先日行きつけの某シネコンで、『宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン』を見てきた。特別料金1,500円均一だったが、十代の頃に旧作『宇宙戦艦ヤマト』に夢中になった世代としては、結局映画館に行ってしまう。シネコンのHPでは次のように紹介していた。
―大マゼラン銀河に到達したヤマトを迎撃しようと、デスラー総統の命によりドメル将軍率いる空母艦隊が出撃。宇宙の難所七色星団で両陣営が対峙する。ドメルが展開する作戦に翻弄されながらも、ヤマトは沖田発案のある作戦を実行。激しい戦いを繰り広げる。そして、ガミラスの反体制派や戦争捕虜が収容されている第十七収容所惑星にはガミラスの監察官が現われ……。
実は『宇宙戦艦ヤマト2199』を映画館で初めて私は見た。リメーク作は知っていたし、旧作とストーリーやキャラクターがやや改変されていることも聞いていた。しかし、HPで七色星団やドメルの名が出ていたため、これを観ることにした。それまでのストーリーを知らずとも旧作を見ているので、大体理解できるだろうと思って。大画面でヤマトが動き、波動砲を撃つシーンが見たくて足を運んだのが本音。今回波動砲発射シーンがなかったのは残念だったが。
少女時代、旧作に夢中になった私としては、リメイク作とどうしても比較してしまう。技術の進歩もあり映像全般の向上は目覚ましい。しかし、ストーリーは?旧作に思い入れのある世代よりも、それがない若い世代の方が客観視できて楽しめると思う。アニメキャラクターの絵柄も完全に今風であり、キャラクターのほぼ全員が旧作より若く見えた。70年代のアニメの男性キャラの眉は濃く太かったが、ドメルを除きほぼ眉がスリムになっていたのも、男でも眉を整える今の時代らしい。
女性乗組員が多かったのも旧作との違いのひとつ。旧作で森雪が紅一点だったのと対照的に各部署に女性がいる。考えてみれば新作の設定の方が現実的だが、ブラックタイガーの山本まで女だったのは思わず「えっ?」。またクライマックスの七色星団の戦いで、ドリルミサイル(※今作では確か“穿孔弾”だったはず)を撃ち込まれた際、解除したのがメガネのおねーちゃんだったのもガッカリ。真田志郎の見せ場を奪われたようで、いささか面白くなかったが、2199年になれば優秀な女工学技師がいても当然だろう。もっとも、ヤマト乗組員全員が日本人というのは今回も同じだった。
また霊感があり、他者の魂が憑依する女性キャラがいるのはぶっ飛んだ。SFアニメにも霊能者が登場するのか?ならば、戦艦大和乗組員の亡霊が憑依しても不思議はないと「つのだじろう」的ツッコミをしたくなるが、リメークでは新造艦という設定だった。
放射能除去装置コスモクリーナーがコスモリバースに名称が変わったのはともかく、「なぜ波動エンジンではなく、コスモリバースを直接持って来てはくれなかったの?」という核心を突く台詞があったのは面白い。たぶん旧作ファン誰もが感じていた疑問だろう。その答えは8月後半公開予定の第七章で明かされることになろうが、ガミラス星との本土決戦はどう描かれるのか?
旧作で結局ジェノサイド後に古代進が涙を流しながら、「我々は愛し合うべきだった」の台詞を吐くシーンに違和感を覚えたファンも少なくなかったはず。もしかすると新作では地球とガミラスは和平という結末になるかもしれない。
遅まきながら映画鑑賞後、新作シリーズがТV放送されていたことを知った。放送時間が日曜午後5時半なので録画して見たが、「人類滅亡まで後×日」の字幕はなかった。とにかく“ヤマト”と聞いただけで感情移入してしまうのが、今は中年となった旧作ファンの悪癖なのだ。映画館に来ていたのも私と同世代や上の世代の人が多かった。
◆関連記事:「さらば宇宙戦艦ヤマト」
「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」
「我々は愛し合うべきだった―宇宙戦艦ヤマトの不可解さ」
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」
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ドラ○もん並みに秘密兵器を作るのは技術長だからと納得できるけど、作戦立案までやってしまう。
本来なら参謀役のキャラがいて、その人の立案に技術長としての立場から助言や反対したりするのがいいんだけど、一般の人には受けが悪いのでしょう。
話の流れも悪くなりそうだし、アニメの時間制限もあって兼任する形になったんじゃないかな。
あまりにもチート過ぎて不自然なので、新キャラに活躍の場を譲ったのかと。
>>あまりにも活躍しすぎて不自然なので変えたんだと思います
