王様の耳と猫の耳

日常と異国の話をまぜこぜで書き散らし

ロールキャベツの思い出

2024-01-18 23:53:59 | 異国の話

今日はロールキャベツを作った。

ロールキャベツには思い出がある。

モンゴルで働いているとき、初めは仕事仲間のモンゴル人の家に居候していた。。病気で家庭で養生しているお父さんは、「夏の家」と呼んでいる郊外の庭付きの別荘のほうが空気がいいからと引っ越してしまっていたので、町のアパートの中の一部屋を開けてもらって住んでいた。

ある日お父さんが、別荘で一緒にごはんを食べようと呼んでくれた。全員で十人くらいいただろうか。

料理を作るのは女性陣で、牛肉を包丁で細かくたたいてミンチにし、玉ねぎやニンジンのみじん切りを混ぜる。何を作るのかなと思っていると、キャベツをむいて肉を包み始めた。

「ロールキャベツか。私もよく作るよ」と言ったのだが、そこからが違った。

大きな中華鍋に油を入れて熱すると、肉を包んだキャベツを滑り込ませたのだ。「え!? 揚げるの? 」

中華鍋だがそれほどたくさん油を入れないので、ディープフライではなくパンフライで、何度もひっくり返しながらしっかり火を通すうちにキャベツはじわじわ焦げていく。そして油をたっぷり吸っていく。

呆然と見ていると「お父さんのフェイバリットフードなのよ」と英語が堪能な娘さんが言う。

できた料理は家長が一番、次は客にふるまわれる。

お父さんと一緒に油ギトギトのロールキャベツを食べながら、まさか揚げ物とはと夫と顔を見合わせた。おいしいことはおいしいが、揚げたキャベツは日本人にはツライ。モンゴルのロールキャベツ、恐るべし。

参加人数が多かったので、おかわりを勧められなかったのは幸いだった。

数日後、市場でキャベツとひき肉を買ってきて、煮込むロールキャベツを作った。お父さんはいないが、アパートに同居している仕事仲間やその息子、妹たちと一緒に夕ご飯のおかずとして食べた。

同じロールキャベツだとは思わなかったのか、彼らは何も言わなかった。日本では揚げないで煮込むんだよと言っても、ふーんと興味ない感じ。

調理法より味より、おなかいっぱい食べられることのほうが重要な10代の子たちが多かったからなぁ。


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