ね返して、企業の稼ぐ力が高まっているのが、評価されるところだと思います。東証一部の売上高純利益率が、今年度が4.5%と過去最高になりそうです。ROEも2期ぶりに8%台に乗りそうですけれども、14年度に8%を超えたときより、売上高利益率、マージンが高まっていて、理想的なROEの改善だと言えると思います。欧米に比べるとまだまだ日本のROEというのは見劣りするんですけども、日本のROEが低いのはそもそも本業の稼ぐ力が弱かった。そこがようやく改善する兆しが見え始めた。それが足下が堅調な理由じゃないでしょうか。


■【プロの眼】「IT投資で内需主導経済へ」
世界経済を取り巻く環境が不透明な中、日本経済は外部要因に振り回されがちな傾向にある。円安による外需主導の成長では心もとなく、今後日本経済が腰折れないためには、もっと消費と投資など内需に軸足を置いた成長が必要。そのためには、企業の収益力につながる生産性をさらに向上させる事が必要で、生産性の伸びを改善していかなければならない。日本の設備投資全体に占めるIT投資の割合は欧米に比べ日本は一貫して低く、企業の生産性向上の余地は大きい。IT投資を増やし内需主導型経済にシフトすることが今後日本企業に求められる。解説は経済産業研究所の中島厚志氏。

--テーマは「IT投資で内需主導経済へ」ということですけれども、世界経済を取り巻く環境が不透明な中で、やはり企業に必要なのは内需ですか。

「そうですね。特にいま外需を中心に成長しているんですけど、やはりこれだと、これからのトランプ政権、日米経済関係とかを見ると心もとないので、やはり内需をしっかりする。そのポイントは企業がどう生産性を上げていくかというのが大事になっているんですよね。」

--「生産性」、よく出てきますけれども、では日本の生産性は現状でどうなっているか。コチラは労働生産性の増減、伸び率の推移を示したものなんですが、アメリカ・日本・ドイツの中で、日本はずーっと下がってきて、今すごい低水準ですね。

(フリップ1:日本の生産性は低い)
「そうですね。アメリカも下がってきているんですけど、ただアメリカは90年代にIT革命があって上がってきた。あとは先進国全般に技術革新が鈍化していると言わてるんですけども、ただここでの問題はトレンドなんです。1人当たりの実質GDPを生産性ということで見てみると、日本の落ち方、特に最近の伸びが本当に乏しくなっているということなんですね。」

--日本の伸びが乏しい中で、何が必要なのかというところになってきますけれども、当然、収益を上げるということは賃金や投資を増やしていく、好循環につながる。

「そうですね。まさにそこのためには生産性を上げる。これが賃金、雇用、投資の形で好循環につながる。」

--その生産性を上げるには何が必要ですか。

「基本的には企業の収益を広げることが必要なので、グローバル化とかイノベーションが入るんですけど、ただグローバル化ですと外需を増やすということですから、それはそれで大事なんですが、やはりウエイトとしてはイノベーションを大事にしなければ内需は増えない。内需を増やすためにはまさにイノベーションなんですけれども、ところが問題は、そこで必ずしも日本のイノベーションは、大きく考えなくても、小さく考えてもいいんですが、あまり進んでいないということなんですね。」

(フリップ2:日本のIT投資割合低い)
--イノベーションというのはIT投資という部分も当然含まれていると思うんですけど、日本のIT投資の割合は、設備投資の中でも、他の国と比べるとかなり低い水準ですね。

「そうなんですね。やはりイノベーションをやるためには、IT投資の割合を増やさなくてはいけないんですが、日本の場合には機械への投資が多いということがあるにしても、ここで見ていただくように、相対的に設備投資の中でIT投資の割合が低いし、しかも2000年ぐらいから日本のIT投資の割合というのは横ばいになっている。伸びてないんですね。」

(フリップ3:望まれるIT投資↑)
--なぜ低いのか。中島さんはこれと関係していると見ています。これ(青色のグラフ)がさっきと同じ、設備投資に占めるIT比率です。そこに「非正規雇用の割合が増えている」というグラフ(赤色のグラフ)がくっついてます。どう見たらいいでしょうか。

「そうですね。特に90年代後半、非正規の雇用者の割合が増えてきているんですけど、基本的には安くて柔軟な人が使える、活用できるということで、どうもそっちのほうにウエイトが付いてしまったんじゃないか。それが一因として、ITよりは非正規を増やすということになって、IT投資が抑えられてしまったんじゃないかなということなんですね。」

--ただIT投資とかイノベーションは、結構ハードルの高いもののような気がして、進まない理由もちょっと分かるかなという気もするんですけど・・・。

「いや、そうでもないですね。むしろ2000年以降進んでいないというのは、逆に言うと、この15年間くらいITはずいぶん安くて使い勝手がいいものになってきたということなんで、使わない手はないですね。例えば、美容院で単に人がレジをやったりしているよりは、iPadを入れてそれにちょっとパッケージソフトを入れれば、予約もとれるし、新しい髪形も提案できるし、クレジットカードだってiPadでできるというようなのも今はありますから、ずいぶんコスト安く簡単にIT装備ができるんですね。」

--大企業だけじゃなくて、中小企業もどんどんIT投資をしていくと・・・。

「そうですね。しかも今は人手不足ですから、そういうチャンスですし、さらに言えば、今回の補正予算にもIT導入での補助金が中小企業を対象に付いたんですね。ですからそういう意味ですと、比較的簡単に、しかも補助金を使ってIT装備ができるというのが大変プラスになると思うんですね。」

--人手不足も手伝って内需転換のチャンスであると・・・。

「ええ、まさにこれを使って、どんどんイノベーションを進めて、生産性を上げて、収益力を上げて、内需を確実にしてほしいと思うんですね。」
 

■日経朝特急

メガ銀、フィンテック加速
3メガバンクや大手生保は、金融とITを融合したフィンテックの取り組みを加速する。みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの投資会社は、仮想通貨取引所の国内最大手に出資。三菱東京UFJ銀行は人工知能AIを生かすベンチャーに直接出資した。大手金融はベンチャーとの連携を強め、24時間送金や手数料引き下げといった新サービスにつなげる。


インド再生エネ最大手に出資
東京電力ホールディングスと中部電力は、共同でインドの再生可能エネルギー最大手に出資する。200億円超で第三者割当増資を引き受け、全株の10%を取得する。電気需要が急増するインドで収益拡大を見込む。


景気、緩やかに回復続く
去年10-12月期のGDP国内生産速報値は年率換算で1.0%増と4四半期連続のプラス成長となった。先行きは1%前半の成長になるとの見方が多いが、世界経済の不確実性、賃上げの動向、住宅投資の3つが先行きを左右するリスクに挙げられ、来年以降の成長率については見方が分かれている。


・ 「10-12月GDP、年1.0%増」について

--輸出つまり外需が今回のけん引役になっているようですね。

《経済産業研究所/中島厚志氏》
「そうですね。前期比プラス2.6ぐらいですから、これは基本的に円安と世界経済(米中含め)が底堅いことが一つの背景なんですけども、ただやっぱり高度成長期の日本でも、内需が主として成長を押し上げたんですね。今回、内需が弱いというのがやはり課題だと思いますね。」

--内需はわずかに減少ということでした。
 
 
中国新車販売0.2%増
中国の1月の新車販売台数は、1年前比0.2%増えた。旧正月で営業日数が少なかったことや小型車の減税幅縮小が影響し、世界自動車大手の多くが前年割れになったが、中国独自ブランドの多くが好調で市場全体をけん引した。


■日刊モーサテジャーナル

米環境規制がインフラ投資の障害に(ウォールストリートジャーナル)
トランプ大統領が目指す大規模なインフラ投資について、「実現には時間が掛かるのでは」と報じている。その背景にあるのは、がんじがらめの環境規制。高速道路を作る時に環境面での審査の時間が、最近では10年かかっている。その間、アメリカのインフラの老朽化が進んでいるという。記事によると、1970年に成立した国家環境政策法などによって、インフラ整備を行う場合、環境への影響を詳細に報告する煩雑な手続きが義務付けられたほか、環境関連の訴訟も増えたことから、建設まで時間がかかるようになったという。記事は、「環境保護とインフラ投資はそれぞれ大事だが、両立しにくい面もある」、と指摘。トランプ政権が財政出動を進めるうえで、課題になりえると見ている。
 

スナップのIPO、投資家の反応はいまひとつ(ウォールストリートジャーナル)
写真共有アプリ「スナップチャット」を展開するスナップは、ニューヨーク証券取引所にIPO新規株式公開を申請したが、投資家の反応は今ひとつだ、と報じている。記事によると、投資家は一日あたりの利用者数の伸びが鈍ってきていることや、フェイスブックなどとの競争が激しくなることを懸念している模様だ。今のところ資金調達額は約250億ドルにのぼるとみられている。現在、ユニコーンと呼ばれる企業価値が10億ドルを超える上場前のハイテク企業は150社以上あると言われているが、記事は、「スナップがうまくいかなければ今後、こうしたハイテク企業のIPOが減るかもしれない」、と見ている。
 

米ホワイトハウス記者会見、メディアの勢力図に異変(ニューヨークタイムズ)
7日のホワイトハウスの定例記者会見の記者席の写真。丸で囲ってあるのはスパイサー報道官から質問を許された記者。前の方の席のうち、AP通信などは当たったが、トランプ批判の急先鋒CNN、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズは当てられなかった。代わりに保守系の新興メディアのグレードバード、ワンアメリカニュースネットワークがよく当たっているという。さらにオバマ政権の記者会見で質問した順番を表した表を見ると、オバマ政権発足後、1~3回目の会見では、すべてトップバッターはAP通信で、大手メディアがその後に続いた。しかしトランプ政権の会見では、トランプ大統領寄りで知られるニューヨークポストやワシントンタイムズが最初に質問。記事は、「スパイサー報道官は、ホワイトハウスの伝統を覆し、政権と考えが近い非主流派メディアを優先している」、と批判している。
 

・ 「米環境規制がインフラ投資の障害に」について

《経済産業研究所/中島厚志氏》
「インフラ整備に環境対策のために時間がかかるということですが、インフラ整備は、GDP費でオバマ政権の時0.5%くらい投資をしていますから、それを盛り返すのは必要なことなんですけれども、むしろこれは遅れるということで良いのではないか。というのは、他方で大幅な減税をやると言ってますね。両方やると財政破産してしまうんですね。ところが他方で大幅な減税だけで、法人税だけで、ちょっと計算してみると、20兆円ぐらいの減税幅ですから、10年間で1兆ドル(100兆円)、毎年1年間で10兆円ですね。それと比較すると、20兆円の減税というのは結構インパクトが大きいんですよね。むしろこういうほうが先に来るということで、十分いいんじゃないかなと思いますね。」
 

■今日の予定

中国1月消費者物価指数
1月マンション市場動向
決算(郵政3社、東芝)
ユーロ圏16年12月鉱工業生産
米FRBイエレン議長議会証言
 

■ニュース

トランプ大統領 NAFTA再交渉に意欲
アメリカのトランプ大統領は13日、カナダのトルドー首相とホワイトハウスで初めて会談し、NAFTA=北米自由貿易協定の見直しに改めて意欲を示しました。会談で両首脳はNATO=北大西洋条約機構の重要性を確認し、テロ対策で協力を強化することで一致しました。ただ難民や移民政策をめぐっては会見で両首脳の立場の違いが鮮明になりました。
トランプ大統領は「(カナダとの国境が安全と確信しているか?)完璧な自信を持ってはいけない。危険な人たちを入国させることはできない。」、トルドー首相は「安全保障を損なうことなく、難民の受け入れを追及している。」と述べました。
共同声明はトランプ政権がNAFTAの見直し求めていることを念頭に「自由で公正な貿易取引を促進するため協力する」と明記しました。トランプ大統領は「メキシコと異なり、カナダとは優れた貿易関係を築いていて、これを微調整していくつもりだ」と述べました。それに対しトルドー首相は「NAFTAの見直しはモノやサービスの自由な取引を阻害するものであってはならない」と述べ、トランプ氏をけん制しました。
 

ユーロ圏見通し 0.1ポイント上方修正
EU=ヨーロッパ連合の政策執行機関、ヨーロッパ委員会は13日、最新の経済成長見通しを発表しユーロ圏の成長率の見通しを従来予想から0.1ポイント上方修正のプラス1.6%としました。ECB=ヨーロッパ中央銀行による金融緩和に加え、個人消費も堅調な流れが続いていることから上方修正しました。一方、リスク要因としてはアメリカのトランプ政権の政策運営のほか、イギリスのEU離脱交渉やドイツやフランスで行われる国政選挙の行方を挙げました。ヨーロッパ委員会は「通常よりも高い不確実性が取り巻いている」としています。


OPEC産油量 ↓2.7%
13日公表されたOPEC=石油輸出国機構の月報によりますと、加盟13ヵ国の1月の原油生産量は前の月に比べ2.7%減りました。国別でみるとサウジアラビアの生産量が1,000万バレルの大台を割り込み、OPECが合意した生産割当枠を下回りました。その一方で経済制裁を解かれたイランは増産が認められているほか、政情不安のナイジェリアとリビアも減産の対象外となっているため増産しました。
国別産油量:サウジアラビア日量994万6000バレル(↓49万6200バレル)
 

安倍総理帰国 国会できょう集中審議
日米首脳会談を終えきのう帰国した安倍総理大臣はきょう、訪米の成果を問う予算委員会の集中審議に臨みます。安倍総理大臣はきのう帰国した後テレビ番組に相次いで出演しアメリカのトランプ大統領との会談や一連の日程で、北方領土問題を巡って日本がロシアと交渉することを説明し、理解を得られたことなどを明らかにしました。政府与党では今回の訪米についてその成果を強調します。一方、国会はきょう訪米の成果を問う集中審議を開きます。野党側はアメリカから貿易交渉で厳しい要求があった場合毅然と対応できるのかなど今後の政府の姿勢について厳しく追及する事にしています。
 

ペンス副大統領来日へ 4月に日米経済対話開催で調整
アメリカのペンス副大統領が4月に来日し、麻生副総理との「日米経済対話」の初会合を開く方向で調整に入ったことが分かりました。複数の政府関係者によりますと、ペンス副大統領は、経済団体の国際会合にあわせ4月に来日する方向でその際、政府は麻生副総理との初会合を開催するとしています。
 

キリン コカ・コーラとの資本提携断念
キリンホールディングスはコカ・コーラグループとの提携に向けた交渉に関し、資本提携を断念したと発表しました。ただ、原材料調達や物流で両者が協力するための話し合いは続けるとし「他のメーカーも乗りたいなら歓迎する」と呼び掛けています。
 

西武鉄道 新型車両公開 車いす用スペース広く
西武鉄道は車いすやベビーカー用のスペースを広く設けた新型列車を公開しました。この車両はベビーカーの利用者などが使いやすいよう専用の背もたれを中央部に配置しています。またこの列車には指定席が設けられ、乗車券に加えて平日は大人510円の指定席料を払うことで、通勤路線として利用できます。この新型列車は来月25日から運行を始めます。
 

日販アイ・ピー・エス 海外勤務者向けサイトで情報流出
海外勤務者向けに書籍や生活物資の販売サービスを手掛ける日販アイ・ピー・エスは運営しているCLUBJAPANなど二つのサイトが不正アクセスを受け、最大13万2,000件の会員情報が流出したと明らかにしました。主に会員IDやメールアドレスですが、30件ではクレジットカード情報も流出したといいます。日販アイピーエスでは「お客様に深くおわび申し上げる」とコメントしています。
 

文科省あっせん 慶応大にも天下り 前次官も認識か
文部科学省の元幹部が去年6月に退職後およそ2ヵ月で慶応大学へ再就職していたことが分かりました。組織的天下りの調整役だった人事課OBが仲介していて文科省によりますと、前の事務次官や当時の人事課長も認識していたとみられます。内閣府の再就職等監視委員会が違法の疑いがあると指摘した28件に含まれていて、違法あっせんの問題が拡大する可能性があります。
 

多摩市会社員刺殺 元宅配業の29歳男を逮捕
去年2月、東京・多摩市のマンションで会社員の男性が刃物で刺され、殺害された事件で、警視庁は昨夜、市内に住む、元宅配業志村亮介容疑者29歳を殺人などの疑いで逮捕しました。警視庁は目撃情報などから作業服を着て宅配業の帽子を被った男に犯人を絞り慎重に捜査を進めていました。志村容疑者は「間違いありません」と容疑を認めています。
 

米カリフォルニア州で大雨 大規模ダムが決壊の危険
記録的な大雨でサンフランシスコ郊外にある大規模なダムの水位が上昇し決壊の危険性が高まっています。ダムの排水路には浸食による損傷や巨大な裂け目も確認されています。決壊の恐れが高まっているのはカリフォルニア州北部のオロビルダムで全米一の高さで知られています。AP通信によりますと、地元当局は13日までに少なくとも18万8,000人に避難を命じました。建設からおよそ50年で初めて緊急用の排水路で水が放出されるなど、当局は対応に追われています。
 
 
■【リーダーの栞】ラクスル 松本恭攝(やすかね)社長
ネット印刷を手がけるベンチャー企業ラクスル(東京・品川区)。A4のチラシは1枚1.1円からなど低価格でサービスを提供している。工場は持たず100以上の印刷会社と提携し印刷機の空き時間を活用することで安さを実現した。サービス開始から3年あまりでユーザーは30万を超え急成長を続ける。

