宝探し2
軍の病院は警備がきつい。その中でもここ細菌研究所は特にきつい。エドも銀時計のみでは入れなかった。ロイの命令書が、ものを言った。
病院という名の研究所。感染性とくに空気感染する細菌を集めている。発病している患者ごと。
ガラス越しに見える入院患者という名の隔離された生体サンプルは、どれもどろりとした死者の目をしていた。どの部屋も個人を示すものは何も無い。
彼らは厄介な病気に罹り家族からも住んでいる場所からも捨てられたのだ。あるいは全滅した土地の最後の生き残りなのか。
そんな病室が続く中一部屋だけ明るい花模様のカーテンがゆれていた。花瓶にはかわいいマーガレットの小花。見たこともない色だ。鮮やかな金色。
ベッド脇には本棚。絵本や子供向けの小説がぎっしり並ぶ。その横には錬金術本。その本棚を見ただけでここに誰がいるのか、なぜあいつがあんなにがたがたになっているのかエドにはわかった。
「どうぞ、1-8745です」
案内の看護士という名の見張りが鍵を開ける。
部屋は外から鍵をかけられていた。
あのときからあまり大きくなっているように見えない。
『弟』
「フレッチャー」
ぱちぱちと擬音語をつけて瞬きする。
やせて細くなった腕が本を落とした。
「エドワードさん・・・?」
生気に乏しい顔に、それでも精一杯の喜びを浮かべて少年はエドを見上げた。
あれこれと事情を聞くことは憚られた。少年の乏しい体力はすぐに底をついてしまう。何があったかなんてことはあとでラッセルを締め上げればいい。
フレッチャーはエドが大体の事情を知っているという前提で話をした。
この施設に入れるということ自体、エドが事情をわかっているということになる。
「兄さんは元気?」
「来てないのか?」
ラッセルのことだから毎日のように来ていると思った。
「ここには来てる。でも部屋には来ないんだ。少し前から。
僕がね、このごろ兄さんが元気ないから休んでねっていったら、来なくなった。気にしてるんだよ。でも来ているのはわかっているのに。この花はどこにも売ってないんだ。毎日新しいのに換えられているんだ。兄さん、僕が寝ているときに来ているんだよ」
やさしい笑み。兄のうそも優しさもすべて受け止めているような。その笑い方は鎧のときの弟に良く似ている。
疲れたのだろう。フレッチャーは小さなため息をついた。
「少し、眠ってろ。起きたころに来るから」
「また、会えますか」
この子はすべてを受け入れているのだ。何もかも受け入れることでしかこの施設で研究体になって生きることはできないから。
「約束する」
そういってエドは両手で子供の小さな手を包んでやる。この子の兄がそうしているであろう同じことを。
「よかった。エドワードさん。良かった。アルにもおめでとうといって・・・」
言葉の後半は夢の中に消えた。
フレッチャーは知っているのだろうか。あのときのアルが鎧そのものだったことを。今の言葉はそうとも取れる。
フレッチャーが眠った間にここの研究員にあれこれと聞いた。一応、ロイの名代で視察という建前になっている。
「エルリック少佐は生体にもお詳しいのですね」
的確な質問に研究員はお世辞で無く言った。
「まぁな」
人体練成をしようとしたとき人体についてはいやというほど調べた。
入院患者の生活環境を調査するという建前で目を覚ましたフレッチャーのところにもう一度行く。
ドアを開けさせ中に入る。
「エドワードさん」
淡い、ガラスの花のような笑顔。
ラッセルの気持ちが良くわかる。この笑顔を守るためなら何でも犠牲にするだろう。もし、これがアルの身に起きていたら自分も同じ選択をしただろう。
そして、この弟が考えることを自分の弟も考えただろう。
「兄さんが言っていたよ。僕が治ったら僕をここから盗み出すって。だからここでしばらく我慢していろって」
