録画していたNHK BSプレミアム特集「Black Samurai~信長に仕えたアフリカン侍・弥助~」(5月15日放送)を見た。NHKオンデマンドでは番組をこう紹介している。
―織田信長に仕えた黒人侍、弥助(やすけ)。イエズス会の宣教師に同行していた弥助を信長が気に入り、家臣に取り立てたのだという。2人の主従関係は「本能寺の変」によりわずか1年3か月で終わったが、その前後の弥助の足取りはこれまでなぞに包まれてきた。
しかし近年の研究により、アフリカからアジア、日本へ到る弥助の人生が次第に明らかに。ハリウッドで映画化も進むなど、今世界中から注目を集める、弥助の生きざまに迫る。
信長に仕えた黒人・弥助がいたことは知っていたが、日本史では端役にも達しない人物だったため、全く関心がなかった。日本史上、戦国時代は最も人気のある時代だが、戦国ファンでも弥助に興味を持つ日本人は至って少なかったはず。
それが最近は一転、にわかに注目されるようになったのは、やはり米国のメディアが取り上げたことが大きい。ハリウッド映画化の話も出ていたが、先ずアニメ映画になったようだ。まるでアニメのタイアップよろしく黒人のスタッフが登場、弥助についての想いを語るのも、歴史番組を期待して見た私には興ざめだった。あれでは1時間特集でもよい内容である。
番組の初め、ナイマ・ムハマドというBBCの黒人女性記者が登場する。名前からムスリマ(イスラム女性)と思われるが、「正義の使者」と弥助を評していたのは呆れる。
彼を信長に献上したのは宣教師ヴァリニャーノだが、当時黒人奴隷は話す動物と同じであり、ペットと言っても過言ではない。同じ黒人として持ち上げたいにせよ、こんなトンチンカン発言をする者がBBC記者なのだ。一神教徒特有の正義病に憑かれているのやら。
番組で初めて知ったが、弥助が信長と初めて会ったのは本能寺だった。主君との別れもこの寺であり、どこか運命めいたものを感じる。弥助が Black Samurai だった期間はわずか1年3か月だったのも驚いたが、本能寺の変では死なず、南蛮寺に預けられ一命を取り留めている。
その後の弥助の消息は史書には載っていない。宣教師と共に日本を去ったのか、終生日本で暮らしたのか?番組に出ていた人たちは後者と推論していた。1年3か月でも士分の扱いを受けているので、今更欧州人の奴隷に戻ることは苦痛だろう。本能寺の変の頃でもまだ20代後半の若さだったし、ひっそりと日本の何処かで暮らしていた可能性はあるかもしれない。
番組ではアニメの一シーンが映され、信長の死後も日本で生き続けるというストーリーになっているようだ。ただ、アニメ版の弥助は肌の色こそ黒いが、顔立ちは白人にちかい。髪も縮れていなかったし、アニメ特有の美化もあるのだろうか。
弥助の名が海外にも知られるようになったのは、日大准教授でもある英国人研究者ロツクリー・トーマス氏の論文という。やはり海外の学界では英語論文が中心なので、トーマス准教授の功績は大きい。トーマス准教授の調査によれば、弥助はモザンビーク出身という。
尤も弥助の本名は何だったのか、番組では触れていなかった。弥助以前でも欧州風の名を付けられていただろうし、故郷ではどのような暮らしをしていたのだろう。
それにしても、白人の研究者によって弥助の存在が知られるようになったことには改めて驚く。これまで来日した黒人も少なくないはずなのに、彼らは日本の歴史に全く興味を示さなかったのか?もし戦国時代を調べれば、信長に仕えた黒人がいたことに気付きそうなものだが……
少なくとも日本では、黒人の著名な歴史学者の名は聞いたことがない。もしかすると欧米にはいるかもしれないが、現代の海外の歴史学者で知られるのは白人ばかりだ。歴史に限らず科学者でも黒人は殆ど浮かばず、単に私が知らないだけとは思えない。
ttps://mdesousa.exblog.jp/page/2/
ttps://mdesousa.exblog.jp/29525442/
ttps://mdesousa.exblog.jp/29526989/
「結局正体不明(肩書詐称)の外国人にそれを語らせて話を繋げ、一般の人に相当間違った認識を植え付け、その上許可なく私の名前を最後に入れてた(私が監修したと勘違いする人がおるやもしれん)、という点で、激オコなんですわ。」
「教授」の肩書を持つ外国人は実際は非常勤講師で、「ポルトガルの人文アカデミアはドロドロが激しい」ことも初めて知りました。
「あのように視聴者が誤解するような形で、しかも史料操作してまで、〇〇さんを立てねばならないものだったとしたなら、私は出演も欧文史料の分析も最初からお断りしました。」の一文に、岡氏の怒りが伺えます。
国営放送の歴史番組はむしろ見ない方がイイかも……と感じました。ここまで番組制作側の「史料操作」がまかり通っているのは恐ろしい。
そう言えば以前マリー・アントワネットの番組でNHKが字幕を落としていた話がありましたけど、ニュースでもアメリカ人がコロナウィルスの話をしている際、字幕を変えて放送していたものがありました。この場合は相手が「チャイナ・ウィルス」と言っているのを「COVID-19」としていたので、ポリコレ関係なのでしょうけど。
マスコミが英語記事を紹介する際にも、自分に都合の悪い内容は訳さずに該当記事に書かれていない話が記載されている、と言うレベルのものがありました。昔からやっていたのでしょうね。
今のところ、この番組の再放送予定はないようですが、まさか岡美恵子氏の暴露が影響している?ほとぼりが冷めるのを待っているのやら。
昨年の記事「マリー・アントワネット 最後の日々」で、字幕から中国の国名が見事に消されていたことを取り上げました。mottonさんからこのやり方は「狭義の検閲ではなく自主規制」というコメントがありましたが、本当にたちが悪い。
https://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/3ca3719de4b143c9b1ffdfd0205caed3
ニュースでの言い換えも卑劣ですが、幸い今は字幕を変えたり、該当記事に書かれていない話が記載されていることがネットで暴かれるようになりました。国営民放問わず昔からやっていたとしか思えないし、この先も変わりないでしょう。
そのくせメディアはネット上のデマやフェイクニュースを糾弾していますが、大手放送局がいくら不正を行っても罪に問われません。東北新社と違いフジは外資規制違反でも、結局お咎めなしでしたね。
ナイジェリアの学者・科学者一覧です。国力と教育を受けられる階層の問題、および情報流通が欧米中心なので名前が出てこないのでしょうか。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Nigerian_scientists_and_scholars
一般に日本ではなじみの薄いナイジェリアだし、私も紛争が多い国のイメージしかありませんでした、しかしリンク先から科学者、しかも理系が多いことに驚きました。やはり欧米中心の情報流通ゆえに知られていないのでしょうね。
黒人でも米国の黒人は、社会学者が目に付く印象です。ノーベル賞を受賞した米国黒人の科学者はあまり聞かないような。