ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

春の海

2018年04月10日 | 日記
 図書館に根詰めて通ったある日、急に海が見たくなりました。常に目の前に迫る文字や紙や予定に追われているせいでしょうか、ふとコピー機から目をあげると蒼茫と広がる果てしない光景が見える気がしました。ロンドンのSt PanctrasからFolkestone Central Stationまで一時間で行けるSunny Sandsへ、雨が続いた中よく晴れた日で冬用のコートが暑いくらいでした。小さな駅で、駅の切符売り場券Informationにここのパンフレットみたなものはないのか尋ねたところないとのことでした。ほんの20分歩くと海が見えてきました。

 海と言えば砂浜と思い込んでいたのですが、このFokestoneの海の砂浜部分は石でできています。白、黄土色、灰色の小中の石が混ざりそれがエメラルド色の海へ通じる前段階として横たわっています。靴にポロポロと砂が入ってくる心配もなく座り心地もよく、寄せては返す波の音に耳を傾ければ徐々に心があらわれていくのを感じました。思いがけず波の音を何時間でも聞いていたい心境になり、一か所にじっとして寒くなると少し歩き移動し、再び座り波の音に耳を傾けることの繰り返しでした。遠くで石を投げ合ったりして遊んでいる中学生くらいの男の子二人の姿が電子機器とは無縁の自然の姿のような気がして好感が持てました。しばらくして空腹を感じ、ここに来るときに見つけたトルコ料理店へ行くことにしました。




весна(ロシア語で春)

2018年04月05日 | 日記
 最近、ようやくロンドンにも学校にも慣れたきたという手ごたえを感じていて、来た当初は自分の居場所じゃないようなそんな気持ちをずっと抱えていました。今朝学校に直行し、ロンドンに初めて春を感じたような気がして陽のあたる場所を選んで腰を落ち着かせました。来た当初、自分の心細さを見透かされることをひたすら恐れ高い椅子の背もたれで囲われたスペースに身を沈めていることがありました。今ようやくいろいろわかってきて自分の中でも落とし前をつけられる物差しも育ち納得もしそして次に進めるような気がしています。

Photo by nakko sann

今日の予定。

2018年04月04日 | 日記
 朝から炒め物を作り腹ごしらえをしたので、本日はこのまままっすぐ図書館へ向かいます。今日の目標は中国語のクラス用のプレゼンを作ること。テーマは日本語と中国語の違いです。合間にLanguage Planning Policyの論文を二つ読み、その他雑事をもろもろ。修士論文のための調べ物もしたいのですがこちらはどれくらい時間を取られるかわからないのでまずは確実に終わっていくものから始めようと思います。昨日はブルーライト遮断用のパソコン眼鏡を忘れたので目がしばしばして痛かったのでこちらも忘れないように!

Photo by nakko sann

枝垂れ桜

2018年04月02日 | 日記
 試験が終わった翌日にパリに発った友達に、よく疲れなかったねと言ったら、パリで疲れてたとのことでした。笑 私も今日からようやく本調子に戻りまずは手始めにBritish Museumでウォーミングアップをしてきました。今から一本、論文読みに取り掛かろうと思います。いちいち宣言しないと取り掛かれないのですね))

Photo by nakko sann

British Museum

2018年04月02日 | 日記
 British Museumへ行ってきました。ここ最近ずっと行きたい、行って広い共有スペースでコーヒーが飲みたいと思い続け今日やっとタイミングが合い行ったものの、Easter Breaksの最後の休日とあり平素よりだいぶ混んでいました。よりによってどうして今日来てしまったのだろうと少し可笑しかったのですがせっかく行けたのでChinaコーナーを早足で見、それから当初の目的通り真ん中に広く創られたカフェスペースで一息つきました。ここは天井から陽光が入ってくるように設計されているので晴れの日は明るくなりすぎ眩しいくらいなのですが、今日みたいに曇りの日は落ち着いて読書ができます。備え付けられた細長いテーブルが乳白色の透けた素材でスタイリッシュでかっこよくきっとこれを任された建築家は建築が好きで好きでたまらない人なんだろうなあとそんなことを思いました。