治る。そんな日が来ることをラッセルは信じているのだろうか。ここに入れられる患者は治療法の無いものばかりだ。いや、あいつは信じている。俺がアルを元に戻せると信じていたように。だが、おそらくこの弟は兄を信じてはいても、治る日が来るとは信じていない。
奇跡はもう起きてしまった。アルは元に戻った。元の体を取り戻す形で。まだ、鎧のときとの違和感に戸惑っているが時期に落ち着くだろう。そのアルが言った。僕は兄さんが元に戻してくれると信じていたけど、元に戻れるとは信じられなかった。だって、僕が鎧の姿で生きていること自体奇跡だよ。そんなにたくさん僕らにだけ奇跡が起きるなんて思えなかったよ。兄の生身に戻った右手を両手で包んで弟は言う。こんなにたくさん奇跡をもらっていいのかな。
「いいんだ。お前はそれだけ苦労した」
「アルのためなら俺は運命とやらの横っ面を殴り飛ばしてでも奇跡をふんだくってやる」
「兄さんたら」
この兄ならやりかねないと思う。
小さな声が話を続けた。
「僕らは戸籍未整備地区だから何とかごまかせるって言うんだ」
くすりと弟が笑う。
病気のせいだろうか。今のアルと変わらない年に見える。小さい。ゼノタイムで会ったときより小さく見える。あの時12歳ぐらいだったのだろうか。
「甘いな」
「うん、僕もそう思う。兄さんは昔から見通しの甘い人だったから。
何とかなるって言い切るんだ。それで何とかしきるからすごいんだけど。
でもね、研究でも何とかするためにずいぶんひどい目にあっているのにちっとも懲りないんだよ。本当に少しも進歩しないんだから」
ほほを少し膨らます。たぶん自分もアルに似たようなことを言われているんだろうなと思う。
アルはこういうのだ。鎧のときも、今も。『兄さんは少しも変わらないねぇ』
このところ弟の声にもう一人の声が重なる。弟は家主といい、兄は同居人というその人の声。
『成長しないのは身長だけではないのだな。鋼の』
『大佐も変わりませんね』
なぜだろう。かわいい弟に言われても腹が立たないが、いやみ上司には思いっきり腹が立つ。そもそもこいつに頼っている自分に腹が立つ。
小さな声が続く。
「でももう無理なんだ。これ以上続けたら兄さんが持たない。だからおねがい。
」
「死なせて」
ほとんど聞こえないくらい小さな声。
「俺にはお前の頼みを聞いてやる義理が無い」
あえて冷たい声でエドは言い放つ。
「うん、わかってる。ごめんね。知っている人の顔を見てつい甘えたくなった」
「だいたい、まだお前にはアルの名前の借り賃をもらっていない」
「ごめんね。迷惑かけてばかりだ。もう払えないと思うし」
「錬金術師が踏み倒すなんて絶対許さない」
「でももう僕は」
「お前の名を寄こせ」
「?」
「あのときの等価交換だ。アルにお前の名を寄こせ」
そうだ。なぜもっと早く思いつかなかったのか。アルがアルとして生きるから鎧だったアルと今のアルで人体練成が問題になるのだ。別人ならば問題は無い。
「いいよ。使って」
あまりにもあっさりした答え。
この子は自分の存在そのものをあきらめている。
「いいか、アルとお前は交換した。わかったな」
「うん」
どうせここでは名を呼ばれることは無い。試験体ナンバー、それが今の自分の名。
「では、アル」
「・・・なんですか、エドワードさん」
「兄さんと言え」
強制する。
「だって、」
「兄さんだ」
その押し付け方が兄とそっくりだ。
「うん、 兄さん」
「よし、俺の弟があきらめることなど俺が許さない。あきらめるな。必ずなんとかしてやる」
見張りが外に来た。時間だ。耳の中にあきらめるなと約束を押し付けた。
研究所の外に出てから、どうもはめられた気がする。と思った。
川原で石を投げた。新しい国家錬金術の様子を見て来いといわれて、行ってみたらラッセルだった。生気のない顔で眼光だけが鋭い。自分もついこないだまで同じ目をしていたように思う。今は、たとえ気に食わないいやみな上司の家に下宿中といえ、かわいい弟がにっこり笑うだけで幸福とはかくあるものだとにやけてくる。
