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今、精神科医療の中で話題になっている抗精神病薬の処方の仕方。
精神科医が処方した薬であるにもかかわらず投薬を受けてから病状が悪化していった。
このようなケースの相談は日常であるのでさほど驚かない。しかし、その背景で患者さんやそのご家族が絶望の淵に立たされている状況をみると放置できずそういう意味では胸が痛い。
抗精神病薬の単剤処方と多剤併用処方の賛否とはどのようなことなのか。
簡単に言うと、抗精神病薬を1種類で治療することがよいのか数種類の抗精神病薬を混ぜることがよいのかということである。しかし、当事者である精神科医の多くには言い分がある。
※「さまざまな種類の抗精神病薬を単剤で試してきたが症状が改善しなかったのだから仕方がない。むしろ多剤併用処方をしている現状で落ち着いているではないか。」
このような意見である。この部類の言い分には多方面から解説しなければ単剤と併用処方に関する論議に大きな誤解を生むことになる。
まず、
1、診断名はより確かなのか。実際の病名から大きく外れてはいないか。
2、単剤処方でどの期間試してきたのか。
3、看護スタッフ他、医療スタッフとどこまで連携してきたのか
大きくはこの3つに分けて説明するとわかりやすいかもしれない。
まず、1についてであるが
笠医師によると、セカンドオピニオンに訪れた統合失調症と診断された患者の約9割はそれ以外の疾患であったとの意見を述べている。これを一つの意見として考えてみたい。
また、片方の意見では、
「9割が誤診であったという証明はどこにあるのか。」
このような意見が上がるだろう。
だが、現場で見ていても多くの相談を聞いても、明らかに統合失調症ではなくMRやMDI・アスペルガーかあるいはその類似の症状を呈している患者がほとんどである。しかも統合失調症と診断されたのが数年前で、今は滅裂思考で統合失調症かと思わせるような患者でも入院時のアナムネをみてみると、どうもそうではないと思う患者も多い(この辺は多剤併用の弊害であると私は考えている)。そう考えると、笠医師の見解は9割という数字がどこまで正確なのか統計上で表すことが難しいにしろ、かなりの数が誤診であるように感じる。
そのような患者に単剤で状況が改善しないからと多剤併用をしたところで、過鎮静に陥らせるだけの話でこれは治療でも何でもない。仮に過鎮静を目的とした処方であれば、それが治療であるという風に堂々と主張すればいいし、少なくとも過鎮静が一時的な対応であるというならば、どのように取り組んでいるのかを聞きたいものである。
2については、3も一緒に述べる必要があろう
一部の主張によると、
「単剤を十分に試してきたが効果がなかったし、あらゆる手段を講じたが患者の症状は改善しなかった。」
この旨の理由を述べる医師も少なくないだろうが、私からすればこのように薬剤に単剤で時間をかけて処方する医師は現在のところごくわずかであるといっておく。少なくとも私が仕入れるあらゆる場所からの情報は短期間で多剤併用に移行しているケースが多い。特に多いのが1週間や2週間ペースで激烈に増えていくケースである。これは、精神科独特の1週間に1度の診察(すべてではないだろうが)が臨時薬を上乗せするタイミング、つまり、医師側の都合によるものもいくらか存在するだろう。
そもそも、ムードスタビライザーや抗不安薬の併用を試みずに、入院当初からリスパダールを12mgまでもっていき、抗パーキンソン薬をセットで処方、セレネース、さらにジプレキサを20mg、状況によっては30mgを上乗せし、ルーランやセロクエル、スパイス程度にコントミンやレボトミンを織り交ぜる。このような処方に根拠はどこにあるのか全くの疑問である。
また、いろいろな処方を試みたという言い分もわからなくもないが、忘れてほしくないのは看護サイドとの連携である。
たとえば、一般病棟で経過していた患者で、110通報や非常ベルを鳴らすからという理由で保護室へ収容し、精神状態が落ち着くまで抗精神病薬を増量し続ける。
※これは治療どころか拷問である。
治療環境に適応できないからと保護室に収容し過鎮静にもっていく前にするべきことは沢山あるだろう。
看護との連携を含めた患者との環境調整である。
これは時として薬物療法以上の効果を現す。
また、保護室での薬物療法は強烈な凶暴性があり対応に苦慮する場合を除いて、じっくり単剤で調整していくのが本来の人間に対する治療であろう。
