トーキング・マイノリティ

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震災を利用する者たち その二

2012-03-12 21:13:53 | 仙台/宮城

その一の続き
 震災後、NHK仙台放送局では、今に至るまで盛んに内外の支援組織の活動を映している。被災地を訪れ、昼夜や猛暑を顧みずに活動 されたボランティアの皆様方には心から感謝しているし、一宮城県民として改めて御礼申しげたい。おそらく岩手や福島のローカル放送局でも同じような報道をしていたと思われるし、こちらでは茨城や千葉のような関東の被災状況はあまり伝えられないのだ。
 ТVに登場する支援団体はNPOが多く、その類の活動をよく知らない私にはそれらNPOの数の多さに驚いた。そして海外、特に欧米人のそれは「国際的な支援団体」という表現がよく使われ、団体名をあまり言わないのが妙に気にかかった。

 先日もNHK仙台局で、“国際的な支援団体”の代表フランクリン・グラハム氏が仙台を訪問、講演したことを伝えていた。“グラハム”の姓が気にかかり、検索してみたら案の定メディアをフル活用する著名な伝道師ビリー・グラハムの息子だった。2012年3月12日(月曜日)付けのクリスチャントゥデイ電子版にも、「東北に希望を/フランクリン・グラハム氏が講演」したことが載っている。つまり、支援活動だけでなく 宣教活動も熱心に行っていたのだが、むしろ後者の方が本当の目的だろうと私は見ている。
 父グラハムはこれまで4度に亘り来日しているが、この宣教師が日本の東京ドームにての集会の際、日本のキリスト教信者に対し「十字軍の騎士を見習い、日本の社会をキリスト教社会に変身せよ」と訴えたことが、「教会は最大の犯罪組織」という在日ドイツ人のHPに載っている。私もネットをしていなければ、グラハムの発言など知らなかったはず。

 その長男フランクリンも様々な問題発言をしていたことがwikiに載っている。9.11テロ直後、イスラムを「非常に邪悪で不道徳な宗教」と、つい本音を漏らしたそうだ。2009年12月、懲りもせず子グラハムは「本当のイスラームはこの国で信奉されてはならない」と述べたとか。
 ローカルにせよ一応国営放送でありながら、このような物騒なТV伝道師を“国際的な支援団体”代表と紹介するのだから、ネットで犬HKと揶揄されるに相応しい報道姿勢である。wikiによれば、この教条的伝道師は東日本大震災に関し、「保守系テレビ局Newsmaxの電話取材に 対して、日本での地震と津波はキリストの再臨とアルマゲドンの予兆かもしれないと述べた」という。

 震災後、キリスト教支援団体が続々と被災地を訪れ、聖書を無料で大量に配っていたことを河北新報でも伝えていた。この件について、 shiretokoさんが2011-06-16 20:45付けで次のコメントを寄せている。

被災地で聖書が無料で配られていたとのことですが、火事場泥棒と言ってよい所行です。クリスチャン・トゥデイというインターネット新聞があります。震災が起きた当初、今こそ布教のチャンスという記事がいくつかありました。現在は全て削除されていますが、悲しむと言うよりも高揚した記事が多くありました。キリスト教にとっては、人を救うことよりも信者を増やすことの方が、優先順位が高いのでしょう。キリスト教の最大の問題点は、キリスト教が「正しい」宗教にされていることです…

 私は件のネット新聞記事を未見であり、彼のコメントで初めて知ったが、いかにもキリスト教徒らしい反応…という想いにさせられた。彼らは第三世界でも同じ行為を重ねてきたし、植民地時代もそうだった。福音を述べることで野蛮な有色人種を教化、改宗させる腹積もりだったのは書くまでもない。
 それでも支援してくれたのだから結構では?という反論もあろうが、昔から「タダくらい怖いものはない」というではないか。「見返り」 を求めない支援などあるのだろうか。元クリスチャンのブロガー『キリスト教の問題点について考える』さんは、2012-02-05(日)07:19付で 興味深いコメントをしており、それを紹介したい。