それを上司にからかわれる。そのいやみすら、その後なだめてくれる小さい手の感触を思えば幸せへの鍵にすら感じる。
宿の部屋の入り口でマスタング大佐の代わりにご様子を伺いに来ましたと棒読みのせりふを言った。
本にうずもれるような影が振り向いた。ラッセルだった。
「よぉ、元気そうだな」
長いこと会ってないにしてはあっさりした挨拶だ。まぁ、喜び合って抱き合うような仲ではないし。どっちかというと道であったら蹴り飛ばしたくなるような相手だ。
だが、エドの口からはあっさりした挨拶は出なかった。
「おまえ、何日寝てない。めし食ったのはいつだ」
前は自分もよくやりかけた。研究に夢中になって寝食が消えてしまう。だが、自分には弟がいる。さりげないタイミングで食事をさせ寝かしつける弟が。
こいつには、今誰もいないんだ。そのときには弟がなぜいないのかは聞けなかった。というのも「人事だろ。ほっとけ」とふてくされたように、いやどちらかというとすねたように答えたラッセルが直後倒れたからだ。
限界だったのだろう。
とにかく病院に運んでロイに連絡した。そしたら「そっちは医者に任せて次の仕事を頼む」である。
あの無能サボり上司め。アルを人質にとっていると思ってこき使ってくる。
そのことをぶーぶー文句を言ったらアルに「ずっとお世話になっているんだし少しはお役に立とう」といわれてしまった。
「本当は僕もお役に立ちたいんだけど、この姿を見られると困るでしょ」
まったく、それがなければロイの所なんか来るもんか。
そして言われた先が細菌研究所だ。
行った先にあの『弟』がいた。
どうも計算されていたようで不愉快だ。
だがこの手ならばアルを外に出してやれる。
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軍の病院は警備がきつい。その中でもここ細菌研究所は特にきつい。エドも銀時計のみでは入れなかった。ロイの命令書が、ものを言った。
病院という名の研究所。感染性とくに空気感染する細菌を集めている。発病している患者ごと。
ガラス越しに見える入院患者という名の隔離された生体サンプルは、どれもどろりとした死者の目をしていた。どの部屋も個人を示すものは何も無い。
彼らは厄介な病気に罹り家族からも住んでいる場所からも捨てられたのだ。あるいは全滅した土地の最後の生き残りなのか。
そんな病室が続く中一部屋だけ明るい花模様のカーテンがゆれていた。花瓶にはかわいいマーガレットの小花。見たこともない色だ。鮮やかな金色。
ベッド脇には本棚。絵本や子供向けの小説がぎっしり並ぶ。その横には錬金術本。その本棚を見ただけでここに誰がいるのか、なぜあいつがあんなにがたがたになっているのかエドにはわかった。
「どうぞ、1-8745です」
案内の看護士という名の見張りが鍵を開ける。
部屋は外から鍵をかけられていた。
あのときからあまり大きくなっているように見えない。
『弟』
「フレッチャー」
ぱちぱちと擬音語をつけて瞬きする。
やせて細くなった腕が本を落とした。
「エドワードさん・・・?」
生気に乏しい顔に、それでも精一杯の喜びを浮かべて少年はエドを見上げた。
あれこれと事情を聞くことは憚られた。少年の乏しい体力はすぐに底をついてしまう。何があったかなんてことはあとでラッセルを締め上げればいい。
フレッチャーはエドが大体の事情を知っているという前提で話をした。
この施設に入れるということ自体、エドが事情をわかっているということになる。
「兄さんは元気?」
「来てないのか?」
ラッセルのことだから毎日のように来ていると思った。
「ここには来てる。でも部屋には来ないんだ。少し前から。