その創業者、松本恭攝社長が薦める1冊は「ザ・会社改造」(著・三枝匡/日本経済新聞社)。経営不振企業の再生を専門とする三枝匡氏が機械部品商社ミスミで行った12年に渡る経営改革について書き下ろした1冊。長年の慣習や見込みのない事業を冷徹に切り離す「切断力」。特化すべき事業の絞り込み。開発・生産・営業の連携加速など、競争力を上げる取り組みと成長の過程が生々しく描かれている。

その内容は「仕組みを変えれば世界はもっと良くなる」というビジョンを持つ松本社長にとって大いに共鳴する点があったという。産業の古い体質を変えることの中に商機を見出す松本社長が展開するビジネスの内容と経営哲学を掘り下げる。

松本社長は特に課題は何か、反省は何かという問いかけに強く感銘しサービス改善を推し進めた。挑戦は物流事業にも及んでいる。配送サービス「ハコベル」は1000人以上の運送ドライバーが登録され空き時間を活用し低価格を実現した。


■ビジネス書最新ランキング(2月6日~12日調べ)
1位 はじめての人のための3000円投資生活(横山光昭/アスコム)
2位 嫌われる勇気(岸見一郎/古賀史健/ダイヤモンド社)
3位 アメリカ本国を驚愕させたプルデンシャル生命の「売る力」2(プルデンシャル生命保険・フェイスブック(日出ずる国の営業)運営事務局/プレジデント社)
4位 燃えない電池に挑む(竹田 忍/日本経済新聞社)
5位 やり抜く力(アンジェラ・ダックワース/ダイヤモンド社 )



■【コメンテーター】経済産業研究所/中島厚志氏

・ ヨーロッパ景気、カギは政治リスク

--ユーロ圏の成長率見通し上方修正というニュースがありましたけれども、ユーロ圏は経済状況は良いと見ていいのですか。

「いいですね。いろんなプラスの押し上げ材料があって、ユーロ安・金融緩和に加えて、原油価格も安定しているので、これもプラスなんですね。」

--ただ不確実性もたくさんある中で、やはり気になるのはトランプ政権とのやりとりで、特にドイツですね。

「ドイツは、ユーロ圏の対外貿易黒字の半分がドイツ一国で稼いでいるんですね。ですからやはりドイツ自体がターゲットになってくると、これがユーロ圏を支えているということも事実ですから、どうなるかですね。」

--通貨安批判というところも・・・。

「それも大きいと思いますね。特にドイツマルクが仮にあったとすると、最大で90年比で3割ぐらいしか上がってないんですね。円は8割ぐらいまで上がっていますから、そういう意味では、通貨安をドイツはどうするんだという話があった時に、通貨を動かさないで、もっと財政を吹かせとか、そういう話になる可能性は今後あると思いますね。」


・ 今日の経済視点 「ITで耐力を高める」

「これは企業耐力ですね。基本的には生産性が日本企業の場合、相対的に低いとか、ということは収益力が低いということなんですが、これはサービス業が結構低くて、そこは中小企業が中心なんですね。従って中小企業、サービス業ということになるんですが、そういうところは特に最近、手軽に、かつ安く、ITが入れれるようになってますので、それを入れてぜひ効果を高める。これが今やるべきことだと思うんですね。」

--やるべきこととはわかっていても、なかなか中小企業は動き出さない。どうでしょう、今回は動き出しますか。

「ええ、確かにIT革命の時も1つのチャンスがあったんですけど、その時も中小企業はなかなか動かなかった。その背景には先ほどちょっとご説明したように、非正規雇用が増えているとかいうことがあったんですが、いまは逆に人手不足が深刻化してきて、なかなか人が採れなくなってきている。それでお店を閉めるよりは、むしろITを導入して、それによって手軽に効果を上げるといういいチャンスだと思うんですね。」

--そういう意味では、今回は、人手不足という必要に迫られた状態になっていると・・・。ピンチをチャンスに変えるとはまさにこのことかもしれませんね。


2017.2.13 Newsモーニングサテライト

2017年02月13日 17時00分37秒 | MS
■マーケット

注目はFRBイエレン議長の議会証言
週末は3指数揃って連日の高値更新でした。しばらくボックス圏が続いていた株価が上抜けるのではとの期待も高まっています。先週トランプ大統領が税制改正について言及をした事をきっかけに市場に活気が戻り、本当のトランプラリーはここからとの楽観的な声も聞かれます。OPECの減産が合意内容に向かって順調に進み原油価格が回復してきている事も好材料でした。一方、14日からの議会証言でのイエレン議長の発言や、さらに入国に関する新たな大統領令の観測など攪乱要因が控えている事には注意が必要のようです。金曜日の株価です。揃って続伸でした。ダウは96ドル高の2万269ドル。ナスダックは4日続伸、18ポイント上昇の5,734。S&P500も4日続伸、8ポイントプラスの2,316でした。
 
【アメリカの専門家インタビュー】
《BNPパリバ・インベストメント・パートナーズ/ステーィブン・フリードマン氏》
(1) 議会証言“政治的議題”に注目
今週、FRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長が議会証言を行います。トランプ政権発足後、初めてとなる議会証言で新政権について議長はどのように証言するのか注目が集まります。
「今回の議会証言は、政治的課題が非常に重要だ。FRBはこれまでになく、大きな政治的リスクを負っている。FRBの独立性や政策決定の権限などが脅かされている。トランプ大統領のFRB理事指名によって、理事会メンバーの構図が根本的に変わってしまう。トランプ大統領は独立性を保ってきたFRBの政策決定に多大な影響を与えるだろう。また民主党・共和党は政策が自分たちに有利に傾くよう議長に圧力をかけるだろう。」
(2) 利上げは6月以降
一方、次の利上げの時期について、フリードマン氏は6月だと見ています。
「アメリカ経済は良好だが、インフレ率は非常に低いままだ。そのためFRBは利上げにはとても慎重だ。3月の会合では利上げは見送るだろう。景気拡大が続くとともに、景気に打撃を与える保護主義政策が実施されなければ、利上げは6月と年後半に1回か2回行われるだろう。」
 
【為替見通し】注目ポイントは「日米経済対話」
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏

--まず先週末の為替市場はいかがでしたか。
アメリカにおいて法人税減税に関する驚異的な関するプランが近日中に発表されるとの思惑から、株価高、債券安、ドル高の展開。前週比では今年に入って初の上昇となりました。

--今日の予想レンジは、113.00-114.80円です。日米首脳会談を受けて、ドル高が進むと予想されていますね。
はい、先週から続くアメリカの減税期待と日米首脳会談を無事に終えたことで警戒感が薄れ、テクニカル的には抵抗感が強いと思われる115円のラインを再びトライするものと想定しています。

--注目ポイントは「日米経済対話」です。
はい、トランプ氏のインフラ投資拡大構想を自国の財政赤字拡大を招かずに早期実現化するカギが、日本をはじめとする域外諸国の官民マネーでファイナンスすることです。日米首脳会談では安倍総理大臣がこれ提案し、トランプ大統領も大筋で合意したのではないでしょうか。今回、新設されることになった日米経済対話は、その計画策定並びに進ちょく確認のためのツールであり、為替は当面政治的に取り扱わないことを確認したとみています。マクロ政策の方向性が明確になるに連れて、ドル高圧力が強まると見ており、グローバルの資産市場では比較的早期に株高、ドル高基調が鮮明になるものと想定しております。

【日本株見通し】注目ポイントは「相場のリード役」
解説は岩井コスモ証券の林卓郎氏

--今日の予想レンジは、19200~19500円です。
注目されていた日米首脳会談は無事通過と言えるかと思います。本日の日経平均は週末の大幅高に対する利益確定の動きが想定されますが、円相場の落ち着きやトランプ警戒の緩和を背景にしっかりした展開を予想します。足下の決算発表を通じて企業業績の持ち直しがしっかりと確認されていますし、また季節的に2月半ばごろに株価が反転上昇に向かう傾向があることも支援材料と言えます。

--注目ポイントは「相場のリード役」 です。
(フリップ:相場のリード役、依然堅調)
11月以降のトランプラリーを主導したリード役の動向に注目しています。業種別TOPIX17分類で、大統領選直後の1ヵ月間、上昇率の高かった銀行・金融・エネルギー・鉄鋼の4業種について、平均推移を見てみますと、急騰後の一服症状から1月半ば以降は直近まで再度上向きの傾向を保っています。全体相場が冴えない中でも、堅調な足取りを保ったということで、トランプラリーがさらに持続する可能性を感じさせます。

--しかし今後もマーケットに大きな影響を与えるトランプ大統領の動きというのが注目ですね。
はい、これらのリード役は金融など景気敏感株ということで、今後を見通す上ではやはり金利等を含む米国景気の見方がカギを握ると言えます。先週前半のようにトランプ氏の政策停滞感が強まれば、株価ももたつくということになりますけれども、この首脳会談を経て、経済政策への注目度も再度高まるのではないかと見ています。
 
■【エマトピ】フィリピン ドゥテルテ政権 積極外交続く

フィリピンではドゥテルテ大統領就任から半年を超えたが、いまだ人気の衰えはないといいます。また日本と中国に対する積極外交も続き着実に海外から投資資金を集めているといいます。解説はBDOノムラ・セキュリティーズの片川弘一氏

(フリップ1:フィリピン・中国を上回る成長)
--まずは経済状況を見てみましょう。先月末に発表された16年通期のGDP成長率は前年比6.8%と高い成長を達成しました。出稼ぎ労働者からの送金が増え、GDPの7割を占める消費が好調でした。数年間減速が続いている中国を初めて上回りました。そして最新の失業率も4.7%とここ10年で最低値を更新しています。

《BDOノムラ・セキュリティーズ/片川弘一氏》
--さてドゥテルテ大統領が就任して半年が過ぎましたが、人気の衰えというのはないのでしょうか。
「はい、支持率は83%と、まれに見る高い数字を維持しています。その背景には大統領が推し進める政策にあります。例えばフィリピンから貧困をなくすことを重要政策に掲げていますが、これに政策に沿ってドゥテルテのレストランという施設を去年10月に作りました。このレストランでは貧しい人々に食事を無料で提供していて、フィリピン国内のテレビ各局で頻繁に報道され、弱者の見方である大統領というイメージに大きく貢献しています。」

--国内の基盤というのをしっかり固めていますよね。一方で、外交もかなり積極的ですよね。
「はい、特に日本と中国にターゲットを絞って、積極外交を繰り返しています。先月、ドミンゲス財務相が中国を訪問、貧困対策を中心に総額37億ドルの投資について詳細を決めました。これは去年、中国から取り付けた150億ドルの投資の一部をさっそく具体化させた形です。また先月、安倍総理との間で決まった1兆円規模の支援について、今月中旬にも詳細を詰めるため財務相が訪日すると、こちらの一部報道が伝えていて、具体的には交通渋滞が慢性化しているマニラ首都圏の交通システムの投資などを日本が検討しているということです。」

--着実に投資資金を集めているようですね。
「そうですね。フィリピンが海外から投資を増やすためには、治安・安全問題、汚職問題、交通・道路など社会インフラの充実が重要と考えられます。ドゥテルテ政権は特に治安・安全問題、汚職においては、過激的とも思われる超法規的な方法までも使ってでも早く社会を変えようとしています。社会インフラの充実に関しても、日本・中国の支援を早々に実現させていければ、フィリピンのビジネス環境を大きく改善させ、海外からのビジネス投資がさらに伸びるのではないでしょうか。」

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:2月10日~12日、対象:番組出演者33人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19600円)、先週の終値(19378円)
《マネックス証券/広木隆氏》(19800円予想)
「日米首脳会談が無事に通過したことで、あらためて好決算を評価する動きになる。」
《DZHフィナンシャルリサーチ/東野幸利氏》(19200円予想)
「ドル円が伸び悩み、輸出株に戻り売りが出る。」
 
(2) 今週末のドル/円予想
予想中央値(114.00円)、先週終値(113.24円)
《三菱UFJモルガンスタンレー証券/植野大作氏》(114.50円予想)
「日米首脳会談で日本名指しの通貨安批判への警戒感が一旦ほぐれ、アメリカの減税策発表への期待で円安ドル高気味の展開になる。」
《東海東京証券/佐野一彦氏》(112.50円予想)
「アメリカの減税策の内容ははっきりせず、引き続き具体化待ちの状況。ドル円はレンジ内で動くと見る。」

3) 米利上げ次期予想
3月(6%)、5月(12%)、6月(76%)、9月(3%)、18年以降(3%)、最も多かったのは6月の76%、先週から17ポイント上昇。一方、来月の利上げ予想は12ポイント低下し、6%にとどまった。

(4) モーサテ景気先行指数
47(改善)

■【特集】日米経済対話 鍵を握る人物は
安倍総理大臣は10日、アメリカのトランプ大統領と会談し日米同盟と経済関係を一層強化することを確認しました。さらに、麻生副総理とペンス副大統領が主導する経済対話の枠組み新設することも決めました。今後の日米対話の行方と重要人物について、双日総研の吉崎達彦氏が解説します。
 
--まず会談が終了して、率直にどんな印象を受けましたか。
「すごく予見可能性が高まったと思います。先週の金曜日の夕方までは、これは来週どんなことのになるのか、全然想像がつかなかったんですけれども、終わってみれば非常に良かった。特に19秒間の握手は、どう見てもこの2人の関係は良いなということを世界中に印象付けたと思います。それから経済のことで言うと、麻生副総理とペンス副大統領、お互いナンバー2同士の枠組みというのができた。これができたことによって、このあと例えばトランプさんが不規則発言をしても、『いや、それはもうナンバー2同士でやっていますから』ということで、余計なことにならない、それが非常に良い仕組みができたと思います。」

--日本にとっては満額回答と言ってもよさそうですか。
「いいんじゃないでしょうかね。」

(フリップ1:日米経済対話、枠組み)
--そしてやはり注目なのは新たな経済対話の枠組みというところですけれども、「マクロ経済政策」、「インフラなどの経済協力」、「2国間の貿易」、この3つの分野を話し合うということですね。
「ペンス副大統領というのは、元インディアナ州知事なんですね。インディアナ州というのはご案内の通りラストベルトの真ん中にあるんですけれども、ここだけは製造業が悪くない。それは何故かというと日本企業がいっぱい工場を作っていて、いわばペンスさんは日本企業の貢献ということを一番よく知っている人なんですね。そういう人が向こう側のヘッドになってくれたということは、日本側としてはすごい安心感があると思います。」

--直前の2月3日に、豊田社長と安倍総理が会ったりしたのも、そういう部分があったのかなと・・・。
「そうなんですね。豊田さんは向こうデトロイトへ行った時にも、ペンス副大統領と会っている。ですから、いざとなったらこの手がありますよ、みたいなことをどうも耳打ちしたのかもしれないなと思いますね。」

--麻生副総理とペンス副大統領、ナンバー2による枠組みですけれども、大統領抜きというのが1つのポイントなんですよね。過去にもそういう例というのは他にもあるんですか。
「えーと、これはちょっと国は違うんですけど、米中戦略経済対話というのが、考えてみるとよく似ているんですね。つまり中国のというのはとにかくトップのメンツが何よりも重い国なので、そこで外交安保と経済担当の、お互い閣僚同士で対話をやって、トップを絡めないという仕組みを作ったことによって、米中が決定的な対立に陥ることを避けた、というのがあるわけです。今回の場合も、1番守らなければいけないのが、アメリカ大統領であって、それがなるべくなら、ちょっと傷がつかないようにしておくという仕組みを作ったというのは非常に良かったと思います。」

(フリップ2:日米首脳会談、アメリカ側出席者)
--今回トランプさん抜きというのがポイントとあるわけなんですけど、ただペンス副大統領さえ押さえておけば大丈夫というわけでもないということで、こちらは日米首脳会談の出席者なんですけれども、どうでしょうか。
「これが大統領、副大統領、それから(フリーバス)首席補佐官は秘書室長みたいなもんですからこれは当然ですね。それから(フリン)NSCの担当補佐官もマストです。そうするこの2人(バノン・クシュナー)は何なんだ。特にクシュナーさん(36歳)は若いですよね。この人は一体何をやっているんだろう。ただ今はこの人が事実上もう官房長官みたいになっていて、みんながトランプさんのところへ話をつけようとすると、みんなこのクシュナーさんを通すという役割になっているみたいですね。」

--なるほど、そしてクシュナーさんとバノンさん、この2人がこの出席者から見ると、トランプ政権の重要なカギを握っているのではないかと・・・。
「時々、歴代政権でもこういうことがあるんですが、この人は大事だからどんな会議でも参加していいという、お墨付きをもらっている、それがどうもこのスティーブ・バノンさんらしいということなんですね。」

(フリップ3:ホワイトハウス内、力関係は)
--この中での力関係というが、ホワイトハウス内の執務室の配置を見ると、また見えてくるというので、それがコチラです。これはどう見たらいいでしょうか。
「これはもう公開情報を総合したものなんですが、これがウエスト・ウィング、ホワイトハウス内の執務棟です。大統領執務室があって、重要人物というのはみんな角部屋とかにあって、誰にも見られずに直接大統領の部屋に行ける人が2人(バノン・クシュナー)いるんです。ほかの人はみんな通路を通らないと行けないんですけど、それは当然みんなカメラで見られているんですが、ここの2人だけは腹心なのでトランプさんに直に会える。これが歴代の腹心を置く部屋に入っているということなんです。」

