超私事!葉月の『今日の出来事』

粗にして野、しかし卑にあらず。
お下劣大好き、お下品大嫌い!
オババの好き勝手な独り言。

想い出話(長文)

2007年05月13日 | 独り言
実は少し前に、衝撃的なこと(?)が起きたので書いておきます。

ある日の夜。
友達と飲んで帰った、帰りの電車での出来事です。
平日の夜10時を過ぎた電車内は、ちょっと疲れたサラリーマンやOLの
ため息や寝息でどんよりとした空気が流れていました。

ある駅に電車がゆっくりと滑り込み、車内からホームにたたずむ人々の姿が見えます。
その中に、私はある人を見つけました。

その人は、私の高校時代の現国の講師です。
高校3年生のときの一年間授業を受けていました。
学校に対して全くやる気と関心のなかった私でしたが、
さすがに3年生と言うことで、比較的真面目に出席していました。

ある日、私が友人と学校帰りに歩いていましたら、
スッと一台の車が近づいてきまして、その先生が声をかけてきました。
『二人とも送っていこうか?』
私と友人は喜んで送ってもらうことにしたのですね。
(よく考えれば怖いことです)
先生は先に友人の自宅に行き、彼女を降ろしました。
私の家のほうが遠いので、そんなに不思議なことではありませんでしたが
さほど親しい先生でもなかったので、正直緊張しました、さすがに。
(そもそも、親しい先生もいなかったけど。笑)

私の家に向う途中、
『ちょっと寄ってくか』といって、ファミレスでお茶をしました。
その時、先生は私に
『ちゃんと授業聞けよ』とか
『教室で座っていても、心ここにあらず、だぞ』などと言い
ちょっとお説教めいた話をされた記憶があります。

その日以来、私が一人で帰っていると、
同じように先生の車がタイミングよく現れ、
送ってもらってお茶して帰る、ということが頻繁にありました。

そのうち授業の終わりに、
『配布プリントを取りに職員室に来るように』と言われ
行ってみると、プリントの間に手紙が入っていたりするようになりました。
内容的には、先生が読んだ本の感想だとか
私が読んでおいたほうがいいと思われるお勧めの本だとか
君は『●●』(小説)の主人公に考え方が似ているな、だとか
そんな内容です。

先生が読んで感動した本もずいぶんいただきました。
好きなミュージシャンの曲を録音したテープ(MDじゃなく、笑)もいただきました。
そのうち、私もそれらの感想を手紙に書くようになり、
なんとなく”文通”がはじまりました。

先生からの手紙は頻繁でした。
毎日、毎日、毎日、毎日、自宅に届きました。
時には、一日に2通も3通も届くこともありました。

当時、私は本当にネンネちゃんで・・・。
今考えれば、先生の気持ちはとってもよくわかるのに
当時は全く、本当に全く気付きませんでした。
たんに、贔屓されてるという程度にしか思っていませんでした。

毎日届く手紙の主が学校の先生だと知った母には大変心配されて
(当たり前だよね^^;)
「こんなに毎日手紙が来るなんて変よ」
「どんな手紙なの?」と質問攻めです。
というわけで、何通か見せました。
私自身は、あくまでも贔屓されているくらいの感覚しかなく
「ママ、考えすぎだよ~」と言ったのですが
母としては、内容的にイロコイ関係の物はなくとも
やはり”こりゃ、マズイ”と思ったことでありましょう。

母に心配されてる旨を先生に話したところ、
なんと母に向けてのメッセージが手紙には書かれており、
『ご心配なさらないでください。お嬢様は大変しっかりしていらっしゃいます。』とありました。
読んだ母は苦笑していましたが
『年齢的にお年頃の方(先生がね)なんだから、たいがいにしなさい』
と釘を刺されました。

実際、私自身にも先生に対するほのかな思慕のようなものも芽生えており
手紙のやりとりや、帰りにお茶して帰るなど
ちょっとウキウキしていましたね。
車の中で『いま、オレが君にキスしようとしたらどうする?』と聞かれ
「それは、思いっきり蹴飛ばします!!」と答えたときに
『そりゃ、そうだよな』と真っ直ぐ前を向いていた先生をみて
もしかして・・・・、ママの言うとおり?と初めて思いはじめた次第です。