僕がね、このごろ兄さんが元気ないから休んでねっていったら、来なくなった。気にしてるんだよ。でも来ているのはわかっているのに。この花はどこにも売ってないんだ。毎日新しいのに換えられているんだ。兄さん、僕が寝ているときに来ているんだよ」
やさしい笑み。兄のうそも優しさもすべて受け止めているような。その笑い方は鎧のときの弟に良く似ている。
疲れたのだろう。フレッチャーは小さなため息をついた。
「少し、眠ってろ。起きたころに来るから」
「また、会えますか」
この子はすべてを受け入れているのだ。何もかも受け入れることでしかこの施設で研究体になって生きることはできないから。
「約束する」
そういってエドは両手で子供の小さな手を包んでやる。この子の兄がそうしているであろう同じことを。
「よかった。エドワードさん。良かった。アルにもおめでとうといって・・・」
言葉の後半は夢の中に消えた。
フレッチャーは知っているのだろうか。あのときのアルが鎧そのものだったことを。今の言葉はそうとも取れる。
フレッチャーが眠った間にここの研究員にあれこれと聞いた。一応、ロイの名代で視察という建前になっている。
「エルリック少佐は生体にもお詳しいのですね」
的確な質問に研究員はお世辞で無く言った。
「まぁな」
人体練成をしようとしたとき人体についてはいやというほど調べた。
入院患者の生活環境を調査するという建前で目を覚ましたフレッチャーのところにもう一度行く。
ドアを開けさせ中に入る。
「エドワードさん」
淡い、ガラスの花のような笑顔。
ラッセルの気持ちが良くわかる。この笑顔を守るためなら何でも犠牲にするだろう。もし、これがアルの身に起きていたら自分も同じ選択をしただろう。
そして、この弟が考えることを自分の弟も考えただろう。
「兄さんが言っていたよ。僕が治ったら僕をここから盗み出すって。だからここでしばらく我慢していろって」
治る。そんな日が来ることをラッセルは信じているのだろうか。ここに入れられる患者は治療法の無いものばかりだ。いや、あいつは信じている。俺がアルを元に戻せると信じていたように。だが、おそらくこの弟は兄を信じてはいても、治る日が来るとは信じていない。
奇跡はもう起きてしまった。アルは元に戻った。元の体を取り戻す形で。まだ、鎧のときとの違和感に戸惑っているが時期に落ち着くだろう。そのアルが言った。僕は兄さんが元に戻してくれると信じていたけど、元に戻れるとは信じられなかった。だって、僕が鎧の姿で生きていること自体奇跡だよ。そんなにたくさん僕らにだけ奇跡が起きるなんて思えなかったよ。兄の生身に戻った右手を両手で包んで弟は言う。こんなにたくさん奇跡をもらっていいのかな。
「いいんだ。お前はそれだけ苦労した」
「アルのためなら俺は運命とやらの横っ面を殴り飛ばしてでも奇跡をふんだくってやる」
「兄さんたら」
この兄ならやりかねないと思う。
小さな声が話を続けた。
「僕らは戸籍未整備地区だから何とかごまかせるって言うんだ」
くすりと弟が笑う。
病気のせいだろうか。今のアルと変わらない年に見える。小さい。ゼノタイムで会ったときより小さく見える。あの時12歳ぐらいだったのだろうか。
「甘いな」
「うん、僕もそう思う。兄さんは昔から見通しの甘い人だったから。
何とかなるって言い切るんだ。それで何とかしきるからすごいんだけど。
でもね、研究でも何とかするためにずいぶんひどい目にあっているのにちっとも懲りないんだよ。本当に少しも進歩しないんだから」
ほほを少し膨らます。たぶん自分もアルに似たようなことを言われているんだろうなと思う。
アルはこういうのだ。鎧のときも、今も。『兄さんは少しも変わらないねぇ』
このところ弟の声にもう一人の声が重なる。弟は家主といい、兄は同居人というその人の声。
『成長しないのは身長だけではないのだな。鋼の』
『大佐も変わりませんね』