--そしてこのクシュナーさんとバノンさんというのは、トランプ政権の大統領選挙の時から支えてきたポピュリストとも言われていますね。
「特にバノンさんが選挙公約で言ったことは全部やれという方向で誘導している。逆にこっち側(左側)の共和党の人たちから見ると、もうちょっと現実路線で行ってほしいと・・・。力関係でいうと、今はバノンさんを中心に、トランプさんを過激な路線に誘導しているというふうに見ることができると思います。」

--今回の日米経済対話の中で、ペンス副大統領から切り崩しにかかったということは、この先この2人(バノン・クシュナー)がそれを邪魔してくるという可能性というのはどうでしょうか。
「どうですかね。これはまだあくまで序盤戦なんですが、日本側としてはこっち側(共和党)の路線に流れができてくるといいなということなんだと思います。」

--今のところは「希望」ということですね。ではその貿易摩擦再燃の懸念について、どういう見立てがいいのでしょうか。モーサテサーベイで聞いてみました。
(フリップ4:日米貿易摩擦の再燃は)
ある(27%)、ない(30%)、どちらとも言えない(42%)

--意見が分かれているということは、まだ不透明感が少し残っているのかなという・・・。
「私もこれは『どちらとも言えない』に入れちゃいましたけれども、まだ難しいですね。ただかなり不透明性が消えたということは素直に評価していいと思います。」

■【NY便り】トランプ大型減税の効果を占う
公約を次々に実行しているトランプ大統領ですが、市場も待ち望んでいる政策の1つが減税です。具体的にどのくらいの効果があるのか大和総研NYのエコノミスト、橋本政彦氏による解説です。
 
(フリップ1:トランプ大統領の減税策は?)
--公約を次々実行しているトランプ大統領なんですが、市場が最も期待している内の1つが減税です。具体的にどのぐらいの影響があるんでしょうか。まずはおさらいも含めてですが、その減税には企業向けと個人向けがあります。どのぐらいの減税が想定されているかというと、所得税の最高税率が39.6%から33%に下がる、法人税の最高税率も35%から15~20%に下がると、検討されています。こういう数字が出ているということは、経済効果も計算しやすいんですか。
「法人税に関しては減税されたとしても、企業が給与に回すのか、設備投資に回すのか、株主還元に回すのか、というところで使い道が分かりづらいので、経済効果というのは考えづらくなります。一方の所得税に関しては個人は消費に回すか貯蓄に回すかということになりますので、効果はある程度、試算しやすくなります。」

--ということで今日は個人向けの税制改正について、的を絞って見ていきたいと思います。ちょっと説明していただけますか。
(フリップ2:減税の好影響、高所得者に大)
「所得水準ごとの減税のインパクトをわかりやすくするために、5つの区分に分けて表示しています。それぞれに関して、税引き後所得の増加分というのを、トランプ案と共和党案を示しています。一番右が全体に対する影響ということになります。」

--これを見てアッと思うのは、高所得者のほうが減税の影響が大きいんですね。
「トランプも共和党も全ての人に対して損にならないように税制変更をするというふうに言っていますけれども、現在の累進課税制度自体が、富裕層に厳しく低所得者層に優しい制度になってますので、それを是正するという意図があるようです。」

--もう1つなんですが、緑と青で、緑(トランプ案)のほうが軒並み効果があるんですね。これはどうしてですか。
「これは税控除の範囲など、税率以外の変更の違いになります。共和党案のほうが控除できない額が多くなりますので、トランプ案よりもメリットが小さくなるということになります。」

--ただ所得が増えたからと言って、すぐに消費に回すかどうかというのは問題がありますよね。
(フリップ3:低所得者は消費拡大)
「そこで増加した所得というのを、どれだけ消費に回すかというのを示した限界消費性向というものを見ていきたいと思います。コチラを見ていきますと、高所得者のほうが低くなっています。高所得者に関しては普段から余暇消費も含めて十分に消費していますので、追加的に所得が増えたとしても消費に回す割合は低くなるということになります。逆に言いますと、減税規模が大きい高所得者の所得の増加というのがGDP等に与える影響に関しては、若干割り引いてみる必要があるかと思います。」

--そうなんですね。じゃあ具体的に全体としてGDPにどれぐらいインパクトがあるんですか。
「トランプ案のほうを元にしますと、全体の変化幅、所得が4%増えるということになりますので、そのうち半分が消費に回るというふうに考えれば、2%程度消費が増えることになります。GDPに占める個人消費の割合は7割程度になりますので、GDPは1.4%程度押し上げられるという計算になります。」

--となると経済全体へのインパクトは、どう考えたらいいんですか。
「足下、去年の10-12月期のGDP成長率は前期比、年率で1.9%。2016年通年で1.6%でしたので、1.4%の押上となるとかなり大きな効果と言えるかと思います。」

--ほんとにかなりですよね。それで今トランプ案で計算しましたが、共和党案は半分ぐらいですから、そうすると数字的には・・・。
「(共和党案では)所得が2%程度増えますので、GDPに対しては0.7%程度と、コチラでもインパクトは決して小さくはないと言えるかと思います。」

--だから市場も案外待っているということがあるんだと思うんですよ。これは法案が通れば、すぐに効果が出てくるものと考えていいんですか。
「税制変更に関しては1月1日付で行われることが多いため、今回は2018年1月からではないかと思われます。」

--つまりほぼ1年後。そのタイムラグも市場は織り込んでいると考えていいんですか。
「経済効果に関しては2018年からと見る向きが多くなっていますので、おおよそ織り込まれているということになるかと思います。」

--そこはあまり失望ではないということですね。それで市場では、やるのはいいんですけど、財源をどうするんでしょうか、というのが大きな疑問点だと思うんですが、それをまとめて頂きました。ちょっと解説してください。
(フリップ4:トランプ大統領は楽観的?)
「共和党案・トランプ案、両方とも共通して減税による景気加速。景気が良くなることで税収が増える効果というのを見込んでまして、それで減税分を補うということを言っています。」

--よく言われる上げ潮派とか、そういう感じですね。
「プラスαでトランプ案に関しては、国防費以外の歳出を1%以上減らすというふうに言っていますが、この規模自体はさほど大きくはありませんし、減税による減収分が共和党案のほうが小さくなってますので、共和党案のほうがどちらかというと財政規律的で、トランプ案のほうが楽観的と言えるかと思います。」

--この両者を比べると、確かに共和党案のほうが規律的なんでしょうけど、このフリップを見ると、先ほど上げ潮派とか言いましたけど、どっちにしてもすごい緩いなというと失礼なんですけど、そう思ってしまうんですけど実際問題はどうなんでしょうか。
「仰る通り共和党案にせよ、トランプ案にせよ、経済成長に財源を依存するということになりますので、不確実性がかなり高いということになるかと思います。特にトランプ氏に関しては、インフラ投資など財政支出に関しても前向きですので、財政収支の悪化というのが大きな問題になる可能性があるかと思います。」

--実はこの税制に関しては、先週驚くべき税制改正の発表が2~3週間のうちに・・・。ということは今月中ぐらいに出てくるのかもしれません。エコノミストから見ると何がどうなると、驚くべきことになるんでしょうか。
「やはり一番は、減税の規模が大きくなればなるほど、サプライズということになるかと思います。」

--両方ともその可能性がありますか。
(再びフリップ1:トランプ大統領の減税策は?)
「そうですね。特に法人税に関しては、15~20%というふうに書いてますが、共和党とトランプのほうで意見が分かれているというところで、これがトランプの主張している15%というところに寄ってくると、やはりサプライズということになるかと思います。」

--もしかしたら、これが10%とかいうことにはならないんですね。
「そうなってきた場合にはより大きなサプライズになります。」

--でもこの5%って、小さくないと思うんです。この詰めというのはうまくいくんでしょうか。
「そうですね、最終的に予算ですとか、法案に関しては、議会が権限を持っているというのがアメリカの制度の特徴になりますので、今後トランプ氏がいろんな主張を出して来るわけですけれども、最終的にそれが議会でどのように調整されていくかというところがポイントになるかと思います。」

--落としどころになるということなんですね。
 
■日刊モーサテジャーナル

欧米新聞が注目、日米首脳の“親密さ”
日米首脳会談について、欧米の新聞各紙は大きく報道している。ウォールストリートジャーナルは、2人の握手するアップの写真を掲載、この2人は様々な利害関係が一致することから、親密な関係を築けるのではと伝えている。記事は、外国の首脳が移民政策を理由に、トランプ大統領との個人的関係構築に二の足を踏む中、ほとんど移民を受け入れていない日本にとって、アメリカの移民政策はそれほど大きな障害にならないと分析。また安倍総理とトランプ大統領は同じようにロシアのプーチン大統領と親交を深めようと模索している他、在日アメリカ軍の駐留経費について、トランプ大統領が日本側の負担増額を求めていることについても、安倍総理が目指す戦後の平和主義からの脱却と一致している面もある、と見ている。一方、NYタイムズは、2人がゴルフをする様子を取材できなかったことに反発、トランプ大統領が所有するリゾート施設「マー・ア・ラゴ」にとって宣伝効果は抜群だった、と利益相反を懸念している。

米FRBタルーロ理事は辞任、金融規制で大きな変化(ウォールストリートジャーナル)
FRBのタルーロ理事が4月に辞任する意向を明らかにしたことについて、金融規制を巡り大きな変化が訪れようとしている、と報じている。タルーロ理事は金融危機の後、オバマ大統領に指名され、ストレステストの強化など銀行に対する規制に進めてきた。ウォール街では不思議なほど強い推進力から、オズの魔法使いと恐れられていたという。FRBの理事のポストは、今回のタルーロ理事の辞任で3人が空席になり、トランプ大統領が指名できるFRBの理事が増えたため、規制緩和が加速するのではないか、と伝えている。

米ハイテク企業、目指すはカナダ/バンクーバー(ワシントンポスト)
多くの移民を従業員として抱えるシリコンバレーのIT企業。トランプ大統領の移民政策に嫌気が差して、お隣のカナダのバンクーバーに拠点を移す動きが出ている、と報じている。バンクーバーは移民に寛容な政策を掲げるほか、飛行機で約2時間とシリコンバレーから比較的近くに位置している。またハイテク企業の社員が好むと言われるスキーやバイキングなどのレジャーも充実。実際、カナダの法律事務所では、アメリカからの移転に関する問い合わせが増えているという。記事は、「トランプ大統領の移民政策の影響で、世界でもトップクラスの頭脳をアメリカにつなぎ留めておくことが難しくなっている」、という懸念の声を伝えている。
 
・ 「米FRBタルーロ理事は辞任、金融規制で大きな変化」について
--タルーロ理事辞任のニュース、FRBは規制緩和を加速していく流れになりそうですか。
「そうですね。理事の空席が3人ということですが、これはこの後、来年になると、たぶんイエレン議長も再任を求めず、フィッシャー副議長もひょっとすると同じ。ということは相当FRBのメンバーが変わるということですよね。」

--そうなると規制緩和が加速していく。あと利上げについては見通しとしてはどうなっていくのですか。
「そこのところはちょっと見えにくいのですが、この後、トランプ大統領がどういうメンバーを新たに加えていくか、それによって来年以降の金融政策が相当変わっていくんじゃないかと思います。」

--どんなメンバーが来そうですか。
「これは本当にただの推測ですけども、トランプさんというのはただの学者を指名することは無いんじゃないか。そうするとむしろ実務家が選ばれる。そうするとここまで約10年ぐらいやった流れと相当変わっていくんじゃないかという気がしますね。」

--そうなると経済が温まって温まり過ぎたときに、歯止めが利かなくなるんじゃないかという懸念も出てくる・・・。
「そっちのほうのリスクが出てくるかもしれないですね。」
 
■今週の予定
2月13日(月) 10-12月期GDP(速報値)
2月14日(火) 決算(東芝、郵政3社)、中国1月消費者物価指数
2月15日(水) 米1月消費者物価指数・小売売上高、米FRBイエレン議長議会証言(~16日)
2月16日(木) ECB理事会議事要旨、G20外相会合(ドイツ~17日)、米1月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数
2月17日(金) 英1月小売売上高

■今日の予定
10-12月期GDP(速報値)
決算(サッポロHD、キリンHD)
インド1月消費者物価指数
 
■ニュース

米FRBフィッシャー副議長 「トランプ政権の財政政策に不確実性」
FRBのフィッシャー副議長は11日、イギリス中部のコベントリーで講演し、トランプ政権の財政政策について「不確実性が大きい」と指摘しました。今後の推移を注視する構えです。フィッシャー副議長は財政政策のほか、トランプ政権が目指す金融規制の緩和に関し「金融機関に対する資本基準を大幅に引き下げれば金融システムの安全性を大きく低下させる。そうならないよう強く望む」と釘を刺しました。

独大統領にシュタインマイヤー前外相
ドイツ連邦大会議は12日、シュタインマイヤー前外相を新大統領に選びました。登壇したシュタインマイヤー氏は「統合したヨーロッパの自由と民主主義を守らなければならない」と訴えました。シュタインマイヤー氏はメルケル首相率いる「キリスト教民主・社会同盟」と中道左派、社会民主党の連立与党の統一候補で、他の候補に大差をつけ、新大統領に選ばれました。
シュタインマイヤー氏(931票)ブッターウェッゲ氏(128票)グラーザー氏(42票)

安倍総理が帰国の途 日米ゴルフ外交の成果は
安倍総理大臣は12日、アメリカのトランプ大統領との会談など一連の日程を終え、帰国の途につきました。およそ5時間にわたった「ゴルフ外交」の成果について現地から内田記者の報告です。安倍総理とトランプ大統領は11日、フロリダ州にあるトランプ氏所有のコースでゴルフ外交を展開しました。2人のプレー時間は27ホール、およそ5時間に及びました。
こうした中、北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射し、約500キロ飛んだあと日本海に落下したとみられることが分りました。両首脳は急きょ、そろって会見に臨みました。日米の結束をいち早く内外に示したことは、安倍総理がトランプ大統領と築いた信頼関係の賜物と言えそうです。ただ一連の日程でトランプ大統領のマイペースぶりが目立ったのも事実で、そんなトランプ大統領に安倍総理が寄り添ってゆく構図が鮮明になりました。

北朝鮮発射のミサイル 「ムスダン」改良型の可能性
北朝鮮がきのう発射したミサイルについて、韓国軍の合同参謀本部は、飛行速度などから新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」の改良型の可能性が高いとの分析を明らかにしました。ムスダンは射程3,000キロ以上で日本全域とグアムを射程に収めることから日米をけん制すると同時に、アメリカのトランプ政権の出方を探る狙いがあるとみられます。

落雪・雪崩に注意 西日本きょうも断続的に雪
西日本の日本海側ではきょうも断続的に雪が降り続く見込みです。鳥取市ではきのうも積雪が平年のおよそ10倍の88センチに達するなど各地で平年を大幅に上回る積雪量となりました。今週半ばには気温が高くなると予想されていて今後は雪どけによる落雪や雪崩などに注意が必要です。

韓国特別検 きょうサムスントップを追加聴取
韓国の朴槿恵大統領の疑惑を調べる特別検察官の捜査チームは、贈賄の疑いなどでの逮捕状請求が棄却されたサムスングループの経営トップ李在鎔・サムスン電子副会長の追加の事情聴取をきょう、行うと発表しました。捜査チームは、サムスンが朴大統領とその友人に40億円以上の賄賂を贈った疑惑について「新たに確認された事項を聞く」とし、近く逮捕状の再請求の可否を判断する可能性があると説明しています。

■【コメンテーター】双日総研/吉崎達彦氏

・ 米中電話会談、トランプ大統領の真意
--日米首脳会談が行われましたけれども、その直前に米中関係にちょっと変化の兆しがありましたね。
「ええ、電話会談を行わって『一つの中国』の原則も認めるという、結構、衝撃的なニュースが入って、その時に日本の一行はもう既に飛行機に乗っているわけなんですね。ではこれは事前に報告があったのかというと、たぶん無くって結構、日本側としてはドキっとという感じだったかと思います。」

--ただ習近平さんに対して『一つの中国』を尊重するというのは、ある意味、接近とも取れますけれども、この関係の変化というのはどう影響してきそうですか。
「おそらく日本の首相と会う前に、一度中国に仁義を切っておく。そうしないと中国が敏感にいろいろと慌てるだろうという配慮だと思います。それはどうもティラーソン国務長官が進言して、それをどうも受け入れたいうふうに言われてますので、最近のトランプさんは結構、部下の言うことを聞くようになっている。それが今回の日米首脳会談でも発揮されているのではないかなと思いますね。」
 
・ 今日の経済視点 「日米ゴルフ」
「おそらく安倍さんから見ると、長年の宿願がやっと実現したという感じじゃないかと思うんですね。(この写真は)1957年6月19日、今から60年前、当時の岸信介総理が訪米して、アイゼンハワー大統領と一緒にゴルフをしたときのもの。その右側にはブッシュお祖父さん、つまりプレスコット・ブッシュ上院議員もいた。安倍さんはこの写真を、自分が2006年秋に首相になった時に、ブッシュ大統領に手渡しているんです。できれば孫同士でやりたいと思っていたらしいんですが、それは自分がすぐに辞められたので出来なかった。オバマ大統領ともできなかった。とうとう実現した。しかもこの時アイゼンハワー大統領は、記者団に対してこんなことを言っているんです。『時には大統領は嫌な奴ともなんかにこやかにやらなきゃいけないけども、ゴルフは好きな奴とでないとね。』と言ってるんです。」