これらの理由を除いて多剤併用の主張をするのは、それこそ医師のワンマン処方であると言わざるを得ない。
また、抽象的に
「なにも経過を知らずに多剤併用をしているわけではない」
こういう意見もあるかもしれないが、だとすればその根拠を患者家族に説明する必要があるし、カルテにもこと細かく記録として残すべきだろう。そこまで細かく説明と記録に重きを置くというのは、多剤併用処方が人間にとって超ハイリスクだからである。
それと、長嶺敬彦医師の『抗精神病薬の「身体副作用」がわかる』という本や笠陽一医師の精神科セカンドオピニオンなどの本については、自分たちの立場が脅かされるからと批判するのではなく、前向きに参考にすべきである。
多くの精神科医は基本を無視して、看護との連携をしらず単剤処方に関して
「現実はそんな簡単ではない」
その一言で終わらせるのだろう。
そういう精神科医の背景で苦しんでいる患者とその家族がいることも知るべきだ。
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精神薬の多剤併用が当たり前と思っている精神科医たち、
多いというかほとんどでしょうか。
私も、娘も多剤併用の被害に会いました。
私は15年。
娘は11年。
娘は、現在、RYU先生のセカンドオピニオンのおかげで断薬までこぎつけました。
娘も、私も、アスペルガー症候群が根底にある2次障害を
薬によって重ね着したPTSDでした。
RYU先生の前に、何人もの精神科医にかかりましたが、
誰一人この根底にあるアスペルガー症候群に気づきませんでした。
「精神科セカンドオピニオン」について、
神田橋條治先生の書評がありましたので、紹介します。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/25kokoronokagaku.htm
是非、一読してください。
もっさん、体に気をつけて来年も頑張ってください。
お返事遅くなりました。
毎回仮福さんの知識のすごさには敬服いたします。
もうすでに大みそか
今年は自宅で過ごせそうです。
これからもよろしくおねいがいしますね。
お薬についての難しいこと、患者にはなかなかわかりません。
お薬を色々と調整せねばならないほどの病状の時は、たとえ辛い副作用があっても、それが副作用であることすら自分では自覚できなかったり、辛さを訴える気力すら奪われていた気がします。
広汎性発達障害がベースにあり、それが様々な2次障害を引き起こしていたことが解明されるまでの長い長い道のり。
2次障害の様々な症状に対して、対症療法的に抗精神病薬が処方されていたころの何とも言えない感覚を、今、どう表現すればよいだろう。
あえて言えば、薬の作用と副作用に心身が支配されていたあの期間は、深い霧に包まれたような状態で、当時の記憶はすっぽり抜け落ちています。
常に体はだるく、眠気があり、思考力や感情は失われ、人間ではなく、生物としてやっと生きていました。
今、就学を迎えたぐらいの広汎性発達障害のある子どもたちは、地域格差も大きく不十分な体制のなかでも何らかの教育・福祉・医療的支援を享受しています。
しかしそれより年長の、特に義務教育を終えた当事者は、置き去りにされています。
皮肉なことに、ベースの広汎性発達障害の度合いが軽ければ軽いほど、発見が遅れることになります。
周囲の環境に恵まれ、広汎性発達障害による社会的困難が表面化せず、うまく生活していける人もいるでしょう。
しかし、環境に適応できず苦しんで、2次障害を発症し、適切な診断を受けられず、今日も深い苦悩のなかにいる当事者も数多いのではないでしょうか。また、今は困難を感じていなくても、いつ困難を感じるかわかりません。
私のように苦しむ人が少なくなるよう祈るばかり、当事者として何かできないものかといつも考えています。
発達障害は、今後の精神科疾患の誤診を議論していく上で重要なポイントとなってくると思います。
これまで長期入院を強いられてきた患者さんも診断しなおせば多くがそれに該当する患者さんではないでしょうか。そこで長年抗精神病薬の多剤大量処方によって薬剤性精神病となり、統合失調症として仕上げあれれてしまった、というようなケースが多くを占めているように思います。よくなることを求めて受診したひとが一生入院生活でというようなことが一人でも多くなくなるようになればと切に思います。