プロポーズ小作戦65
2020年10月
2020年10月はナナリー、アーニャ、ギルフォードの誕生日である。
このうちで国際的に特に重要なのはナナリーの誕生日である。
帰国とともにジノ、いやもうヴァインベルグ卿と呼ぶべきだ、卿は大佐として軍に戻った。
以前より階級が落ちているのは、長い間ふらふら遊んだいたことへのお小言代わりである。
そしてさっそく任されたのはナナリー皇帝の誕生日のパレードの総合管理。つまり、先日の国際会議で星刻がやっていたように裏方から警護体制まで全て取り仕切る。一通りのデータは昨年のものがあるし、部下は全員昨年の経験もある。ジノは総合指揮に徹して、細かい部分は部下に任せた。そういう点、トイレの配水管の角度にまで口を挟む星刻とはやり方が180度異なる。
それは生まれ育ちの個性もあるが、結局は国に人材があるかが影響している。
ブリタニアはこの皇帝誕生祭をきっかけに、外国人の旅行を原則認める方針をすでに出している。今までは特別な許可が必要だった。観光旅行者を受け入れるほどにブリタニアは復興したのだ。
一方中華はまだ外国人の自由旅行を認めていない。
もちろん、国防上の問題も大きいが、実は下水網がまるっきり機能しておらず、いまだにニーハオトイレ(しゃがむとお互いの排泄行為がモロ見えする)が主役でそれさえもあればましな方。結構大きな街でも、街の中にトイレが無い場合も多い。
ではどうするのか。土地により多少の差はあるが馬桶と呼ばれるおまるや完全な露天トイレ、屋根も壁も無い浅い穴だけのトイレ。こうなるとトイレというよりノグソである。
最大の問題は排泄物がそのまま環境に戻されている事。寄生虫の蔓延や水質汚染など、問題は山積みである。
ある街など、あまりの汚損のひどさにフレイアで焼き払いたいと星刻が心中つぶやいたとか。それがわりと大きな観光地だったりして、「早く海外からの自由旅行を許可してくれ」と何度も申請が来ている土地でさえ衛生観念がまるっきり無い。
「まずは教育が大切です」
いとおしい天子に公式の間で報告する。
さすがにノグソの問題を天子に言う事はできない。
「わが国は世界一の国土と国民を抱いております」
「その全てが天子様の足元にひざまずいて下ります」
星刻の声を天子は遠く聞いた。物理的にも遠い。10メートルの距離。
あの裏切り騎士枢木スザクとの戦いでのどを痛めた星刻は、ふだんはあまり大きな声を出さなくなった。
いくら天子が耳を澄ましても、星刻の声が聞こえない。
耳にも心にも。
天子は報告の途中で席を立った。そもそも聞こえていないのだから座っている意味など無い。
空っぽの玉座に聞こえない声が響く。
それは中華の現状と二人の思いのすれ違いをはっきりと表す構図であった。
2020年10月
2020年10月はナナリー、アーニャ、ギルフォードの誕生日である。
このうちで国際的に特に重要なのはナナリーの誕生日である。
帰国とともにジノ、いやもうヴァインベルグ卿と呼ぶべきだ、卿は大佐として軍に戻った。
以前より階級が落ちているのは、長い間ふらふら遊んだいたことへのお小言代わりである。
そしてさっそく任されたのはナナリー皇帝の誕生日のパレードの総合管理。つまり、先日の国際会議で星刻がやっていたように裏方から警護体制まで全て取り仕切る。一通りのデータは昨年のものがあるし、部下は全員昨年の経験もある。ジノは総合指揮に徹して、細かい部分は部下に任せた。そういう点、トイレの配水管の角度にまで口を挟む星刻とはやり方が180度異なる。
それは生まれ育ちの個性もあるが、結局は国に人材があるかが影響している。
ブリタニアはこの皇帝誕生祭をきっかけに、外国人の旅行を原則認める方針をすでに出している。今までは特別な許可が必要だった。観光旅行者を受け入れるほどにブリタニアは復興したのだ。
一方中華はまだ外国人の自由旅行を認めていない。
もちろん、国防上の問題も大きいが、実は下水網がまるっきり機能しておらず、いまだにニーハオトイレ(しゃがむとお互いの排泄行為がモロ見えする)が主役でそれさえもあればましな方。結構大きな街でも、街の中にトイレが無い場合も多い。
ではどうするのか。土地により多少の差はあるが馬桶と呼ばれるおまるや完全な露天トイレ、屋根も壁も無い浅い穴だけのトイレ。こうなるとトイレというよりノグソである。
最大の問題は排泄物がそのまま環境に戻されている事。寄生虫の蔓延や水質汚染など、問題は山積みである。
ある街など、あまりの汚損のひどさにフレイアで焼き払いたいと星刻が心中つぶやいたとか。それがわりと大きな観光地だったりして、「早く海外からの自由旅行を許可してくれ」と何度も申請が来ている土地でさえ衛生観念がまるっきり無い。
「まずは教育が大切です」
いとおしい天子に公式の間で報告する。
さすがにノグソの問題を天子に言う事はできない。
「わが国は世界一の国土と国民を抱いております」
「その全てが天子様の足元にひざまずいて下ります」
星刻の声を天子は遠く聞いた。物理的にも遠い。10メートルの距離。
あの裏切り騎士枢木スザクとの戦いでのどを痛めた星刻は、ふだんはあまり大きな声を出さなくなった。
いくら天子が耳を澄ましても、星刻の声が聞こえない。
耳にも心にも。
天子は報告の途中で席を立った。そもそも聞こえていないのだから座っている意味など無い。
空っぽの玉座に聞こえない声が響く。
それは中華の現状と二人の思いのすれ違いをはっきりと表す構図であった。
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