--そういう意味では今回ゴルフを27ホール回った。非常に関係は良いと見ていいですね。ただ今後はまだ不透明な部分も少し残っているということですね。
 

2017.2.10 Newsモーニングサテライト

2017年02月10日 21時38分20秒 | MS
■マーケット
 
NYダウ118ドル高 最高値更新
今年の冬は暖冬といわれ、ここまで気温が低い日も少なかったのですが、一変しました。9日のNYは風もあり、時折横殴りの吹雪のような状況。この雪の影響でNY市の多くの学校は休校になりました。また3,800便以上のフライトがキャンセルになっているということです。さて9日のNY株式市場ですが、株価はそろって反発しました。トランプ大統領が近く税制に関する発表をすると発言したことを受け、金利が上昇し金融株がしっかり。原油価格の持ち直しでエネルギー株も上昇し、相場をけん引しました。セントルイス連銀のブラード総裁が物価上昇圧力は抑えられていて、低金利の継続を示唆したことも安心感につながったようです。終値は3指数とも高値を更新しました。ダウは反発。118ドル高の2万172ドル。ナスダックは3日続伸、32ポイント上昇の5,715。S&P500も3日続伸、13ポイントプラスの2,307でした。

【NY証券取引所中継】米消費関連 コスト削減で明暗
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏
 
--主要指数しっかりですね。
 
はい、トランプ大統領が税制改革について、「数週間以内に発表する」と示唆したことが材料視され、株価は堅調です。航空業界の規制緩和などにも言及したことで、航空大手の株価上昇も目立っています。
 
--さて今日発表された決算で、注目の企業があるようですね。

個人消費関連の安定銘柄の代表格、ケロッグとコカコーラです。両社とも10-12月期決算については、特段、問題はなかったのですが、差がついたのは2017年の見通しです。コカコーラは2016年に比べ、市場予想の3%増益に対して、1~4%減と厳しいものになった一方、ケロッグは市場予想のプラス6%に対し、プラス4.5~6.1%と、そこまで大きな下振れにはならず、株価もしっかりしています。
 
--この違いは何なんでしょうか。

これはコストカットによる効率化です。ケロッグは昨年の夏から利益率向上のプログラムを打ち出して、不要なディスカウントをやめたり、製品のサイズを小さくして単価の引き上げなどを進めています。こういったコストカット余地がまだあるケロッグに対し、コカコーラは既に効率化されており、大規模なコストカットは掲げにくいという点が見通しにも表れたようです。
 

【NY証券取引所中継】米株はドル高を織り込んでいない?
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏
 
--久々のしっかりとした動きですね。

そうですね。トランプ大統領が税制改革について、「数週間以内に発表する」と示唆したことが材料視され、株価は堅調です。航空業界の規制緩和などにも言及したことで、航空大手の株価上昇も目立っています。
 
--さてアメリカ経済の先行きを考えるにあたって、ドルの動きが気にされてますよね。

はい、先日、ワシントンでの取材で、ブッシュ政権・オバマ政権のもとで、2007~2014年までIMFスタッフとして活躍していた為替の専門家は、はっきりと「ドル高の懸念」に言及していました。トランプ大統領の発言などノイズはあっても、今後予定されている政策などを考慮すれば、避けられない動きで、ワシントンではこういった見方が大勢だったように感じました。
 
--一方でここまでの株式市場の反応はどう見たらいいですか。

今の株式市場は今のドル高の影響をほとんど気にしていません。それは海外売上比率が高い企業の株価の動きを見ても分かります。海外比率が高い企業は、ドル高が株価にはマイナスに働くのが一般的ですが、S&P500構成企業でデータが採れる330社ほどの中で、海外比率が高い上位2割の銘柄の大統領選後の平均リターンは、S&P500全体のリターンを上回っています。
 
《株価のリターン(16年11月9日~17年2月8日》
 ・ 海外比率高い上位2割 9%
 ・ S&P500 6%。
 
--なるほど、ただ今後も心配しなくていいのでしょうか。

いえ、そうとも言い切れません。今回の企業決算でも2017年の見通しのなかで、ドル高の悪影響を気にする声は少ないのが現実です。ただトランプ大統領が矢継ぎ早で政策を実行していく局面で、市場の目がファンダメンタルズに向いていく場合、想定以上にドル高が影響する可能性は否定できず、今後も為替のトレンドの変化には注意が必要かと考えています。
 

【為替見通し】注目ポイントは「日米首脳会談後も山場続く」
解説はフィスコNYの平松京子氏
 
--ドル高が進んでしますが、NY市場を振り返っていかがでしょうか。

アメリカの雇用関連や卸売り在庫、売上指標の好結果に加えて、トランプ大統領が2~3週間のうちに目を見張るような税制改革案を提示することを明らかにしたため、大幅減税の期待が再燃し、債券利回り上昇に伴うドル買いや、リスク先行の円売りが強まりました。

--今日の予想レンジは、112.50~114.00円です。

東京時間はトランプ政権の支援策への期待感が続き、ドル円は堅調な推移を予想しますが、日米首脳会談への警戒感に上値も限定的になるとみています。
 
--注目ポイントは「日米首脳会談後も山場続く」です。

会談で安倍総理は資金供給はデフレ脱却が目的で、円安を目指した措置ではないと理解を求め、対米投資・雇用創出に協力する案を提示する模様です。資本が米国に流入する流れに変わりはなく、会談後は警戒感が払拭、ドル買いが再び強まるとみています。さらなるドル買いへの期待感の高まりは、会談後のイエレンFRB議長の議会証言や、月末のトランプ大統領の議会演説がカギとなります。特にトランプ大統領の議会演説で、今日示唆したような減税やインフラなどの雇用創出の依頼が出てくれば、今の水準から10~15%ほどのドル上昇余地が確認されると考えています。
 
【日本株見通し】注目ポイントは「思考停止が解けるか?」
解説は野村証券の若生寿一氏
 
、注目ポイントは思考停止が解けるか?日本株の明確な主役は見えず。
 
--今日の予想レンジは、18950円~19250円です。アメリカ最高値更新です。東京もこの流れに乗れそうでしょうか。

そうですね、アメリカ株・ドル円の上昇を受けて、今日の日経平均は反発して、25日移動平均が昨日時点で19115円なんで、これを取り返しに行く流れかなと思っています。ただ日米首脳会談を前に動きづらい状況が続きやすいので、日中は為替と業績がらみの個別銘柄の動きに目配りの展開ということだと思っています。
 
--注目ポイントは「思考停止が解けるか?」です。

(フリップ:日本株の明確な"主役"見えず)
図を見ていただきたいのですが、これは東証の33業種をそれぞれの性格によって4グループに分けて、TOPIXと比較しているんですね。相対株価の動きなんですね。上がっているときが相場を支えているときだというふうに見ていただければいいんですが、これによればブレグジットの後の相場感というのは、製造業などの景気敏感、アメリカの大統領選挙の後は、金利上昇を受けた銀行などの金利敏感、これらがけん引役だったというのはハッキリしているんですね。ところが年明け後、ほぼ横ばい圏で明確な主役が見えない状態です。景況感や企業業績の改善にもかかわらず、景気敏感が動かない。逆にディフェンシブも変われないような状況です。トランプ大統領の政策具体化を待ちつつ、特に日米首脳会談を前にしてマーケットが動けない、思考停止に見えるということです。
 
--となると会談が終われば動き出しそうですか。
 
そうですね。どちらにせよ、方向性が見えれば、この思考停止が解けると思っています。大統領1人の発言で日米の景気がすぐに悪化するわけではないですから、足下の景気の方向感からすると、製造業などの景気敏感がけん引するというふうに見ております。
 
 
■【プロの眼】米旗 株価は高値更新する
アメリカの株価は2万ドルを超えたあと高値圏で推移しているが、さらに高値を更新する可能性がある。アメリカの景気循環や金融政策との観点から分析する。解説はJPモルガン証券の菅野雅明氏。
 
--「米旗 株価は高値更新する」ということで、今日も高値更新ペースで来ていますけれども、まだまだ上値の余地があるということですか。

(フリップ:高値更新の可能性は?)
「そうですね、アメリカの株価の状況というのを景気循環と、それとアメリカの金融政策の2つの観点から見ていきたいと思います。まずこちらのフリップにありますのが、(薄いブルーの)シャドウ部分がアメリカの景気後退期なんですけれども、株価は景気後退の少し前にピークアウトすることが過去は多いです。」

(フリップ:株価ピークと景気後退入りの表)
「1950年代から9回の景気循環があるんですが、こちらの表をご覧いただきますと、これは平均するとだいたい6ヵ月になりまして、株価は景気後退(循環)の6ヵ月ぐらい前に動くということがよく言われているわけですけども、実際どうだったかというのを見ると、実は一番長くて13ヵ月なんです。」
 
--ピークを打ってから景気後退に入るまでの間が、長くても13ヵ月だと・・・。

「まぁ0ヵ月ということもありますけど、ここから言えることはこの9回の景気回復局面なんですけれども、株価のピークは景気後退の13ヵ月前までに起きている。これはあくまでも経験則なんですけども、ここは13ヵ月というのがポイントでして、もしアメリカの景気が今後13ヵ月以内に景気後退するのであれば、今が株価のピークの可能性があるんですが、もしもっと先なら株のピークはもっと先だということになるわけです。となると次に重要なのが、いつ景気後退に行くかということですね。」
 
--そういうことですね、景気後退に入るところから、1年前ぐらいからちょっと見ていけばいいんですもんね。
 
「以前はアメリカの景気後退確率とか、この番組でもお話ししましたけれども、去年の後半に景気回復、景気の指標が少し良くなりましたので、1年以内に景気が後退する確率はかなり低くなっている、とJPモルガンではみております。」

(フリップ:大幅利上げ後に景気後退)
「次に、金融政策との関係なんですが、これは過去3回の循環なんですが、実際に景気後退になる前に、グリーンのグラフ(FF実効レート)がかなり上がってきています。」
 
--すなわち利上げをしているということですね。皆(3回とも)、急激に上げた後に景気後退になっている。

「今回はどうなっているかというと、2回アメリカは利上げしましたけれども、まだまだ金利の水準は低いですね。FOMCの平均的な見方ですと、2017年中に3回利上げするというふうに見ておりますけど、それでも年末の金利水準はまだ1.5%を下回っています。まだまだ過去に比べると、金利の上昇幅は1年後でもまだ低いだろう。ということは、まだその直後にすぐ景気後退になるリスクもまだ低いとみております。」
 
--そうなるとまだまだ株価は高値を狙う可能性があるということになりますね。

「そうですね。その辺は景気指標を見ながら、どの辺に先行きそういうリスクがあるのかを見ていくということが必要になると思います。」
 
--なんとなく半年~1年ぐらいは大丈夫かもということが見て取れますが、1つ、直近の赤いグラフ(FF実効レート)と緑のグラフ(S&P500株価)の開きが過去に例が無いぐらい開いている。この先、景気後退の時の反動というのがちょっと怖いですね。

「そうですね。FRBが急激に利上げをしますと、当然株の割高感が出てきて、急速な調整というのもあり得るということだと思いますね。」
 
--しっかりと見ていかないといけないけど、すぐには(景気後退は)来ないだろうというのが菅野さんの見立てですね。
 
 
■【中国NOWCAST】
今回の中国ウオッチャーは東洋証券の杉野光男さんです。ピックアップトピックは「次の節目は7」「春節の海外旅行はどこへ?」「消費パターンを3つに分類」です。中国の人民銀行が発表した1月末の外貨準備高が節目の3兆ドルを割り込みました。しかし、外貨準備高が減ったことよりも元安が問題で杉野さんは1ドル=7元が次の節目だと話します。
 
《フリップ:中国NOWCAST》
(1) 次の節目は「7」
(2) 春節の海外旅行はどこへ?
(3) 消費パターンを3つに分類
 

(1) 次の節目は「7」

(フリップ1:外貨準備、節目の3兆ドル割れ)
中国人民銀行は7日、1月末の外貨準備高が2兆9982億ドルだったと発表した。杉野さんは、3兆ドルという節目を割ったことで、次の節目は「7」だという。
 
 
 
《東洋証券/杉野光男氏》
(フリップ2:節目は1ドル=7元)
外貨順部高が減ったというよりも、やっぱり元安の問題です。節目の1ドル=7元をめぐる神経質な動きが続くと思います。ただ今現在、中国経済が好転するためには、しばらく時間がかかるという状況下において、少なくとも習近平政権が痛みを伴う構造改革を断行するという明確なシグナルを出さないと、この流れを止めるのは難しいと思います。」
 

(2) 春節の海外旅行はどこへ?

中国の大手旅行サイトは6日、春節の1月27日~2月2日までの海外旅行の動向を発表した。

(フリップ3:春節に人気の海外旅行先は?)
人気の海外旅行先は1位(タイ)、2位(日本)、3位(フランス)、4位(イタリア)、5位(インドネシア)など。

東洋証券・杉野光男によると、これまでタイ・日本と並んで人気の高かった韓国がベスト10から外れていることに注目。在韓アメリカ軍のミサイル迎撃システムTHAADの配備を巡って、中国が反発していることが影響としているのでは、としている。一方、PM2.5の影響から逃れるため、プーケットやバリなど空気がきれいで暖かく、アクセスが便利な海外のリゾートビーチが人気だそう。
 

(3) 消費パターンを3つに分類

2日の新華社では政府のシンクタンク中国社会科学院金融研究所が発表した賃金に関する分析報告書を紹介している。題して「月光族・忘財族・理財族、あなたは何族ですか?」

《東洋証券/杉野光男氏》
「月光族はムーンライトではなくて、中国語の"光"の意味は、モノを使い果たすことやすっからかんになるという意味があるんです。ですから月光族という意味は、月給を全部使い果たして、貯蓄する余裕のない人達のことを月光族と言っている。」
 
(フリップ4:忘財族・理財族)
月光族は経済発展の遅れた地域に多く、20歳~35歳の若年層である。そして忘財族は財テクを忘れるという意味で、貯蓄や資産運用をしない人。一方、理財族は月収の余剰金を使い、資産運用を行う人を指している。杉野さんは、今後、この理財族は増える可能性があるという。

《東洋証券/杉野光男氏》
「社会科学院の発表によると、この約10年間で給与所得者の収入は約3倍に増えている。一方、市場経済が進む中で、金融商品はこの10年で10倍の規模になっている。ですから10倍の規模になっているにもかかわらず、それの利用者は理財族にまだ限定されている。ということは、まだまだ中国では金融商品は伸びしろがある。」
 

■日経朝特急
 
株主提案権、乱用防ぐ
法務省は株主総会で、株主側から議案を提起する株主提案権の乱用的公使を防止するため、新たな措置の具体的な検討に入った。金田法務大臣が法制審議会に会社法改正を諮問した。1人の株主が大量の提案を出し、起業に過度の負担をかける事例もあり、回数制限などを検討している。
 
 
インターン採用、世界で
ユニクロを運営するファーストリテイリングは、日本をはじめ16の国と地域でインターンシップを実施する。優秀と判断すれば採用も検討するなど、成長の軸足を海外に求める中で人材確保を急ぐ。
 
 
不動産融資、最高に
日銀がきのう発表した貸出先別貸出金によると、去年の金融機関による不動産融資は前年を15.2%上回る12兆2806億円で、伸びも2倍以上になった。地価上昇でREIT・不動産投資信託向け融資などが増えた。バブルと言える状況にはないものの、節税を目的としたアパートの過剰建設など、ひずみも広がっている。
 
 
■日刊モーサテジャーナル
 
米最高裁判事候補、大統領を痛烈批判(ワシントンポスト)
世界中で物議をかもしているトランプ大統領の入国禁止令について、大統領自身が指名した最高裁判事候補がトランプ大統領の言動に不満を新たにした。最高裁判事候補ゴーサッチ氏と面会した民主党のブルーメーソル上院議員によると、ゴーサッチ氏は「大統領による批判は裁判官のやる気をくじく」と述べ、自分自身の思いを感情的に強い口調で訴えた。対するトランプ大統領は早速反応。その怒りの矛先は大統領を批判したとされる最高裁判事候補ではなく、ブルーメーソル上院議員に向かっている。大統領は、「ブルーメーソル氏はベトナム戦争を戦ったと言ってきたが、実際は戦っていない。大嘘だ。今度はゴーサッチ氏の発言をゆがめて伝えるつもりなのか。」とツイッターで激しく攻撃した。
 
 
米金利上昇で借り換え活発に(ウォールストリートジャーナル)
去年の大統領選以来、アメリカの長期金利が上昇傾向にある中、金利が更に上ってしまう前に、借金を借り換えようという動きがアメリカ企業の間で加速している。記事によると、今年1月、アメリカ企業による借り換え額が1000億ドル(およそ11兆2000億円)に達し、ここ10年で最も多くなった。投資格付けが低い企業も借り換えに積極的、信用が低い企業に対して銀行が二の足を踏むと思いきや、これを取り込む姿勢を示している模様だ。背景について、記事は、ローン債権を買い取ろうとする投資家の動きが活発になっているため、と分析している。
 
 
地球温暖化、南極に新たな異変(ニューヨークタイムズ)
地球温暖化が止まらず、南極に新たな異変だ。記事は、「南極の氷のヒビがここ2ヶ月で17マイル(27キロ余り)伸びたとの見出しで警鐘を鳴らしている。この氷のヒビは長さが既に160キロを超え、幅も最も大きいところで3キロを超えているとのこと。記事は、「さらにヒビが広がれば今後、数ヶ月の間に氷が割れ、史上最も大きな氷山が海を漂うとしている。」、との専門家の見方を掲載している。また別の専門家は、「氷の塊が小さくなればなるほどもろくなってしまう。」と温暖化で変貌する南極の現状に危機感を示している。
 