紺碧

2018年04月02日 | 日記
 ロンドンの蒼い空。

Heaven

2018年04月02日 | 日記
満開の桜。
Photo by nakko sann

girls

2018年04月02日 | 日記
 夏の終わりからずっと会えていなかった二人の友人と夕食を共にしました。会った早々、狭い大学構内なのにWhere have you been!?と言い合い、それぞれ政治学と文化人類学を専攻する彼女たちと学校談義に花が咲きました。自分とは違う学部の話を聞くともっと外から学校全体を見渡せて理解が深まります。政治学には国際政治らしく大使をお呼びして皆で夕食会というのがあるらしく、パキスタンからの大使が来たときに隣国で仲が悪いインド出身の生徒がわざとインドの国旗を胸に付けて現れ場の雰囲気があまりよろしくなかったそうです。これぞまさしく政治学そのものだと笑いました。五月の終わりにはニューヨークに行き国連本部をを訪ねるという派手な研修もあるらしいです。

 台湾と中国との関係にも話は及び、台湾人の友達曰く台湾人は台湾を中国の一部とは思っておらず蒋介石が民主主義の台湾を作ったときから中国とは袂を分かち一線を画していると言っていました。最近若者は中国からの脅威を感じているので組み込まれないためにも選挙にも非常に関心があると言っていました。話は『宗家の三姉妹』の映画に流れ、あれはいい映画だったと言い合いました。宗家の令嬢たちがそれぞれ国を動かす重要人物と結婚するのですが、一人は金と、一人は権力と、一人は国家と結婚した…とのお触れです。あんな家に生まれたら大変だったねーとそこはお酒も入っているので最後は全部笑い話に持っていき、今後博士課程に進みたいかという話にもなりました。Shuineは少し働いた後で進みたいと言い、Amyと私はI've done! Amyはもし今度入るなら違う学部を選びたいとまで言っていてそれも皆で笑いました。

 夏の盛りにあんなに希望に燃えていたAmyが春に会って変わり、もうあの時から月日はどんどん流れ、夏に来たばかりだった私たちがもう帰る話をしている、否が応でも過ぎていく月日を逸る気持ちを抱えながら手をこまねいている自分がいて…。どうにかしなくてはと思うのだけど、その仕方がわからず、一歩ずつとは思っても早くしないと手遅れになってしまうと焦る自分がいて…そんなことの繰り返しが頭をいつも回っています。

ストライキ

2018年03月30日 | 日記
 私の最近の関心事であるロンドン大学全体のストライキのことなのですが、どうやら更なる決行が決まったらしいです。春休みを越え、三学期の第一週目にも決行がきまったということでその後はまた随時連絡がくることになっています。二学期の終わりの最後の決行日には“painful day”という学園長直々から全生徒にメールが来るという事態に発展し、この日は本来ストライキのルールとしてしてはいけない学校のエントランス前に人間のチェーンを作り是が非でも生徒及び教職員を中に入れさせないという暴力に訴える行使がありました。中には建物内部で放火をした人もいたそうです。この辺の悶着の動画もあっという間に廻り私も見たのですが、建物内部に入ろうとする人と入れまいとする人の真剣勝負でした。
 
 初めは興味津々にこの様子を見守っていた私ですが、さすがに三週間目にもなるとやり過ぎ感が否めなく、それでも主張を通そうとする教師側及びそれを支持する学生ユニオンに驚きです。学生ユニオンの内部は内部で、あの人間の盾を作ってしまったことに対し反省し解散するかしないかの真剣議論も巻き起こったそうですが、その割には三学期の決行もきまったということなので解散しないのですね)
 
 

