トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

ネット恋愛

2011-11-09 21:01:37 | マスコミ、ネット

 私自身は未体験だが、携帯やPCが必需品となっているご時世、ネット恋愛が増えこそすれ減ることはないだろう。若者や独身者なら無理もないが、既婚者にもネット恋愛にハマる人がいるらしく、中には家庭内で深刻な問題を抱えてしまったケースもあるという。ごく一部の例だと思うが、やはり顔が見えず文字だけのネット世界だと、想像力が刺激、肥大化するのだろうか?

 日本でも好評だった米国のТVドラマ『Xファイル』には様々な怪人物が登場するが、第55話「胃液 (2Shy)」での翻訳家は体内の脂肪が急速に失われる特異体質であり、女を襲い胃液でその脂肪を分解・摂取していた。吸血鬼ならぬ吸鬼の男が女を漁るために使っていたのが出会い系サイト。手早く飢えを満たすため、売春婦を襲うこともあったが、出会い系サイトで太目の女を特に狙っていた。翻訳家で教養もあるため、女心をくすぐる気の利いた言葉も朝飯前。これに太っているため引っ込み思案、恋人のいない独り者の女が餌食になるというストーリーだった。
 吸鬼はいかにも『Xファイル』らしい設定だが、米国でも出会い系サイトが流行り、それによるトラブルがあることを伺わせる今時らしいドラマを感じさせられた。

 独り者で孤独な男女が出会い系サイトにアクセスするのは理解できるし、それが縁でゴールインすることもあるだろう。だが、既婚者となればネット恋愛未体験の私にはよく分からない。アナログ人間のためか、ネットでの恋愛はどうも如何わしいとの偏見があるし、ホイホイ出会い系で知り合った者と実際に会うのは危険では?との警戒心が消えない。
 3~4年前だったか、出会い系サイトで知り合った女子高生に会いに行った40代の男性が少年たちに殴られて死亡するという事件が、宮城県古川市で起きた。件の被害者の職業は家庭を持つ高校教師、呼び出したのも女子高生と組んだオヤジ狩り目的の少年たちだった。この教師の事件は極例だろうが、ネットが悪用された典型でもある。

 男の場合はネット恋愛でも能動的になれるが、女、殊に既婚者なら慎重になるのが多いのではないか?新婚ホヤホヤの頃や手のかかる幼い子供がいれば、恋愛沙汰にも縁がないはず。ただ、それを過ぎれば時間にゆとりが出てくるし、徒然なる有閑マダムならネット恋愛ゴッコもやれるだろう。
 実際に不倫までには至らずとも、近所のご主人や職場の男性に心時めいた体験がある方もいるかもしれない。それでもやはり家庭を持つ身なら自制心が働くし、恋愛までには発展しない。マスコミではどうも面白おかしく不倫を煽っているとしか思えない。

 一方で出会い系サイトを通じた事件を強調、ネットの危険性も指摘するが、この類の出来事ならネットのなかったペンフレンドの頃から起きていた。昭和52(1977)年6月、ペンフレンド殺人事件があり、ペンフレンドを通じて知り合った男の正体は実は婦女暴行常習犯だった。被害者が山形市の18歳の女性だったし、当時私はまだ未成年でペンフレンドが流行っていたため妙に憶えている。私はペンフレンドをしなかったが、ツールが手紙からネットに変っただけで事件の本質は同じなのだ。
 ペンフレンド殺人事件も極例だし、大半は真面目に交際していたと思う。職場の上司にも昔ペンフレンドをしていた人がいて、何年か手紙を通じた付き合いが続いたそうだ。結婚では別の女性を伴侶としたが、相手側の女性もそれは同じで、上司とは別の男性と結婚したとか。

 相手の顔や正体が不明な点ではペンフレンドもネットも同じだし、危険性も潜んでいるのは事実なのだ。だが、使い方次第では実に便利な道具だし、交流を広げることにも繋がる。同じネットにハマるにせよ、アラシや利いた風な説教に興じたり、特定の人物にストーカーを行うよりも恋愛の方が遥かにポジティブではないだろうか。
 ただし、モテない者はリアル同様ネットでもモテないだろう。文は人なり、ゆえにその者の人格は文章にもにじみ出てくるし、趣味や人との交際のある者がネットに溺れるとは考え難い。ついでに私自身は色気よりも食い気人間なので、ネット恋愛はやる気も起きない。これまた女としては、どうしようもない欠陥があるとなろうか。

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