・ 「米金利上昇で借り換え活発に」について

--低格付けの企業の債券というのがまだまだニーズがあるということなんですね。借り換えも活発で。
 
「そうですね。まず第一に金利の水準がやはり低いんですよね。いま10年債の国債の利回りが2.4ですので、期待インフレ率2.0との差0.4、これは極めて低い水準です。それと社債の場合には国債の金利に上乗せスプレッドというのがあるわけですけど、これも歴史的に超低い水準ですので、そういう意味ではお金がジャブジャブにあるということですね。」
 
 
■今日の予定
 
1月企業物価指数
決算(NTT、三井不動産)
中国1月貿易統計
日米首脳会談(ワシントン)
米1月財政収支
 
 
■ニュース
 
米 トランプ大統領 新幹線を評価 インフラ整備急ぐ考え
アメリカのトランプ大統領は9日、日本の新幹線システムなどを評価した上でアメリカでの社会インフラの整備を急ぐ考えを示しました。また、税制改正について「驚くべき発表を行う」と述べました。
《トランプ大統領》 「日本や中国に行けばどこでも高速鉄道があるが、アメリカには1つもない。アメリカの管制システムや空港、列車、道路は時代遅れだ。全て変える。」
トランプ大統領はアメリカの大手航空会社の経営者に対しこのように述べ、インフラへの投資を積極的に進める考えを強調しました。また焦点となっている税制改正について「数週間のうちに驚くべき発表を行う」と強調しました。こうした中アメリカの政府高官は9日、トランプ大統領が安倍総理大臣との首脳会談で日米同盟の重要性を確認するとともにアメリカの尖閣諸島に対する防衛義務について言及するとの見通しを示しました。また、経済分野についても「かなり深い議論を行う」とした上で、為替相場の動向について「主要な議題ではないが、会話の中で自然に出てくるかもしれない」と述べました。
 

ツイッター 最終赤字↑85%
ツイッターが発表した去年10月から12月の決算は売上高は広告収入が伸び悩んだことから1年前に比べおよそ1%の増加にとどまり、市場予想を下回りました。また、赤字幅はおよそ85%拡大しました。一株利益は、予想を上回りました。一方、月間の実質利用者数は3億1,900万人で、4%増えました。決算を受けてツイッターの株価は一時、12%以上下落しました。
 
最終赤字 1億6705万ドル(赤字拡大)
1株利益 16セント(予想上回る)
月間実質利用者 3億1900万人(↑4%)
 
 
コカ・コーラ減収減益 ドル高も影響
アメリカの飲料大手コカ・コーラの去年10月から12月期の決算は、減収減益でした。ドル高や、北米のボトリング事業の再編でコストがかさんだことなどが、影響しました。一株利益は、市場の予想と一致しました。ただ、17年通期の1株利益見通しを下方修正したことから、コカ・コーラの株価は、一時3%以上下落しました。
 
売上高 94億 900万ドル(↓6%)
純利益  5億5000万ドル(↓56%)
1株利益 37セント(予想と一緒)
17年通期見通し 1株利益↓1~4%(16年比)
 
 
米 新規失業保険申請者↓1.2万人
アメリカの先週1週間の新規失業保険申請者数は、前の週から1万2,000人減って23万4,000人と、金融危機以降で2番目に低い水準となりました。またトレンドを示す4週移動平均は、3,750人減少し、24万4,250人でした。
 

安倍総理大臣 間もなくワシントン郊外到着
安倍総理大臣は、アメリカのトランプ大統領との直接会談に臨むため、まもなくワシントン郊外に到着します。会談では日本の自動車市場や金融為替政策への批判を繰り返すトランプ大統領に対し、前向きな経済関係を築く糸口を見いだせるか安倍総理の交渉力が問われています。安倍総理は「ウィンウィンの関係として共に発展していく。自由で公正なルールに基づく両国の経済関係をさらに発展させていくことを確認する首脳会談にしたい」と述べました。
安倍総理はトランプ大統領との首脳会談で、高速鉄道計画へのインフラ投資や、シェールガスの購入拡大など政策パッケージを提示し、トランプ大統領が重視するアメリカ国内の雇用や投資拡大への貢献を強調するとみられます。また、日米の経済協力については、麻生副総理とペンス副大統領をトップとする新たな協議の枠組みを提案する考えです。
 

日本マクドナルドHD 3期ぶりに黒字転換
日本マクドナルドホールディングスの去年12月期決算は、商品への異物混入問題などで離れた客足の回復が進み、3年ぶりの黒字転換となりました。
《日本マクドナルドHD/カサノバ社長》
「2016年はいい結果を出せた。ビジネスのスピードを取り戻し成長の基盤づくりができた。」
日本マクドナルドの売上高は、1年前から19.6%増の2,266億円に拡大、本業のもうけを示す営業利益は69億円と、3年ぶりの黒字転換となりました。イメージ改善に向けた店舗改装や期間限定メニューの相次ぐ投入などが貢献しました。また、カサノバ社長は、アメリカのマクドナルドが検討する日本マクドナルドホールディングス株の一部売却に関しては、「アメリカ本社から新たな情報はない」と述べるにとどめました。
 

自動車決算 円高で大手6社が減収
自動車大手の去年4月から12月期の決算が出そろいました。為替相場が円高にふれたことから、大手7社のうち6社が減収となりました。日産自動車が、きのう発表した決算は、売上高が1年前から7.6%減の8兆2,647億円、営業利益が14.3%減の5,032億円と減収減益でした。このほか、トヨタやマツダも円高が収益を圧迫したことなどから減収減益になりました。三菱自動車は、リコール費用が重なり、7年ぶりの営業赤字に転落しました。一方で、トヨタ、ホンダなど4社は、去年11月のアメリカ大統領選以降、円安傾向となっていることから、今年3月期の業績予想を上方修正しました。
 
 
ファミリーマート 偽造チケットが流通
コンビニ大手のファミリーマートは、都内の3店舗に納品したイベントなどのチケット用紙およそ3,200枚がなくなり、一部が偽造チケットとして使われていたと発表しました。偽造チケットはネットオークションを通じて出回ったとみられ、去年の年末に開催された音楽イベントの会場で見つかったということです。ファミリーマートはチケット用紙の窃盗容疑で警視庁に被害届を提出しています。
 

会社法改正 株主総会資料 ネット提供へ
金田法務大臣は、企業が株主総会を開く際、株主に送る事業報告書などの資料をインターネット上で提供できるようにする会社法の改正について法制審議会に諮問しました。現行の会社法は、株主の承諾がない場合、事業報告書などを書面で送るよう義務付けており、コスト削減などのメリットが期待されています。法務省は法制審議会で1年半から2年議論したのち、改正法案の国会提出を目指す考えです。
 

小池都知事 宮城県の被災地で献花
東京都の小池知事は、きのう、東日本大震災で被災した宮城県内の沿岸部を訪れ、がれきを活用して作られた「千年希望の丘」で慰霊碑に花を手向け犠牲者を悼みました。その後、震災直後にランドセルを手渡した小学6年生5人と再会しました。
 
 

■【ネタのたね】プレミアム・インセンティブショー
東京ビッグサイトで開催中のプレミアム・インセンティブショー。販売促進にかかわるグッズやツールが集められた専門の展示会で店頭のPOPや看板などが並ぶ。今回は特にITを活用した販促ツールが目立ち、27年目にして初めてロボットが展示されている。その特徴と期待される用途を伝える。
 
・ コンピュータで水滴を制御し、文字やロゴなどを空中に形作る技術「ウォーターサイン」
・ スマホやタブレットで簡単にできるプロジェクションマッピング「CPMap」
等々
《クレスト/橋本敏邦さん》
「商店、飲食店にも使ってもらえるような金額まで落として提供できるサービスをやっています。」

さらに今年は、サービスロボットの展示もあった。
モーションフィギュアロボット「高坂ここな」など
《スピーシーズ/松本公三さん》
「企業の受付や医療分野、介護、教育などで利用してもらえればと考えている。」
 
 
 
■【コメンテーター】JPモルガン証券/菅野雅明氏
 
・ 「インフラ整備・減税」、市場には安心感

--トランプ大統領から市場が待っていたものがようやく出てきそうですね。インフラ整備や減税ですね。

「もともとトランプ相場の背景には減税・インフラ・規制緩和の三本柱があったわけですけど、もうそのうちの2つがここで具体化する兆しが出てきたので、市場も少し安心したということだと思うんですけど、そのうち特に、インフラ投資については、日本が協力できる余地がかなり大きいわけですので、安倍・トランプ会談で、安倍総理がその辺を丁寧にトランプ大統領に説明すれば、ウィンウィンの関係が築けるという、そういうような形に持って行ってほしいと思います。」
 
--今日はかなり長い時間、ご一緒するということですが、ただ為替に関しては、自然の会話の中に出てくるかもしれないと・・・。それが一番怖いことですね。普段はスタッフがちゃんと地ならしした後の首脳会談ですからね。
 
「そうですね。その辺のところがなかなかちょっとまだ予想しがたいところがありますね。」
 
 
 
・ きょうの経済視点 「歴史に学ぶ」

「今日申し上げましたように、アメリカの株価を見る上でも、戦後の9回の景気循環を見ながら考えると何か見えてくる。例えば、最近のアメリカだと、トランプ大統領のツイッターに反応するのはしょうがないことなんですけど、合わせて長いスパンで考えることが大事ではないか。」
 

2017.2.9 Newsモーニングサテライト

2017年02月09日 14時24分44秒 | MS
■マーケット
 
NYダウ反落 ナスダックは最高値更新
8日のNY株式市場は、長期金利の低下を受けたセクターの動きが鮮明で、株価はさえない動きでした。指標の発表もほぼなく、反応できる材料が不足しました。金利の低下を受けて銀行株が軟調な動き。大統領選以降、株価の上昇を支えたきたセクターだけに市場の心理を冷やした面もあります。長期金利の低下はトランプ政権が目指す減税など、財政政策の議論の先行きが見えにくくなっていることもベースにあるようです。また週間在庫統計を受け、原油価格が急上昇しました。ガソリン在庫の減少に反応したようです。株価には一定の下支え要因になったようです。終値は、ダウは反落、35ドル安の2万54ドル。ナスダックは連日の最高値更新で8ポイント上昇し5,682。S&P500は続伸、1ポイントプラスの2,294でした。
 
【NY証券取引所中継】米住宅市場 金利↑の影響は?
解説は東海東京証券アメリカの笠原善彦氏
 
--なんか今週に入ってから株価はグズグズしてますよね。

そうですね。本日はダウ・ナスダックとも反落して始まりました。午後にかけては、原油相場の上昇から戻り歩調となりましたが、トランプ政権による政策運営の不透明感から上の値の重い展開となっています。
 
--さて今日は先週分の住宅ローン申請指数が発表になりましたね。

はい、前の週からは2.3%上昇も、1年前と比べると約22%の減少でした。要因としては借り換えが約40%減少していることが挙げられます。

《住宅ローン申請指数(前年比)》
・ 申請   21.8%減少
・ 借り換え 39.7%減少

30年固定金利住宅ローンの平均金利を見ると、4.35%と1年前から0.44ポイント上昇しています。多くの借り手は既に借り換えを終えていることから、潜在的な借り手が減少しているためと考えられます。
 
--なるほど、金利の先行きも気になるんですが、今後の見通しはどうなんでしょうか。

アメリカの住宅市場は伝統的に春から取引が活発化することや、住宅在庫が低水準で推移していることから、住宅購入を考えている消費者の中には、確実に住宅を購入するために、金利が上昇傾向の中でも、今から住宅ローン申し込みを行う買い手が出てきている、と分析する専門家もいるようです。
 
 
【NY証券取引所中継】米住宅市場 ミレニアル世代がけん引か
解説は東海東京証券アメリカの笠原善彦氏
 
--材料不足でなかなか動きづらいようですね。
 
そうですね。本日はダウ・ナスダックとも反落して始まりました。午後にかけては原油相場上昇から戻り歩調となりましたが、トランプ政権による政策運営の不透明感から上値の重い展開となり、結局小幅に高安まちまちで引けました。
 
--さて直近の指標では少し不安が付きまとう住宅市場なんですが、最近ある特徴が見られるようですね。
 
(フリップ1:購入住宅の床面積が縮小傾向)
はい、購入される一戸建て住宅の床面積が縮小傾向にあります。全米不動産業者協会によりますと、その背景として住宅価格の上昇と若者世代、いわゆるミレニアルズのこだわりがあるようです。

(フリップ2:初回購入者の約6割がミレニアル世代)
2016年の住宅取得者のうち、約35%が初めての購入で、そのうち約60%超がミレニアル世代と、購入予算は決して多くはありません。住宅価格上昇する中、予算に見合う家は、結果的に狭い家になるということが1つの理由のようです。
 
--なるほど、一方、若者のこだわりというのは何でしょうか。
 
今の若者が家に求める条件としては、例えば、タオルなどを入れるリネン用戸棚、食料品の保管室、またガレージに収納スペースがあることや、暖房・空調・セキュリティーなどをスマホやタブレットから制御する、つまりハイテクの装備が重要視されているようです。家の大小や職場や買い物への便利さだけではなく、こだわりの家に限られたコストをかけたいという傾向も背景にはあるようです。
 
--なるほどそうなんですね。ただそもそも若者の住宅取得意欲というのが強いんですか。

あるデータでは、ミレニアル世代の75%が「一戸建て住宅に住みたい」と回答しています。ミレニアルズは米国人口の約3割を占めており、購入金額が高くないとしても、住宅投資の総量としてはインパクトがあり、ミレニアルズなどの需要面にも支えられ、アメリカの住宅市場は安定的な成長が期待されると考えています。
 

【為替見通し】注目ポイントは「欧州市場 質への逃避」
解説はインベストラストの福永博之氏

--ニューヨーク市場を振り返っていかがでしょうか。
 
そうですね。基本的に材料不足の中、112円をまたいで上下しましたけど、アメリカの金利の低下に伴ってドルの上値が重くなった格好でした。

--今日の予想レンジは、111.30~112.50円です。

今日は日本の機械受注などの発表がありますけど、材料には乏しく、明日の安倍首相とトランプ大統領による日米首脳会談を控えて、様子見色の濃い展開になるんだと考えています。
 
--注目ポイントは「欧州市場 質への逃避」です。

このところ5月のフランスの大統領選挙に対する警戒感が強まってきたほか、来年と言われていたイタリアの総選挙が前倒しで行われるのではないかという見方が台頭しまして、フランスやイタリアがユーロから離脱するようなリスクシナリオが投資家の脳裏に浮かび始めているんだと思います。

(フリップ1:質への逃避進む)
そのため欧州債券市場では質への逃避が起こっていまして、ドイツ国債が買われて金利が低下している反面、このところフランスやイタリアの国債が売られて、金利が上昇する傾向にありました。その結果、両社の金利差、いわゆるソブリンスプレッドも急激に拡大してきました。こういった中、ユーロ/ドルは下落に転じてきまして、通商問題でドル円の上値も重いこともありますので、ユーロ円の下げが加速している格好です。約2ヵ月ぶりに120円台を割り込む動きとなっていまして、私としては当面118円台を目指す展開ではないかというふうに見ています。
 
【日本株見通し】注目ポイントは「25日移動平均線」
解説はシティグループ証券の高島修氏

--今日の予想レンジは、18800~19100円です。昨日日経平均は19000円回復しましたけれども、ただ東証一部の売買最近は非常に低迷していますね。
 
そうですね。株価は昨日動いたんですけど、ただ売買代金から見ますと、これは減っていまして、今年2月に入って初めて1兆円を割り込んでいるんですよね。従いましてボリューム面から見ますと、様子見ムードという形かと思いますね。そうした中で企業業績は好調ですので、そういう意味では日経平均株価のほうは、比較的日中振れる場面はあっても、底堅い動きになるのではないかと思います。
 
--注意するのは為替ですかね。
 
そうですね。為替の動きが112円台を割れるかどうかというところが、今日の日中の動きにも影響しそうですけどもね。
 
--注目ポイントは「25日移動平均線」です。
 
(フリップ:25日移動平均を上回れるか)
これをご覧いただきますと、トランプ新大統領が誕生【図の(1)】したところからの動きなんですね。一旦下回った後の線を見ていただきますと、25日線・75日線も一旦下回ったんですが、これを上回ってから移動平均線もこんなふうに上向きに転じまして、株価のほうは上昇が続いた。一方で、現状【図の(2)】を見ていただきますと、一旦上回ったあと下回って、そのあと一旦また1月の末に上回ったんですが、結果的に維持できずに落ちてきている。ですので上昇トレンドをここから回復するとなりますと、やはり25日の移動平均線を上回ることができるのかどうか、これが今週から来週にかけて、特に日米首脳会談とかがありますので、そこを通過してから上回れるかどうかというところがポイントになってくるのではないかと思いますね。
 
--75日移動平均にもちょっと気を付けないといけませんよね。
 
そうですね。ここ(25日線)を押し返されますと、この辺り(75日線)まで押してくる可能性がありますので、18000円台の前半というのも見えてくることになりますから、この辺りちょっと注目ですね。
 
 
■【プロの眼】業績好調でも株価下落の影
日本企業の決算発表は好調なものの日経平均が追い付いていない状況。この背景には何があるのか。解説はインベストラストの福永博之氏。

