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フランス人宣教師が見た李氏朝鮮末期

2007-10-07 20:55:47 | 読書/東アジア・他史
 今月1日の河北新報の時事評論「あすを読む」に、久しぶりに拓殖大学・渡辺利夫学長のコラムが載った。「親日派子孫の財産没収、韓国の法感覚に驚き」と題して、その感想を述べられているが、冒頭で渡辺氏は李氏朝鮮時代の末期、朝鮮に潜入したフランス人宣教師の報告を紹介されている。コラムを一部抜粋したい。

開国以前の厳重な鎖国体制化にあった李朝時代の朝鮮に潜入し、居住した唯一のヨーロッパ人集団が、パリ外邦伝教会所属のフランス人宣教師たちであった。彼らの頻繁な通信を素材に描かれた名著『朝鮮事情』(金容権著、平凡社)の中で著者、シャルル・ダレは次のように語っている。

朝鮮では父の仇を討たなかったならば、父子関係が否認され、その子は私生児となり、姓を名乗る権利さえもなくなってしまう。子のこのような不幸は、祖先崇拝だけで成り立っている子の国の宗教の根本を侵すことになる。たとえ父が合法的に殺されたとしても、父の仇或いはその子を、父と同じ境遇に陥れなければならず、また父が流罪になればその敵を流罪にしてやらねばならない。父が暗殺された場合も、同じ行為が求められる。この場合、犯人は大抵無罪となる。何故なら、この国の宗教的国民的感情が彼に与(くみ)するからである

 儒教的伝統の濃い朝鮮半島においては、敵対者の罪は「千歳に及ぶ」のである。シャルル・ダレが描いたのは李朝末期の朝鮮であるが、伝統や宗教というものはそんなに簡単に変わるものではない。
 何故今こんなことを言っているのかと言えば、昨年7月に盧武鉉大統領直属の機関として「親日反民族行為者財産調査委員会」が発足し、この委員会が中心になって日本統治時代の対日協力者を売国的な「反民族行為者」とし、彼らの行為の真相を究明し糾弾するという報道に接し、改めて驚きを禁じえなかったからである…


 今年の5月に1910年の日韓併合条約に調印した時の首相・李完用はじめとする9人の子孫が所有する円換算にして4億7千万円の土地が没収、8月にも十人の「反民族行為者」の子孫の所有する13億6千万円の土地の没収がされたという。この委員会はさらに第三期の対象者を目下調査中だとか。これらの特別法の目的は「日本帝国主義の植民政策に協力し、我が民族を弾圧した反民族行為者が、当時蓄財した財産を国家の所有とすることにより、正義を具現する」ためらしい。渡辺氏は感想をこう記している。

奇妙なる論理である。遥か以前の歴史の事実を現在の時点から遡及して犯罪とする事後法であり、財貨を担う人間が当事者ではなくその子孫であり、彼らの財産の没収であり、私有権の完全な否定である。近代法の精神は完全に無視されている。韓国の政治家の法感覚は一驚に値する…理性をもってしては容易に答えが出てこない。シャルル・ダレの描いた世界の再現であり、韓国は李朝末期に先祖返りでもしてしまったのであろうか…

 宣教師の報告する李氏朝鮮時代の仇討ち感覚は驚愕する。儒教の本家、中国でもここまではやらないだろう。まして、江戸時代の日本も仇討ちは称賛、奨励されてはいたが、対象者は仇本人のみであり、その家族に類を及ぼすことは禁じられていた。インドが英国に協力した者の子孫の財産を没収する法を成立することなど、到底考えられない。十字軍時代、敵側の西欧の侵攻者と通じたキリスト教徒やムスリムもいたが、十字軍撤退後、迫害されたのはむしろ少数だった。インド、中東は識字率では韓国に及ぶべくもないが、現代韓国は中世のインド、中東の寛容さにも敵わないとなる。

 アフガンで起きたタリバーンによる韓国人ボランティア拉致、殺害事件は先月解決となったが、韓国内で湧き上がった自己責任論は凄まじかったという。人質はネットで散々誹謗中傷、家族の元にも夥しい嫌がらせ電話が掛かる。放送局や新聞社には「国民の税金が使われた」「故郷に錦を飾ったかのような報道はおかしい」と抗議の電話が寄せられたらしい。政府も殺害された2人の遺体搬送費並びに先に解放された女の人質2人の帰国時の航空運賃、入院費の負担を家族に求め、家族も了承したとか。

 以前、同種の事件が起きた日本国内は何と大人しいことか!韓国と違い人質の家族など一時期盛んにメディアに登場、政府批判を行い、帰国後、自分が人質になったのは自衛隊を派遣した政府が悪いと国を訴えた者さえいる。文化人やメディアも自己責任論をここぞとばかり日本的特殊事情と断定していたが、これほど日韓の報道面の二重基準が表面化することもないだろう。
 日本政府の対応の拙さを非難していた河北新報は、韓国政府の交渉を讃える記事を載せた。もっとも、ロイターは事件の起きた東部ガズニ州のタリバーン司令官の発言として、韓国政府から身代金として2千万ドル(約23億円)以上受け取ったことを伝えていた(韓国は否定)。韓国の全体主義式反応の異常性、激しさは李朝時代から続く非寛容さを髣髴させられる。