こんな風にカンの悪い、ネンネちゃんな私が
先生の気持ちにはっきり気付いたのは授業のときです。

私はいつものように先生の現国の授業を受けていました。
一応、授業中ですから先生の話を聴いています。
視線も当然先生の顔に向いています。
で、目が合ったのですね。
私は、当たり前のことだったのでなんとも思わなかったのですが
その時先生は絶句してしまい、明らかに動揺していました。
「どうしたんだろう?」
あくまでも鈍い私はぼんやりと絶句している先生を見続けていたのですが、
こちらを見ながら、顔を赤くして動揺している先生を見て
初めてハッと気付いたわけです。

以来、個人的に接触するのはやめました。
手紙の返事も書きませんでした。
急に心を閉ざしたことで、先生が大きく動き出すようになったのは
当然と言えば当然かもしれません。
返事を出さない私に何か書かせるために
授業での提出物の課題が使われたりすることもありました。

帰り道や、休日の自宅近くで先生を見かけることが頻繁にあり
無言電話も増えました。
今思えば、本当に申し訳ないことをしました。
子供だったとはいえ、他に方法があっただろうと。

その後、しばらく同じようなことは続きました。
雨の夜、家の近くに先生の車がとまっていたこともあります。
何年もたった就職する春に電話がかかってきて
『今ならいいだろう?ずっと待っていたんだから』と言われ驚き、
「困ります。今は好きな人もいますし・・・。」
と言ったのを最後に、電話も姿を見かけることもありませんでした。

あれからずいぶん時間が経ち、
私より7歳年上だった先生は、当然ご結婚されている事だろうと思っています。


その先生が、ある夜、私の乗った電車の車両に乗り込んできたのです。
心臓が止まるかと思いました。
髪型は変わってしまったけれど、まぎれもなくあの先生です。
あまりお変わりになっていらっしゃいませんでした。
卒業写真に載っているあのままです。

立っていた私の隣に立ち、並んでつり革につかまっています。
車窓には私と先生が並んで立っている姿が映っています。
少し草臥れた様子で、バッグから本を出し読み始めた先生。

どうしよう、声をかけようか。

その時、先生がふと顔を上げてガラス越しに私を見たのです。
そして、
何事もなかったかのように、また視線を本に落としました。

私に気付かなかった。

そのまま、並んだまま、電車は先生の住んでいる駅に到着し
先生は降りていきました。







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11 コメント

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小説みたい (ボワシエール)
2007-05-13 20:44:34
読ませていただきました。なんだか、短編小説みたいでした。人間同士ですから、先生が生徒に特別な感情をいだくことはあるでしょうが、葉月さんが先生に対して取った対応は仕方がないと思います。先生を思いやる余裕なんて、高校生の女の子にはなかなかできないですよ。

葉月さんの記事を読んで、また、似たような経験を思い出してしました。私の場合、就職してからなので、とにかく鈍いというしかないのですが。。。相手の方は、某会社の役員でお歳も70歳近くだったのです。お子さんがいらっしゃらなかったので、娘をかわいがるような気持ちでいろいろ浴してくださっていたのだと思っていたのですが、お会いしなくなってから10年が過ぎ、2年ぐらい前にお手紙をいただいたのです。「女性として見ていた」と書かれていて、結構衝撃を受けました。私は全然そんな風に考えたこともなかったので。。。ほんとにびっくりしたことを思い出しました。私もそのときには30半ばも過ぎた「りっぱな大人」だったので、そのことには触れず、以前に良くしてくださったことのお礼と、今は夫と二人幸せに暮らしていることをお返事として書きました。
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ボワシエールさんへ (葉月)
2007-05-13 22:15:49
そうですね・・・。
今の女子高生(イメージ先行で申し訳ないのですが)から考えたら、本当に当時の私なんてネンネちゃんもいいところです。
何の経験も無いし、キチンとした対応が出来るわけもありませんねえ(今だって出来ないってのに)。
それだけに、申し訳なかった感は強いです。


