プロポーズ小作戦100
三星堂、その前身は第一次世界大戦の起こる少し前某財団の末娘が設立したトリスター社の化粧品部門。
怒りのままに斬り殺した、いや間違えた、悪しき大宦官の手先に殺された亡き尊父高亥(享年43歳)も使っていたメーカーである。
星刻はメーカーを変えたかったのだが、生憎三星堂以外のメーカーは肌質に合わない。
舌打ちしながらも星刻の手は器用に素早く動く。さんざん高亥の化粧の手伝いをさせられたからすっかりうまくなってしまった。
数時間ぶりに通信回線を開く。
この数時間で中華はすっかり出遅れた。
すでにブリタニアが仲介して平和的解決をすることはインド政府との話し合いで決まっており、ここで中華が話し合いを拒否すれば平和の敵は中華となってしまう。
星刻は軍服の上に豪華な金糸で装飾された伝統的衣装をまとい、話し合いのテーブルに着いた。華やかで美しくはあるが、重いしだらだら長いし歩きにくいので、星刻は普段はあまり伝統的衣装を着ない。しかし、今回は仕方がない。
顔色の悪さをカバーするにはかなり濃い化粧をせねばならなかった。それに合わせるとなると軍服では違和感がある。
話し合いのテーブルにはすでにインド公式政府特使、ブリタニア皇帝の特使シュナイゼル、日本の扇総理の第一秘書兼特使、そして今回の藩王連合軍の総指揮官を押しつけられた老将軍がいた。
この日、長い裾を翻し部屋に入った星刻のことを老将軍はこう書いている。
〈威厳と言い、風格と言い、まるで王侯貴族が臣下の前に現れたようであった〉
のちに明らかになる星刻の血筋を考えると、この表現もそう的外れではない。
この会談で星刻はあまり目立った発言をしていない。
そのために話し合いはインド正式政府側がリードした。
シュナイゼルはナナリー皇帝の命令のままに調整役に徹し、日本はオブザーバーの立場を守った。
結果出た結論は両軍とも平和的に秩序を守って撤退する。この撤退行動にはゼロも立ちあう。
なお、インド国内のことはインドが解決する。
インドと中華は近いうちに学生の文化交流を実施する。これはナナリー皇帝の勧めであり、ブリタニアも参加する。
こうして話し合いのもと、両軍はゆるゆると撤退を始めた。
この頃ゼロ・スザクはナナリーの要請でニコバル島を目指して飛んでいた。
さて、先の話し合いの内容を見ればわかるが、中華側は何も要求していない。本来なら、インド側の国境侵犯に対して強く出て、何らかの利益を獲るべき状況であるのにだ。
これを政治的深慮遠望と見る歴史家もいるが、事実は異なる。
椅子に座って威厳を保つだけでも星刻にはつらかった。
話し合いを早く終わらせたいのが星刻の本音であった。
このときの星刻の対応は、のちに中華国内から大非難を受けることになる。
三星堂、その前身は第一次世界大戦の起こる少し前某財団の末娘が設立したトリスター社の化粧品部門。
怒りのままに斬り殺した、いや間違えた、悪しき大宦官の手先に殺された亡き尊父高亥(享年43歳)も使っていたメーカーである。
星刻はメーカーを変えたかったのだが、生憎三星堂以外のメーカーは肌質に合わない。
舌打ちしながらも星刻の手は器用に素早く動く。さんざん高亥の化粧の手伝いをさせられたからすっかりうまくなってしまった。
数時間ぶりに通信回線を開く。
この数時間で中華はすっかり出遅れた。
すでにブリタニアが仲介して平和的解決をすることはインド政府との話し合いで決まっており、ここで中華が話し合いを拒否すれば平和の敵は中華となってしまう。
星刻は軍服の上に豪華な金糸で装飾された伝統的衣装をまとい、話し合いのテーブルに着いた。華やかで美しくはあるが、重いしだらだら長いし歩きにくいので、星刻は普段はあまり伝統的衣装を着ない。しかし、今回は仕方がない。
顔色の悪さをカバーするにはかなり濃い化粧をせねばならなかった。それに合わせるとなると軍服では違和感がある。
話し合いのテーブルにはすでにインド公式政府特使、ブリタニア皇帝の特使シュナイゼル、日本の扇総理の第一秘書兼特使、そして今回の藩王連合軍の総指揮官を押しつけられた老将軍がいた。
この日、長い裾を翻し部屋に入った星刻のことを老将軍はこう書いている。
〈威厳と言い、風格と言い、まるで王侯貴族が臣下の前に現れたようであった〉
のちに明らかになる星刻の血筋を考えると、この表現もそう的外れではない。
この会談で星刻はあまり目立った発言をしていない。
そのために話し合いはインド正式政府側がリードした。
シュナイゼルはナナリー皇帝の命令のままに調整役に徹し、日本はオブザーバーの立場を守った。
結果出た結論は両軍とも平和的に秩序を守って撤退する。この撤退行動にはゼロも立ちあう。
なお、インド国内のことはインドが解決する。
インドと中華は近いうちに学生の文化交流を実施する。これはナナリー皇帝の勧めであり、ブリタニアも参加する。
こうして話し合いのもと、両軍はゆるゆると撤退を始めた。
この頃ゼロ・スザクはナナリーの要請でニコバル島を目指して飛んでいた。
さて、先の話し合いの内容を見ればわかるが、中華側は何も要求していない。本来なら、インド側の国境侵犯に対して強く出て、何らかの利益を獲るべき状況であるのにだ。
これを政治的深慮遠望と見る歴史家もいるが、事実は異なる。
椅子に座って威厳を保つだけでも星刻にはつらかった。
話し合いを早く終わらせたいのが星刻の本音であった。
このときの星刻の対応は、のちに中華国内から大非難を受けることになる。
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