 渡辺氏も「伝統や宗教というものはそんなに簡単に変わるものではない」と書かれている。まさにその通り。ならば、日本国内の在日も全く同じ伝統や宗教を受け継いでいると言える。在日は祖国に憧憬を抱くも、日本人以上に本国人は彼らを信用していない。在日である以上、連中もまた「日本帝国主義政策に協力」したと見なされる可能性は大なのだ。
 在日3世、4世となると日本人と見る人も少なくないが、彼ら彼女らはかなり単純な過ちを犯している。彼らは日本人と同じではないのを忘れるべきではない。だから在日なのだ。 

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6 コメント

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遡及法など (スポンジ頭)
2007-10-07 22:09:59
こんばんは。

私も某巨大掲示板でこの法律を知ったのですが、こういう異常な法律および行動を日本のマスコミは報道しないのですよね。あれほど愚にもつかない芸能関係やら巨大財閥のサムソンの躍進とやらは報道するのに。シナでさえこんな法律を作りません(陰ではあるでしょうが)。
私の勤務先事務所で韓国ドラマが好きで何度も韓国に行ったことを楽しそうに話す人がいますが(しかも韓国人は人情味があって温かいと褒めていました)、マスコミだけの情報に接するのは怖いものです。

>>「伝統や宗教というものはそんなに簡単に変わるものではない」
某巨大掲示板でいわゆる在日と話をしたのですが、彼らは自分たちが日本で浮いていることを見ようとしませんでした。外国人の緊張感も責任感もなく、自分たちが日本人から嫌われるに至った理由を考えようとしない。

また、中央アジアの高麗族(スターリンにサハリンから強制連行された朝鮮人)やシナの朝鮮族はその国の国民として生き、在日や韓国人のような理不尽な行動をしないらしく、半島が何か魔力を及ぼしているのかとも思えます。
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伝統 (motton)
2007-10-07 23:50:18
どうも朝鮮のこうした伝統は、李氏朝鮮からじゃないかと思います。
例えば、新羅の王族である金氏は現在まで残っているのですが、次の高麗の王族である王氏はほとんど残っていません。李氏に文字どおり族滅されたらしく、わずかに全氏(全斗煥が有名)などに姓を変えてなんとか生き延びたとされているようです。
また、wikipedia で李氏朝鮮を見ると笑ってしまうくらい党争ばかりしています。(敗者は族滅だったのでしょう。)
日本や中国の党争は多くの場合は経済政策(たいてい重農vs重商)が根にありますが、純粋に権力争いの様なんですよね。これでは民は全く救われません。
儒教以前に、敵を生きている以上、自分の生は無いような社会だったような気がします。

なので、反日でも商才のある中国人なら本国のためとはいえ植民地の振興発展させること(win-winの関係)は理解すると思うのですが、反日朝鮮人の場合、植民地とは富を奪うだけの存在(zero-sumの関係)と本気で思っているんじゃないかと思います。
共同社会の基本は win-win だけに、それを理解したら速やかに朝鮮の悪しき伝統は消えると思うのですが、パチンコに代表されるように在日でも理解しているとは思えませんね。
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少数民族 (mugi)
2007-10-08 20:35:42
>こんばんは、スポンジ頭さん。

仰るとおり、地元の河北新報もこの類の法律はベタ記事扱いだったし、渡辺氏のコラムで詳細を知りました。全く呆れた法律であり、アフリカのイスラム国家で導入しようとしているシャリーアの方が人道的だと思いましたね。共産シナでも名誉回復の機会がない訳でもないから、韓国の特異性が際立ってます。

私も某巨大掲示板で散々在日連中を見かけたし、やりあいましたよ。そして彼らと話合いなど時間の無駄だし、する価値もないとの結論に至りました。彼らは己にとって都合の悪い事実を絶対直視出来ず、願望主義の妄想に取り付かれている。これってユダヤにそっくりだと思われませんか?常に迫害されていたと被害者面してますが、その原因を見ようとせず、対立回避と交渉への努力が皆無だった。

ただ、在日は強く出る相手には途端にひるみ、穏やかな人には居丈高になる特徴があるのが某掲示板から分かりました。少数派ゆえ内心は恐怖心もあると思いますよ。関東大震災のような例もある(もっとも中東の地震国に比べれば、手ぬるいほど)。小心者や中身のない者ほど、大言壮語する。