ボワシエールさんの御経験を拝見して、
またちょっといろいろ思い出しました。
相当に御年配の方も、私達が思うより、きちんと「異性」だということです。
無邪気というか、その年になっていないので分からない無知識というか・・・・。
仕方のないことなのですけど、そのせいで想像もしていなかった驚きを経験することも多いですよね。

今回書いたことも、私が当時の先生の年齢を越えてから理解したこともあって、ずっと胸の中に収めていたことです。
なかなか人に話す機会もなくて・・・・。
どんなに想像力を逞しくしても、所詮経験したことしか人は理解し得ない、ということなのでしょうか。
今後、どんなことに気付くのか。
また、思い当たるのか。
怖いような、見て見たいような、複雑な気持ちです。


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灰になっても (のんじ)
2007-05-14 09:15:43
「女」という言葉は良く聞きますが、男も同じようなものなのでしょうね。

私には経験がない(若い子は大好きですが ^_^;)ことなので彼らの気持ちはわかるようなわからないような感じですが、好きになる相手の年齢は関係ないということは間違いないです。年齢だけじゃなく容姿、体型、性格もすべてそうかな。

要するに「惚れてしまえばその子がタイプ」です(笑)

#昨日は早寝したのにまだ眠いです<完全に一昨日の...
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いよいよ・・ (yuki)
2007-05-15 02:47:22
作家デビューでしょか?
確かに読ませてくれますから、期待できそうですね・・・(笑)

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のんじさんへ (葉月)
2007-05-15 07:29:08
ボワシエールさんの御経験でもあったように、
また、私が先般秘書まがいのお仕事をさせていただいた役員の私生活を見ても
男性も『男』であることは一瞬たりとも忘れないのですね。
そして、常に「男」の目線で見ているという事なのでしょうか。

21歳ぐらいの頃、ワインスクールに通っていました。そこで御一緒していた固定メンバーとよくお食事会を開いていました。
その中に、65歳位のおじ様がいらしたのですが
ある日、お向かいの席に座ってワインの試飲やらコメントやらをしていたときに、突然両手が伸びてきて私の頬を包み込みました。
私は大変驚きましたが、他のメンバーも、また当のご本人も驚いていたようで、大変印象に残っています。

あれも、内に秘めたる「男」が一瞬現れたっていう事なのでしょうか?
この年になって、しみじみと味わっております。

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yukiさんへ (葉月)
2007-05-15 07:36:11
この先生との話は、いつか書きたいなと思っていました。
きっかけがなかなか無くて。
偶然会ったのも、実は結構前のことです。


yukiさんが現れてから、書く内容で私の内面を分析されてるようで(?)
ちょっと怖いです。

会話にせよ、文章にせよ、発信するものには必ずその人の内面が現れてる、と言うことを再認識せざるを得ません。
今まで、あまりにも無頓着に書いたりしすぎたかしら?
どうぞお手柔らかにお願いします。
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♂として (とみしゅう@ケータイ)
2007-05-15 07:39:06
単にお茶を飲むだけであっても、相手が♂であるか♀であるかによって、まちがいなくこちらの心持ちは異なります。

恋愛感情とはまた違う、いわば“条件反射”に近い心情かもしれません。

…スケベ根性なんでしょうね、やっぱり (^_^;)
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賛成に一票! (のんじ)
2007-05-15 08:00:10
↑とみしゅうさん見事です。

ついでにおごってくれたら言うことなしですが(^_^;)
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ははは・・・。 (うめもも)
2007-05-15 17:54:13
とみしゅうさんとのんじさんの、やりとりに脱帽!

葉月ちゃん、大変な場面に出くわしましたね。
なにもなくて、よかったのかも?
ちょっと、恐いですもんね。
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とみしゅうさん&のんじさんへ (葉月)
2007-05-15 18:47:02
う~ん。
こんなところでオトコの本音の応酬を聞かされるとは。
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