成る程、仰る通りですね。旧作では優れた技術長であるばかりでなく、作戦参謀のようなことまでやっており常に冷静、完全無欠にちかい存在でした。唯一キレるのは酔っ払ったりするアナライザーに対してですが、新作でアナライザーも違っているようですね。少なくとも新作ではスカートめくりはしないでしょう。
真田さんのお株を奪った新キャラが、女というのも意外でした。この辺は今風に代えたのかもしれませんね。
アニメの世界だけでなく、リアルの軍隊でも、女性の進出は目覚ましいものがあります。
例えば、海上自衛隊のひゅうがでは、女性兵のための別部屋が用意され、乗艦して勤務する方もいます。
また、海上自衛隊では、まだ、補助艦艇ですが、女性の艦長も出ましたし、アメリカ海軍では、イージス艦の艦長に女性の方もいたそうです。
軍艦には色々な艦艇がありますが、大きな艦艇に女性の別部屋を用意する事は可能かも知れません。
しかし、潜水艦のような狭く、密閉された軍艦では、女性の進出はまだまだのようです。
それでも、軍隊の兵士の99%は男性ですが。これも、その内、比率は変わっていくのでしょうか。
海上自衛隊では補助艦にせよ、ついに女性の艦長も出ましたか!また米海軍ではイージス艦の女性艦長もいたとは。アニメでの各部門への女性進出はリアルの反映だと思います。旧作ヤマトの時代、女性は寿退社が当たり前でした。
兵士の99%は男性なのは、軍隊の性質上当然でしょうね。イスラエルでは女性にも兵役がありますが、もちろん反対する者もいます。女性を戦に行かせることに反対しているのではなく、女が男の服装をするのは宗教の律法に違反するというのが理由。
少し前の特集で、アフリカでのPKO活動に参加しているインド陸軍の女性が登場していました。既婚者で子供もおり、子供の学費を稼ぐために活動に参加したと話していました。何やら米国とも重なり、複雑な事情があるようです。
頭の固いついでに思ってしまうのは、軍隊への女性の進出も当然の流れなのでしょうが、「ヤマトにも…」と思うと、どうもやはり違和感を覚えます。やはり私は見ない方がいいのかもしれません。
それと、やはり真田さんは真田さんであって欲しいです。たとえ現実的にあり得なくても…。まして山本が女性なんて…。
まぁ時の流れなんでしょうね。
貴女のお子様2人とも新作シリーズを見ていたのですか。娘さんが熱心というのも面白いですね。私たちの様な旧作でイメージの固まっている世代と違い、今の子供たちに支持されたならばリメークも成功したといえるでしょう。
私自身も今風のアニメの絵柄には違和感を覚えるし、何となく軽く安っぽく見えてしまうのも同感です。松本零士風の女性キャラは登場せず、殆ど別作品に見えました。それでも私的には実写版よりはマシでしたが(笑)
女という設定に加え、山本の性格も改変されていましたね。ヤマトの女性隊員がスイーツを食べているのも、今風というか…
キャラクターの性格の改変は些細かもしれませんが、予告編にある「あのエネルギー(波動エネルギー)は武器ではない、武器にしてはならない」の台詞も??でしたね。武器なしでは戦えないでしょーが!
ヤマトに限らず今のアニメって、やたら女が元気で方々に首を突っ込むストーリーになっているように感じるし、これも違和感があります。私が『ワンピース』を気に入っているのは男のドラマだからです。
ネットに書き込みする気力が何となく減退していたのですが、娯楽の話題なので久しぶりに書き込んでみます。
一応ヤマト乗組員が全員日本人なのは、遊星爆弾のせいで交通が途絶したからと言う設定です。制作側にしてみれば、今更外国人乗組員を搭乗させられないでしょう。
山本が女性なのは確かに「?」ですが、彼女がガミラスの女性搭乗員と戦闘機で決闘する描写があり、男だと極めて具合が悪いと思われます。
ドリルミサイルは今回惑星開発用民生品である削岩弾を流用したという設定になっています。前作でミサイルの先端に穴が開いていて、楽に内部に入れる点が突っ込まれていましたが、民生品だから点検用の穴がそのままになっていたと説明されていました。リメーク品で前作のおかしな部分に「だから入れるんだ」と結論する辺りは笑えます。
私も最初霊媒能力を持ったキャラ登場は驚いたのですが、あの能力でヤマトの危機を救ったり、旅の途中でイスカンダルの目的説明を行ったりするので、設定自体は納得しました。波動砲の事で真田さんと問答をする場面がありますが、あれが後半の伏線になると思います。
大体彼女の名前は岬百合亜ですが、岬は航海の目標となる灯台を設置する場所で、ヤマトの航路情報を引き出すとされている自動航法装置内部にユリーシャがいるので、名前が役割を示しているキャラですね。
ユリーシャが波動エネルギーを使用した波動砲を非難していますが、当人も波動エネルギーを使用してある人物を殺害しているので、その矛盾はどう解決しているのかと聞きたくもあります。
ヤマト乗組員が全員日本人なのは前作で批判されていましたが、リメークではその背景説明があったのですね。ヤマト乗組員に女性がいるなら、ガミラスにも女性戦闘員がいてもおかしくはない。これも今風の設定でしょう。
