弦楽器と鼻笛 Nekoya四弦堂

Nekoya製作の弦楽器や鼻笛をご紹介するブログです。

アーチトップウクレレ

2023-05-07 12:17:00 | 日記
アーチトップウクレレを作りました。
ウクレレのリペアで多いのがトップ落ちとブリッジの剥がれです。
どちらも弦のテンションによるものです。
ウクレレにかかるテンションはギターやマンドリンに比べると確かに弱いのですが、ボディの構造からすると決して弱いとは言えません。
そもそもウクレレの暖かくコロコロとした鳴りは、薄いトップ板(1.8mm 以下)と横2本のシンプルなブレイシングから生まれるのであって、トップ落ちは当然の事です。
なので気にしなければ良いのですが、問題はトップ落ちと共にブリッジのサドルが前に傾いて弦長が変わってしまう事です。
特にスケールの短いソプラノのウクレレなどは音程に影響が出ます。
ブリッジの剥がれも実のところボディの変形であるトップ落ちが原因だったりします。
剥がれたブリッジは貼り直せば良いのですが、トップ落ちに有効な方法はありません。
せいぜいブレイシングを追加する事ぐらいですが、当然音に悪影響が出てしまいます。
ならばトップ落ちしない(しにくい)ウクレレは作れないのかと言えばそうでも無く、トップにほんの少しだけアーチをかけることでかなり良い結果が得られました。
それをさらに進めてのアーチトップウクレレです。
マンドリンやギターと同じくアーチトップにすると耐久性と共に音量もかなり大きくなります。
勿論ウクレレ本来の音とは違うのですが、見た目が違うのであまり気にはなりません。
材もウクレレらしさに拘らずトップにはスプルースやレッドシダーなどの針葉樹を使います。