--今日の日経新聞でも報じているんですけども、2017年3月期の決算は5社に1社が最高益となりそうだという見通しもあって、業績は堅調なんですね。

「その通りですね。決算発表が進むにつれて、企業の業績がいいというのがちょっと目に見えてき始めたということだと思うんですね。」

(フリップ1:業績好調で2万円回復?)
「そこで1つ、そういった指標になるのが日経平均株価の1株当たり利益を表したEPSと言われるものですね。これはちょっと特徴的なんですけど、まず先に赤い線(日経平均EPS)が低下しています。ここは小売りの決算なんかが出てきたところなんですね。内需がやっぱり冴えないということで、この辺りがちょっと悪くなっていた。一方で直近は2月に入ってから、それこそこんな風に急上昇しているということなんですね。ただ株価(青色のグラフ)の動きを見ていただきますと、EPSが先に動いて、それを追いかけるように株価が動いてきている。こういう特徴があるわけなんですね。そうなりますと、今のこの現状はと言いますと、業績が良くなってきているんだけども、日経平均株価の上昇はというと、全然追い着いていないということですね。従いまして、こういう状況の逆現象で、EPSが上がるに連れて、さらに日経平均も上がるとなれば、このへん辺り(17年1月年初の高値)の日経平均のPERというのが16倍の半ばぐらいまで上昇しているんですね。そうしますと1200円を超えるような状況で、(直近で)PERが16倍の半ばまで買われるとなれば、これは20000円にすぐに到達してしまう。」

--そうですか。だから現状で言うと割安な水準に今は落ちているということですね。ただやはりそこで割安なのに株価に反映されないというのは、やっぱりここ(今日のテーマ)に書いてある「株価下落の影」、影があるから業績に反応しないということですね。
 
(フリップ2:戻り売りの圧力が強い)
「そこなんですね。そこで株価の全体の位置をご覧いただこうかと思うんですが、これは2015年6月、アベノミクスの高値(1)から、それからあと、昨年のブレグジットの時の安値、15000円を割ったところ(2)、この値幅【(1)~(2)】で見ますと、76.4と書いてあるんですが、これは何の数字かと言いますと、いわゆる黄金分割比率という比率がありまして、(聞かれたことがある方もいらっしゃると思うんですが、)そこから出した数値なんですよね。これはそのうちの1つなんですけれども、それで見ますと、この株価を見ていただくと非常に不思議なんですが、まさにこの76.4%が高値になってピタリと抑えられているんですね。こういったことがいわゆる先ほどから出ている何かしらの影があって怯えているということになるんじゃないかと思いますね。従いましてここを超えてくるようであれば、影の部分、例えばトランプ大統領の政策、それから為替の円高とか、さらにはアメリカ国内での入国制限による分裂もありますよね。そういったことも抜けてくると、払しょくされるという意味合いになるのではないか。一方で、これ(緑色のグラフ)は13週移動平均線なんですけれども、(直近で)これを下回ってきているという状況になるとしますと、18000円に近づいたり、あるいは18000円を割ったりということから、業績がいいにもかかわらず、そうした不安要因に押されて売られてしまうというようなこともちょっと考えられるのかなということで、今年は売買タイミング、ここがちゃんと安値になるのか、一時的な下落になるのか、さらにはもうちょっと押すのか、その辺りを見ることによって、年末にかけてのパフォーマンスが変わってくる。」

--これを突き抜けるためには、今だとしたら何が・・・。先ほどトランプ氏の政策だとか、直近で言いますと週末の日米首脳会談があります。そこで例えば株式市場が合格点を出すとしたら、何が必要ですか。

「少なくとも、円高に振れるような話が出ないこと、これが一番重要じゃないかなと思いますね。出ないことでだいぶ安心感が出てくると思いますね。」
 
 
 
■【特集】 回転寿司チェーン 100円でも勝つ新戦略
いま回転寿司チェーン各社は、国産の新鮮なネタや世界の海から天然魚を仕入れるなど質にこだわって、しのぎを削っています。こうした中、4大回転ずしチェーンの一角「くら寿司」が、新たな戦略で他社との差別化を図ろうとしています。
 
 
100円ずしで勝つ!新戦略は「天然魚」
くら寿司・東貝塚店(大阪・貝塚市)。去年10月にオープンしたこの店には休日は大勢の客が詰めかける。くら寿司が打ち出した新たな一手が天然魚。天然のボラ、マヒマヒ、太刀魚(タチウオ)など全部で14種類。

一体なぜ新鮮な天然魚が100円で提供できるのか。店舗に隣接する天然加工センター、全国から集ってきた採れたての天然魚。

《くら寿司・天然魚プロジェクト/尾越健二リーダー》
「鮮度管理が非常に難しかったので、気軽に扱える魚ではなかったが、産地からの納品の時間を短縮したり、刺身で使えるための施策をとることで、刺身で提供できるようになった。丸ごと魚を買うところからスタートしているので、その間の中間の仲介業者・加工業者・流通業者のコストを当社が全部削減することに成功したので、100円で販売できる。」

天然魚のボラを加工する専門スタッフを置くことで、大小あらゆる種類の魚の加工に対応できるようになった。
 

天然魚を安定的に調達するため訪ねたのが、定置網漁の業者(福井・福井市)。今年の操業を速めて、漁獲量を増やしてほしいと交渉する。くら寿司は一昨年、網にかかった魚を丸ごと買い取る「一船買い」契約に踏み切った。どんな魚が入ってくるか分からないが、大量に仕入れることができる。一方、漁師にとっても安定した価格で買い取ってもらえるメリットがある。

《鷹巣定置網組合/西濱豊代表》
「一次産業は量をしていて、市場に出すだけではもう勝ち組になれない。これからもくら寿司に頼りながらやっていけたらな・・・。」
 

「一船買い」で仕入れた魚は回転寿司店の隣の鮮魚店でも販売している。バニズワイガニが650円、寒サバが500円など、近隣スーパーより3~7割安いとアピールする。

《くら寿司/田中邦彦社長》
「魚は肉より高くなっている。仕入れ値もマグロやサーモンは3~5年前から2~3割上がっている。このままいくと絶対に1皿100円で売れなくなってしまう。お客さんの単価も上がってしまう。もう食べられなくなって、やっていけない時代がやってくる。だから天然魚をいかに活用できるかが生死を握っているのではないか。」
 
 
・ 「特集 回転寿司チェーン 100円でも勝つ新戦略」について
 
--そういう意味では「一船買い」というのは、コスト削減でウィンウィンの関係なわけですね。
 
《インベストラスト/福永博之氏》
「そうですね。消費も喚起できるというか、目新しい魚も出てくれば、その分、消費者の眼も肥えてくることになりますし、消費者にとってもいいということになりますね。」
 
--ボラとかマヒマヒってあまり食べたことなかったですね。今まで出さなかったものや出せなかったものを天然魚というところで価値を付けているというところがあるのかもしれませんね。
 
 
 
■日経朝特急
 
日米で新経済協議
一面トップは、10日に控える日米首脳会談に関する記事。安倍総理は会談で麻生副総理とペンス副大統領をトップとした新しい日米の経済協議の枠組みを提起する方針だ。日米が公正な貿易・投資のルールを議論する通商政策方針の提案も探る。新たな協議の枠組みでは通商分野に加え、インフラ投資など米国雇用への貢献策を含めた幅広いテーマを扱い、双方が利益を得る経済関係の構築を目指す。
 
 
メキシコ新工場、白紙
日清紡ホールディングスは昨日メキシコでの自動車部品の新工場建設計画を見送る方針を明らかにした。トランプ大統領によるNAFTA見直しの影響で、日本企業がメキシコの新工場計画を撤回するのは初めてで、完成車に加え部品メーカーにも米国第一の影響が広がり始めた。
 
 
街角景気、米国に懸念
トランプ大統領の国内への影響について。内閣府発表「1月の景気ウォッチャー調査」は、現状判断指数が49.8と前月を1.6ポイント下回った。悪化は7カ月ぶり。円安株高で経済に追い風だったトランプ期待は一転、保護主義政策などに対する不安になりつつあり、消費者や企業経営者の心理に影を落とし始めた。
 
 
企業の自社株買い急減
上場企業の1月の自社株取得枠の設定額は、1781億円と前年比74%減った。減少の背景には、株価上昇や先行きの不透明感があるとの指摘がある。株高で自社株買いに必要な費用は膨らみがち。トランプ政権の誕生で円相場や自社の米国事業の先行きが見通しづらく、資金を自社株買いに振り向けづらくなっているようだ。
 
 
・ 「企業の自社株買い急減」について、需給悪化を懸念
 
《インベストラスト/福永博之氏》
「マーケットにはやっぱり1つは需給の関係でマイナス面が出てくる。それからあとは自社株買いというのは株主還元の意味合いもありましたので、その辺りもちょっとマイナス。あとは資金の振り向け先、今の話ですと、やっぱり資金が滞留するということになりますから、設備投資などにも向かないということになりますので、これもちょっとマイナスになりますかね。」
 
 

■日刊モーサテジャーナル
 
悩む与党、共和党「国境税」めぐり二分(ウォールストリートジャーナル)
トランプ政権が導入の構えを見せる国境税が大きな波紋を広げている。
ウォールストリートジャーナルは、「与党・共和党の方針が決まらないだけでなく、米国の各企業の考え方も大きく割れている」、と伝えている。記事によると、国境税を定める法案がどういう内容になるのか、まだその方向性も見えない今、賛成派と反対派が激しく駆け引きを繰り広げている。反対派は「消費者が望まない物価の上昇につながってしまう」と主張。一方、「法人税を引き下げるなら穴埋めの財源が必要だ」と叫ばれる中、大幅な税収増加が期待できるとも言われる国境税導入に、前向きな見方も広がっている。
企業の見方も真っ二つ。化学大手のダウケミカル、製薬大手のファイザー、GEなどが「アメリカ製品に不利な状況が解消される」と国境税の導入に期待を示す一方、小売り大手のウォルマートやターゲットは反対姿勢を表明している。
 
 
入国制限の大統領令「急ぎすぎた」
ニューヨークタイムズなどは、アメリカの安全確保を担う責任者の一人、ケリー国土安全保障長官の発言に注目。イスラム圏7ヵ国出身者の米国入国を制限した大統領令について、ケリー長官は「急ぎ過ぎだったかもしれない」と述べた。大統領令があまりにも急だったことに後悔しきりのケリー長官。7日に開かれた議会の委員会で内容をもっと議会リーダーに根回しするため、発令を遅らせれば良かった」と証言した。一方、大統領令の妥当性については、必要かつ適切と主張。法廷闘争で政権が勝利するとの見方を強調した。
 
 
ドル高の恩恵、米アルコール輸入急増(ウォールストリートジャーナル)
ドル高はアメリカの消費者にとって悪いことばかりではないということでしょうか。ドルの上昇で価格の割安感が強まり、欧州やメキシコからのアルコール飲料の輸入が急速に伸びている。アイルランド産のウィスキー、メキシコのテキーラ、ヨーロッパ各国で造られたワインの輸入量はいずれも右肩上がり。去年のアルコール飲料の輸入額は前年比6%増加の180億ドルに達した。一方、カリフォルニア産のワインなど、メイドインアメリカのアルコール飲料の売り上げは伸び悩んでいるという。トランプ政権にとって、ドル高けん制の材料がまた1つ増えたということかもしれない。
 
 
・ トランプ政策について

--結局アメリカこそ世界とつながっていて、その影響は切っても切り離せないんですよね。

《インベストラスト/福永博之氏》
「そうですね。その辺りを考えますと、本当にトランプさんの政策というのは、諸刃の剣ということで、アメリカ国内には良くても、やっぱり海外にとっては悪い。それがまた逆にブーメランで返ってきてしまう。」
 
 

■今日の予定
 
16年12月機械受注
日銀 中曾副総裁が記者会見(高知市)
決算(日産自、日本マクドナルド)
安倍総理訪米(~13日)
米決算(ツイッター、コカ・コーラ)
 
 
 
■ニュース
 
米 原油在庫 予想外の急増
アメリカのEIA=エネルギー情報局が発表した週間在庫統計で、原油の在庫が急増したことが分かりました。原油在庫は前の週から1,380万バレルの増加と市場予想の5倍以上になり、過去2番目の増加幅を記録しました。ただ、同時に発表されたガソリンの在庫が予想に反して減少したことを受け、WTI=原油先物価格は上昇に転じ、52ドル台で取引を終えました。将来の原油需要に期待が広がった模様です。
 

OECD「米日独など成長加速」
OECD経済協力開発機構が発表した去年12月の景気先行指数で、アメリカ、日本、ドイツなどの成長が、加速していることが示されました。指数は100を上回ると景気の拡大局面とされ、イギリスについては、EU離脱をめぐる不透明感はあるものの、成長の勢いが増していると分析しています。全体の指数は99.9と前月から横ばいでした。
 
《OECD2016年12月景気先行指数(前月比)》
・ 米国  99.4(↑0.1)
・ 日本 100.1(↑0.1)
・ ドイツ100.5(↑0.2)
・ 英国  99.5(↑0.2)
 
 
米 タイムワーナー 増収減益
アメリカのメディア大手タイムワーナーの去年10月から12月期の決算は、増収減益でした。映画など3部門すべてが増収増益でしたが、債務の償還などにかかる費用が響き、純利益は1年前に比べ66%のマイナスでした。タイムワーナーは去年10月、通信大手AT&Tによる買収で合意しています。

《タイムワーナー 10月-12月期決算》
・ 売上高 78億9100万ドル(↑11%)
・ 純利益 2億9300万ドル(↓66%)
・ 1株利益1ドル25セント(予想上回る)
 
 
トランプ大統領と面会 インテル 大規模投資を表明
半導体最大手が大規模な投資と雇用を表明です。8日、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談したインテルのクルザニッチCEOは、アリゾナ州に構える半導体工場に70億ドル=およそ7,800億円を投じる考えを示しました。またこの半導体工場で「最大3,000人を雇用する」と会談で明らかにしました。
 

NTTドコモがスポーツ中継
NTTドコモは昨日、スマートフォンなどで利用できるスポーツ生中継サービス「DAZN for docomo」を発表しました。英国の大手動画配信サービス・パフォームグループと提携し、スポーツ生中継の配信を15日から開始します。パフォームは去年8月から日本でスポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を始めていて、ドコモの利用者には通常月額1890円の料金を1058円にします。パフォームは10年間、Jリーグの全ての試合の放映権を獲得していて、DAZNでは他にもバレーボールやアメリカのメジャーリーグなど約130種類のスポーツ中継を配信します。
《NTTドコモ/吉澤和弘社長》
「料金を下げることでの客の獲得競争ではなく、価値提供競争になってきている。感動や安心や便利を提供し続けていくことが、そちらのほうが絶対に重要だと思います。」
 
 
携帯3社が増益
大手携帯電話会社3社の去年4月から12月までの決算はスマートフォンやタブレット端末の普及で通信料収入が順調に伸び3社とも純利益を増やしました。KDDIは売上高、営業利益、純利益とも過去最高を更新しました。NTTドコモは光回線とのセット販売が順調に伸び、動画や音楽配信サービスも好調でした。
 
・ NTTドコモ 5894億円(↑19%)
・ KDD   I4713億円(↑15%)
・ ソフトバンク 8574億円(2倍)
 
 
東芝半導体に鴻海が名乗り
経営再建中の東芝が分社化する半導体事業への出資に、台湾の鴻海精密工業が名乗りを上げていることが明らかになりました。鴻海は先週実施された最初の入札にも参加していて、新会社の経営権を握るため株式の過半数の取得を希望しているとみられます。ただ、東芝は売却する株式を2割未満に抑えることを想定しているため、出資が実現するかどうかは不透明です。
 

スイス複合機販社を買収
シャープはヨーロッパの子会社を通じてスイスの大手複合機販売会社をおよそ19億円で買収すると発表しました。買収によってスイスの販売網を強化しコピーやファクスなどの業務用複合機事業をてこ入れします。経営再建中のシャープは構造改革から事業拡大への転換を目指したい考えです。
 

DeNAが減損38億円
DeNA(ディー・エヌ・エー)は去年4月から12月の決算で特定のテーマの情報を集めた「まとめサイト」事業で38億5,900万円の減損損失を計上し事業価値を大幅に引き下げたと発表しました。DeNAをめぐっては医療系サイト「ウェルク」など10のまとめサイトで無断の記事の引用が発覚し内容が不正確である点などが指摘されていました。
 

インド中銀 利下げ見送り
インド準備銀行はきのう、政策金利を6.25%に据え置くことを決定し、利下げを見送りました。アメリカの利上げ観測の高まりやドル高による資本流出の懸念もあり、情勢を見極めます。市場では去年11月に実施した高額紙幣廃止の影響による景気減速への懸念から、利下げを実施するとの見方が広がっていました。
 

石原元知事「喜んで応じる」
豊洲市場の移転問題で都議会の特別委員会が石原慎太郎元知事の参考人招致を決めたことに対し、石原元知事は招致に応じる意向を明らかにしました。石原元知事は記者団に対し、「喜んで応じる」「絶好の機会だから、知っていることを全部話す」と述べた上で、小池知事の公開ヒアリングにも応じる考えを明らかにしています。参考人招致は来月にも行われる見通しです。
 

平昌五輪まで1年
冬の平昌(ピョンチャン)オリンピックの開幕まで1年となり、カウントダウンの時計がきのう、ソウルでお披露目されました。ソウル市庁前の広場に設置された時計が作動を始めると集まった人々からは大きな歓声が上がりました。韓国の北東部を舞台とする平昌オリンピックは来年2月9日から25日まで、102種目で熱戦が繰り広げられます。
 

米 大手百貨店「不公平でひどい」
トランプ大統領は、百貨店大手のノードストロームが、娘のイバンカさんが手がけるファッションブランドを不公平に扱っている、と批判しました。これは、ノードストロームが、次のシーズンからはイバンカさんのブランドを販売しないと発表したことに反発したもので、トランプ大統領はツイッターに、「イバンカは偉大だ。ノードストロームは不公平でひどい」と投稿しました。ノードストロームはブランドの販売不振が理由だと説明していますが、ホワイトハウスも先ほど、「トランプ大統領は、家族を守る権利がある」とコメントしました。
 

革労協反主流派に捜索
警視庁は東京・台東区にある革労協反主流派のアジトを有印私文書偽造などの疑いで家宅捜索しました。捜索を受けたのは、革労協反主流派の拠点「赤砦社」です。赤砦社をめぐってはうその名前を使って建設会社と雇用契約を結んだ疑いで爆弾の開発や製造などを担当していたメンバー2人が先月逮捕されていました。
 
 

■【コメンテーター】インベストラスト/福永博之氏
 
・ 米原油在庫が急増、景況感にも影響?