カトリックや、欧米に本拠地があったりつながりがあったりするプロテスタント教会は、敗戦後、それはそれは日本人を見下したのだそうです。「敗戦国のサル」に対して、教育を施してやる、食べ物を恵んでやる、という立場に立ったのです。
教会はサルドモに食事を施してやっている」という立場を守りたい気質は今でも変わっていません。哀れでかわいそうなサルが群れていそうなところへ出張っては大仰に食事を恵んで見せるのです。鳴り物入りでマスコミを引き連れることも忘れてはいません。そういうことがキリスト教の仕事でありPR方法であるわけです…
その三に続く

◆関連記事:「海外からの支援について
  「被災地で救援活動する人々

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6 コメント

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Unknown (Davy)
2012-03-13 02:15:32
子グラハムですが、震災のほんの数ヶ月前に日本に来て、大きな集会を行っていました。
阪神タイガースのクリスチャン選手を餌にして。


第二次世界大戦の後の布教活動もそうですが、原爆を落としたのはどこの国ですか…と言いたくなりますね。

引き金を引き、出向く。

悲劇の自作自演ですね。
DVと同じ様に見えます。相手を殴って弱らせてから、慰める。すると、被害者は加害者に支配され、逆に慕ってしまうのです。

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Davyさんへ (mugi)
2012-03-13 21:50:04
 子グラハムが震災の数ヶ月前に来日していたことは知りませんでした。何度目の来日か不明ですが、阪神タイガースのクリスチャン選手とはまさか日本人?野球には疎いので、それも初耳です。記事でも取り上げた「教会は最大の犯罪組織」にも、こんな記載があります。

「ベトナム戦争の時、アメリカ合衆国の司教達はこの戦争は十字軍遠征だと言いました。カトリック司教は北ベトナムの原子爆弾攻撃で南ベトナムのカトリック教会の防衛を望みました。また、プロテスタントの牧師キュンネト(Künneth)も、原子爆弾は隣人愛の為に使えると主張しました…」

 原子爆弾は隣人愛の為に使えるという主張は愕然とさせられます。この場合の“隣人”とはクリスチャンだけであり、異教徒は虫けら同然なのでしょう。
 DVの例えは言いえて妙です。イラク戦争前もそうでしたが、鳴り物入りでマスコミをフル活用、イラクを徹底的に悪玉に仕立て上げる。そして大量破壊兵器を隠しているイラクを叩くのは正義…と喧伝していた。今のイランと同じく。
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mugiさんへ (Davy)
2012-03-13 22:27:17

2010年10月に大きな子グラハムイベントが開催されていました。
桃栗さんの『ここが変だよキリスト教』blogにも記事が載っていましたし、神戸キ●●ト栄光教会もそのイベントに関わっていましたので。


阪神の外国人選手です。


イラクには大量破壊兵器なんて初めから無かったと思います。ブッシュ大統領と故ビンラディン氏との関係性も疑わしいと聞きます。

戦争をすれば、一部の人間が莫大な儲けを得ることになるようですね。

原爆が隣人愛に使えるなど、脳みそがワカメの味噌汁発言じゃないですか…。

原爆の莫大なエネルギー源は発展途上国の生活の為に分けてやるなどして使うべきです。

隣人愛とはそういうものです。

でも、クリスチャンからしてみれば異教徒は(虫けら)だと心の底では思っているに違いありません。
でも、熱狂的なクリスチャンなんて、生物兵器です。
虫けらと生物兵器となら、虫けらの方がずっと無害で可愛らしい。
そして虫けらは地道に頑張って今を生きる生かされるべき存在ですが、生物兵器は速やかに無くすべき存在です。

脳みそ味噌スープ牧師の様な人間が権力を持ってしまえば 地球は終わりです。

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Davyさんへ (mugi)
2012-03-14 21:21:56
桃栗さんの『ここが変だよキリスト教』を見たら、確かにありました。
http://exchristian.blog80.fc2.com/blog-entry-37.html