ミュージカル

2018年03月30日 | 日記
 以前ヨハンにロンドンを案内してもらっているときに、ミュージカルが好きだと言ったら、自分はミュージカルはまったく好きじゃないから見たいなら一人で見て、と言われました。今回、オペラ座の怪人が面白かったと言ったら、自分は前回見た“Lion King”がぜんぜん面白くなかったという返答でした。Lion Kingを見たと報告を受けたとき、すごく面白かった、と言っていたのはフレンチガールとデートで見たから面白かったという意味だったのですね))言ってることが違って可笑しかったです:)

オペラ座の怪人

2018年03月30日 | 日記
 昨夜は“オペラ座の怪人”を観てきました。前回ロンドンに来た時にバルコニー席からひとりで観た記憶が鮮明に残っていて妖しく浮かび上がる白い衣装をまとったクリスティーナがとても美しかったのを覚えています。それ以来ずっと観たいと思い続けていたのですが、劇場まで足を運ぶ心の余裕が浮かび上がらずゆっくり休んだ昨日の午後急に思い立ち劇場行きを決めました。久しぶりにアイライナーを描き、紅を差し、一張羅をまといお洒落をして劇場へ向かいました。

 前回同様、クリスティーナの白いドレスが漆黒の舞台に妖しく浮かび上がり、その周りを古風な衣装をまとったバレリーナやピエロや貴婦人が踊り舞い、怪人のいる地下壕をゆっくりクリスティーナを乗せた船が動く様子が幻想的でした。改めて怪人の一挙手一投足に着目してみるとけっこうな乱暴者だしクリスティーナのこともかなり粗く扱い、“美女と野獣”の野獣のような優しい心の持ち主というわけでもなく、とても一緒に生活を共にしていけないような嫌な奴だったんですね))最後にクリスティーナが怪人にした熱烈な口付けにはどんな意味が込められていたのでしょう。怪人の自分への気持ちを理解している彼女が、怪人のことはちっとも好きじゃないけど婚約者救出のために堪忍してキスを与え、どうか後生だから私のできる限りのことをしたつもりだからあなたも私の頼みを聞いてというような気持ちでしょうか。

 幕間に恒例のひとり酒宴をしました。“オペラ座の怪人”なので白より赤という気がして赤ワインを飲みました。帰りにお腹が空いてピザを食べました。夜、劇場の帰りにひとりで食べる高カロリーのピッツアはなんとも誘惑の罠に自分からかかって行ったような甘美な気持ちにさせてくれました。

巴里と休息。

2018年03月29日 | 日記
 乙な紳士ジェフリーさんの言うことには、もう一学期も二学期も終わって三学期は2週間授業を受ければいいだけでその後試験期間に入ってそれから修士論文を書き上げるだけになるからこれからは今までより断然楽になるということでしたが、本当かな。その時は、うんうんと聞いてそうかも!と思うのですが後からはまた疑念が湧いてきました。本当にそうだろうか。これから修論を書くにあたって学生たちからアンケートも取らなければならないしその段取りを考えなければならないしそもそも何から手をつけていいのかそれ自体に混乱してよく考えられないし…という心境です。やはりもう少し休息が必要かもしれません。日にちを決めてきっかりゆっくり大仰に休めればいいのですが、いつも気持ちだけが逸ってオントオフの切り替えがうまくありません。
 友人はもうすでにさっさとパリに行き戻ってきました。どうだった!?と聞いたらサイコーだった!という答えでした。私は旅行を計画するのも面倒でやはりもう少しここに佇んでいようと思います。まずはカフェと教会ですかね。

Good morning!

