多感でおませな文学少女だったので、大きくなったら私も青年団に入ってお話ができるわって、幼いくせに勝手にワクワクときめいていました。
隣村にユキアンカ・ハルアンカ・ノブアンカと呼んでいた青年がいました。
アンカっていうのは若者を呼ぶ敬称です。
故郷に帰省するたびに消息を知りたくて、チラッとでもその後の安否を確かめたくって隣村を通ったものです。
みんな跡取りなので、消防署や電話局・九電に勤めていて、いつも会えました。
この中で一人、サトちゃんと呼ばれるハンサムな色男がいて、ヨン様くらいに近隣の娘に持てる若者がいたのでした。
仕事も何をしていたのかも定かではないし、格好よく遊び、調子のよい人だという印象でした。
軍需工場の社長の一人娘と駆け落ちしたということは聞いたことがあり、謎がたくさんあって小説を見るような面白さを感じていました。
幼いころの憧れの若者たちは75歳以上になって、ハルアンカだけは今も散歩しているのを見かけますが、後の人はもう亡くなったということでした。
昨日の朝、もうとっくに忘れていたサトアンカが大分で亡くなったので、今夜会館でお通夜だという連絡が入りました。
とたんに、なんともいえない青春の門の前に立っていた頃の自分を思い出したのです。
サトちゃんは怖くて声をかけた覚えもないくらい眩しい人でした。
別格の気になる若者だったのです。
顔も思い出せないけど名前を聞くとあのプレイボーイだ~とすぐにドキドキしてくるから不思議なものです。
よほど憧れが強かったのでしょうねえ~
急性白血病で4日くらいの入院だったという話でした。
奥さんは何年か前に亡くなり、淋しい晩年だったと聞きました。
お通夜に参列してきました。
強烈なドラマのような生涯を駆け抜けたサトちゃんだったことでしょう。
祭壇の写真は全く何の見覚えもない76歳の初めて見る人でした。
いろんな夢を与えてくれてありがとう~とお礼を述べて、ご冥福をお祈りしてきました。
盆踊りや運動会や村祭りで威勢のよかった頼もしい青年団の若者は、私の青春の門だったのです。
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