「アメリカの原油在庫が増えて、ガソリンの在庫は減っている。少し分かりずらい。ちぐはぐな形になっていますけれども、これは原油の在庫の増えたということは、工業製品の意味合いの需要が減っている事が考えられますので、そうなりますと、ちょっとアメリカの米国の景況感だとか、あるいは企業活動、(要はこれが続けばですけどね)、企業活動に対する不安というのもちょっと出てくる。そうなりますと、金利にも影響してきたりしますからね。」
 
--一方で、OECDなどは、やはり成長はしっかり加速していると、こういったところで需要が出てくるという期待も持てればいいですけどね。
 
「それを受けWTI原油先物価格が上昇している。」
 
 
 
・ トランプ大統領、大手百貨店「不公平でひどい」
 
--いいお父さんだとは思いますが、今は大統領という立場ですからね。
 
「ちょっと公の人だということを自覚してほしい部分がありますね。」
 
 
 
・ 今日の経済視点 「内需転換?!」
 
「これはアメリカも日本もなんですけど、為替で円高になりますと、経済が今のところ外に頼っているということになります。円高になりますと業績が目減りするとか、あるいはドル高になると目減りするということになりますけど、実際にアメリカのほうで内需が強くなれば、今度は輸入品が安く買えたり、あるいは物価が下がったりということで、プラスの部分というのは結構大きくなってくると思うんですよね。ということでこれからは内需が強くなっていけるのかどうか、これはどの国もですけど、そういったところが今後の経済、あるいは年間を通してみたときに、為替に左右されなくて、安定的に見ていけるかどうかのポイントになるんじゃないかと思いますね。」
 
--内需を強くするには今何が必要ですか。

「そうですね。内需を強くするには、今は減税だとかですね。そういったところが必要じゃないでしょうか。もしアメリカが(減税を)やるとすれば、(日本も)追随したいところです。」
 

2017.2.8 Newsモーニングサテライト

2017年02月08日 15時29分24秒 | MS
■マーケット

NYダウ反発 37ドル高 ナスダック最高値
7日のNY株式市場の主要指数はそろって小幅反発でした。ただ引き続き材料不足は否めず、方向感のなさがつきまとっています。トランプ政権の言動や政策の行方に関して、様々な情報や見方が飛び交い消化が難しい反面、終盤に差し掛かった決算発表は全体的に不安をかき立てる内容でもなく、相場の方向感を決めるには手がかり不足のようです。午後株価が伸び悩んだのは、原油価格の下落も一因でした。8日の在庫統計への警戒、またエネルギー情報局が短期見通しの中で、今年の原油生産量の見通しを引き上げたことも気にされたかもしれません。終値です。ダウは37ドル高の2万90ドル。ナスダックは10ポイント上昇の5,674。最高値を更新しました。S&P500は0.5ポイントのプラスで2,293でした。

【NY証券取引所中継】米貿易統計を読み解く
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏

--今日も揉み合いですね。

寄り付き直後にはダウ、ナスダックともに最高値を更新するなど、強い動きを見せたましが、ドル高が逆風となるエネルギーや素材株が売られ、上げ幅を縮小しました。

--ニュースでもお伝えしました、貿易統計をどう見ましたか。

(フリップ1:米貿易赤字額(億ドル))
金額としては前年からの小幅な増加にとどまっていますが、対メキシコの貿易赤字は4.1%増加しており、上位4ヵ国の中で最大の増加率となりました。トランプ氏はかねてから貿易不均衡の是正を訴えていますが、今回の結果はその材料にされてしまうかもしれません。

--今一番神経質な問題ですね。そのほかに注目点はありましたか。

(フリップ2:米国12月の輸出額、1年8ヵ月ぶりの高水準)
実は12月単月で見ると、アメリカの輸出は前月比で2%以上伸び、1年8ヵ月ぶりの高水準となりました。ドル高が進行する中で、これだけ輸出が伸びたということは、世界での需要が回復傾向にあることを示唆しています。一方、製造業が使用する部品需要などに支えられ、輸入額も大きく伸びています。過去の例を見ると、輸入と輸出が共に大きく増額する局面では、その後アメリカ全体の成長が加速しています。今回も悪い部分のみを見る必要はないと思います。
 
【NY証券取引所中継】米株価が底堅い訳とは
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏

--結局、今日も方向感はなかったですね。

寄り付き直後にはダウ、ナスダックともに最高値を更新するなど、強い動きを見せましたが、ドル高が逆風となるエネルギーや素材株が売られ、上げ幅を縮小して取引を終えました。

--さて最近の株価は上値も確かに重いのですが、大崩れもしませんよね。

はい、それは決算発表を通じて、2つの警戒感が払拭されたためだと見ています。1つ目はトランプ氏の政策に対する警戒感です。

(フリップ1:資本財セクター現役から抜け出せず)
それを確認するうえで、資本財セクターの動きに注目です。このセクターは生活と密接に関連する企業が多く入っていますが、足下の業績は厳しい状況が続いており、今回の決算もいまだに減益から抜け出せていません。

--でも、だとしたら、これは払しょくできていないですよね。

はい、但しこのセクターの株価は、決算発表後に大きな値崩れもなく、総じて安定して推移しています。これはトランプ氏の矢継ぎ早やの大統領令署名によって、今後の政策期待が大きく高まったことを好感したからです。政策期待で先行して上昇したセクターの株価が、決算を機に下落するのでは、という懸念が強かっただけに、市場全体にとって非常にポジティブでした。

--もう1つは何なんでしょうか。

2つ目はドル高への警戒感です。
(フリップ2:情報技術セクタードル高懸念を払しょく)
そのうえで注目すべきなのが情報技術セクターです。IT企業は海外での売上比率が高く、ドル高が懸念されていました。しかしアップルが決算後の大幅高でこの懸念を吹き飛ばし、さらには情報技術セクター全体としても増益率予想が大幅に上方修正されており、ドル高を相殺するだけの成長率を見せてくれました。この2つの警戒感が和らいだことは、今後の株価にも追い風になりそうです。
 
【為替見通し】注目ポイントは「欧州政治リスク」
解説は野村証券の池田雄之輔氏

--まずNY市場を振り返っていかがでしょうか。

ヨーロッパの政治の問題に対する懸念も少し和らいできまして、落ち着いています。一方、アメリカに関しましては、雇用統計を消化しまして材料不足で一進一退といった動きになっています。

--今日の予想レンジは、111.50~113.00円です。

週末に日米首脳会談を控えていますし、春先からはヨーロッパの政治イベントが目白押しという中で、本日は若干行き過ぎた円高が修正される展開になるかと予想しています。

--注目ポイントは「欧州政治リスク」です。

重要なのは、ユーロ圏の中から、ユーロに対して反対する勢力が、政権を樹立してしまうかどうかということなんですね。その場合にはユーロが分裂する危険が出てきます。

(フリップ:反ユーロ政権誕生するか)
3月 オランダ総選挙 → 極右の獲得議席は2~3割
4~5月 フランス大統領選 → 統一戦線・ルペン氏の「決算投票」支持率は約35%
8~10月 ドイツ連邦議会選挙
順番に見ていきますと、まず3月のオランダなんですけれども、確かに極右が躍進をしていまして、第1党という予想も出ているんですが、獲得できる議席がおそらく2~3割程度なんですね。従いまして連立政権樹立には程遠いというような状況です。
あとは、4月から5月にかけてはフランス大統領選挙ですね。こちらは統一戦線、極右のルペン氏が結構強いんじゃないかと言われていますけれども、決選投票まで行った時の支持というのを見てみると実は35%ということで、まだ半分には達していないんですね。

--ただ、その「まさか、まさか」が起こってきたのが、最近の政治情勢かなとも思うのですがいかがですか。

はい、では万が一、ルペン氏が大統領選挙に勝った場合に、どうなるかということなんですけれども、実はフランスの共和国憲法にはなかなか厳しい決まりがありまして、ユーロから離脱するためには憲法改正が必要なのですが、そのためには上下両院で過半数をそれぞれ獲得し、さらには国民投票でも半分の支持を得ないと憲法改正ができないので、ハードルは極めて高いです。そう考えますと、今年は春先にユーロ関係のイベントがあるんですけれども、1ユーロ115円を下回るほどのユーロ安にはならないかと見ています。

【日本株見通し】注目ポイントは「2月SQ値」
解説はみずほ証券の三浦豊氏
 
--今日の予想レンジは、18750~19050円です。

米国株とドル円は安定していたんですけれども、上値が重く方向感に乏しい動きというところでしたので、本日の日経平均も一旦反発してもなかなか上値が重いというところで、昨日の水準を挟んだ揉みあい状態になるんじゃないのかなというふうに思いますね。

--日経平均は円高圧力がかかる中でも、比較的底堅い推移ですよね。

そうですね。これはニューヨークダウが2万ドルを維持しているというところで、海外投資家の売りが限定的であるということが要因として考えられるんじゃないかなというふうに思われます。ただ円高圧力がかかる中で、下値支えとなっているニューヨークダウが2万ドルを下回りますと、日経平均も18500円程度まで下落する可能性があるので、その辺でニューヨークの動きにちょっと注目だと思いますね。

--注目ポイントは「2月SQ値(特別清算指数)」です。

(フリップ:2月のSQを上回れるか)
そうですね、今週末は2月のオプションのSQ算出日なんですけれども、SQは短期的には相場の転機になりやすいところと言えます。また日経平均はSQ値を上回って推移していると上昇しやすいんですけれども、下回っていると軟調に推移していることが多くて、最近は1月のSQ値を下回ってまして軟調に推移しています。ですから週末の2月のSQ値を来週辺りも上回っているということになれば、 日経平均は今後反発する可能性が高くなるんじゃないのかなというふうに思うんですけども、特に今週末は日米首脳会談もありまして、政治的、SQというテクニカルな重要日程を通過するというところですので、来週はドル円・日経平均ともに一旦テクニカル・リバウンドとなる可能性があるんじゃないかと思いますね。

■【プロの眼】1ドル=100円への円高はあり得るか?
利上げ期待との相関に注目した場合、ドル円が100円という水準まで落ち込み、定着してしまう世界と言うのは、FRBの累計の利上げが1回、つまりすでに2回引き上げたうち、1回元に戻す「利下げ」をやる必要があるというほど、悲観的なシナリオだと言います。日米首脳会談という公式の場では、おそらく円安批判は封印される。ただし、FOMCの次の利上げは6月、その前に欧州の政治イベントがあるので、向こう3ヵ月は1ドル=115円程度までしか反発できない可能性がある。120円が視野に入るのは6月以降と予想しているということです。解説は野村証券の池田雄之輔氏。

--このところのちょっと円高の動きになってますよね。だいたい111~113円台ぐらいですかね。これは要因は何だと思われますか。

(フリップ1:米利上げ期待ゆっくりと後退)
「そうですね。3つあると思うんですけども、まずアメリカの利上げ期待が少し後退してきているというのがありまして、こちら(左側の目盛り)は累計の回数を示しています。既に2回やってますので、2を引いていただくと今年の利上げ回数になるんですが、今年に関しては一時期は2.5回ぐらいできるんじゃないかと・・・。つまり2回と言う人と3回と言う人が半分ずつぐらいいたんですけれども、今は下がってきているんですね。その理由としては、トランプ政権が財政刺激的なことを後回しにするのではないか、というのが1つあるのと、先週末に出てきた雇用統計で賃金の伸びが弱かったので、利上げを急がなくてもいいのではないか、というのが出てきていますね。ただ、あとまだ2つあります。ここ(直近のところの赤色と緑色のグラフ)がかい離してきているんですね。金利だけでは説明ができない円高になっています。1つには、トランプ政権が円安けん制をしてくるのではないか、ということですね。もう1つは、ヨーロッパの政治問題ですね、やはり気になるところで、消去法的に、あるいはヘッジ目的で円を買っておこうという動きも入って来ている可能性があると思います。」

--それからヨーロッパ、地政学とか政治とか、ありますよね。

「はい、そうですね。その辺りのヘッジというのも入ってきているということですね。」

--ここ(16年下旬、大統領選後)からのググッときたドル高の動きというのは、一回トランプ氏の期待が剥落すれば、またストンと戻ってしまう可能性がありませんか。

「そうですね。確かに1ドル/100円もあり得るという声がありまして、いわゆるトランプラリーが全てトランプ氏への期待だとすると、期待通りやらなかったら元へ戻ってしまう。105~100という話もあるんですけど、ただ、金利との関係を見ていただきますと、これは今年2回利上げができれば115円が適正ということなんですね。そして今年1回累計で3回やれば110円。じゃあ105円とはどういうレベルかということなんですけれども、今年は1回も利上げできないという世界なんですね。ましてや100円になりますと、今まで2回利上げしているうちの1回を利下げしなければいけないということになりますので、相当に悲観的なシナリオということになるかと思いますね。」

--そういう状態では全くないということですね。コチラを見ればそれが分かると・・・。

(フリップ2:トランプ相場で“現実に回帰”)
「やはりアメリカの金利が急激に上がってきているのは、果たしてトランプ氏への期待なのかというと、それだけではどうも無さそうなんですね。コチラにはグローバルPMI(世界の主要国の製造業・サービス業の業況)が、(米10年債利回りと)全く同じ形でV字型を示しているんですね。ですのでアメリカの金利は上がってきましたし、ドルも強いんですけど、これは現在進行形の世界景気の良さと、ある意味で地に足の着いた相場であるという見方でいいと思いますね。」

--そこにトランプ氏も乗っかっているというところがあるわけですね。となると年末に向けては、どのぐらいの水準と見ていますか。

「今年2回の利上げができて、さらに来年の利上げを1回織り込むようになりますと、年末には120円という相場が予想できると思います。」

■【特集】 日米 自動車貿易摩擦再燃か
今月10日に予定されている日米首脳会談。トランプ大統領が「不公平だ」と主張する自動車貿易について日本はどのように対応するべきか。通商問題の専門家みずほ総合研究所の菅原淳一氏に聞く
 
--今月10日に予定されている日米首脳会談を前に、その焦点は何なのか聞いていきます。まずは貿易統計は、首脳会談を前のタイミングに、この内容はどうでしょうか。

「そうですね。対日赤字が増えたわけではないんですけども、2位に浮上してしまったということです。あとはもう1つ、全体の8割弱が自動車関連ということですので、これが日米首脳会談で取り挙げられてしまうということがちょっと懸念されるということですね。」

--今日のまさにテーマにぴったりだったんですけれども、「日米 自動車貿易摩擦再燃か」ということで、そもそも初めての首脳会談でこういった個別のところって、本来するべきなんですか。

「本来であれば日米関係の重要性を再確認して、包括的な経済協議の枠組みで合意をするといったような形になると思うんですけども、今回は統計になるように、自動車なんかの個別問題についても言ってくる可能性というのも否定できないのかなということですね。」

--本来の通商交渉というのは事前にしっかりと内容をお互いに構築していくわけですよね。

「そうですね。首脳会談にしても通商交渉にしても、事務レベル・閣僚レベル、そこから首脳レベルとやっていくわけですけれども、今回はまだ閣僚の承認も終わっていないということですし、事務レベルも高官はまだ承認されていないということですので、どこまで打ち合わせができているのかというところもちょっと懸念されるところです。」

--そういうところが異例の展開ということですね。それで自動車貿易摩擦再燃か 、ということですが、こういった問題は過去もあったわけですよね。振り返ってみましょう。こういうことがありました。
(フリップ1:日米 自動車貿易摩擦の歴史)
まず摩擦の歴史ですけれども、81年には輸出自主規制というものがあったんですね。背景には・・・。

「そうですね。日米摩擦・貿易摩擦の歴史を振り返ってみますと、大きく分けると、日本に対して輸出の抑制を求めるというものと、輸入の拡大を求めるというものと、両方あったわけですけれども、この1981年からの自動車の輸出自主規制というのが始まったわけですけれども、これはオイルショックの後、日本から小型車の輸出が急増して、ただアメリカのビッグ3は大型車生産が中心だったので、経営が急速に悪化した。その結果、業界とか労働組合や議会からの対日圧力が非常に強まった結果、輸出自主規制に至ったということなんですね。もう1つの、輸入のほうですけれども、これは例えばクリントン政権で、日本に対して数値目標を設けて、自動車とか部品の輸入を拡大しろと言ってきたということで、実際に輸入するのは企業ですので、日本政府としてはそこについては企業に輸入を強制できないということで、アメリカの要求を突っぱねるという形になりましたので、かなり交渉が激化したんですね。」