2018年03月29日 | 日記
 なんだかまだ頭がクラクラして今日も焦らずボチボチ少しずつ始めることと思っています。朝メールを開けたら、中国語の先生からどっさりメールが流れ込んでいて一瞬の恐怖の後これももう少し体力気力が戻ってから目を通そうと思い直しました。さっき教会に行ってみようかという考えが頭に浮かびました。神社に佇んでいたり信奉宗教は違えど教会の椅子に身を沈めていたりすると心落ち着くから不思議です。
 

Russian English Club in London

2018年03月28日 | 日記
 ロンドンのPUBで二週間に一度開催されるRussian English Clubにたまに参加しています。先日会ったエカテリンブルグ出身のサーシャは私が住んでいたペルミの隣町の出身です。隣町と言ってもペルミから列車で5時間かかります。私もこの列車で5時間かかるエカテリンブルグへ数回行ったことがあり、一度はペルミでの仕事で大事なイベントの後、大急ぎで列車に飛び乗り5時間揺られ、エカテリンブルグでもまた大事な出来事をこなしと、忙しなかった思い出があります。あとはこのイギリスへ来るための英語のテストを小さなペルミの街では用を足さずわざわざエカテリンブルグの街へ受けに行き試験後ひとりお寿司を食べた記憶があります。夕方、雪が降り積もった教会が綺麗だったのも覚えています。

 そのエカテリンブには街の象徴であるテレビ塔がありなんと30年以上も未完成だったらしいです))さらに街のシンボルであったのにも関わらず、今回スタジアムを作るということで跡形もなく取り壊されました。正確には爆破されその微塵もなく片付けられる様子をビール片手にサーシャと動画で見ながらゲラゲラ笑いまたしてもロシアの計画性のなさに舌を巻きました。場当たりとその場しのぎで進んでいくロシアのやり方をイギリスのパブで強烈に思い出し、あの国の経済力の発展のなさ、一労働者としての仕事遂行の難しさ、論理に裏付けられた方針など微塵もないことなど、それらが降りかかってきたときの恐ろしさを思い出し、自分は本当にまたあの国へ戻りたいのだろうか、と問わずにはいられませんでした;)

背水の陣

2018年03月28日 | 日記
 今回のストライキでわからなかったのが教授の年金引き下げ問題に対するストライキに対し若い学生がピケを張っていることです。政治学や法学部の生徒やイギリス人に聞いてみたところ誰も本当の理由はわからず教授が好きだからとか大学自体が左派だからとかが大半の半信半疑の答えでした。

 そんな中、プラカードを持っている学生のその中身を目を凝らして見てみると“ Phd students also need a counselor”と書いてあります。彼女は博士課程の生徒に心のケアが必要だと主張しているのですが、要は年金問題に便乗して自分の主張を行っているのです。

 長い鍛錬のいる博士課程で狂ってしまう生徒がいることも聞くし、つい先日修士の優秀だと思っていた生徒が1年コースがキツくて2年コースに変えたという話も聞きました。私が真夜中のスーパーでストレスの反動のポテトチップスを買っていたら隣のレーンに見知った同じ修士課程の学生がいました。彼女がこんなにハードなら来なかったと言い、二人で買ったばかりのチップスをムシャムシャ路上で食べました。

 大学院というのは勉強だけしていればいいわけでもなく、新しい国と環境と教育システムにも馴染まなければならないし教授との関係も良好に保ちつつ、その中で締め切りに追われ長い時間かけてテーマに沿った論文を探し出し参考文献を読み、エッセイの概要を検討し書き始めるというプロセスをたどり、プレゼンもこなし試験準備もし就活も進めなければなりません。休みはあっても常にいつまでにこれを終わらせてと自分の中でのプランが先行し心が休まりません。例に漏れず私も様々な問題が沸き上がり特に今は二学期の試験と課題提出の締め切りが終わり疲れが抜け切れず心の底から疲れたという実感が湧きます。

 泣きたいくらい疲れた夜に、同じアカデミックで生きるヨハンに、もう疲れた、私は人生間違えているのかも、とテキストしたら同じく疲れたヨハンが、僕も生まれ変わったら何をすればいい道か知りたい、と何とも色っぽい日本語で返してきて、背水の陣、と一言返したら、背水の陣なんて!なんて素晴らしい表現!と返ってきました。背水の陣がわかる韓国人のヨハンの言語能力が素晴らしいと思い、四面楚歌なる類語もついでに付け加えておきました。