11月22日放送の世界のドキュメンタリー、「私はみんなの声になる イラン・女性たちの闘い」は面白かった。アメリカ在住の反政府運動家イラン女性を取り上げており、以下は番組HPからの引用。
―髪を隠すスカーフを取った自分の写真を投稿するイラン人女性の反政府運動。インスタグラムでそのきっかけを作り、女性たちの声を代弁し続けるジャーナリストの活動を追う。
アメリカ在住のイラン人ジャーナリスト、マシー・アリネジャド。イラン人女性たちにスカーフを取り去った自分の姿をSNSに投稿するよう呼びかけた活動が支持され、自由を求める女性たちは逮捕や投獄の危険を冒して写真や動画を彼女のもとにアップし続けている。イラン女性の「声」を代弁し、アメリカから世界へ伝えるマシーの活動に密着する。原題:Be My Voice(スウェーデン/ドイツほか 2021年)#SDGs
マシーさんは2014年からSNSで反対活動を続けているという。彼女の活動には、米国という安全圏にいながらイラン女性を煽っていると非難する向きもあるが、決してお気楽な反政府活動ではない。
1976年9月11日、マシーさんはイラン北部の小さな村ゴミコラで生まれた。ゴミコラを検索したら、「マソウメ (キリスト) アリ・ネジャド・コミ」という人物がヒットし、マシーさんと同一人物だった。彼女が2歳の時にイラン革命が起き、父も革命運動に参加したという。
世界の何処でも村は総じて封建的だが、マシーさんは村娘としては型破りだった。村で初めての退学処分や投獄、村初の離婚経験に結婚前の妊娠……村初のオンパレードの半生に驚くが、首都テヘランではなくイランの小さな村からエネルギーの塊のような女性が出てきたのも興味深い。
そしてマシーさんはイラン女性初の議会担当記者になったが、後で締め出された。保守派の男たちが牛耳る議会でも物おじせず、質問する女ほど保守派聖職者にとって厭わしい存在もない。
先の見えないイランでの暮らしに見切りをつけ、マシーさんは米国留学を果たし、現代は夫とともに米国で暮らしている。イラン女性がそう簡単に米国留学できるとは思えないが、番組では渡米した経緯には言及しなかった。
番組のディレクターもスウェーデン在住のイランの女性ジャーナリスト、ナヒード・バーションさん。トップ画像はナヒード、マシーさんのツーショットで、髪に花を挿しているのがマシーさん。
マシーさんのボリュームのあるヘアスタイルを真似する若いイラン女性もいて、ヒジャブを取り去った自分の姿をSNSに投稿する少女もいる。この髪型を見た時、私はゴヤが描いたアルバ公爵夫人を思い出してしまったが、日本人には難しい髪型だろう。
但しイランでヒジャブを付けないことは、直ちに犯罪行為になるのだ。若いイラン女性が水曜日をヒジャブを付けない日と定め、それなしで車を運転していたら、早々にヒジャブを付けろ!と怒鳴られるばかりか、運転妨害を行い、車から女性を引きずり出して殴り、当局に連行される動画がマシーさんのもとに送られている。
ヒジャブ強制に反対した20歳の女性は逮捕され、24年の実刑を受けた。彼女の母はヒジャブを付けたままでも、この逮捕を不当と非難、マシーさんに抗議の動画を送る。
ディレクターのナヒードさんにはフランス在住のイラン人男性ジャーナリストの友人がおり、彼もまたSNSを通じた反対運動を行っていた。しかし、この友人はイラン当局に拉致され、祖国に連れ戻される。そしてイランのТV番組で自分の反政府活動は軽はずみだった、と謝罪させられた。謝罪してもこのジャーナリストは2020年12月に絞首刑となった。
ちなみにイランでは公開処刑もあり、絞首刑になった死刑囚の遺体はクレーンで吊るされたままの動画が番組でアップされている。
2019年11月、イランでのガソリン値上げに抗議するデモがあり、シールジャン(ファールス州)やマシュハドのデモの動画は衝撃的だった。治安部隊は丸腰の市民に無差別発砲しており、犠牲者は1,500人に上ったという見方もある。全土で7千人ほどが逮捕され、多数が死刑判決を受けたというが、罪状は「神への冒涜」。
マシーさんはこれ等の動画を見て、普通なら大規模デモがあればメディアが取材にくるが、イランではそんな事態にならないことを指摘している。完全に報道規制されているからだ。そしてマシーさんの兄も逮捕され、8年の実刑を受けている。
マシーさんの元に脅迫動画も送り付ける者もいる。面を出してお前の顔を酸で焼いてやる!と言った男や、礼拝時にあの女は地上から消さねばならないと説教したイスラム聖職者もいた。イラン当局はマシーさんへの懸賞金をかけたという。
これらが単なる脅迫では済まず、悪魔の詩訳者殺人事件が典型で、外国に居住していても刺客を放つのがイスラム主義者なのだ。
それでも屈しないマシーさんの強さと勇敢さには本当に頭が下がる。真のフェミニストとはこのような女性であり、イスラム圏やウイグルでの女性虐待には全く言及せず、国内で萌え絵に噛みつく程度の日本の女活動屋と比較する気にもなれない。
◆関連記事:「悪魔の詩」
「イランは人権が尊重される国」
「性と革命とイスラム教〜セイラン・アテシュの挑戦〜」
今に至るまでのらくろに限らずここに投稿できなかったのは、「命がけ」で「宗教体制」、「宗教権威」にノーと「公言」している気迫には、やわな日本人は誰もモノを言えないから、もちろんのらくろもそうだが、以下のブログ主のカキコについて触れなければならないと思い、投稿した。
>イスラム圏やウイグルでの女性虐待には全く言及せず、国内で萌え絵に噛みつく程度の日本の女活動屋と比較する気にもなれない。
「全く言及せず」のエビデンスがこれ↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=BJMb-_F929c
ttps://www.youtube.com/watch?v=YRv1OZM1W9w
こんな「凶悪犯」「狡猾な輩」に何も言えないなんて、どこがフェミニストだ、と言っておく。こういう輩が発する寝言、戯言に右往左往するのはやめて、ガン無視で行きたい。
私も「やわな日本人」の1人なので、マシーさんはじめ中東のフェミニストには心から敬意を払います。中東で活動を続けているフェミニストの中には幾度も投獄された人までいる。このような女性には男性の支持者も少なくないですよ。
紹介された2本の動画ですが、最初のものはやはり……と思いました。ムスリムからすれば被り物もせず、歩いている異教徒の女は売春婦と同じだし、移民を大量に受け入れた欧州で性犯罪が激増するのは当然です。
2本目の動画にあった「フェミニストの鎧を纏ったチャイナチスの便衣兵(民間人を装ったテロリスト)」というコメントが全てでしょう。
「女性を“犠牲にする”フェミニズム運動はどこから来たのか」という記事は興味深いですよ。管理人が述べた以下のフェミニストの実態から、「凶悪犯」「狡猾な輩」に何も言わなかった背景が理解できました。
「結論から言うと、フェミニズム団体の多くはそもそもが「女性の権利を守る」ことなど、目的ではなかったのである。最初から「女性を犠牲にしてでも達成したい政治目標」が存在したのだ。」
https://www.sejp.net/archives/5452
2本目の動画には何とも辛いコメントがあり、言葉もありません。
「日本には1人もフェミニストがいない」という日本女性にとって地獄の現実です
涙が止まらないのはむしろこっちでしょう