モンゴルに住んでいたころ、日本の知り合いからよく聞かれたのは、モンゴル人の主食は何? ということ。
ごはん? それともパン? と聞かれるたび、私は首を傾げた。
日本人にとって、食事はおかずと主食。一汁一菜や一汁三菜、主菜と副菜などと食事内容を表現するが、汁、菜以外に当然ごはんがつく。もちろん場合によってはパンになったり、そば、うどん、パスタなど麺類になったりするが、とにかく主食と呼ばれる炭水化物、でんぷんを必ず食べるのが前提だ。
だから日本では、外国では何を主食にしているのか、という疑問を持つ人が結構いるし、その際想定されるのは、もちろん炭水化物なのだ。
が。
モンゴルに行って知ったこと。モンゴル人にとって、ごはんは野菜の一種らしい。日本で洋食のプレートにニンジンやジャガイモが添え物として置かれているが、モンゴルではごはんもそのひとつとしてアイスクリームの1スクープくらいの量乗っていたりする。ごはんはそんな立ち位置なのだ。
友人の一人は、ごはんなんか食べてもすぐにお腹がすいてしまう、ごはんは腹持ち悪いよね、と言う。日本人とは意見が違うと思うが、彼らにとってはごはんよりパンのほうが腹持ちがいいらしい。
では、モンゴル人の主食はパンなのか。別の友人は日本人と結婚して日本に住んでいるので、奥さんや義理のお母さんの作る日本の食事を毎日食べていて、味噌汁も好きになったそうだが、ごはんのほかに必ずバンをつけてもらっている。ハンバーグライスにパン、親子丼にもパン。毎食必ずロールパンかバゲットを食べている。
そんな彼を見ていると、モンゴル人の主食はパンだと思ってしまいそうだが、それも違うと思う。
モンゴル人はとにかく肉が好きだ。一番好きなのは羊だが、牛はもちろん豚でも鶏でも食べるし、冬は馬肉、夏はタルバガンという大型のネズミみたいな獣の肉が人気だ。毎食必ず食べるものを主食というのなら、モンゴル人にとっての主食は、間違いなく「肉」だ。
モンゴルで仕事をしていて、「夕ご飯、食べていく?」とたずね、「いや、帰って食べるからいいよ」と断られた時でも、「そう? 羊肉を茹でてあるんだけど」と言うと、みんな目の色が変わって「食べる!!!」となる。いついかなる時でも、肉は断らない。私としては、羊肉を茹でておけばOKというのはとても楽だった。茹でただけの肉なんて、日本人としては料理でも何でもないが、モンゴル人にとってはこれに勝るものなし、らしいのだ。
というわけで、モンゴルの主食は「肉」
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