中央アジアやシナは半島の影響力が殆どなく、また少しでも理不尽な行動を取れば、少数民族などたちまち弾圧、殲滅されるから、こちらでは大人しくしているのが実態だと思いますね。
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小中華主義 (mugi)
2007-10-08 20:37:28
>mottonさん
九族皆殺しなど世界でも儒教圏しか見られなかったのですが、これを徹底してやったのは本家よりも半島だったように思われます。
確かに朝鮮の内ゲバは凄まじいですね。これに比べれば、アラブのそれもまだマトモに見えてきます。小中華主義の果てが李氏朝鮮であり、これ程グロテスクな権力闘争を繰り返した国も珍しいかも。

儒教の世界観では、何しろ朝鮮が兄、日本が弟となるので、zero-sumの関係が彼らにとって至極当然の帰結になるのだと思います。
もちろん日本からすれば、キチガイ沙汰の価値観ですが、これもある種の宗教なので、共同社会の基本など理解できないだけでなく、受け付けないでしょう。このような在日とは流行り言葉の「多文化共生」など、不可能です。
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イザベラ・バード (スポンジ頭)
2007-10-09 20:40:22
こんばんは。

>>中央アジアやシナは半島の影響力が殆どなく、また少しでも理不尽な行動を取れば、少数民族などたちまち弾圧、殲滅されるから、こちらでは大人しくしているのが実態だと思いますね。

これまた某巨大掲示板で知ったイギリスの旅行家に「イザベラ・バード」と言う人がいるのですが、彼女が書いた「朝鮮紀行」に関するアマゾンのレビューによると、日本に朝鮮が併合される前、朝鮮は本当に不潔でひどい状態だったのに、ロシア支配下にあった満州にいた朝鮮人は勤勉で裕福だったと記しているそうです。中華思想が通用しない場所にいれば備わった能力が伸びるようです。
ただバードも指摘しているそうですが、朝鮮半島で乱暴狼藉を働く清国兵には反感を持たず、規律厳正な日本軍には憎しみを持っていたそうです。儒教の弊害極まれり、です。

アマゾンのレビューですが、皆さん当時の朝鮮の惨状態に驚いています。
ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/customer-reviews/4061593404

>>これってユダヤにそっくりだと思われませんか?
塩野七生氏の「ローマ人の歴史」だと他人に尽くさず利用しようと言う姿勢で反感をもたれていますが、キリスト教興隆後はイエス処刑の責任とやらで反感が強まっているので韓国人と一概に一緒にできないと思います。
ただ、韓国人はユダヤ人と自分を同一視しようとしているらしく、韓国のノムヒョン大統領がドイツ訪問をした際、ドイツで「ドイツは反省しているのに日本は…」とやった挙句にドイツ政府に注意され、ユダヤ人からは「自分たちの苦難は韓国程度ではない」と非難されると言う結果に終わったそうです。
また、今年ラジオ放送で言っていたのですが、アウシュヴィッツに来る韓国人は年々増えているとの事です。アウシュヴィッツ来訪=ユダヤ人と同一視の証拠にはならないでしょうが、あれほど被害を叫ぶのを見ると、優越感の変形としての被害者意識の高揚に見えます。

彼らが妄想に生きるのは結構ですが、日本に迷惑をかけた挙句、日本人が受身になっているのを見るとやりきれません。
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欧米人の見た朝鮮 (mugi)
2007-10-09 23:23:52
>こんばんは、スポンジ頭さん。

私も未読ですが、イザベラ・バードの名前と著書をネットで知りました。
読まれた方のレビューを見ただけで、唖然とさせられますね。これも未読ですが、江戸時代に来日した朝鮮使節団の報告が東洋文庫から出ているそうで、既に江戸、大阪、名古屋の町の発展に朝鮮人は驚き、目を見張っています。こちらも読まれた方の感想をネットで知りましたが、日本の発展を妬んで、「この犬どもを支配して、(儒教の)礼儀を教えたい」と使節団は書いていたとか。これが儒教の本髄かもしれませんよ。下の者の発展を絶対許さない。十字軍時代の西欧が、イスラムの繁栄を憎悪していたように。

ネットでも紹介されてましたが、『朝鮮の悲劇』のF.A.マッケンジーはこう書いてました。
「韓国人は、遺伝と教育とによって、その大部分が、おおげさな物言いをする人間か厚顔無恥の嘘つきかである。それで、日本人の非行についての彼らの陳述は、検証なしに、これを受け入れることはできない」

以前コメントされた方で、沖縄に滞在した時、アメリカ兵と話す機会があったそうです。アメリカ兵はユダヤを嫌っており、ライク・ア・コリアと在日を引き合いにしていたとか。やはりアメリカ兵も似たような資質を見出していたのかと、感じましたね。
ノムヒョンのドイツ訪問の顛末は地元紙・河北が取り上げるはずもなく、ネットで知りました。現地で逆ねじを喰らったのも結構ですが、韓国にキリスト教徒が多いのは、西欧人から好意的に見られる可能性もあり、厄介です。

朝鮮人は日本に仇を為すことに生き甲斐を感じていると思いますね。ユダヤが何故迫害されたか、今では理解できます。
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