なぜだろう。かわいい弟に言われても腹が立たないが、いやみ上司には思いっきり腹が立つ。そもそもこいつに頼っている自分に腹が立つ。
小さな声が続く。
「でももう無理なんだ。これ以上続けたら兄さんが持たない。だからおねがい。
」
「死なせて」
ほとんど聞こえないくらい小さな声。
「俺にはお前の頼みを聞いてやる義理が無い」
あえて冷たい声でエドは言い放つ。
「うん、わかってる。ごめんね。知っている人の顔を見てつい甘えたくなった」
「だいたい、まだお前にはアルの名前の借り賃をもらっていない」
「ごめんね。迷惑かけてばかりだ。もう払えないと思うし」
「錬金術師が踏み倒すなんて絶対許さない」
「でももう僕は」
「お前の名を寄こせ」
「?」
「あのときの等価交換だ。アルにお前の名を寄こせ」
そうだ。なぜもっと早く思いつかなかったのか。アルがアルとして生きるから鎧だったアルと今のアルで人体練成が問題になるのだ。別人ならば問題は無い。
「いいよ。使って」
あまりにもあっさりした答え。
この子は自分の存在そのものをあきらめている。
「いいか、アルとお前は交換した。わかったな」
「うん」
どうせここでは名を呼ばれることは無い。試験体ナンバー、それが今の自分の名。
「では、アル」
「・・・なんですか、エドワードさん」
「兄さんと言え」
強制する。
「だって、」
「兄さんだ」
その押し付け方が兄とそっくりだ。
「うん、 兄さん」
「よし、俺の弟があきらめることなど俺が許さない。あきらめるな。必ずなんとかしてやる」
見張りが外に来た。時間だ。耳の中にあきらめるなと約束を押し付けた。
研究所の外に出てから、どうもはめられた気がする。と思った。
川原で石を投げた。新しい国家錬金術の様子を見て来いといわれて、行ってみたらラッセルだった。生気のない顔で眼光だけが鋭い。自分もついこないだまで同じ目をしていたように思う。今は、たとえ気に食わないいやみな上司の家に下宿中といえ、かわいい弟がにっこり笑うだけで幸福とはかくあるものだとにやけてくる。
それを上司にからかわれる。そのいやみすら、その後なだめてくれる小さい手の感触を思えば幸せへの鍵にすら感じる。
宿の部屋の入り口でマスタング大佐の代わりにご様子を伺いに来ましたと棒読みのせりふを言った。
本にうずもれるような影が振り向いた。ラッセルだった。
「よぉ、元気そうだな」
長いこと会ってないにしてはあっさりした挨拶だ。まぁ、喜び合って抱き合うような仲ではないし。どっちかというと道であったら蹴り飛ばしたくなるような相手だ。
だが、エドの口からはあっさりした挨拶は出なかった。
「おまえ、何日寝てない。めし食ったのはいつだ」
前は自分もよくやりかけた。研究に夢中になって寝食が消えてしまう。だが、自分には弟がいる。さりげないタイミングで食事をさせ寝かしつける弟が。
こいつには、今誰もいないんだ。そのときには弟がなぜいないのかは聞けなかった。というのも「人事だろ。ほっとけ」とふてくされたように、いやどちらかというとすねたように答えたラッセルが直後倒れたからだ。
限界だったのだろう。
とにかく病院に運んでロイに連絡した。そしたら「そっちは医者に任せて次の仕事を頼む」である。
あの無能サボり上司め。アルを人質にとっていると思ってこき使ってくる。
そのことをぶーぶー文句を言ったらアルに「ずっとお世話になっているんだし少しはお役に立とう」といわれてしまった。
「本当は僕もお役に立ちたいんだけど、この姿を見られると困るでしょ」
まったく、それがなければロイの所なんか来るもんか。
そして言われた先が細菌研究所だ。
行った先にあの『弟』がいた。
どうも計算されていたようで不愉快だ。
だがこの手ならばアルを外に出してやれる。
宝探し3へ
題名目次へ
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