僕と結婚して国になろう
[chapter2:章連絡不能]
2011/4/6
フランシスの部屋から
ドーバーを隔てた腐れ縁の古なじみから文句といやみだらけの電話がかかってきたのは3日前。
その話題は≪美幼児攻め、聖職者受け≫こういう新聞記事だった。
なんだ、それは。菊のところのうすいきらきらした本の題名か。はたまた眉毛の国のエロ本か。
フランシスの返答に眉毛はさらにヒートアップして記事の内容を読み上げた。
記事の内容はかなり具体的でえげつないものだった。それを経済紙でも読むように淡々と読むアーサーの声に、フランシスは逆にアーサーの怒りの大きさを感じた。
口ではなんだかんだ言いつつアーサーは(自分の家族)を深く愛している。それが強く表れるのは家族が誰かに害された時である。特にシーランドは一人前の国ではないため、(俺が保護する)という気持ちが強い。
ことに今回の記事のシーランド本人の名誉を汚すような形の攻撃は、アーサーの怒りを強く呼んだ。
今のところアーサーはその記事の新聞社に具体的な行動を起こしていない。だが逆にそれは恐ろしい。フランシスにはわかる。この記事を載せた新聞社は社長以下全社員、今後の社会生活で光が当たることはない。おそらく具体的な抗議はなにひとつされないまま彼らは社会的に抹殺される。
公式の抗議がされないのは迂闊にそうするとかえってこの不愉快な記事の内容を世間に広めることになるためである。それはシーランドのためにならない。そしてもうひとつ理由がある。イギリスのような一流の国が記事を問題視することによって記事の内容が事実として走り出してしまう可能性がある。いまのところはイエローゴシップ誌のエロ記事だが、記事の内容は切り口を変えればとんでもない国際問題に化けるのだ。
つまり、シーランドがプロイセンに求婚している。それはイギリス連邦の一部・・・みたいなものであるシーランドが、ドイツのもう一つの国体にしてロシアの飛び地の化身でもあるプロイセンと同君連合を組むということになる。具体的にどういう連合になるかはわからないが、どういう形であってもロシア・ドイツ・イギリスを中心とした政治問題になるだろう。
(そうなったら巻き込まれて一番迷惑受けるのはおにーさんなのよね)
フランシスにとっては頭の痛いことになる。
イギリスもさすがに自重してくれて、とにかくシーランドに連絡してそういう話が少しでもあったのかを確認しようとしている。ところがシーランドと連絡がとれないのだ。
そしてフランシスはもう一人の当事者であるギルベルトに連絡をとろうとしているのだが、これも連絡不能であった。
[chapter2:章連絡不能]
2011/4/6
フランシスの部屋から
ドーバーを隔てた腐れ縁の古なじみから文句といやみだらけの電話がかかってきたのは3日前。
その話題は≪美幼児攻め、聖職者受け≫こういう新聞記事だった。
なんだ、それは。菊のところのうすいきらきらした本の題名か。はたまた眉毛の国のエロ本か。
フランシスの返答に眉毛はさらにヒートアップして記事の内容を読み上げた。
記事の内容はかなり具体的でえげつないものだった。それを経済紙でも読むように淡々と読むアーサーの声に、フランシスは逆にアーサーの怒りの大きさを感じた。
口ではなんだかんだ言いつつアーサーは(自分の家族)を深く愛している。それが強く表れるのは家族が誰かに害された時である。特にシーランドは一人前の国ではないため、(俺が保護する)という気持ちが強い。
ことに今回の記事のシーランド本人の名誉を汚すような形の攻撃は、アーサーの怒りを強く呼んだ。
今のところアーサーはその記事の新聞社に具体的な行動を起こしていない。だが逆にそれは恐ろしい。フランシスにはわかる。この記事を載せた新聞社は社長以下全社員、今後の社会生活で光が当たることはない。おそらく具体的な抗議はなにひとつされないまま彼らは社会的に抹殺される。
公式の抗議がされないのは迂闊にそうするとかえってこの不愉快な記事の内容を世間に広めることになるためである。それはシーランドのためにならない。そしてもうひとつ理由がある。イギリスのような一流の国が記事を問題視することによって記事の内容が事実として走り出してしまう可能性がある。いまのところはイエローゴシップ誌のエロ記事だが、記事の内容は切り口を変えればとんでもない国際問題に化けるのだ。
つまり、シーランドがプロイセンに求婚している。それはイギリス連邦の一部・・・みたいなものであるシーランドが、ドイツのもう一つの国体にしてロシアの飛び地の化身でもあるプロイセンと同君連合を組むということになる。具体的にどういう連合になるかはわからないが、どういう形であってもロシア・ドイツ・イギリスを中心とした政治問題になるだろう。
(そうなったら巻き込まれて一番迷惑受けるのはおにーさんなのよね)
フランシスにとっては頭の痛いことになる。
イギリスもさすがに自重してくれて、とにかくシーランドに連絡してそういう話が少しでもあったのかを確認しようとしている。ところがシーランドと連絡がとれないのだ。
そしてフランシスはもう一人の当事者であるギルベルトに連絡をとろうとしているのだが、これも連絡不能であった。
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