 先にも書いたように野球には疎いため、マット・マートン選手の名も知りませんでした。wikiにも紹介されていましたが、「非常にまじめな性格…大変な努力家…日本の野球に敬意を持ち、日本文化に馴染もうと努力をしており…」と好意的な書き方ですね。同時に「両親ともに教師という家庭に生まれた敬虔なプロテスタントあり、日曜日には神戸市内の教会にできる限り訪れるという」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3

 軍需産業は巨大ビジネスになっているため、戦争があった方が望ましいし、企業のトップのなみらず一般従業員も恩恵を受けています。国連の常任理事国はもちろんドイツやイタリア、韓国も武器を製造、輸出している始末。途上国で戦争を勃発させ破壊の後、復興支援と銘打って新たなビジネスを展開するのだから始末が悪い。

 脳みそ味噌スープでは旧教も引けを取りません。また「教会は最大の犯罪組織」から引用しますが、リーサルウェポン(人間兵器)とは聖職者のためにある言葉でしょう。

「1959年、ローマでイエズス会士のグンドラハ(G. Gundlach: Die Lehre Pius Xll zum atomaren Krieg, 1959) が法王ピウス12世の原爆戦争についての意見をまとめ、出版された書籍は「原爆戦争そのものは不道徳的ではありません…どうせこの世は永遠には続きません…我々人間は世の終わりには責任はない…神の摂理でそういう結果に導かれてしまいました…」
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聖書の無料配布について (巨大虎猫)
2012-03-15 21:24:48
聖書の無料配布は、恐らく「ギデオン協会」ではないでしょうか。大学の入学式でも配っていたりします。私が学生の時も、入学式での聖書配布をしに行かないか、と誘われましたが、「自分だけが正しい」という狂信的クリスチャンたちが中心になってやっていたので、行きませんでした。人のやることなすことすべてに因縁を付けてくる人たちだったので、あまり深入りしたくなかったのです。
あの人たちの考えでは「人はパンのみにて生きるにあらず」です。だから、被災者に最も必要なのは、水や食料、生活必需品等ではなく、聖書なのです。しかし、パン(食料)すらもなければ人間は生きていけない、という現実がまるで分かっていません。私は今ではリアルの世界ではクリスチャンとはあまり関わらないようにしていますが、教会に行っていた時、教会員には経済的に困窮している人が皆無であることに気付きました。(これは、教会員が「神の恵み」を受けているからではありません。最初からある程度経済力のある人しか集まらないのです。また、「金の切れ目が縁の切れ目」で、経済的に困った状況になってしまった人は自然に教会から遠ざかって行くのでした。)貧困とはどんなものか肌で知らない教会員が多かったです。彼らは一度被災者と同じ生活をして現実の世界を体験するべきではないでしょうか。
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RE:聖書の無料配布について (mugi)
2012-03-16 21:47:11
>巨大虎猫さん、

 地元紙には聖書の無料配布を行っていた協会名は書かれていなかったし、「ギデオン協会」というのも初耳です。検索してみたらwikiにもありました。どうりで方々のビジネスホテルに聖書が置かれていた訳です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%82%AE%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E4%BC%9A

 貴方の接した「自分だけが正しい」という狂信的クリスチャンたちとは、もちろん日本人ですよね?全員とは言いませんが、利いた風に「人はパンのみにて生きるにあらず」と言っている者に限り、パンに不自由しないものです。生活に不自由しないし、することがないから「人のやることなすことすべてに因縁を付けてくる」ようになるのかもしれませんね。

 クッキングホイルさんや桃栗さんのブログに散々嫌がらせをしていた梅毒クンにせよ、経済的に恵まれているはず。あれだけネットして性風俗店に入り浸るほどなら、貧困とは無縁でしょう。宗教信者ではなくとも生活に不自由しない暇人ほど、ネット弁慶になりがちです。そして方々のサイトにアラシやストーカーを繰り返したり。
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