>>前作でミサイルの先端に穴が開いていて、楽に内部に入れる点が突っ込まれていましたが
ドリルミサイルは「削岩弾」でしたか。そして前作でのツッコミは初めて知りました。恥ずかしながら、ミサイルの先端に穴が開いていたのも気付かなかったし、やはり技術面に疎い私です。
私が少し気になったのは、前作同様ドメルが物質瞬間移動機のリモコンを操作しますが、これまた前作と同じくリモコンが大きくてごつい。2199年時点なら、もっとスマートなリモコンになりそうですが…
記事にも書いたように私は映画鑑賞後、やっと新作シリーズをТVで見たのです。初めて見た時点で第12話だったので、それ以前のストーリーの展開はよく分からず、最初から見れば理解できると思います。
私行きつけのシネコンで、新作ヤマトが第一章から順次上映することに決まりました。それなら始めからそうしてほしかったのに。
>前作でのツッコミ
旧作ファンのツッコミです。もともとあのミサイルから工作員が侵入するはずが、設定が変化したため、先端に穴のあるミサイルとなってしまったのです。
>物質瞬間移動機のリモコン
あれは、旧作のイメージを残したのかと思います。まあ、リモコンも手に馴染む大きさもあるでしょうし。
話の基本線は同じなのですが、話が進むにつれてオリジナル色が濃くなり、旧作の話でもかなり変化したものがあります。ネタバレにならない程度に書きます。
例えば、相原が宇宙遊泳をする羽目になったドメルの精神攻撃ですが、今回はオカルト風味の内容になっています。「GTT」「GHK」と言う文字が出てきたときは結構ウケました。真っ暗な艦内、古代たちの背後を駆け抜ける長髪の黒い影、古代の傍にいる怪しい人形…。
賛否両論あった話ですが、私は結構好きです。
ビーメラ星も存在しますが、雪は上陸せず、代わりに主計科の士官が上陸します。主計科が昔の生活班ですが、今作の雪は主計科を担当しません。話の内容は全くの別物に近くなっていますが、このビーメラ星上陸がヤマトの航海日程に大きく影響する事となります。
アナライザーはスカートめくり、飲酒はしないものの、自分は優秀だと自画自賛する辺りは旧作そのものです。アナライザーというのも自称で、本当は「AU-09」と言うのですが、その名前を嫌ってアナライザーと称してます。
また、彼用のオリジナルエピソードが作られ、その中で人間味も見せています。将棋を指す場面もあります。
真田さんは中原中也の詩集を文庫本で愛読し、その詩集が話の進行上、大きな意味を持つ回があります。その文庫本は作中「大和文庫」となっており、大和文庫の装幀は岩○文庫と酷似しています。
その文庫本がクローズアップされた話が上映された後、密林で中原中也の詩集が○波文庫で発行されているもののみなぜか売り切れとなっていました。
あれを購入して真田さんになれる物なら、いくらでも買いたい(苦笑)。
他、ゲールが七色星団後でも生きていたりしますが、しぶとく生き延びる小物のゲールがどうなるのか、少し興味があります。
私は昔から低血圧気味で、夜更かしは苦手なのです。それでも若い頃は夜更かししても平気でしたが、今はもう無理でとても深夜ネットはやれません。むしろ夜に強い人が羨ましい。
物質瞬間移動機のリモコンの件も、2199年でもリモコンが使われている?と突っ込みたくなりますね。旧作での相原が宇宙遊泳をする羽目になったドメルの精神攻撃の話は気に入っていました。あれで相原が岩手県出身だったことも分かりました。
確か第14話「魔女はささやく」の回でしたよね?オカルト色が強く、これも違和感がありました。この作戦を指揮したのが、“魔女”呼ばわりされている非ガミラス人の女重臣というのも今風の設定というか。
旧作のビーメラ星では蜂そっくりの昆虫型宇宙人が登場しましたね。この星に雪とアナライザーが野菜を採取しに降り立ちます。アナライザーは「雪さんと結婚する」と言うわ、おさわりするわで今の時代なら完全なセクハラです。スカートめくりと言っても、今の若い人はピンとこないかも。旧作でアナライザーが人間味を見せていたのも、ビーメラ星の巻でした。
真田さんは中原中也の詩集の愛読者でしたか。2199年にも文庫本があるの?とツッコミたくなりますが、彼と中原中也はミスマッチの印象ですよね。高校時代の現代国語の教科書に顔写真付きで中原中也の詩が載っていました。写真がなかなかイケメンだったため、中原中也に興味をもつクラスメートもいました。主要登場人物の趣味まで設定するとは、結構細かいですね。
ゲールは旧作でも粗暴な小物でしたが、七色星団でドメルの自爆の巻き添えを食ったかたちになっていますよね。新作のドメルは乗組員の意思を確認した上で、自爆しています。また今回のドメルは大きな鳥を肩に止まらせていますが、これって「キャプテン・ハーロック」と同じでしょ、と苦笑しました。