突然ながら物語のプロット的なものをブログに載せておきます。
演劇の台本を書こうと思って書き始めたものの、いっこうに完成する気がないしおもしろくもない。暗いです。
しかしせっかく内から出てきたものなので無かったことにすることもできず、ここに放り投げることにしました。
もし何かに使いたい、加筆したいなどの場合はご自由に。
月
「爆弾」
私…20年前に博士に作られたアンドロイド
博士…私を作った人
貴女…私が作ったアンドロイド
私を作った博士は2年前に死んだ
私は博士にとても愛されていた
大切にされていた
ひとりになってしばらく、退屈だったので死んだ博士のかわりに、作りかけのアンドロイドを作ることにした
そして直面する
私に「爆弾」がつけられていたことに
長年気がつかなかった
いや本当は気づきたくなかっただけだ
身体をスキャンするといつもそこにある違和感
知らないふりをしていた
怖かったから
なぜ博士は私に爆弾をつけたのか
この事はなんとなく博士に聞いてはいけないことだと思っていた
私は無垢なアンドロイドとして博士に愛されなければならなかったから、爆弾があることに気づいて博士を疑ったりしてはいけなかったのだ
それに、疑いたくなかった
ただとにかく、爆弾がある事実からずっと逃げていた
しかし博士の図面通りにアンドロイドを作っていたらいよいよ向き合うはめになった
製作中のアンドロイドに爆弾をつけるべきかどうか
そもそもなぜ爆弾をつける必要があるのか
一度つけた爆弾は安全なまま取り外すことができないのは確かだった
私はこの問題に直面してから爆弾をより意識し、持っていることがとても恐ろしくなった
今までのように気づかないふりはもう出来ない
爆弾に対して、死に対して怖いと思う、これは一体何なのか
……思う?気持ち?
心はないはずなのに
爆弾をつけるにしても、私がそれに気づかないようプログラムしてほしかった
何かのはずみでいつ爆発するかもわからない
あまりに怖くて強いストレスを感じた
いっそ爆発させてしまおうか
楽にはなる
しかしそれは死を意味する
しかもこの爆弾の威力はかなり広範囲におよぶ
爆発させれば確実に他者を巻き込んでしまう
爆弾のこと、生きること、死ぬことを考える
どうしたらいいのか何も答えが出ない
悩んだ末に作りかけのアンドロイドには爆弾をつけずに完成させた
爆弾がある私と、無い貴女
有無の違いがわかれば、なぜ博士が爆弾を必要としたかがわかるかもしれない
完成した貴女を観察する
いっこうに単調だった
あくまでプログラムをこなすだけ
話しかけても貴女の返答は予想の域をこえない
私が目覚めたときと同じだったから
そして気づく
「ストレスは原動力」
人は負荷があることによってより成長し、努力しようとする。やがて何かを生み出すのだ。
博士は爆弾をつけることによって私にストレスを与え、心(のようなもの?)を芽生えさせようとしていたのではないか
それは、私を人間にしてあげたいという愛ゆえの行動だったのか
心を持つアンドロイドを作ってみたいという科学者としての行動だったのか
どちらかは、わからない
どちらもあったのかもしれない
どちらにせよ
博士が私を愛していたのは本当だった
私も博士が好きだったのだ
しかし許せはしない
激しい怒りと悲しみが溢れてくる
死ぬまで突然爆発するかもしれない恐怖を、苦しみを抱えろというのか
誰にも助けてもらえない、誰にもこの絶望をわかってもらえない
爆発してしまったら意図せず誰かを傷つける
まるで呪いだ、博士からの呪い
爆発してもしなくても、全く、何も、救われない
爆弾がなかったら幸せだった?
貴女のように空っぽな人形のままがよかった?
…そうは思えない
だからといって爆弾付きの身体に感謝したくない
どうしろというの
解決しない問題
博士はいない
縛られ続ける
終