--当時は橋本通産大臣ということで・・・。

「そうですね。相手がミッキー・カンターというUSTR(米国通商代表部)代表であったわけですけれども、こうした対立の激化のあおりを受ける形になって、一時1ドル79円75銭という当時最高値にまで行ったということなんですね。」

--そういうのに対して日本がどれぐらい対応した、応じたんですか。
 
(フリップ2:自動車摩擦 日本企業の対応(95年))
「結局81年から始まった自主規制というのは、終わったのは94年の3月ということですから、かなり長く続いてということですし、95年の際は結局、政府が最後まで、政府としては数値目標には関与できないというふうに突っぱねたんですけども、代わりに日本の自動車メーカーがあくまでも自主的にという形で、部品の購入とか、現地生産の拡大をするということを自主計画として公表するといった形で決着したということですね。」

--それから日本車の北米生産や部品の現地調達といったものも、この時ぐらいから加速したと・・・。

(フリップ3:日本車、アメリカでの生産拡大)
「そうですね。コチラに用意していただいたのは、日本の自動車の対米輸出と現地生産(のグラフ)ですけれども、93年には逆転して、現在は対米輸出が173万台、米国での現地生産が384万台という形になっているわけですね。」

--ですからここまで日本は企業努力でやってきたわけですけれども、さらに今回何を求めてくるのか。同様の要望というのをやはり覚悟しなければいけませんか。

「そうですね。通常ならなかなか無いと思うんですけど、トランプ大統領の場合は何を言ってくるか分からないので、覚悟だけはしておいたほうがいいと思います。ただ求めに応じて雇用を増やすと、米国内での自動車生産もさらに増えてしまうということになり、もうアメリカの自動車市場のパイが広がらない限りは、アメリカ社との競合が激しくなりますので、じゃあその分を日本で輸入しろというような方向にまで行ってしまうというのが最悪のケースとしては、ちょっとリスクとして考えておかないといけないと思いますね。」

--だからアメリカ車が日本で売れるかどうかというところ、根本的な話ではあるんですけれども、ただそういったむちゃくちゃな要望があった場合に阻止するために、WTO(世界貿易機関)のルールがあるわけですよね。

「そうですね。数値目標とか、制裁措置をちらつかせての交渉となると、これはWTO協定違反ということが疑われることになるわけですけれども、ただトランプ大統領の場合には、もう選挙戦でWTOからの脱退ということについても言及していますので、あまりそこら辺は気にせずに対日要求を詰めてくるというのも懸念されますね。」

--実際にWTOの脱退ということはありますかね。

「いえ、ただ実際に脱退してしまうと、例えばアメリカのWTO協定違反措置に対して、他国が対抗措置を打っても、WTOの制限措置がなくなるので、無制限に打てるようになってしまうということで、これはアメリカにとって不利になるんですよね。なのでアメリカとして違反を続けながらも、WTOに留まるほうが有利なので、実際にはWTOからの脱退という可能性は低いんじゃないかと思います。」

--だから言っているだけという可能性はあるかもしれないということですね。となると日本も言われっぱなしではなくて、何かを取りに行くということをしたほうがいいと思うんですけども、どういったことができますか。

「そうですね、アメリカの要請に応じる形で現地生産を進めたことが、日本の自動車メーカーの国際化を促して、経営基盤の強化につながったという指摘もありますので、今回もピンチと捉えるのではなくて、チャンスとして捉えていくという発想の転換が必要ということかと思いますね。」

--インフラ投資という話も出ていますよね。

「そうですね。いわゆるお土産的な形でインフラ投資とかエネルギー協力と言われていますけれども、例えばインフラ投資の分野で日本の新幹線技術がアメリカで採用されるということになれば、これは日本にとっても果実があるということになります。」
--メンテナンスなどを含めると結構長い期間の投資になりますね。

「そういう可能性もありますね。なのでアメリカに協力するという形をとりながらも、しっかり日本としても果実を採っていく。そういったしたたかさというのが重要になってくるということかと思います。」

--その際にトランプ氏に対してはメンツを気にされるのかなという印象があるので、そこも配慮しないといけないと・・・。

「そうですね。トランプ氏に手柄を立てて、それをツイートできるような材料を提供するということが重要になってくるということだと思います。」
 
・ 為替政策について

--池田さん、為替政策についてはどうでしょうか。懸念されているようですね。

《野村証券/池田雄之輔氏》
「確かに日本を名指して批判してくるような場面のあるんですけれども、今のところアメリカの自動車メーカーのトップの人とか、医薬品メーカートップの人の前での発言なので、リップサービス程度に軽く受け流していいのではないかと思います。公式の場では批判はして来ないんじゃないかと思いますね。」
 

■日経朝特急

格安スマホ、競争透明に
総務省は格安スマートフォンの普及を後押しする。格安スマホ10社の通信速度は、早いところと遅いところで10倍以上の開きがあり、この通信速度を来年度にも開示するよう求める。利用者が通信速度と料金を比べて事業者を選べるようにし、大手携帯会社から乗り換えるメリットとデメリットが一目で分かるようにする。透明な競争環境を整え、利用者が格安スマホを選びやすくする。
 
農水産物の輸出最高
農水産物の輸出が4年連続で過去最高を更新した。去年の農林水産物や食品の輸出額は前年より1%多い約7500億円だった。高品質でブランド力がある果物や牛肉の輸出が増えた。特にブドウは50%、イチゴは35%と大幅に伸びた。円高の影響で日本全体の輸出額は7%減ったが、日本産の農水産物の健闘が目立っている。
 
中国、米豪の緊張の間隙突く
中国とオーストラリアの外相会談が行われた。中国・王毅外相とオーストラリア・ビショップ外相が会談でアジア太平洋地域の貿易自由化推進を軸とした経済協力の強化を確認。難民受け入れ問題を巡って、米豪関係には不協和音が生じている。その間隙を突く形でトランプ大統領の揺さぶりに対抗する中国の思惑がのぞく。
 

■日刊モーサテジャーナル

トランプ大統領、大統領令で医師不足深刻に?
「トランプ大統領によるイスラム圏7カ国の一時入国禁止の大統領令が、米国国内での医師不足の深刻化を招くおそれがある」、とニューヨークタイムズが警鐘を鳴らしている。アメリカ全土で入国制限を受けた出身の医師は1万5千人以上いて、有名校出身の医師が行きたがらないような田舎町の小さな町でも働いてくれているとのこと。慢性的な医師不足に悩むアメリカにとって、海外からやってくる医師は大きな存在で、地方の外来診察の42%は海外出身の医師によって行われているという。さらに海外出身の医師は優秀な経歴の持ち主が多く、アメリカ人医師よりも医療に関する知識が豊富というデータも。こうした優秀な医師が大統領令によってビザの更新が出来なくなる可能性もあることから、記事は、医療事情に打撃を与える可能性を危惧している。
 
ニューヨーク、安全な街に(デイリーニュース)
以前は危険な町と言われていたニューヨーク、ここ25年ほどで現在は最も治安が改善している、と記事は伝えている。ニューヨーク市警が発表したデータによると、今年1月の1ヶ月間に、ニューヨーク市内で起きた殺人事件は20件、日本に比べると結構多いなあと感じるが、ニューヨークの歴史の中で最も治安が悪かった時期の一つとされる1993年1月は189件だったので激減している。また1月に発生した発砲事件は58件で、93年と比べ88%減少、全体の犯罪数は7992件、8千件を下回ったのは93年以降で2回目だ。デブラシオ市長はパトロール強化のために、警察の数を増やしたことなどが犯罪減少につながった、と胸を張っている。
 
米ウーバー、空飛ぶタクシーに進展?
配車アプリ大手のウーバが描く空飛ぶタクシーのイメージ図。記事は、実現にこじつけることが出来るかもしれない、と見ている。計画を進めるウーバーは元NASAのベテラン技術者を採用。NASAで30年間、最先端の飛行機の設計に携わっていたという。空飛ぶタクシーを実現したいと思いウーバで働くことを決めたと意欲を示しているという。

・ ニューヨーク安全な街に

--ニューヨークがずいぶん安全な街になったということですけど、どうでしょうか。

《野村証券/池田雄之輔氏》
「ちょっと特殊要因もありそうですよね。本来、ワシントンDCにいるはずの大統領の警備チームがいまニューヨークにいるという。」

--特に11月~1月の3ヵ月はそうかもしれませんね。
 

■今日の予定

16年12月国際収支
1月景気ウォッチャー調査
日銀金融政策決定会合の主な意見(1月分)
決算(ソフトバンク、富士重)
インド準備銀行 政策金利発表


■ニュース

米 16年貿易赤字↑0.4%
トランプ大統領がさらに厳しい態度を示してくるのでしょうか。アメリカ商務省が発表した去年1年間の貿易赤字は1年前に比べ0.4%増えました。モノとサービスの取引を合わせた国際収支ベースでみた去年の貿易赤字は0.4%増加の5,022億5,200万ドルでした。国別でみると対日赤字は689億ドルで、1年前に比べほぼ横ばいでしたが、赤字額は対ドイツを抜き、2位に浮上しました。赤字額トップは対中国で、3,470億ドルでした。10日に予定される日米首脳会談でトランプ大統領が貿易不均衡を持ち出すのではないかとの観測が浮上しています。
 
米 雇用動向調査 求人数横ばい
アメリカの労働省が発表した去年12月の雇用動向調査によりますと、求人数は550万人で、市場予想を下回ったものの、改定された前の月の数からほぼ横ばいでした。多いほど労働者の雇用市場に対する強い自信を表すとされる自発的離職者の数は前の月に比べ、9万8,000人減って297万9000人でした。

GM決算 増収も大幅減益
アメリカの自動車大手GM=ゼネラル・モーターズの去年10月から12月期の決算は増収減益でした。売上高がおよそ11%増えたものの為替変動などの影響から純利益が70%以上減りました。一株利益は市場予想を上回りました。
売上高 439億1800万ドル(↑11%)
純利益 18億3500万ドル(↓71%)
1株利益 1ドル28セント(予想上回る)
一方、GMのCFO=最高財務責任者は、決算発表後にテレビ出演し、トランプ大統領が主張する国境税について、「複雑すぎて検証できていない」としつつも、「有益な結果になるように協力したい」と述べました。
 
EU イギリスに7.2兆円支払い要求へ
イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱、「ブレグジット」をめぐり、EUの政策執行機関、ヨーロッパ委員会はイギリスに対し、未払いの分担金など最大で600億ユーロ、およそ7兆2,000億円の支払いを求める方針であることが明らかになりました。イギリスではこの方針に反発する動きも見られ、離脱交渉に影を落としそうです。
 
EV=電気自動車の分野で ホンダと日立子会社が提携
大手自動車メーカーのホンダと日立製作所グループはEV=電気自動車などに搭載するモーターの分野で提携すると発表しました。ホンダと日立製作所グループはEVや家庭のコンセントで充電できるプラグインハイブリッド車などエコカーに搭載するモーターについて共同出資会社を7月に設立すると発表しました。世界的な環境規制の強化に連携して対応することが狙いです。新会社は日本国内のほかアメリカや中国にも生産、販売の拠点を設け、他社への供給も目指します。
 
日本人客の誘致で JTBとシンガポール政府観光局 提携
JTBとシンガポール政府観光局は、日本人客の誘致などを目的に提携すると発表しました。今回の提携では、シンガポールの魅力を日本国内に広めるため、4月1日からの1年間、商品開発や、プロモーションなどにおいて連携します。JTBを利用してシンガポールに旅行した日本人の数は、2016年度はおよそ7万人を見込んでいて、今回の提携を機に、2017年度は、およそ9万人を目指すということです。
 
生産体制効率化の一環 リコー 埼玉の生産・設計拠点閉鎖へ
事務機大手のリコーは生産体制効率化の一環として埼玉県・八潮市にある事務機器や周辺機器の生産・設計拠点を2018年3月に閉鎖すると発表しました。閉鎖後は神奈川県厚木市と海老名市、静岡県御殿場市に生産・設計機能を移すということです。
 
昭和シェルとの合併問題 出光と創業家 代理人が話し合い
出光興産は、延期している昭和シェル石油との合併交渉について、合併を反対する創業家側と交渉再開に向けた話し合いを始めたことを明らかにしました。年明けごろから、会社側と創業家側、双方の代理人が複数回、会談しているということです。創業家の出光昭介名誉会長などが反対の姿勢を崩なかったため、出光は去年10月に合併交渉を延期していました。
 
中国外貨準備 3兆ドル割れ
中国人民銀行はきのう、1月末の外貨準備高が2兆9,982億ドル、およそ336兆5,000億円だったと発表しました。去年の12月末と比べおよそ123億ドル減り、5年11ヵ月ぶりに3兆ドルの大台を割り込みました。減少は7ヵ月連続です。当局が人民元の急落を防ごうと、保有するドルを売って元を買う為替介入を繰り返したためとみられます。
 
 
ドイツ共同声明「自由貿易守るべき」
ドイツ政府と財界や労組は7日、共同声明を発表し、保護主義は世界が直面している問題の解決策にはならないと訴えました。ロイター通信によりますと、声明は、トランプ大統領に対する直接的な言及を避けながらも、「政治、経済面で保護主義を追求することは誤りだ」との立場を示しました。その上で、「ドイツはG20議長国として保護貿易を目的とする政治介入と戦う必要がある」としています。

文科省“天下りあっせん” 国会で集中審議
文部科学省の天下り問題をめぐり、あっせんの中心人物だった人事課のOBらがきのう、国会に呼ばれ、集中審議が行われました。再就職のあっせんは、文部科学省が人事課のOBである嶋貫氏に人事情報を渡し、嶋貫氏が、企業などからの求人とマッチングさせる形で行われていたということです。前川前事務次官も自身の関与を認めたうえで、「違法性の認識、順法意識が欠如していた」と陳謝しました。政府は再発防止を徹底することにしていますが、野党は「氷山の一角だ」として、追及を続ける考えです。
 
豊洲問題で都議会特別委 石原元知事ら参考人招致へ
豊洲市場の移転問題を審議する都議会の特別委員会は用地取得の経緯などを調べるため当時の都知事の石原慎太郎氏と腹心で副知事だった浜渦武生氏を参考人として招致することを決めました。豊洲市場をめぐっては環境基準を大幅に超えるベンゼンなどの有害物質が検出されていて小池知事が石原氏らによる当時の都政のあり方を問題視しています。
 
 
■【コメンテーター】野村証券/池田雄之輔氏

・ 米貿易統計について

--アメリカにとっては良い内容というような中継でしたけれども、日本にとってはどうでしょうか、日米首脳会談を前に。
「確かにそうなんですけど、アメリカ全体の貿易赤字のうち、半分が中国なんですね。日本はそれに対して全体の10%に過ぎませんので、圧倒的に中国に対して貿易の関係の是正を訴えていくことになると思いますね。」

--一緒になれないといいですね。


・ 米利上げベースと中国からの資本流出

--中国の外貨準備高ですけども、節目を割り込んできましたね。

「確かに3兆ドルというのは注目されてきた水準なんですけれども、減り方はそれほど過激なものではありませんで、半年で2000億というペースなんですね。仮にこのまま減り続けても、7年間は外貨準備は枯渇しないという余裕はまだまだありますね。」

--これはアメリカの金利上昇ペースに関わってきますよね。

「そうですね。今回のデータでも1月の外貨準備の減少というのは比較的少なくて、やはりアメリカの金利が上がっているときは、流出がどうしても出てしまうんですけれども、1月は下がりましたのでその分は抑制されたという結果になっていますね。」

--中国自体もいま銀行間金利の短いところを少し上げて、金利差が拡大しないようにはしているんですよね。

「そうですね。幸いにして中国景気も不動産を中心に強いですので、アメリカが金利を上げるときに中国も上げられる、いい歩調が合った展開になっていますね。」
 

・ 日銀金融政策

--日銀に関しては、しばらくは政策変更はない、と見ていらっしゃいますか。

「そうですね。政策を変更しなくても、アメリカの金利が上がっていけば、自動的に日米金利差がひらいて、円安が後押しされて、それでデフレ克服にはつながりますので、あえて動く必要はないということでいいと思いますね。」

--イールドカーブコントロールで金利のコントロールがうまくいくかどうか、というのは材料視されますよね。

「そうですね、日銀のやり方としては、基本的には急激に金利が上がるのを抑えるというのが重要で、ゆっくり自然に上がっていく分には、ある程度、許容するんじゃないかと思いますね。」
 

・ 今日の経済視点 「トランプ(空)砲」

「やはり大統領の発言ですと、市場は右往左往してしまいますよね。ただ、それは今までの米国の大統領の発言が非常に重みがあったということであって、今回のトランプさんに関しては、ちょっと別の対応をしないといけないんじゃないかと思いますね。非常にその場その場に合わせた言葉を発しますので、1つ1つ重みもないですし、コケ脅しにすぎないこともあると思います。例えば、ドル高批判なんですけれども、本当に為替介入をやるぞ、とか、金利を下げるぞ、ということがなければ、口先だけなんですよね。なのでマーケットは過剰反応すべきではないと思いますね。」