呑舞さんの脳活俳句日記

俳句漬けの毎日。夢の中でも俳句を詠み、昼間は時々カメラを持って外出し、俳句の材料を捜す日々。句会報告や俳論を掲載します。

『俳句』 7月号を読む

2017-06-28 08:29:06 | 俳句

『俳句』 7月号と現代俳人名鑑Ⅲ

   今月号で特に目を惹いた記事は「若手俳人競詠10句」である。22歳~44歳までの若手俳人29名の10句抄が集録されている。年配者には出番が無いことに些かの寂しさを伴うものの、俳句界の次世代を担う若手俳人が育っていく事に頼もしさを感じる。特に、29名の中には筆者と関わりのある若手俳人も数名混じっており、尚更ながら親しみを感じた。その中には筆者所属の結社「舞」に関わる俳人、小川楓子氏、涼野海音氏やFB友達の能美顕之氏も含まれている。何れも日頃から筆者が知るご本人の俳句感が溢れており、夫々の作風の違いも明確である。たかが17文字の世界で、詠者によって此れだけの違いが表現される事に俳句に関わる一人として大変面白さを感じた。小川氏と涼野氏は既に斯界で認められた俳人であり、「現代俳人名鑑」にも10句抄と共に紹介されている。能美氏は、現役の宗教人で西本願寺系のお寺の住職でもある。筆者も西本願寺の教義に少しばかり関わっており、そう言う意味では同門かも知れない。

    また、今月号付録の「現代俳人名鑑Ⅲ」には、筆者の師匠でもある山西雅子氏が10句抄と共に紹介されている。何れの方の句を読んでも筆者との感性の違い、歳の違いを感じさせられる作品が多く、筆者の出番は既に終わったと言う思いである。筆者の好きな句を下記する。

  山西雅子詠(現代俳人名鑑Ⅲより)

    冬空を緋色の靴の落ちくるか   『夏越』

    芋虫にして乳房めく足も見す   『夏越』

    石鹸玉まだ吹けぬ子も中にゐて   『沙羅』

    小満のみるみる涙湧く子かな     『沙羅』

    喜びの米といふありこぼしけり    『舞』

 

  小川楓子詠(競詠10句抄「一輪車」より)

    夏の雨イヤフォンをして昼ごはん

    六月のキリン寂しいかと父は

    ひやうふつと潮風のきて蜘蛛の糸

    夏シャツの乳を授ける日あたりに

    夕涼のくきくきとゆく一輪車

 

  涼野海音氏詠(競泳10句抄「アメリカの地図」より)

    さるぼぼの大きな頭春立ちぬ

    五月来る森の中なる神学部

    山頂に来て蟻地獄ひとつのみ

    アメリカの地図を開いて端居かな

    小鳥来るオリーブ園の坂の上

 

  能美顕之氏詠(競泳10句抄「立夏」より)

    職人のリズムに遠き蛙かな

    立ち話終らぬ気配藤の花

    落武者に始まる寺や風五月

    新聞の風にはらりと夏に入る

    よく見れば毛虫にいのちありしこと

   一読語、夫々の方の個性が明確に表れていることに驚き。俳句にも個性が滲み出る。小川氏の句は何れも女性らしさ、若い女性ならではの個性に溢れる。涼野氏の句は、何方かと言うと伝統的な客観写生に近い詠み方である。また、能美氏の句は、下地に宗教者らしい感覚が溢れている。筆者の感想ではあるが、今後も夫々の個性が生かされて独自の俳句道を進まれるものと推察した。

   上記各氏に比べお恥ずかしい拙句。先週の松山俳句ポスト佳作入選作(夏井いつき選)。もう少し修行が必要。法律の論文書きの方が得意なので、仕方がないか。

    白靴を汚さぬやうに歩きけり    呑舞

(平成29年6月28日記)

 

 

 

 



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